【インタビュー】首振りDollsとライヴ〜大阪FANDANGOという場所

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5月22日にニューアルバム『アリス』をリリースする首振りDolls。マンスリーインタビュー第3弾では、【首振りDollsとライヴ】に迫る。

バンドにとってライヴとは一番の要。故に、バンドとライヴハウスの絆はとても深い。北九州バンドである首振りDollsにとってホームは地元の小倉FUSEだ。しかし、彼らは大阪・十三の伝説のライヴバーFANDANGOを第二の拠点としていたほど、結成当初から深い繋がりがあったのだと言う。

第3弾インタビューでは、首振りDollsとライヴの在り方、そしてライヴハウスとの関わり方について、本人たちが“首振りDollsの歴史を語るには外せない人物である”と語るFANDANGOの店長・加藤鶴一氏との対談で掘り下げてみることにした。

◆首振りDolls 画像

2019年4月5日。首振りDollsは大阪・十三にあるライヴバーFANDANGOでワンマンライヴを行なった。ツアーの一貫でもなく突然。リリースタイミングでもない流れに、たった1本だけ、地元でもない大阪の地でそのワンマンライヴは組まれていた。

彼らがここ最近FANDANGOでライヴをしたのは2018年の10月12日のこと。その年の5月に行われていたメジャーアルバムを引っ提げた全国ツアー<MIDNIGHT COLORS -真夜中の極彩夢->の追加公演でのことだった。

九州バンドの首振りDollsが活動を始めたばかりの頃から、その音楽性の高さと音楽に対する真っ直ぐな想いを高く買い、積極的に受け入れてくれていたのが大阪FANDANGOだった。メジャーデビューツアーには同所を真っ先に組み込みたかったのだが、京都磔磔でのワンマンが先にフィックスした流れで、泣く泣く外すことになってしまったのだという。大阪でライヴができるようになるきっかけを作ってくれたFANDANGOのステージでどうしてもメジャーデビューの報告をしたいという想いは収まらず、彼らはその想いを追加公演という形で実現させた。

しかしその後、FANDANGOから2019年の7月末をもって、現住所での営業を終了することが店長である加藤鶴一氏から発表された。ここをホームとしてきた多くのアーティストから悲しみの声が上がる中、首振りDollsにとっても第二の故郷・FANDANGOの営業終了のニュースは大きな衝撃となった。

“なんとかもう一度FANDANGOでライヴがしたい!”強く願ったその想いを形にしたのが、2019年4月5日のワンマンライヴだったのである。



■首振りDolls&加藤鶴一氏(FANDANGO店長) インタビュー

──まず、九州バンドである首振りDollsが、大阪の十三にあるライヴハウスFANDANGOを第二の拠点とするようになったのは、どういうきっかけだったの?

ナオ:一番最初にきたのは、後藤さん(小倉FUSE(前バグー)の元店長。故・後藤貴幸氏)きっかけだったかな。

ジョニー:そう。後藤さん。

ナオ:当時、俺たちずっと後藤さんにツアーを組んでもらっていたんだけど、結成当初からFANDANGOにはお世話になってましたもんね。2013、14年くらいからお世話になっていると思う。

加藤:そうやね。そう思うと長い付き合いになるなぁ。

ナオ:最初の頃は、対バン相手も加藤さんが見繕ってくれて。

ジョニー:そうだったそうだった!

ナオ:本当に、首振りDollsの大阪の歴史はFANDANGOから始まってると言っても過言ではないんです。

加藤:当時からちゃんとお客さん入れてたからね、それはすごいなと思ってたよ。

──なるほど。加藤さんにとっては、もっともっと長い付き合いのバンドもいらっしゃるでしょうし、一回だけの関係性で終わってしまう間柄の方もいらっしゃるでしょうし。そんないくつもの出逢いの中で、加藤さんにとって首振りDollsとの出逢いとは、どんなものだったんでしょう?

加藤:うんうんうん。単発で終わってしまう関係性もあるからね。やっぱり気持ちがそこにないと続けていけるものでもないし、気持ちが離れてしまったらそれまでになってしまうからね。首振りDollsとここまでずっと繋がっていられるというのは、やっぱり彼らに魅力があるんやろなと思うけどね。

──最初に首振りDollsのライヴを観たときの印象って覚えていらっしゃいます?

加藤:新しいタイプのバンドじゃないやんか。今時ではないというか。音的にも見た目的にもね。でも、FANDANGOのステージには合ってるバンドやなって思ったのと、やってることが面白かったっていうのが一番かな。こんなバンドが小倉におったんか〜って。初めて来たときも、小倉から出てきて大阪で初めてライヴやるのに、お客さんも結構呼んでくれててね。

ナオ:一番最初のライヴのときは、とにかくお客さんにいっぱい来て欲しくて、すごく頑張ったんですよ、俺(笑)。最初の大阪のライヴだから、いっぱいのお客さんに見て欲しかったし、とにかく会場をいっぱいにしたくて。Twitterとか、当時mixiとかで一生懸命呟いて。来て来て! って(笑)。知り合いの人たちにも連絡して、ツアー回れるようになったから来て下さい! って連絡したら、みんな来てくれて。でも、一番最初は10人くらいだったと思う、お客さん。

加藤:いやいや、でも、初めてであれだけ呼べてたら大したもんだよ。大阪はFANDANGOが最初なの?

ナオ:そうなんです。毎月来てましたよね、FANDANGO。毎月来れてたのは加藤さんが、おいでって呼んでくれてたから来れてましたからね。本当に感謝してます。でも、FANDANGOでやり過ぎて、地元のライヴハウスよりお客さんが多くて(笑)。

加藤:あはははは(笑)。そうなんや!

ナオ:そうなんですよ! 大阪のバンドだって思われてたことあったんですよ!

加藤:そういえば、大阪の別のハコでライヴしに来てても、十三に泊まってたからちょこちょこ会ってたもんなぁ(笑)。

ナオ:そうそうそう! 大阪と言えば十三のことなんですよ、俺たちの中では(笑)。それくらい愛着のあるライヴハウスだし、愛着のある街なんです。馴染みの場所。駐車場も安いし。

加藤:ええ街やと思うよ、十三は。ほんまに。

ジョニー:十三は大阪の小倉なんですよ。なんかすごく空気感が近い気がする。

加藤:うんうん。俺も昔行ったときにそう思ったなぁ。なんとなく似てるね。なんかいかがわしいというか(笑)。一緒に居酒屋行ったなぁ。

ナオ:行きましたね! すっごく覚えてます! FANDANGOのツアーがあったんですよね!

加藤:そう。だから、小倉では絶対に首振りDollsに出てもらおうと思って。楽しかったなぁ、あのツアーも。

ナオ:本当にお世話になってますね。FANDANGOにも加藤さんにも。

──いい関係性なんだね。移転が発表されたとき、すごく残念で。

加藤:そうね。十三でやれたら良かったんやけどね。もともとここに店を構えたのは前の店長で、昔はこの場所、うどん屋さんやったんですよ。そんで、うどん屋さんをたたむって話になって、なんか面白いことやれへんかな? ってなって。十三は昔、おじさんの遊び場みたいな街やったから、そこに若い子を連れてこれないかなぁって考えて、“なんか、ライヴってええらしいで!”って話を持ちかけられて、FANDANGOが出来たんですよ。最初は、自分たちでブッキングするんじゃなくて、ブッキングの会社が入ってブッキングしてくれていたんで、有山じゅんじさんとか清水興さんとか、大阪の音楽シーンの重鎮である方々が中心にライヴをされてたハコやったんですよ。ブルースとかフュージョンとか。そこを中心として、あとは地元のバンドがちょこちょこライヴしてたみたいな感じやって。最初の1年くらいはそんな感じやったかな。2年目からは、自分たちでブッキングもするようになってった感じかな。ウルフルズもそのあたりからかな、出始めてくれたのは。

──ウルフルズといえばFANDANGOって感じですからね。ショーンはその当時別のバンドで活動していて、FANDANGOでもライヴしていたんだよね?

ショーン:ですです。僕はGROOMYっていうバンドで。当時からよく首振りDollsに呼んでもらってFANDANGOには来てましたね。

加藤:あ、ショーン、GROOMYか!

ショーン:そうなんです(笑)。

加藤:そうかそうか。よくイベントライヴとかもしてたよな。

ナオ:そうなんです。大阪でなんかしようって思ってたら、まず加藤さんに相談してたし。

ジョニー:うん。大阪と言えばFANDANGO。大阪と言えば十三、中華と言えば、毎回ライヴの後に行ってたFANDANGOの近くの中華屋。人生の中で最も多く行ってる中華屋。もう中華と言えば、あそこの店の味しかない。

ナオ:1年で消費する水餃子の数はあの店の水餃子がトップだからね。

加藤:あははは。そうやね、よく行ったね(笑)。

ジョニー:本当に好きでしたからね、FANDANGO。

ショーン:特別な場所ですよね。壁のペインティングとかもすごく好きですし、楽屋とか他にはない感じだから、本当に印象深くて。畳だからすごくゆっくりくつろげるんですよね。

ジョニー:あの楽屋があるからいいライヴ出来てる気がするって言ってもいいくらい。本当に落ち着く。精神的に落ち着けるもん。それに、FANDANGOは、客席下手の方に階段があって、そこが楽屋に繋がる階段だから、そこから降りてきてステージに向かうんだけど、あのプロレス入場がすごく好きだった。

ショーン:独特な作りですもんね。

ナオ:そうだね。でもね、最初の頃というか、ツアーまわり始めの自分たちからしたら、この作りがすごく難しかったんですよね。天井が高いから、音のまわり方が他のライヴハウスとは違って独特で。なかなか慣れなかったんだけど、それが毎月来てたからか、いつの間にか何も感じなくなっていて。何かが変わったんだなって思った瞬間があったんだよね。

ジョニー:俺は、ここで出すギターの音が一番いいなって思ってた。

ナオ:そう。FANDANGOは何処のハコよりも音がデカイんですよ! スタッフさんもデカめでお願いしますっていうと、本気のデカめでやってくれるんで(笑)。

加藤:あははは。スタッフも本気やからな(笑)。

ショーン:やっぱりハコがカッコいいと駆り立てられるんですよね。すごくテンションが上がるというか。

ナオ:だよね。本当に、次のFANDANGOも楽屋に畳があるといいなぁ〜。

加藤:あははは。しかし。畳、似合うよな、お前らな(笑)。

ジョニー:もぉ本当に。何回あそこ(楽屋)で寝たことか!

ナオ:泊めてもらったことあるしね(笑)。

──泊めてもらえてたなんて、特別なんじゃない?

加藤:そうそう。特別。嫌いな子は泊めないからね(笑)。

ナオ:あんっ。嬉しいっ! 加藤さんと年越したの覚えてます? 

ジョニー:FANDANGOの最終日だったね。FANDANGOの仕事納めの日に。

加藤:次の日が大掃除やねん! って言ってたときか!

ジョニー:そうそそうそう! めっちゃ思い出した! 

ナオ:その大掃除に俺も居たっていう(笑)!

ジョニー:楽屋で飲んだなぁ。赤兎馬買ってくれてて。うわぁ懐かしいなぁ〜。

加藤:最近な気がするけどな(笑)。

ナオ:3年前くらいですね。大掃除終わって、FANDANGOのスタッフのみんなの忘年会に俺も居ましたもん(笑)。

加藤:そやそやそや(笑)。

──愛されてたね。

ナオ:愛されてたねぇ。愛してるし。

加藤:あははは。嬉しいね(笑)。でも本当に毎年のようにFANDANGOの年末のライヴには来てもらってた気がする。

ジョニー:うん。毎年出とった気がする。しばらく年末は大阪に居るって感じやったもんね。

ナオ:そうそう。俺たち、FANDANGOと出会ってから、毎年のようにFANDANGOで年末を過ごすようになったからね。

加藤:大掃除まで手伝わされてなぁ(笑)。

ナオ:あははは。いやいや、きっと手伝えてないですよ、邪魔になってたと思う(笑)。

加藤:首振りのメンツは本当に年が離れているけど、一緒に遊べるんだよね。音楽性ももちろんすごくいいし、人もいい。そこってすごく大切で。

ナオ:酒の呑み方もね(笑)。最近は随分と大人しいけど(笑)。

加藤:そうかな(笑)。ライヴ終わってから自然と一緒に呑めるというかね。すごくいいライヴの後に、すごくいいお酒が呑める最高のバンドやなって思う。安心出来るし、信頼出来るし、一生の付き合いになるなぁって感じがしてる。

ナオ:押忍っ!

ジョニー:FANDANGOは何処に行ってもFANDANGOなんで!

ナオ:新しいところに行ってもライヴやらせて下さいね!

加藤:嬉しいね。もちろん。今日次のライヴ決めて帰ろか?

ナオ:はい! っていうか、これ! これなんです! 加藤さんこれなんですよ! ライヴして、終わって、今日はありがとうございました! って挨拶に行くと、“今日決めてこか、次。今日決めて帰ろ。来月とか何してんの?”って言ってくれるんですよ! それだから、ずっと途切れずにまたここに帰ってこれてたんですよ! ほんっとに加藤さんのおかげ!

加藤:来ます来ます! って言ってくれるからな(笑)。

ナオ:東京とか名古屋とかでライヴがあるときは、必ずFANDANGOを経由してましたからね! 大阪スタートのツアーもいままで何回もあったしね。

──それはもう大阪バンドだって思われても仕方ないね(笑)。でも、バンド激戦区の大阪の地で戦えるのはすごいと思う。加藤さんから見た首振りDollsのライヴの魅力ってどんなところだと思いますか?

加藤:他のバンドが出そうと思っても出せないものを出せてるとこじゃないかな。ちゃんと毎回新しいものに挑戦していってるから、何回見ても飽きへんねん。またおんなじことやってるわ〜っていうんじゃないからね。お客さんもほんまに毎回楽しそうやし。一回ライヴ観たら絶対に虜になるバンドやと思うで、首振りDollsは。忘れられなくなるというかね。

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