【BARKS編集部レビュー】会心の一撃、カナルワークスCW-L32V

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日本有数のカスタムIEMブランド、カナルワークスが熱い。鉄壁の完成度を見せるフラッグシップCW-L51a、安価ながらパーフェクトなバランスでフレッシュでジューシーに聞かせるCW-L12…と、立て続けに極上サウンドを聞かせるモデルを開発・発表しており、続く今回の新モデルCW-L32Vも、声を大にしてその魅力を伝えたくなる逸品だった。

◆カナルワークスCW-L32V画像

▲カナルワークスCW-L32V。

▲カナルワークスのシェルは当初より非常に綺麗だが、年を追うごとにあらゆるクオリティが上がっており、仕上がりの美しさと装着感も世界トップクラスとなっている。レーザー刻印でオーナーの名前が刻まれるが、日本語がそのまま刻印されるのが純国産ならではの魅力。

▲比較した3ウェイ4ドライバーモデル群。左からCW-L32V、CW-L31、Livezoner41 LZ 4、Ultimate Ears 11 Pro、Unique Melody Mage、FitEar MH334。

▲付属品はペリカンケース、ソフトケース、ワックスクリーニングツール、クリーニングクロス。

CW-L32Vの凄さは何よりその個性だ。もちろんいたずらに個性を盛ったものではない。高品質と断言できるバランスを保ちながら、他のどのカスタムIEMにもない価値ある個性を携えている点の凄さに注目して欲しいのだ。「こんなサウンドはこれまで聴いたことがなかった」と思い、おもむろに所有カスタムIEMを引っ張り出し、片っ端にサウンドを振り返ってみたが、やはりCW-L32Vのような音を聞かせてくれるモデルはない。正直なところ世には似たり寄ったりのモデルも多く、カスタムIEMと言えど「これはいいとは思えない」というモデルも少なくない。現在手元にあるカスタムIEMは数えてみると47個あったが、そこには紹介したくない、紹介するつもりのないモデルも数多く埋蔵しているのが現実だ。

CW-L32Vは、CW-L32と同時に2013年12月に発表されたモデルで、オフィシャルのアナウンスによるとCW-L32が「CW-L12を正統進化させた心躍らせるクリアなサウンド」に対し、そのCW-L32を基に「ボーカルをより艶やかに再生することに焦点を置いたもの」がCW-L32Vであるとしている。

CW-L32Vのサウンドはまさにアナウンス通りで、食事で言えばメインディッシュ、音楽の最も美味しい部分、主旋律が奏でられる中域がきっちりと前面に出るトーンとなっている。ただここで重要なのは、そのボーカル域が、ワイドレンジで均整のとれたダイナミックなバック・サウンドの上に乗っている見事さだ。ボーカル帯域が瑞々しく飛び出してくるにもかかわらず、かまぼこサウンドではないというサウンドを聴いたことがあるだろうか。この奇跡のバランスがCW-L32Vサウンドの最大の特徴である。

レンジは非常に広く、低域の押しの強さとまっすぐに抜けていく高域の伸びやかさは、私のフェイバリットモデルのひとつUltimate EarsのUE 11 Proにも似ている。しっかりとした量感もあるローエンドと抜けの良い高域は、人によっては「ドンシャリ?」と言うかもしれないほどのメリハリを持っている。その上で、ボーカリストの口元をピンポイントで狙ったガンマイク・トラックのフェーダーをちょいと突いたかのように、ボーカルがキリッときっちりと聴こえてくるのが、なんとも不思議なのだ。

手元にあるカスタムIEMから3ウェイ4ドライバー構成のモデルを聴き比べの対象としてみたが、なかでも中域の表現力の豊かさはFitEar MH334も非常に得意とするところ。MH334の中域の表現力に、UE 11 Proのダイナミックなパワフルさを付け加えたという表現が、CW-L32Vのサウンドの一番的確な表現かもしれない。

ボーカルを生々しくきっちりと聞ける心地よさは、望外の心地よさでもあった。この効能を存分に活かせるのは、ロック~ポップス系…いわゆるポピュラーミュージックであって、オーケストラや吹奏楽などではどうかわからない。もちろん、ボーカリストがステージでのイヤモニとして使うにも最高の適性を見せると思われる。…というか、そもそもの開発意図はそこにあり、我々が勝手にリスニング用として楽しんでいるだけなのかもしれないけれど。

きゃりーぱみゅぱみゅ、miwa、LiSAから黒崎真音まで、ブルーノ・マーズからエミネム、ロニー・ジェイムズ・ディオまで、いずれもCW-L32Vで聴く音楽が楽しくて仕方がない。もちろんインストであったとしても、中域の充実は主メロのさらなるインパクトに寄与し、キレと厚みが共存した聴き応えのある世界が楽しめる。

10ドライバーを超える多ドライバー化で賑わうカスタムIEMの過当競争を尻目に、質実剛健なアプローチで本質を突くカナルワークスがあまりにステキすぎる。ドンシャリ好きの嗜好に十分な満足を与えながら、ボーカルを前面に聞かせてくれるなんて、神チューニングの何物でもないじゃないか。あたしゃ惚れたよ。

カスタムIEMの世界はまだまだ深い。いずれそう遠くない機会に、基本モデルCW-L32の紹介も行いたいと思っている。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●カナルワークスCW-L32V
94,800円(標準仕様)
・ドライバー:3ウェイ4バランスドアーマチュア(高域×1 中域×2 低域×1)
・インピーダンス:21Ω
・感度:110dB
・ケーブル長:127cm ※1
・プラグ:ステレオミニプラグ ※2
・付属品: ハードケース、ソフトケース、ワックスクリーニングツール、クリーニングクロス
※本商品は完全受注生産品です。
※ご注文に際しまして耳型(インプレッション)の採取が必要になります。
※商品画像は製作例です。実際の製作モデル型番とは異なる場合があります。
※ハードケースはクリア(ブラックパッド)です。
※1 オプションでケーブルの種類、長さを選べます。
※2 コネクタソケット仕様を選べます。


◆カナルワークス・オフィシャルサイト
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル
◆BARKSヘッドホン・チャンネル

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◇EarPeace HD(2014-02-02)
◆Noble Audio Kaiser 10(2014-01-19)
◆Clear Tune Monitors CT-300Pro(2014-01-04)
◇KLIPSCH KMC1(2014-01-01)
■DUNU DN-1000(2013-12-30)

◆Ultimate Ears Reference Monitors(2013-12-16)
◆Ultimate Ears 11 Pro(2013-12-08)
◆earmo Tune5(2013-12-03)
●オーディオテクニカATH-OX7AMP(2013-11-23)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)

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