【インタビュー】リンキン・パーク、20周年記念盤『ハイブリッド・セオリー』を語る「これまでの旅路やサプライズの数々に感謝している」

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リンキン・パークの歴史的デビューアルバム『ハイブリッド・セオリー』の20周年記念盤が10月9日に発売された。これを記念して9月29日、オンライン世界記者会見が行われた。

◆Linkin Park (リンキン・パーク)動画 / 画像

アメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、スペイン、ポルトガル、メキシコ、香港、タイ、そして日本など、世界各国のジャーナリストが各1問ずつ順番に質問した同記者会見では、多くのジャーナリスト自身が『ハイブリッド・セオリー』に大きな影響を受けたことを語り、この名盤の20周年をバンド(休暇中のロブ・ボードン以外の全員)とともに祝福した。司会はMTVの『ヘッドバンガーズ・ボール』と『120ミニッツ』のVJとして人気だったマット・ピンフィールド。終始愉しげな祝賀ムードの中、新たなエピソードやチェスター・ベニントン(vo)の思い出が語られる貴重な会見となった。

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■ハイブリッド・セオリーとは僕達のこと
■様々なスタイルを融合するっていう概念

──アルバム『ハイブリッド・セオリー』には巨大な遺産があります。歴史上最も売れたアルバムのひとつですし、何千万人もの人々の人生に影響を与えました。ロックだけでなく音楽シーン全体に影響を与え、今聴いても収録曲は最高です。このアルバムで、あなた方が最も誇りに思っている部分は何ですか?

ブラッド・デルソン(G):このアルバムの長寿だね。アルバムを作っていた時の目標が、“タイムレスなアルバムを作る”っていうものだったから。ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリン、ナイン・インチ・ネイルズ、ガンズ・アンド・ローゼズ、メタリカとか、俺達をインスパイアし、影響を与えたアルバムのようにね。作られた当時に共感を呼んで、しかも何十年後にも影響を与え続けている。当時このアルバムを体験して、それからずっと俺達と一緒に体験してきた人達にとって、今も重要な作品である上に、ギターを初めて手にしたキッズが「ペイパーカット」のギタープレイを学んでるとかって、信じられないよ。このアルバムが今も今日的であり続けているのは、俺達が望んでいたことではあるけど、一度も期待も予想もしていなかった。

フェニックス(B):それに付け加えると、数日前に友達と話していて気づいたんだけど、『ハイブリッド・セオリー』で僕達はバンドを軌道に乗せたわけで。でも、そこからの多くはバンドとして何をするかを探る道であり、自分達の意見や信念を大切にするようになっていく。決してカップケーキやユニコーン、レインボーやおとぎ話でいっぱいの道ではなかった。僕達はたくさん「NO」と言われたし、立場が上の多くの人達から「やってることを変えろ」とか「あるメンバーがやってることを変えろ」とか、いろいろと言わた。そのプロセスの中で、どんな風に何をやりたいか/やりたくないかを見つけていったんだ。そして、ありがたいことに、自分達の信念に従うことが、結果的に成功へと導いた、ものすごくね。だから『ハイブリッド・セオリー』が作った軌道は、僕達自身を信じて僕達自身に賭けるってこと。メンバー6人で前に進む上で、どんな風に仕事をしていきたいかを描いた素晴らしい青写真になったんだ。そして、もし僕達がやりたくないことなら、それは試みる価値がないことだって考えるようになった。



──『ハイブリッド・セオリー』の発表後、大きな門が開かれたような感じでした。リンキン・パークは、最大のフェスである<オズフェスト>や、<ファミリー・ヴァリューズ・ツアー>に招かれたほか、自身のツアーも開催、『リアニメーション』というリミックスアルバムもリリースしました。『ハイブリッド・セオリー』は、その後のあなた達をどのように形成しましたか?

ブラッド:みんな知ってると思うけど、ここで改めて言っておくと、俺達のバンドの名はもともと“ハイブリッド・セオリー”だったんだ。でもレーベルの人に変えるように言われて。チェスター(・ベニントン[Vo])が「リンキン・パークはどう?」と言うから、「意味は何だ?」って聞いたら、「分からないけど、クールだろ」って。だから実を言うと、ハイブリッド・セオリーとはこのバンドのことで、様々なスタイルの音楽を融合するっていう概念。この時までに俺達が作った全ての多様な音楽が、最終的にこのアルバムになって世に出ていったんだ。レコード契約を手にして、スタジオに行って、そこで突然“これは現実だ”って実感して、プレッシャーも感じて。まるで映画の中にいるみたいだったよ。

──今回の『ハイブリッド・セオリー20周年記念盤』のようなデラックス盤はまた作りますか? これを作ったことで、“次にどんな音楽をやろう”というような話にはなりましたか?

マイク・シノダ(Vo):このプロジェクトを始めた時、本当に完成するのか少し疑ってたんだ。友人達や家族がいろいろなものを見つけてくれて、それを集め始めるまではね。長年の間にこういうものが貯まっていたのは分かっていたけど、クオリティーは保証されていないから。でも今回のプロジェクトに収録したものは、見るのが本当に楽しかった。このバンドの種は僕と12〜13歳の頃からの友人のマーク。そのマークはブラッドの家の隣に住んでたんだ。マークの家の窓から石を投げたら、ブラッドの家の窓に当たる距離でね。ブラッド、君がメタリカの曲を練習してたのが聴こえてたんだよ。

ブラッド:お前達だったのか? 変な視線を感じてた(笑)。

マイク:女子だったら良かったね(笑)。マークと僕で曲作りを始めた時のデモもこのプロジェクトに収録されている。リリースできるようにマークにお願いして、すごく特別な曲を入れることができたんだ。スーパーファンだけじゃなく、当時このアルバムを聴いて楽しんだ思い出があるような人達にも喜んでもらえると思う。

フェニックス:僕達の音楽を楽しんでくれる人達が大勢いるのは知ってるけど、『ハイブリッド・セオリー』が発表された時は、僕の3人の娘達はまだここにいなかった。彼女達に20年前の僕達を見せるのはすごく楽しかったよ、娘達はメンバー全員に会ってるからね。だから、もし今後もアルバムの記念盤をリリースする話があるとしたら、個人的にはやりたいと思うよ。

ブラッド:それに俺達はいつだって、曲を作るのが大好きなんだ。『ハイブリッド・セオリー』の次のアルバムでも可能な限りたくさん曲を作って、そこから絞っていた。毎回平均して60曲〜100曲を12曲に絞るっていうことをやっていたんだよ。


マット・ピンフィールド(司会):ボックスセット収録のCD『Forgotten Demos』には12曲の未発表デモ曲が入っているね。その中の1曲、「ピクチャーボード」について教えてくれる?

マイク:すごく面白かったのは、「ピクチャーボード」という曲が19年〜20年前から存在してるっていうことを、ファンは知ってたんだ。でも、それがどんなサウンドかは知らない。昔、ファンに聞かれたことがあったから、ファンクラブ用にリリースすることも考えたんだけどね。サンプルが入ってるから、それを除いて曲を発表しようかなと思ったんだけど、やれると思えなくて。ブラッドが言ったように、本当にたくさんの曲があるから、この曲だけにフォーカスするのはどうかなって。でも遂に、このボックスセットのためにモス・デフのヴォーカルサンプルの許可を取って、発表できるようにしたんだ。この曲のオーディオクリップを聴いたファンが、2000年か2001年のロックフェスティバルで、僕達がインタールードにこの曲を使ったことを発見してたよ。しかもファンは、そのインタールードに勝手に名前をつけてたんだ。ネットで彼らと話していて、「それは君達がつけた名前だろ、何のことを言ってるのか分からないよ」ってね。だから、ファンに聴いてもらうのがすごく楽しみ。

ブラッド:俺の記憶が間違ってなければ、初めてチェスターの声が入った曲を俺が聴いたのは、「ピクチャーボード」だったと思う。「こいつどう思う? デモを送ってきたんだけど」ってデモを聴かされたとき、嬉し泣きまではいかなかったけど、ほぼそんな気分になった。ヴァースは小さくて繊細なのに、ヘヴィなパートではさまざまな音色やハーモニーが聴こえて、ぶっ飛ばされた。それで、「こいつに会おう」と言ったんだ。

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