ラム・オブ・ゴッドのマーク・モートン、娘を亡くした経験を曲に

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ラム・オブ・ゴッドが、2015年夏に発表したアルバム『VII: Sturm und Drang』に収録される「Embers」のミュージック・ビデオを公開すると同時に、ギタリストのマーク・モートンが同曲誕生の秘話を明かすエッセーが『Noisey Music By Voice』に掲載された。

◆ラム・オブ・ゴッド画像


モートンは数年前、初めての子供を生まれたばかりで亡くしていた。彼はそのときのことをこう綴っている。「妻と僕は、新生児集中治療室の片隅で、僕らに初めて誕生した女の子の赤ちゃんを抱き愛撫していた」「親になったばかりの人達が皆やるように、僕らは娘の顔、そばかすにいたるまで全てを愛おしく眺め、音や匂いを記憶に留めていた。ほかの人達との違いは、僕らの子供には出産中、感染症が生じていたことだ。彼女はものすごく具合が悪く、予後は定かではなかった。その日の終わり、僕らの娘Madalyn Grace Mortonは僕の腕の中で息を引き取った。僕らは地獄をさまよっていた」

「子供を失うのは人生で最悪の出来事の一つだと表しても、反論する人は少ないだろう。このとんでもないトラウマは、身体的、心理的、感情的、精神的に影響をもたらす。人々はさまざまな形で悲しみに暮れる。カードや花が届くことがなくなり、追悼の言葉が途絶え、残りの世界が“正常に戻る”とき、カップルは悲しみ、絶望、空虚の中に取り残される。亡くなった娘を看護師に手渡してから6週間後、僕は人々を“楽しませる”ため、マディソン・スクエア・ガーデンのステージに上がろうとしていた。あの世界に戻る準備は全くもってできていなかったが、音楽業界は残酷で容赦ない。僕にとって“悲しみに暮れる”とは、薬物依存症という奈落の底へ急降下することだった。自分のこの反応を擁護するつもりはない(間違いなくお薦めはしない)が、どうしてそうなったのかは完全に理解している。そして、そんな自分を許す」

「子供を失った傷が“癒える”ことはない。“立ち直る”ことはない。しかし、時は過ぎる。新しい体験が、そのときと今を引き離す。ただ、子供を失ったトラウマは深い傷を残す。傷ついた人々は自分を守るため、孤立することがある。痛みを持つ人々は、怯え、攻撃的になることがある。そして、恨みと後悔が膨らむ」

そばにいてくれると思っていた人が離れていくなど、人間関係にひびが生じた中、Madalynちゃんが亡くなってからちょうど1年後、夫妻にまた女の子の赤ちゃんが授かったそうだ。モートンはこれにより、人生の光、自分たちが進むべき道を探る光を見出したという。

そして、モートンはMadalynちゃんが亡くなってからのこの体験をもとに「Embers」のバースやコーラスの歌詞を書いたそうだ。しかし、それは悲しみではなく「希望の歌」だという。「最後の光のかけらを手放すな、あきらめるなって曲だ。愛は絶望に打ち勝つって信じろ、そして何より、自分を許せってことなんだ」

「Embers」は、デフ・トーンズのチノ・モレノがゲスト・ヴォーカリストとして参加しレコーディングされた。

Ako Suzuki
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