【BARKS編集部レビュー】Ultimate Ears 11 Proは、ロックを鳴らす永遠の銘器

twitterツイート

さあ、ついにUltimate EarsのUE 11 Proをご紹介するこの日がやってきた。…い、いや、あらかじめ自爆しておくと、この原稿の私のテンションはいつにも増して怪しいかもしれない。空回り感も否めない。というのも、UEの中で最も好きなカスタムIEMであり、これまでの、そしてきっとこれからも(気持ち的にはずっといつまでも)私にとってベスト3に入るフェイバリットカスタムIEMなので、気持ちも上滑り、前のめりの状態なのだ。

◆Ultimate Ears 11 Pro画像

▲Ultimate Ears 11 Pro。オーダーはケーブルは121cmの黒、フェイスプレートのカラーは0058のグリーンを指定。

▲UE 11 Proは2007年8月以降、2010年2月にUE 18 Proが発売されるまでUEのフラッグシップの座を守ってきたモデル。スペック、価格共にUE 18 ProがUEの最上位機種だが、サウンドは全くキャラが違うため、上下関係に位置しない点がポイントだ。

▲通常価格\159800(税込)。3ウェイ4ドライバーという構成はカスタムIEMとしては高スペックではないが、そのサウンドは多くの新興カスタムIEMの到達すべきアイコンとして研究対象の筆頭となったモデルでもある。このUE 11 Proがなかったら、現在の各カスタムIEMブランドの様相も変わっていたかもしれない。

▲UEファミリー。左から。5 Pro、11 Pro、18 Pro、リファレンスモニター(RM)。5 Proはメリハリの効いたソリッドなドンシャリ、11 Proは噛み付くようなパワフルサウンド、18 Proはまとわりつくような濃厚なサウンド、RMは万人に愛されるであろう美しい高域を持つフラットサウンドを特徴とする。

▲付属品はほかのモデルと同等のラージキャリーケースとクリーニングツール、取説。

これまでも多くのカスタムIEMを手にしてきたし、猛烈に濃いキャラ(極悪ドンシャリのnull audio Elpisとか激烈な切れ味のカナルワークスCW-L05QDとか)や、感動的にいい音と思しきモデル(Stage93 Stage 6とかLivezoner41 LZ 4とかHeir Audio 8.Aとか)も所有しているけれど、それでもUE 11 Proだけは自分にとって何か特別で、何度聞いても激烈なパンチ力と攻撃力と切れ味するどいサウンドに感銘を受ける。そしてその感動の深さは今もなお風化していない。そしてこの揺るぎない個性は今の時代をもってしても、全く鮮度が落ちていない。2007年8月に発表され6年以上もエッジの立った存在感を発揮し続け、時代に埋もれないこのサウンドは驚異の一言だ。少なくとも私にとって“名機”の称号を受けるにふさわしいモデルがUE 11 Proなのである。

さて、そのサウンドはどんなものなのか。「低域がすごい」とか「高域の伸びが…」など、特徴とそのディテールを逐一説明することもできるとは思うが、そんな言葉の羅列よりも一言「カッコイイ音」なんだよ、と言ってしまえばそれで片がつく。簡単な言葉でぶん投げた感もあるけれど、UE 11 Proのサウンドは常に噛み付くようなパワー感にみなぎっている。音楽がより活き活きと響き、躍動感と深遠な表現力を持って脳みそへ届けてくれる、激烈なカッコよさを持っているのである。

UE 11 Proのサウンドのイメージにピタリと符合する言葉を羅列すれば、「豪快」「メリハリ」「スピーディ」「パンチ力」「しなやかな筋肉」「ロック」「ダイナミック」「パワフル」「ヤンチャ」という感じだろうか。男性的で陽のサウンドである。トーンは基本フラットだが、ドンシャリと感じる人が多いかもしれない。低音の存在感が強く、高域もハットやライドの細かい粒がクリアに綺麗に飛び込んでくるからだ。ただしシビアに聴きこんでみれば、低域を強く感じさせるのはベースのラインよりもキックの持つアタック部分に耳を引っ張られているきらいもある。100Hz以下の低音が強いというのではなくむしろ200Hzあたりの低域からローミッドの300Hzあたりを無理なく出す余裕のトーンが、スピード感を感じさせる心地よさを強く演出しているような気がする。

UE 11 Proが放つサウンドの強烈なこの存在感は、市販イヤホンとは聴き比べるべくもない。全体的なパワー感とねじり込むような粘りと切れが両立した音色、そしてその圧倒的な音圧は、むしろパワフルなダイナミックドライバーから発せられたサウンドのようでもある。もちろんその上で、マルチドライバーで設計されたカスタムIEMとして微細なディテールをきっちり描き出す高解像度も、間違いなくトップレベルにあるものだ。

この事実と、UE 11 Proのサウンド特性を鑑みれば、市場に多数出回っている一般的な市販イヤホンからカスタムIEMに乗り換えた時、「うわ…、カスタムIEMってスゲエな」と一瞬で感動を味あわせてくれるモデルこそUE 11 Proではないかとも思う。どの方面から来ても「さすがにイイね」と思わせてくれるような、どこから見ても到達すべき旗が見える丘陵の頂上に位置するような、「絵に描いたような良い音」が実現できていると思うのだ。例えば、UE 5 PROもタイトでソリッドでビビッドなサウンドだけれど、濃厚でミッドの厚みがあるようなヘッドホンサウンドを好きな人には見通しの良すぎる明るさがウイークポイントになるだろうし、フラッグシップのUE 18 PROの場合は極上の濃密さがワンアンドオンリーの銘サウンドなだけに、エティモティック・リサーチER-4Sをフェイバリットとするような人からは甘い・緩い・生温いという残念なイメージでバッサリ切られることになる。UERMですら、「うーん…普通だな」とその驚異のフラットぶりがマイナスへ触れてしまう危険性をはらんでいるものだ。そういう点でUE 11 Proは、素晴らしく均整のとれたグラマラスなサウンドを出してくれる。

そもそもカスタムIEMの場合、本質的に購入前のサウンド・チェックが出来ないもの。試聴機のサウンドを聞く機会はe☆イヤホンやフジヤエービックといったイヤホン/ヘッドホン専門店にあるけれど、それでもイヤーピースが付いた汎用試聴機とカスタムで製作された実機の間にはどうしてもサウンドの違いが生じてしまう。それ以前に、地方在住の人には試聴機を手にする機会もほとんど無いのが実情だったりする。

9割の期待と1割の不安を胸に抱えながら、思い切ってオーダーし、数週間のワクワクとドキドキを楽しみながら、到着したカスタムIEMと対面する。耳にした時には、先の「うわ…、カスタムIEMってスゲエな」という体験を誰もが期待したいものだろうし、最大限の満足度でそのモデルを愛用したいと思うことだろう。だからこそUE 11 Proにご注目頂きたいのだ。

ただ、誤解を恐れずに言えば、私の感覚ではUE 11 Proは「バンドサウンドを鳴らすために生まれてきたようなカスタムIEM」だと思っている。EDMやヒップホップ、ダブステップあたりまで含め広くPOPS~ROCKサウンドに適合したモデルだが、暴れん坊でヤンチャ、それでいて肉感的でもあるトーンなので、音楽によっては当然のように不適性なエリアがあるだろう。オーケストレーションを平静に再生するのは無理がありそうだし、陽のサウンドに仕立てあげてしまうUE 11 Proで聞くデルタ・ブルースなんてのもピンと来ない。

私にとってUE 11 Proは、ロックサウンドを最高に楽しませてくれる欠かせぬ相棒であり、「この音の凄さを知ってほしい」「みんなに好きになってもらいたい」と願うモデルの筆頭だ。自分の感覚が誰にでも通じるとは毛頭思わないものの、同じような感覚を得るUE 11 Proユーザーがいたら、是非ともその魅力を伝えていって欲しい。発売から6年以上もの年月が経っているだけに新鮮味はゼロで、なかなか話題に上がることも注目を集めることもない。そんな状況故に、こいつの凄さをひとりにでも多く伝えたく本稿を執筆した。

最後に、変なお話を。UE 11 Proのスペックは3ウェイ4ドライバーだが、2013年9月米アーバインのUEのラボの壁に張られていたパネルに「はぁ?」と釘付けになった。写真はその一部を拡大したものなのでピンが甘いが、文字はなんとか読み取れることだろう。そこには「2-way crossover with integrated gain control」と書かれてある。出力量を完全にコントロールした状態での2ウェイということ?意味がよくわからないが、いずれにしてもそこには2ウェイと明記されている。発表当初から3ウェイ4ドライバーとアナウンスされていたので、当初は2ウェイで登場しその時の情報がそのまま書き換えられていないだけという理由は考えにくい。逆に、途中で2ウェイに使用変更されたものの、その情報伝達が不十分のまま今に至っているということか?いや、米日共にオフィシャルサイトでは3ウェイと記載されており、その線も考えにくい。まさかの誤字…だったら、UEったらボケ方の角度が急すぎて…お手上げです。周波数特性も公表数値と違っているし…。むしろ細かいことは気にしないってのが、豪快なサウンドの秘訣、なのかも。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●Ultimate Ears 11 Pro Custom In-Ear Monitors
UE 11 Pro
・通常価格:\159800(税込)
・入力感度:119 dB @ 1 kHz、1mW
・周波数特性:5Hz~22kHz
・インピーダンス:16 Ohms @ 1kHz
・内部スピーカー構成:4基の専用バランスド アーマチュア、3wayクロスオーバーを搭載
・ノイズアイソレーション(遮音性):-26dB
・入力端子:3.5mmステレオミニ(金メッキ)
・保証:1年間無償保証
・付属品:クリーニングツール、ラージキャリーケース

◆UE 11 Proオフィシャルサイト
◆e☆イヤホンUE 11 Pro販売ページ
◆BARKSヘッドホン・チャンネル
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◆earmo Tune5(2013-12-03)
●オーディオテクニカATH-OX7AMP(2013-11-23)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス