【インタビュー】THE YELLOW MONKEY、ソリッドで生々しくモダン・ロックの前線に位置する19年振りのオリジナル・アルバム『9999』

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■僕のメロディを最大限に生かしてくれるバンドはイエローモンキーだけ
■フレディ・マーキュリーにクイーンがあったように


――個人的に、「Changes Far Away」、すごく好きなんですけどね。

吉井:人気高いね、この曲。

――素晴らしくエモーショナルな、ロックン・ソウル・バラード。こういうの今までなかった。

吉井:エルトン・ジョンであり、クイーンであり、ザ・バンドであり、みたいなね。

ヒーセ:ちょこっと、ビリー・ジョエルも入っている。

――こういう、ある意味オーソドックスなタイプの曲を等身大でやってのけるのが、今のイエローモンキーなのだなと。

吉井:まあ、良いメロディメーカーですね。吉井和哉は。…自分で言っちゃった。

エマ:しまった、言い忘れてた(笑)。

吉井:まあ、メロディメーカーもそうですけど、バンドの音ありきなので。僕のメロディを最大限に生かしてくれるバンドは、イエローモンキーしかいないので。フレディ・マーキュリーにクイーンがあったように。…また使っちゃった、これ。

アニー:その逆もまたしかりですよね。素敵なメロディがあるから、そこにゆだねる部分もあるし。

吉井:それはそうだな。

エマ:いいね、それ(笑)。自分で言う。

吉井:お互い様だな。ちょっと違うか。

アニー:お互い様って、悪い時に使う言葉だよ(笑)。

吉井:そうか(笑)。持ちつ持たれつだな。胃がもたれつ。…まあ本当に長年連れ添った仲間ですし、心地良いですよね。この4人でやると、それがまたゴールド・ラッシュのように財宝になっちゃうんで。…あれ、言いすぎた?

エマ:いやいや。そうだね。

吉井:だと思うよ。これでたくさんのファンの人が喜ぶわけだから。

アニー:何か、自分たちが喜んでる感が、伝わりそうな気がするんだよね。

吉井:そうだね。まず自分たちが喜ばないと。

アニー:それがにじみ出てません? って、聞くのもなんですけど。

――出ていますよ。ばっちり。

アニー:そういうものを作りたかったから、時間がかかっちゃったんでしょうね。それが出したかったんですよ。自分たちが本当に納得できて、“これいいでしょ?”って言えなきゃ、そんなの聴かせてもしょうがないじゃんって。それで嫌いだったらしょうがないけど、“これいいでしょ?”って言えるものを出したいじゃないですか。

――歌詞、どうですか。吉井さん。今書きたかったことは。

吉井:お題として、ドラマのタイアップがあって。たとえば「砂の塔」だったら、タワーマンションで起こる住人同士の話で、見栄の張り合いとか、今の世の中で起きている問題なんですかね。そういうものと、バンドストーリーと沿うものはあるかな?とか。「天道虫」だったら、麻雀がテーマになっていて、やさぐれた世界観の中にバンドがどういうふうに沿えるかな?とか。「I don’t know」だったら、記憶喪失というテーマと、記憶喪失のバンドがどう寄り添えるかとか(笑)。そういうお題もありながら、「Stars」のように、デヴィッド・ボウイをもう一回歌ってみたりとか、いろんなところにお題を求めていたりはしたんです。その上で、50代の人間が歌うロックンロールってどういうものなんだろう?ということを考えるのはすごく難しかった。はじける衝動とか、20代の時みたいには持っていないし。かといって、人生を達観したようなことを歌ってもしょうがない。危うさも歌わなきゃいけないのかなとか、いろいろ思ったんですけども、こういう世の中だし、そんなに悪ぶった曲ばかりじゃなくてもいいかな?と。一人の人間として、みんなが共通するものってあると思うんですよ。真理みたいなものが。それを見つけるのは大変なんですけど、そういう意味で、LAでやった曲は“愛”を多めに作ったんですよね。メンバーに対して思うこと、今の世の中に対して思うこと、ファンに対して思うことを素直に歌ってみた時に、最後に「この恋のかけら」ができて、本来のイエローモンキー節ができたと。作詞家としては、そこで一つ腑に落ちた1枚のアルバムではありますね。


――変わったと思います? 吉井さんの言葉。

エマ:変わりましたね。

吉井:エマの影響もあるけどね。エマはわりと、屈託のない言葉を書くから。

エマ:僕は詞を書き始めたのがすごく遅いので。かっこつけると逆にかっこ悪いというか、嫌だなと思って。だったら素直な言葉で書こうと思って書き始めたので、凝ったことができないんですよ。逆に言うと。

吉井:その代わり、強いんだよね、言葉が。優しいし。

エマ:でも、変わりましたね。昔の吉井和哉ももちろん大好きで、自分が詞を書き始めた時にお手本にしていました。だけど今の吉井和哉は、それこそ強いですよね。言葉が、どの世代にも到達できる力を持っていると思う。たまに飛び道具とか、遊び道具で使ってくる言葉も、昔の良さを持ってるんだけど、もうちょっと大人な感じがして、その使い方も面白いと思ってます。再集結してから、彼自身がどう意識していたかその葛藤の中までは見えないですけど、やっぱり彼がやってたソロとイエローモンキーのいいとこ取りはすごく感じますね。

吉井:いいとこ取り。バレた。

アニー:いいことだから(笑)。

エマ:さらにバージョン・アップしている感じはすごくしますね。

吉井:9999点!

アニー:何点満点なの(笑)。

吉井:10000点だよ。

――そういえばこの、『9999』というタイトル。何なんですか。

吉井:これは、4人それぞれの苦労を越えていくということですね。4人のクロウで『9999』。苦越えです。

――9枚目でもあるし。

吉井:そうそう。

――若い世代にも届かせたいですね。

吉井:そうですね。今は興味がなくても、いつか40代半ばで聴いていただいて、ヤベェ!ってなってくれればいいかなと。

アニー:そうね(笑)。

吉井:あと、同世代にも聴かせたいです。ちょっと上の人とかにも。

ヒーセ:やっぱりロック・ファン、音楽ファンに向けて、イエローモンキーを知ってくれているファン以外にも届かせたいという思いがあるんですよ。たとえば東京ドームでライブをやった時にものすごい人数が来てくれましたけど、中にはあんまり知識がなく、話題だから行ってみようみたいな、そういう気持ちで来た人たちにも届かせたいライブだったし、それを常に僕らは、今後もやっていきたいんですよね。音楽を聴くきっかけでも、ロックを知るきっかけでも、そうなることにふさわしい作品を今後も作っていきたいし、そういう存在でありたいと思っているので。より多くの人に届けたい気持ちは変わらないし、今までよりも強いかもしれない。全然周りのことを気にしないと言ったら、それは嘘で、やっぱり音楽シーンとか、僕らを取り巻く環境とか、周りを見ることはあるので。そういう中で僕らみたいなロック・バンドを一回聴いてほしいと強く思います。音楽シーンも世の中も含めて、大きく時代が変わっていくのもすごく肌で感じていますし、たとえば歌詞を書くのも大変だと思うんですよ。時代が変わっていっているから、昔はOKだったけど今は炎上してしまうとかあると思うんですね。そういうところはちゃんと見ていくべきだと思うし、どこかで絶対時代とリンクしているはずだし、それをどう自分に還元して表現していくかは、今後も大事なことなんだろうなと思いますね。

吉井:そうだね。炎上ね。

ヒーセ:わざと炎上させる人も、いたりするけどね(笑)。ロックなんて炎上の音楽じゃんっていう人も、いるかもしれないし。

吉井:炎上って、人の技量が発揮されるよね。同じことを発言しても言い方一つで炎上しない人もいるし、対処の仕方で炎上しない人もいる。そこの面白さが、今の世の中にはあると思うんですよね。

ヒーセ:逆にね。

吉井:だから、何をやっても炎上しないバンドでありたいないなとは思うよね。逆に言うと。こんなことやっちゃってるのに、炎上しなかったみたいな。たとえばローリング・ストーンズって、そういうところあると思うんだよな。

アニー:あいつらがやってるんだからしょうがないじゃん、って。

吉井:ミック・ジャガーがやっていることって、だいぶ炎上ものだよ。もう炎上しているけど(笑)。でも、もうしょうがないし、みたいな。最初からベロ出してるしね(笑)。あとは、さっきヒーセが言ったみたいな、いろんな層に向けてイエローモンキーをさらに意識してもらいたいし、もうロック・バンドがどうのとかも言いたくないし、あえて。“ロックの格好してるバンド”でもいいし、ロックの格好をしているイエローモンキーというブランドでいいと思う。アイドルを聴く人も、韓流を聴く人も、J-POPを聴く人も、いろんな人がいてその中にイエローモンキーを聴く人もいてほしいというか、それが一つのアーティストの形だと思うので。もうさ、イエローモンキー・ジュニアとか作る? イエローモンキー48とか。

――三代目とか?(笑)

ヒーセ:マキシマム ザ ホルモンみたいに、2号店とかね(笑)。

吉井:イエローモンキー・タロウとか。

アニー:帰ってきたイエローモンキー。

――夢が広がりますね(笑)。再始動をきっかけに、イエローモンキーというブランドが成長していくことを楽しみにしています。

取材・文●宮本英夫


リリース情報

9th Album 『9999』
2019年4月17日(水)発売
・初回生産限定盤(CD+DVD)WPZL-31619/20 \4,500(税別)
・通常盤(CD)WPCL-13119 \3,000(税別)
・アナログ(2LP)  WPJL-10119/20 \5,000(税別)

【初回生産限定盤】(CD+DVD)
WPZL-31619/20
<CD>
M1. この恋のかけら
M2. 天道虫
M3. Love Homme
M4. Stars (9999 Version)
M5. Breaking The Hide
M6. ロザーナ
M7. Changes Far Away
M8. 砂の塔
M9. Balloon Balloon
M10. Horizon
M11. Titta Titta
M12. ALRIGHT
M13. I don't know

<DVD>
(1)再集結以降に行われたライブから「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」と題した選りすぐりのライブ映像10曲を収録。
・楽園(2016.05.11 国立代々木競技場 第一体育館)
・熱帯夜 (2016.08.28 福島・あづま総合体育館)
・ROCK STAR (2016.09.01熊本B.9 V1)
・パンチドランカー (2016.12.18 倉敷市民会館)
・聖なる海とサンシャイン (2016.12.28 日本武道館)
・O.K. (2017.11.05 三重県文化センター -大ホール-)
・ALRIGHT (2017.12.10 東京ドーム)
・追憶のマーメイド (2017.12.28 福岡ヤフオク!ドーム)
・天道虫 (2018.12.28 日本武道館)
・Subjective Late Show (2015.08 都内スタジオ)
(2)YouTube番組「STORY of THE YELLOW MONKEY」の未公開レア映像を含む、アルバム制作期間中のドキュメンタリー映像

【通常盤】(CD)
WPCL-13119
<CD>
M1. この恋のかけら
M2. 天道虫
M3. Love Homme
M4. Stars (9999 Version)
M5. Breaking The Hide
M6. ロザーナ
M7. Changes Far Away
M8. 砂の塔
M9. Balloon Balloon
M10. Horizon
M11. Titta Titta
M12. ALRIGHT
M13. I don't know

【アナログ】(2枚組LP)
SIDE A
1. この恋のかけら
2. 天道虫
3. Love Homme
SIDE B
1. Stars (9999 Version)
2. Breaking The Hide
3. ロザーナ
4. Changes Far Away
SIDE C
1. 砂の塔
2. Balloon Balloon
3. Horizon
SIDE D
1. Titta Titta
2. ALRIGHT
3. I don't know

【ダウンロード・アルバム】
M1. この恋のかけら
M2. 天道虫
M3. Love Homme
M4. Stars (9999 Version)
M5. Breaking The Hide
M6. ロザーナ
M7. Changes Far Away
M8. 砂の塔
M9. Balloon Balloon
M10. Horizon
M11. Titta Titta
M12. ALRIGHT
M13. I don't know
M14. 毛皮のコートのブルース ※ボーナストラック

ライブ・イベント情報

<THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019-GRATEFUL SPOONFUL->
4.27(土) 静岡 静岡エコパアリーナ OPEN16:30 / START17:30
4.28(日) 静岡 静岡エコパアリーナ OPEN15:00 / START16:00
5.11(土) 北海道 北海きたえーる OPEN16:30 / START17:30
5.12(日) 北海道 北海きたえーる OPEN15:00 / START16:00
5.25(土) 福井 サンドーム福井 OPEN16:30 / START17:30
6.7(金) 大阪 大阪城ホール OPEN17:30 / START18:30
6.8(土) 大阪 大阪城ホール OPEN16:00 / START17:00
6.11(火) 神奈川 横浜アリーナ OPEN17:00 / START18:30
6.12(水) 神奈川 横浜アリーナ OPEN17:00 / START18:30
6.29(土) 秋田 秋田県立体育館 OPEN16:30 / START17:30
7.6(土) 埼玉 さいたまスーパーアリーナ OPEN16:30 / START17:30
7.7(日) 埼玉 さいたまスーパーアリーナ OPEN15:00 / START16:00
7.13(土) 福岡 マリンメッセ福岡 OPEN17:00 / START18:00
7.14(日) 福岡 マリンメッセ福岡 OPEN15:30 / START16:30
7.20(土) 広島 広島グリーンアリーナ OPEN17:00 / START18:00
7.21(日) 広島 広島グリーンアリーナ OPEN15:30 / START16:30
8.3(土) 宮城 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ OPEN16:30 / START17:30
8.4(日) 宮城 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ OPEN15:00 / START16:00
8.8(木) 東京 日本武道館 OPEN17:30 / START18:30 【追加公演】
8.9(金) 東京 日本武道館 OPEN17:30 / START18:30 【追加公演】
8.26(月) 兵庫 神戸ワールド記念ホール OPEN18:00 / START19:00 【追加公演】
8.27(火) 兵庫 神戸ワールド記念ホール OPEN17:30 / START18:30
9.3(火) 徳島 アスティとくしま OPEN17:30 / START18:30
9.14(土) 福島 あづま総合体育館 OPEN16:30 / START17:30 【追加公演】
9.15(日) 福島 あづま総合体育館 OPEN15:00 / START16:00
9.21(土) 熊本 グランメッセ熊本 OPEN17:00 / START18:00 【追加公演】
9.22(日) 熊本 グランメッセ熊本 OPEN15:30 / START16:30

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