【インタビュー】Angelo、キリトが語る活動休止の真意と『CIRCLE』「今ある形にこだわらずに前へ進んで行かないといけない」

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Angeloが11月17日、無期限活動休⽌前最後となる13thアルバム『CIRCLE』をリリースする。「永遠に続くものはない。形があるものはいつか終わるんです。大事なことは、常に目を逸らさず、いつか来る終わりと、向き合ってきたこと」という言葉と共にAngeloの活動休止が告げられたのは、2021年8⽉1⽇、LINE CUBE SHIBUYAのステージ上だった。同時に、「“一番新しいAngeloが一番カッコいい”と、最後まで言ってもらえるような作品を一生懸命作っています」という言葉を添えて。そして完成したアルバムが『CIRCLE』だ。

◆Angelo 画像 / 動画

このアルバムのキーワードはもちろん、タイトルに冠された“CIRCLE”であり、ラストナンバー「CONNECTED NEW CIRCLES」の最後のセンテンス“与えられた現在を⽣きよう”にある。キリトは一貫して今を見つめ、過去に積み上げられたセオリーを破壊し、新たな地平を切り拓いてきた。終わりと始まり、光と闇、生と死の両極が表裏一体であることを証明してきた。そのリアルとアート性を持って破壊と構築を繰り返してきた歴史が、アルバムから伝わってくるような仕上がりだ。

収録された10曲すべてがソリッドで壮大なロックソング。メンバー個々のサウンドは突き抜け、集大成と言って過言でないアンサンブルを響かせる。言葉は深く温かい。終わりと始まり、そして連鎖を描いたストーリーが昇華され、ファンへのメッセージとして心を奮わせる。前アルバム『[evolve]』以来、約1年ぶりとなるインタビューでは、無期限活動休⽌の真相、最新作『CIRCLE』について、キリトにじっくりと語ってもらった。

   ◆   ◆   ◆

■PIERROTだろうとAngeloだろうと
■僕自身が発信することに変わりない

──今年8月1日にAngeloの無期限活動休止が発表されましたが、キリトさんは同日公開のYouTube映像で、「メンバーそれぞれの考えがありつつ、それを踏まえてのバンドとしての決断だった」という内容の話をしていましたよね。結果的に、Angeloを続けるのであれば現在の形であるべきという考えゆえに、活動休止を選んだということになるんでしょうか?

キリト:まず、メンバーのうちの特定の誰かがどうこうということじゃなくて、全体的に、と言ったらいいのかな……メンバーそれぞれのバンドに対する考えが、たぶん微妙に違ってきていた、ということになるんですよね。特に昨年は、まさにコロナの問題で、メンバー同士やスタッフとの打ち合わせもリモートでやらなければならなかったり。さらにツアーが中止になったりもして、僕自身、メンバーとはちょっと離れたところで動くことが多かったんです。たとえばYouTubeの生配信をしたり、ツアーができない代わりにライヴ配信の方法論を模索したり、そういうことで慌ただしく動いていたので、他のメンバーとの意思疎通があまりできない時期だった。そういう時に、みんなそれぞれに意識の変化やさまざまな理由があったりして、今後のバンド全体としてのことを考えた時に、ここからまた困難を乗りきって、さらに新しいものを作っていくことがちょっと難しいんじゃないかなっていう考えに行き着いたということなんです。


──ああ、なるほど……。

キリト:だから、本当にいろいろなそれぞれの理由があって、だけどバンド全体としては乗り越えて進んでいかなきゃいけないから、どうするべきなのかを時間をかけて考え続けたんですね。……結果的には、ここで一度止めたほうがいいんじゃないかなって思ったんですよ。その代わりに、しっかりと活動休止前の最後のアルバムを作って、そのツアーもきっちりやるということがひとつのけじめだろうと。

──Angeloとしての理想の形があったからこそ、それができないのであれば止めざるを得なかったということですかね?

キリト:ただね、僕自身も、そんなにも“こうじゃなきゃいけない”という、すごく高いところに理想があったわけじゃなくて。やっぱり普通に生きていればいろんなことがあるけど、それでも前を向いて乗り越えて前に進んでいこう、というところですよね。ただ、そのペース感も人それぞれだし、疲れることだってある。そこで、“じゃあ自分はこれからどうしていくのか?”って考えた時に、自分の感覚で言うと、“何があってもやっぱり前に進んでいかないと”というのが前提としてあるから。そのためには、今ある形にこだわらずに、進んでいかないといけない時期になったのかなと。

──このコロナ禍がなければ、という思いもありますか?

キリト:いや、そういうわけでもないと思うんですよね。コロナ禍っていうものが、潜在的に積もっていたものをすごく顕著にさせたとは思うんですけど。だから、世界的な問題であるコロナ禍のせいで何かがガラッと変わったということではなくて、潜在的にもう変わらざるを得ないところまできていたものを、すごく顕在化させるような現象だったのかなと思う。そうすると、コロナがなかったとしても、いずれはそういう決断をしなきゃいけなかったのかもしれないなと今は思いますね。

──あくまで、ひとつのきっかけだったと。それと今回、“活動休止”という言葉を使ったのは、それ相応の意味があるんじゃないかなと思っていたんです。というのも、過去にPIERROTで解散を発表した時点では、「そこにはもう何もないから“活動休止”という言葉で濁すのではなく、“解散”を選んだ」と言っていて。だから今後のことはどうなるか分からないけれども、今ある状況を言葉にするとなった時に“活動休止”だったのかなと。

キリト:あの時はそうでしたね。まあ……今の正直な気持ちを言えば、活動を止める以上、言い方は何でもいいような気もしているんですよね。仮に解散としたところで、時間おいてから活動すれば復活っていうことになるんだろうし。ただ今回、“活動休止”としたところに関しては、ざっくり言えば、メンバー各々が考える部分はそれぞれにあって、今はそこと向き合うことが一番大事なんじゃないかなと思ったというところで、自然と出てきた言葉ですよね。僕自身もAngeloというものに一度決着をつけて、一旦止めることで、別の形ではあるけど前に進めると思ったから。


▲キリト (Vo)

──わかりました。15年間の活動歴というのは、キリトさんにとって最長のバンドになるわけじゃないですか。そこでひとつの節目をつけるということについて、改めてどう感じてます?

キリト:完璧とまでは言わないけど、今となっては“やりきったな”っていう思いのほうが強いですよね。志半ばという感覚はなくて、きっちりとやることをやってきたなっていう思いがあるから、今回のアルバム制作だったり、ストーリーの決着をつける作業には自然に入っていけましたよ。だから、ここは本当に一貫しているんだけど、現在(いま)を大切にすることがすべてで。発信源がPIERROTだろうとAngeloだろうとキリト個人であろうと、僕自身が発信することには変わりないし、過去がどうだったとか、この先どうとかっていうことを言っていても意味がないから。それは、これからもそうだと思うんですけど。

──なるほど。活動休止が決まった上で作る作品という点では、初めての経験になると思うんですが、ニューアルバム『CIRCLE』はどういう思いで制作に臨んだんでしょう?

キリト:アルバムを作る前は、しんどい思いをしてでも決着をつけなきゃならないのかなとか、とてつもなく壮大なものを作らなければいけないのかなって思ってた部分もあったんですけど、実際に臨んでみると、そこまでヘヴィな作業ではなくて。それこそ15年間積み重ねてきたものに助けられたと、作りながらそう思いましたね。今までやってきたことがしっかりと土台になっているから、急に決まった終わりに対して壮大なものを取って付けるみたいなことはなかった。すごく自然な形で、スッとそこに向かえるような。ストーリーの終着点に行き着くべく積み重ねてきたんだなと。そんな作品になったという感覚ですね。

──そうでしたか。活動休止が前提ではあれ、節目のアルバムを制作できたことは良かったなと、話を聞いていて思いました。

キリト:そうですね。15年頑張ってやってきたAngeloというバンドがブツっと途切れるのではなくて、しっかりとストーリーとして、ちゃんとした結末を迎えるのはすごく大事なことだと思ったから。そうすることが待ってくれている人に対する誠意だから、そこはきっちりと筋を通して終われたらいいなと思って。やっぱりね、音楽をはじめ、何を発信するにしろ、僕は自分のためにやってはいるんですけど、それと同時に……ご存知のように、ここが昔からややこしい感情をまとっているところなんだけど、やっぱりファンを喜ばせたいっていう気持ちで常にやってきたんですよ。だけど、単純にそうやって言うと、いい人っぽく聞こえるのがすごく嫌で。



▲13thアルバム『CIRCLE』

──ええ、そうでしょうね(笑)。

キリト:そういうことじゃなくてね。自分のためにやっているのと同時に、それと同じくらい、それを受け止める人たちのことを考えてなかったら、僕はここまでやってこなかったんですよ。ただの自己満足だけだったら、やりたい時にやるし、やりたくない時はやらない。だけど何でこうやって長い時間、一生懸命コンスタントに積み重ねてきたのかっていうと、受け手の人がいてくれたからで。そうなると、やっぱり受け手の人がどう感じるのかっていうのは綺麗事ではなくて、大事なことなんですよ。受け手の気持ちを考えないでやってたら、僕は今までもこの先も、音楽を発信する立場でいられないと思うから。やっぱり続けていれば、しんどい時はあるし、まして世界的に大変な時だったらもう自分のことしか考えたくないじゃないですか。

──たしかに、そうなってしまいがちですね。

キリト:そう。だけど、使命感を持って何かを発信するということは、それとは別の話じゃないですか。僕にも自分の感情はありますよ。しんどさや苦しさは誰もが持っているし、他人のことに構っていられない自分は、プライベートとしては存在している。けれども同時に、しんどいけど前線に立って発信したり戦わなければいけないっていうのは、もうひとつの自分の立ち位置だから。そこは受け手がいるからこその自分であって、使命感によって成り立っているんですよ。プライベートとは別のもうひとりの自分ですよね。人は大変な状況になると、その視点ではなかなか見れないもので。でも僕が考えるのは、大変な時だからこそ、もうひとつの視点でやらなきゃいけないし、やるべきことがおのずと見えてくる。そういう気持ちになるのは、こういう立ち位置にいるからでもあって。

──今思い出したんですが、「たとえ社会的なメッセージを発信していたとしても、自分の表現はあくまでエンターテインメントだ」ってことを度々言ってましたよね。それは受け手を楽しませようという、その存在を常に想定していたからこその言葉だった?

キリト:そうですね。やっぱり、みんなが大変な時こそ、“エンターテインメントの意味って何だろう?”って考えるんですよ。震災があった時も、“みんなが大変な時こそエンターテインメントとして何ができるのか?”っていう考えに頭がいったし。そういう立場で食わせてもらっている人間としては、それが当然だろうと思うので。もちろん、そうじゃない立場の人はそんなこと言ってられないし、それでいいんですよ。だけど、エンターテインメントに身を置く人間は、やっぱりもう一個別の視点で考えなければいけないんじゃないかなと思ってます。

◆インタビュー【2】へ
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