【インタビュー】defspiralがツアーファイナル直前に改めて語る、新作アルバム『BRILLIANT WORLD』の魅力

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■5周年ライヴの時の“defspiralオーケストラ”との共演は
■アレンジのヒントになってますね。


──音を積み上げて構築された音楽はdefspiralの持ち味の一つだと思ってるんですが、そのイメージとは違う、隙間を楽しむ曲が本作には何曲かありますよね?

RYO:「IN FLAMES」とか「カナリヤ」とか今回、間を楽しんだ感はありますね。今の時代、やろうと思えば手軽に何でもできるじゃないですか? 音の加工にしてもエディットにしても。でも面白いことはたくさんできるにせよ、やっぱり残るのはメロディーでしょう?っていう原点に戻った感じですか。だからといって、込み入ったややこしいことをまったくやらないってわけじゃなく、素直に曲が呼んでるアレンジにしよう、みたいな。

MASATO:俺はいつもどおり音を詰め込んじゃいがちなんですが、そんな俺が作った曲にしては「IN FLAMES」の音の少ない感じ、珍しい感じかもしれないですね。ライヴで騒げるダンサブルな曲、EDMを意識した裏打ちのシンセが入っていたりするようなのが作りたい、というところから始まって、間奏はイメージだけ伝えてRYOに丸投げしちゃいましたけど(笑)。

RYO:丸投げされましたね、“何か面白いことやってくれ”と(笑)。それで考え得るすべてのパターンを10数トラック提示しまして。

──10数トラックも!?

TAKA:親切やな、丸投げされてるのに(笑)。

RYO:俺って出来るヤツやと思いますよ、ホンマに(笑)。

MASATO:それで“あ、これこれ、この部分はこの感じ! ここはソレで、あそこはアレで”と10数トラックを切ってはハメ込んでをパズルのように繰り返して。あの作業は面白かった。

TAKA:間奏の部分だけ、リミックス作業みたいな感じやな。

──その辺は長年、一緒に音を出してきたメンバーだからこそ為せる業ですね。

MASATO:完璧でしたよ、RYOのトラックは。

RYO:俺的にこの曲が面白かったのは、どこかで8ビートに展開するのかな?と思ったら、四分打ちのまま貫いて最後までいくってところ(笑)。

TAKA:たまに出るMASATOの変態的な要素が満載の曲やな。

MASATO:(笑)

──けれど、既存のダンサブル・ナンバーを踏襲してる気がしますよ。

TAKA:確かに、多くの人がdefspiralに抱いてるイメージに近い曲かもしれないですね。ハードでダンサブルで。歌詞も闇でギラッと光る感じとか。

──妖しい感じとか。歌詞もdefspiralが提示してきたダークな世界観ですし。先に話に出た隙間を楽しむアレンジの「カナリア」、こちらは新境地かな?と。裏を感じるリズムとか。

RYO:このリズムは裏を感じていただかないと。

MASAKI:新境地なだけに、ドラムは…大変でした(笑)。

RYO:スウィングが基本に入ってるリズム・パターンなので。スウィングのノリは日本人の血に流れてないですからね。

MASAKI:これまでと同じようなパワーで叩こうとすると気持ちよくリズムが揺れない…ってところで何テイクも叩いて。クリックの種類やアクセントもないろんなパターンで試しながらやりました。そのぶん、いつもよりレコーディングには時間はかかってしまいましたけど、自分的にはこういうフレーズ、リズムはいつかは叩いてみたいと思っていて、ジャズ・ドラマーの映像とかちょこちょこ見てはいたんですよ。

──へぇ、ちょっと意外かも。

MASAKI:そうですか?(笑) なので今回は、それを実際に叩ける良い機会だったなと。今はライヴでも演奏してるので、もう身体に入ってますけどね。

RYO:あと、この曲ではストリングス・アレンジをROOKIE(ex.A<エース>)にお願いして。ストリングスだけじゃなくグロッケン、ブラス…それこそいろんな楽器が鳴ってるんですよ。

TAKA:アレンジがゴージャスで、唄入れの時に完成されたアレンジを聴いて“おぉ!”って感動しました。

──前作でもROOKIEさんは参加してますが、defspiral結成5周年ライヴでもヴァイオリンで参加されましたよね、ヴァイオリンが2本、チェロ、鍵盤…とかなりゴージャスな編成の一員として。

RYO:何かと参加してもらってます。お陰様で、先日、発売した5周年ライヴのDVD、CDも好評で。俺は彼らのことを“defspiralオーケストラ”と呼んでいるんですけど(笑)。

TAKA:勝手に(笑)。

MASAKI:初めて聞いたわ、それ(笑)。

RYO:(笑)とにかくライヴも評判よかったんですが、あのことが本作、特にこの曲のアレンジのヒントにはなってますね、間違いなく。この曲に“ストリングス・アレンジに拘らず、いろんな楽器が鳴っていていいから”ってROOKIEにお願いしたので、賑やかなアレンジになりました。

TAKA:サウンドも面白いんですけど、とにかく「カナリヤ」はサビのメロディーが綺麗で。デモを聴いた瞬間、♪声をなくしたカナリア♪の1フレーズがスルッと出てきたんですね。メロディーから歌詞のヒントをいかにキャッチするか?は作詞する上で大事なんですけど、この曲はパッとキャッチできました、メロディーの美しさに導かれて。


■現社会で起こることすべてが美しいものばかりじゃない。
■だけど、すべてを受け入れた上で“やっぱりこの世界は美しい”って言いたいんです。



──お話を伺ってくると、『BRILLIANT WORLD』には活動歴5年以上になるdefspiralの新境地が詰め込まれていることはもちろん、明るい一面がクローズ・アップされてるな、と思うんです。それは前作と本作の2年半の間に、前々身バンド、TRANSTIC NERVEの復活も関係してます?

TAKA:それも結構ありますね。

RYO:この2年半、TRANSTIC NERVEのデビュー15周年記念の復活、hideさんのロック・ミュージカルの突然の中止、海外公演…いろんな出来事あったなぁ。

MASAKI:ホンマやな。

TAKA:で、アルバムってところでいえば、既存シングル曲に関しては特にアルバムに向けて狙って作ってきたわけじゃなく、その時々に自然に作った作品で。それだけに気持ちの動きがまんま乗っているんです。バンドにとって1枚目のアルバムは“俺たちはこういうバンドですよ”というようなバンド像を見せようっていう目論見が少なからずあると思うんですよ。

──ええ。

TAKA:それが活動するうちに、バンドの在り方も音楽性も進化して、そこでできるのが2枚目だとしたら、実は3枚目ってバンドにとっては正念場かな?って、ちょっと構えてる部分があったんですね、俺には。

──正念場?

TAKA:バンドにとって1枚目は勢いで作れるもの、2枚目はそこから進化したもの、そして3枚目は?といえばバンドにとってひとつの区切りになる作品というイメージがあって。長いこと音楽をやっているとはいえ、defspiralという名の下での音楽活動でいえば3枚目になる本作は、ちょっと構えてしまうところがあったんです。

──そうでしたか。

TAKA:けど、MASATOから上がってきた曲が光を求めるようなイメージの曲が多かったんですね、先に発表してるシングル「BRILLIANT」「CANNAVAL」に通じるような。それでアルバムの方向性がちょっとづつ見えてきて、作業を進める中で今いちばん伝えたいことはこれだというのが見えてきたんです。そこにRYOが書いた曲が加わることで、より深み、広がりも出せたかなって。

──先に出ている9thシングル「THANATOS」、「SERENADE」(9thシングルc/w)でこれまでのdefspiralのイメージも押さえつつ。

RYO:ですね。

──そういったバラエティーに富んだ11の楽曲を『BRILLIANT WORLD』という明るい響きのアルバム・タイトルで括られていることに、defspiralの前向きなエネルギーを感じるんですね。

TAKA:そうですね。綺麗なものだけを描こうっていうんではなく、目指す所は“BRILLIANT WORLD”(=輝かしい世界、鮮やかな世界)って感じです。抽象的な言い方をすると、普段の生活で起こることすべてが美しいものばかりじゃないし、受け入れたくない現実もあるじゃないですか。だけど、そういうものを受け入れた上で“やっぱりこの世界は素晴らしいね”って思えるかどうかが重要なんじゃないか?と。良いことも悪いこともすべて受け入れた上で“でもやっぱり人生は素晴らしい”とか“この世界は美しい”って俺は言いたいし、そう思うようなことが実際、俺にもあったので。そういう世界を常に目指しているというか。

MASATO:うん。本作もアート・ワークは俺が手がけているんですが、怒りや悲しみだったり退廃的なものだったりの闇の部分と、それがあるからこその輝けるものへの憧れとを表現したかったんです、アルバム・ジャケットでも。音楽だけじゃなく視覚的にも表現していきたいので。

TAKA:それは俺らがずっとやってきたことだし、これからも大切にしていきたい表現方法の1つですね。

──受け入れたくない現実…といえば、先日、発表されてるMASAKIさんの腰が心配です…。

MASAKI:ご心配おかけしてます(苦笑)。今年いっぱいは活動して、来年ちょっとお休みしてパワー・アップして帰ってきたいと思ってますよ。もし、お休みしている間にdefspiralのライヴを観に行けるところがあったら、たまにはdefspiralを正面から観てみたいな、と(笑)。

RYO:そうやな、MASAKIはいつも俺らの背中を見てから(笑)。

MASAKI:で、スゲー客観視して“そこがなぁ…”みたいなダメ出しをしてみたい(笑)。

MASATO:手強いオーディエンスや(笑)。

──ぜひ、また元気な姿で戻ってきてください。お待ちしてます。

TAKA:まだ今年もありますから。


──ですね。“defspiral TOUR 2015『BRILLIANT WORLD』”も残すはツアー・ファイナルの12月11日、新宿BLAZE公演のみとなりましたが。これまでのツアーの手応えを活かしたステージになりますね。

TAKA:ですね。アルバム発売前から始まったので、ツアーの前半戦では、まだアルバムを聴いてないお客さんに披露していく場所もあって。それがスゴく刺激になったんですね。“このライヴ、この瞬間でカッコイイ音楽だと絶対に感じさせてやろう”っていう気負いもあったし。内容も自然に伝えたいことが組み込まれた曲が多いので、よりダイレクトに目の前のみんなに感じてほしいなっていう想いが特に強く出たライヴになってたと思うんです、今回のツアーは。そういうのもあって、オーディエンスも盛り上がるところは盛り上がって、聴き入るところは聴き入ってくれて。何ていうか…感覚的な部分で繋がれてる感じがしてたんですよね。

MASATO:毎回毎回、熱量が上がっているのが手に取るようにわかったんですよ。1回1回のライヴを全力でやりきるつもりで挑んでましたけど、毎回、それを軽く越えるようなライヴができていたっていうか。

RYO:ホントにいい感じでツアーを回れましたよ。

MASAKI:ライヴを重ねるごとに熱が上がって行ってるのはスゴく感じていて。残すはツアー・ファイナルの新宿BLAZEのみとなった今、このツアーがもっと続けばいいな…っていう想いと、はやく次のツアーやりたいな、音源制作したいな、という想いが同時に押し寄せてきてる感じです、まだツアーは終わってないのに(笑)。

TAKA:ツアー・ファイナル前にも関わらず輝ける未来へ想いを馳せることができるのは、それだけ充実したツアーができてバンドが良い状態ってことなんだと思いますね。

取材・文◎増渕公子



リリース情報

2015.10.21 Release
3rd ALBUM
『BRILLIANT WORLD』
CD / 11曲収録 / 3,240円(税込) / SSCPC-0014 / 発売元 SONIC SCOPE RECORDS

2015.10.14 Release

『defspiral 5th Anniversary Live -Dear Freaks-』LIVE DVD
21曲収録 / 4,980円(taxin) / SSCPD-0003 ※通販限定商品 / SONIC SCOPE RECORDS

『defspiral 5th Anniversary Live -Dear Freaks-』LIVE CD
16曲収録 / 3,240円(taxin) / SSCPC-0015 ※通販限定商品 / 発売元SONIC SCOPE RECORDS
商品の詳細 http://defspiral.com

ライブ情報

TOKYO MX テレビ LIFE is V presents defspiral TOUR 2015
<BLILLIANT WORLD>FINAL
2015年12月11日(金)新宿BLAZE
OPEN 18:30 / START19:00
チケット 一般 4,320円(税込)
オールスタンディング/1Drink代別途必要/3歳以上有料
チケットぴあ http://www.pia.jp/:0570-02-9999 Pコード:278-465
ローソンチケット http://l-tike.com/:0570-084-003 Lコード:77501
イープラス http://eplus.jp
主催 LIFE is V 制作 SHOW DIRECTORS JAPAN
後援 TOKYO MXTV
問合 THE ROOT ENTERPRISE 03-6416-5874(平日15時~19時)


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