【対談】Rhythmic Toy World×小島梨里杏、音楽と演技で描く「幸せ」

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2020年6月〜8月まで、3ヶ月連続でデジタルシングルをリリースするなど、コロナ禍でも精力的に発信し続けたRhythmic Toy World。今年を締めくくるべく11月28日(土)に配信リリースされる「犀日」は、“めったにラブソングを書かない”彼らにとって満を持しての珠玉のバラードとなっている。そして、「犀日」のMVに彼女役で出演しているのが、俳優・小島梨里杏だ。ドラマ・舞台などで活躍している小島とライブバンド・Rhythmic Toy Worldの異色ともいえる組み合わせだが、じつは小島がMCを務めていた音楽情報番組「DAM CHANNEL」にRhythmic Toy Worldが出演した縁から実現したもの。今回、「犀日」のリリースを記念して対談を行い、MVや楽曲について語り合ってもらった。

  ◆  ◆  ◆

■一度作るのを止めたんです

──小島さんが「DAM CHANNEL」のMCを務めていた時期に、Rhythmic Toy Worldが出演(配信時期:2018年5月13日〜6月4日)していますが、お互いにどんな印象でしたか?

小島梨里杏:その頃はMC業というものにそんなに慣れていなかったので、ドキドキしながら「みなさんどういう方なんだろう?」と思っていたら、本当に明るくてすごくお話が上手な方々だったので、助けられたことを覚えています。

内田直孝(Vo&G):ありがとうございます!僕らは「素敵な方だな」というのが率直な印象でした。「DAM CHANNEL」には3回ぐらい出させていただいたことがあるんですけど、その中でも特に話しやすかったです。朗らかで、昔から知っていたかのような空気感で接してくれたので、良い収録だったなあっていう記憶がありました。その後、Zepp DiverCityのライブにお誘いさせていただいたときも、お忙しいのにすぐにお返事をくれて。ああ、僕らのことをちゃんと覚えていてくれたんだなあって。

小島:それはもちろん、覚えてますよ(笑)。

RTW:ありがとうございます!

須藤憲太郎(B):話していてすごく心がポッとなるというか(笑)、すごく優しくて話しやすくて。トークも楽しかったです。

小島:私も楽しかったです。「お兄ちゃんたちが来た」みたいな感覚に近いですかね。そういう感じで居てくださったので。

内田:今、噛みしめちゃいました(笑)。末っ子なのでお兄ちゃんと言われると嬉しいです。

岸明平(G):うちのマネージャーが、もともと小島さんの大ファンだったんですよ。それで小島さんMCの「DAM CHANNEL」に出演することになったときにすごく盛り上がって。自分もめちゃくちゃ緊張したんですけど、すごく優しくて話しやすい方だったのが印象に残ってます。

内田:マネージャーがめちゃくちゃ小島さんのことに詳しくて、「すごく素敵な方だから、絶対良い空気感になりますよ」って、会ったこともないのに僕らに言ってたんですよ(笑)。

小島:へえ~!そんなに推してくださったんですね。

内田:僕らもそのイメージで行ったらそれ以上でした。

岸:越えてきたよね。

小島:ありがとうございます。

内田:収録後も盛り上がって、僕はそれから冗談抜きで5、6回ぐらい(小島が出演していた)『烈車戦隊トッキュウジャー』を見ましたから。

小島:ええ~、すごい!嬉しいです。

磯村貴宏 (Dr):僕もメンバーと同じ印象だったんですけど、めちゃくちゃあがり症なので、収録の現場とかですごく緊張するんですよ。でも、本番が始まってからの方が緊張が取れるぐらい空気良く収録できたことを覚えてます。それで、今回「犀日」のMV出演をオファーしてみようというところにつながるんですけど。本当にダメもとでのオファーだったんです。実際にMVの映像を見るとすごく良くて。本当、泣きました。

小島:噛みしめてくださってる(笑)。


──「犀日」のMVに小島さんが出演するまでにどんな流れがあったんですか。

内田:リアルな話、コロナ禍で自分たちの音楽活動の予算を今までと同じようには組めなくなって。でもファンのみんなとの距離は決して離したくはなくて、3か月連続配信リリースという形を取ったんですけど、やっぱり色んな人に聴いてもらいたいとなると、MVは必要で。でも、「犀日」に関しては、無理にそれっぽいものを作るぐらいならむしろ作らない方が良いと思っていたので、一度作るのを止めたんです。でも配信ライブなんかをやって少しずつ自分たちの音楽活動の予算が見えてきたときに、どうせ作るんだったら、信じられないぐらいの奇跡のようなものにしたくて、本当に素敵な女性に出て欲しいと思ったんです。そこで全然面識のない方に出てもらうのも違うなと思ったし、ちゃんと自分たちのことを認識してくださっている方ということで、小島さんにオファーさせていただきました。もし小島さんが駄目だったら、このMVは作らないつもりだったので、オファーを受けていただいたことで作れたMVなんです。

小島:すごい……。私はそういう経緯はもちろん知らなかったので、お声掛けいただいたことをマネージャーさんから聞いたときに、すごく嬉しくて「やる!」って、即答しました。嬉しいです、ありがとうございます。

内田:いえいえ、こちらこそありがとうございます。こっちは小島さんの100倍ぐらい嬉しいですから。

岸:決まった瞬間のグループLINEがヤバかったもんね。「キターーーーー!!」みたいな。

内田:ちょっと古めな感じのね。「電車男」感があった(笑)。

小島:あはははは(笑)。私も、マネージャーさんに「ヤッターーーーー!!」って返信しました。

RTW:ははははは!

小島:よかった、同じ気持ちで。


──曲はオファーの段階で聴いていたんですか?

小島:オファーをいただいたときにはまだ聴いていなかったです。歌詞を見るところから始まって、それから楽曲を聴いたときに、決意みたいなものを感じました。歌詞にある「幸せ」の強さみたいなものがすごく言葉で届いてきたので、自分がMVに出るからこそ、「幸せ」というものをちゃんとみなさんに届けたいなって。だからどういう彼女像が良いのかすごく考えました。

──MVでは、同棲している2人の日々が描かれているんですよね。

内田:そうですね。その中で僕は“歌の精霊”みたいな感じでちょいちょい出てきて歌ってるんですけど。

小島:あはははは(笑)。

内田:基本的には、彼氏目線、恋人目線で小島さんとの日々がシーンとして繰り広げられていく内容になっています。でも、やっぱりお上手だなって思ったのが、どれぐらいの期間2人で過ごしてきているのか、その距離感が小島さんの中ですごくしっかり作られていたところです。普通に恋人を演じるだけじゃなくて、付き合いたてではまだ見せられない空気感、表情を表現してくださっていた感じがあって。この曲は、人生の一大イベントであるウェディングを彩れるような作品になればいいなという気持ちで作っていたんですよ。数年付き合って、酸いも甘いも経験して、「やっぱりこの人だな」って思う恋人の表情というのが、曲の世界観にすごくマッチしていて、すごく感動しました。

須藤:「DAM CHANNEL」に出演させていただいたときの関係性があったからこそ、小島さんがあの雰囲気を醸し出してくれたらどんなMVになるんだろうっていう楽しみもありました。出来上がりを見たら、その想像を簡単に越してきましたね。

内田:小島さんの出演が決まってグループLINEで盛り上がってたときに、マネージャーが「歴史が変わりますね」って言っていたんです。去年、結成10周年という節目があって、その倍の20年周年に向けて新しい旅をスタートした1年目の年だったんですけど、こういうご時世になって思うように音楽を作れなくて。でも確実に、作品というものにすごく向き合えた1年だったなって思ってます。これまではツアーやレコーディングがあったりして限られた時間の中で、良いものを作ろうという精神だったんですけど、今年は、「納得いかないものは出さない」ということができたんですよ。そういう中でできた曲だからこそ、自分たちも心から納得してる作品ですし、呼応してくれる方たちが周りにいるということで、10年間が間違ってなかったなと思えました。20周年に向かってこれからもやっていけるという自信につながりましたね。小島さんが作品に出てくださったというのもその1つのページになったと思います。



▲Rhythmic Toy World/「犀日」

小島:この曲は、今年最後のシングルなんですか?

内田:そうですね、これが今年ラストです。ただ、そもそもうちのバンドはラブソングを書かないんですよ。

小島:確かに、あんまりイメージにないですよね。

内田:リリースした曲が、「犀日」を含めて全部で86曲あるんですけど、バラードのラブソングはこれが2曲目なんです。ファンの方にアンケートを取ると6、7年前に書いたバラード(「8535」)が今でも1位になるんですよ。僕らはラブソングバンドじゃないんですけど、やっぱりみんなラブソングが好きなんだなって (笑)。

小島:そうですよね、それだけある曲の中で選ぶというのは。

内田:僕らは楽曲の世界観とビジュアルが100%リンクはしていないので(笑)、ラブソングを歌ってそうな見た目の人が歌った方がみんな幸せになれるんじゃないかと思って、なかなか作らなかったんですよ。でも、僕らのライブで出会って結婚したファンから、「結婚式は全部リズミックの曲にしました」っていう声が届いたり、「単なる恋愛の曲じゃなくて、ゴールを迎える2人に曲を書くとしたらどういう曲を書きますか?」っていう質問をいただいたりしていて。漠然と、そういう曲が作れたらいいなと思っていたんです。そんな中で、去年、いつも来てくれるファンの子たち2、3組から立て続けに結婚報告があって。それと、うちのマネージャーが10月に結婚式を挙げることになっていたんです。余興は頼まれていたんですけど、マネージャーの結婚式でサプライズで曲を歌うという夢が昔からあったので、予定とは違う流れでサプライズでこの曲を披露したんです。

小島:ええ~!最高。

内田:なかなかラブソングを書かない僕のスイッチを押してくれたのは、「いつも自分たちのそばで頑張ってくれる人の一生に一度の大切な一日を最高にするため」という気持ちでした。だからすごく強い思いのある曲だし、それからすごく温めていて。僕らだけの曲にしてもいいんじゃないかという気持ちもあったんですけど、僕がソロライブでちょこちょこ歌ってたら評判が良くて「リリースしないんですか?」という声ももらっていたんです。僕らのファンとしてもこの曲のリリースはすごく喜んでくれると思うし、バンドのイメージを裏切るパンチ力のある作品なのかなって思ってます。

──小島さんは今のエピソードはご存じでしたか?

小島:現場にRhythmic Toy Worldさんのマネージャーさんが来てくださっていて、「じつは」って、曲の裏話を教えてくださったんです。結婚式でサプライズで歌った曲だと聞いて、「ええ〜!?ちょっともう、頑張る!」って、余計に気合いが入りましたね。そういう思いも汲んでやらせていただきました。

◆インタビュー(2)へ
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