【特集 インタビュー vol.3】植田真梨恵、アートを語る「作品に服を着せる感覚なんです」

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2019年にメジャーデビュー5周年を迎える植田真梨恵が、『祝5周年!5作連続リリース!』と題して濃度の高いアニバーサリーを展開中だ。わずか4ヵ月間の間にリリースされる作品群は、2つの配信シングル、ライブ映像作品、2つのコンセプトミニアルバムという全5作。集大成というにはあまりにも現在進行形を駆け抜ける植田真梨恵自身が反映されたリリース攻勢となる。BARKSでは、“5周年”“5作連続”に重ね合わせて、“5本のインタビュー”から植田真梨恵のパーソナルに深く迫る。その第三弾は“アート&ファッション”だ。

◆植田真梨恵 photo-gallery

ミュージックビデオ撮影やCDジャケット撮影では、植田自身が絵コンテやデザインスケッチを作り込むことに加え、ライブも含めて、それら衣装のスタイリングまで自ら手掛けてきた。サウンドのみならず作品やステージをトータルアートとして表現することに一切の妥協がないクリエイティヴィティは、『ミュージックジャケット大賞』に幾度となくノミネートされるなど、インディーズ時代から現在まで高い評価を得ている。CDジャケットやミュージックビデオ、ステージ衣装を題材に、アートとファッションの語り尽くすロングインタビューをお届けしたい。

なお、BARKS『祝5周年!5作連続リリース!』特集ページでは、第一弾から第三弾インタビューまでに使用した写真を掲載中だ。こちらも併せてお楽しみいただきたい。

   ◆   ◆   ◆

■作品コンセプトって音楽と衣装が
■近いところにあるものなので大事

──今回のインタビューでは、植田さんのアートワークやファッションについてのこだわりを伺いながら、その発想の源とか制作の楽しさを伺っていこうと思ってます。まずはミニアルバム『F.A.R.』のアートワークについてですが、こちらはどんなイメージで進んでいったものですか? 綴り違いですけど、ファー(FUR ※毛皮)を使っていたり、いろいろなポイントがありそうですね。

植田:当初から『F.A.R.』と『W.A.H.』という2枚のコンセプトミニアルバムをリリースしようと思っていたので、その2作で季節感と質感の違いが楽しめるけど、ちゃんと連動したものにしたくて。『F.A.R.』のリリースは2月なので、それこそファーで顔まわりに冬の季節感を出しつつ、外の空気も小雪がチラついていて吐く息が白い、そんなアートワークをイメージしていました。

▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ (※画像4点)

──作品のアートワークに関して、植田さんはどのあたりまでアイディアを出すんですか?

植田:絵コンテをかなり書き込むんですけど、『F.A.R.』もそのイメージのまま仕上がった感じですね。たとえば、初回盤と通常盤では少し違っていて、初回盤はファーがしっかりと見えて首元まで入っているもの。一方の通常盤はもう少し頭上の世界観が見えるところでトリミングしているんです。その画角も絵コンテで書いていました。あと私は、撮影でもライブでも基本的にはスタイリストさんをつけていなくて、自分のクローゼットのなかの服を着ているんです。毎回、“こんな感じかな”ってものすごく悩みながら服を自分で選んでいるので、いざ撮影をしてみて、これしかなかった!とピッタリきた時は本当に嬉しいし、ホッとしますね。

──スタイリストをつけず、アートワークやライブはもちろん、今回のBARKSの撮影取材も自分で衣装を用意してメイクも自分で行うというのは、こだわりがあってのことですか?

植田:単純にインディーズ時代はそういったツテがなかったんですけど、今思うのは、その時々の作品コンセプトって音楽と衣装がすごく近いところにあるものなので、大事で。大事だから余計にというか。

▲ミニアルバム『F.A.R.』初回限定盤

▲ミニアルバム『F.A.R.』通常盤

──誰かに委ねることもできないという?

植田:そうですね。すごく好みが似ているスタイリストさんと早くに出会っていたらお願いしていたと思うし、今後もその可能性はあると思うんです。だけど、ライブだったりアートワークだったり、作品に向けて衣装まで自分で揃えるために駆け回っている時間が楽しいっていうのも大きいんですよね。

──自分のクローゼットに見合うものがないとき、衣装はどんなところで見つけているんですか。

植田:古着屋さんが多いです。海外で買い付けしてきたような、女性オーナーさんがおひとりでやっているお店によく行くんですけど、「こんな感じの服を探してるんです」と言って、いっぱい試着をさせてもらったり。日頃のお買い物のような感じで見つけてくることが多いですね。でも、面白いのが「今後のこういうライブのとき用に、こういう服を買っておこう」と先々のことを見越して買っておくこともあって。ギリギリまでその衣装でいくつもりでいるんですけど、ライブの前日に“もっと合う服がないかな”って一応何店舗が見に行くと、“これやん!”っていうのがあったりするんですよ(笑)。

──出会っちゃうんですね。となると、スタイリストさんをつけてしまうと逆に大変かもしれない(笑)。

植田:そうかもしれないですね。“今回のテーマでしか、この服は絶対に着られないだろう”っていうものに、そのタイミングで出会っちゃったりするから。コンセプトがしっかりとある作品やライブが多いので、それに合わせて用意するんですけど、運命のいたずらっていうか、なんでもご縁だと思っている節がありますね(笑)。

▲<植田真梨恵 LIVE TOUR UTAUTAU vol.3>2017年9月10日@日本青年館ホール

──出会った瞬間はテンションが上がるんですよね?

植田:上がりますね。“うわー、用意してたのに! でもこっちのほうが絶対にいい!”って。それが一番強かったのが、<UTAUTAU vol.3>のときのワンピースですね。そのライブでは、バンドメンバーを“サボテンズ”と名付けて、自分たちを“UTAUTAUジプシー”と呼ぼうと思っていたんです。それで、実は全然別の衣装を用意してたんですけど、ライブ前日、一応見ておこうと思って立ち寄ったお店でバングラディシュの民族衣装を見つけてしまって。ライブに来てくださった方はわかると思うんですが、丁寧な刺繍が施してある手作りのワンピースで、見た瞬間“これしかない!”って感じになりましたから。

──ただ、テーマ性の高いライブだとバックメンバーと衣装を合わせていますよね? 元々のものを変えるとなると、そこも大変だったのでは?

植田:“サボテンズ”のみなさんには、サルエルパンツと白いTシャツを4枚用意して着てもらったんですけど、民族衣装屋さんで買ったテーブルのセンタークロスで使うような刺繍帯を切って、Tシャツにミシンで縫い付けたんです。でも、ライブで汗だくになるから刺繍が色落ちしちゃってTシャツに付いちゃったという(笑)。なので、東阪公演の2公演目ではほとんど全員分、もう一度作り直したんです(笑)。

──そういうのって植田さん自身がミシン掛けもするんですか?

植田:はい、植田がやりました(笑)。小道具まで揃えるのが楽しいですね。

◆インタビュー(2)へ
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