【インタビュー】Petit Brabancon、京が語るアルバム『Fetish』「衝動的な勢いをファーストでは大事にしたい」

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■Petit Brabanconではだいぶ抑えていますね
■声色をコロコロ変えるイメージではない

──今回DIR EN GREYの『PHALARIS』(6月15日発表)とリリースの時期がかなり接近していて、制作の時期も重なってたわけですよね。そこら辺の使い分けっていうか、自分の心の準備っていうのはどういう風にやっているんですか? 切り替えというか。

京:あんまり切り替えているつもりはないですね。けっこう自然に。レコーディングのやり方と一緒で、そんなに分けているつもりはないので。レコーディングの時期もDIR EN GREYとPetit Brabanconと、sukekiyoのアルバムもあって全部同時に進めていたけど(笑)。でも別に、それも全然意識して変えたりしていないし。

──その3つで切り替えがあるわけではないということですか。

京:ないですね。うん。やりたいことをやっているだけというか。

──もちろんご自分の中から自然に出てきたものだと思うんですけど、三者で共通するものは何だとお考えですか?

京:「ハッピーじゃない」こと(笑)?

──(笑)。なるほど。

京:本当に意識していないので、うん。一日でDIR EN GREYとPetit Brabanconの両方レコーディングしたりする日が何日もあったりするんですけど、それもまた次の日になったら微妙な差は出てくる。でも意識はしてない。自然な流れですかね…。

──3つのバンドを並行してやると、一緒にやる人が違うから、違う刺激があって、違うものが出てくると。

京:そうです、もう本当に。よく「じゃあDIR EN GREYでいいじゃん」「sukekiyoでいいじゃん」って、やってない側の人の考え方からするとそうなったりするけど。でもやっている側からしたらメンバーが違うとおのずと変わってくるんですよね、自然と。……でもさすがにもう限界ですけど。

──3つで(笑)?

京:はい(笑)。


──例えば、ミヤさんは京さんにとってはどういうソングライターですか?

京:すごく細かい(笑)。僕と結構正反対なタイプの人間かなぁって。僕は結構その場重視だから。ライヴは1本1本違って当たり前というか。リハーサルもレコーディングもその日の自分を大事にするタイプなんですけど、ミヤ君は完璧主義者なので。すごいなぁ、僕じゃできないなぁっていうタイプの。面白いですよ、はい。

──DIR EN GREYの薫さんもきっちり作るタイプとお見受けしますが、彼とも違う?

京:薫くんもきっちり作るんですけど、なんだろうなぁ。DIR EN GREYの場合は、なんかもう、個々で、自分で完結するんですよ。それで薫君も自分の曲のプレイに関しては細かくシビアに作るんですけど、僕には全然言ってこないですね。ミヤ君の場合は、メロディも自分で作ってくるし。個々っていうより、いろいろ指定してくる。思い描いたイメージみたいなものがあるんでしょうね、1曲ごとに。それをもうちょっとバンドで崩して、なじませる……って言ったらいいのかな。うん。とにかくすごく細かいです、としか言いようがないですけどね(笑)。

──ミヤさんは以前のインタビューで、Petit Brabanconはパートごとに分かれてレコーディングしてるけど、できれば全員揃って「せーの!」でやりたいんだってことは、しきりに言っていましたね。

京:レコーディングの仕方は、みんなタイプが違うんで。僕は結構、歌いたい時に歌いたいタイプなので。みんなで「せーの!」ってやる時に歌いたい気分じゃなかったら良いテンションで録れないので。夜中の3時とか、朝の7時とか8時とかに録って送ったりしてるんですよ。

──喉が大変じゃないですか、そういう感じだと。

京:そのほうが楽なんですよ。スタジオで録る時に、その日の喉のコンディションが悪かったら、キャンセルになったり。いろんな人に迷惑をかけるじゃないですか。でも自分のコンディションは自分が一番把握しているから、自分のベストな気分でベストな喉の時に録れるので、僕はこれが一番楽なんですよね。時間も有効に使えるし。僕は縛られるのが苦手なので。


──つまり録るシチュエーションがその都度違うから、その場の気分や状況で歌い方も変わってくる。

京:そうですね。yukihiroさんの曲も、yukihiroさんのメロディが入っていて。yukihiroさんが作ってきたメロディって僕がつけないメロディだったりするので。それに自分の考えたメロディをうまく組み合わせて。アルバムに入った時に良いフックになるような。でもフック過ぎずっていうか。Petit Brabanconの今の枠内の、良いフックになるバランスで収まるようにと思って作って。で、歌は終わったんですけど。ギターを録り直して、本チャンテイクに変わった段階でyukihiroさんから連絡が来て。「一回聴いてみてもらって、可能なら録り直してみて欲しい」って言われて。録り直す箇所、そんなないかな~って思ったんですけど。気になるところを1〜2ヵ所録ったら全部録り直したくなって。90%くらい全部つるっと。それで前に録ったテイクと雰囲気が全然違ったりするんで。その日その日で、っていう感じですかね。

──逆に言うと、ほとんどの曲は1回パッとやってそれっきりっていう感じですか?

京:そうですね。だいたい1曲、結局…1時間くらいかなぁ。あんまり分けて録らないですね、僕。日によって微妙に喉が違ったりするんで。1曲はなるべく1日で終わらすっていう。

──例えば、今回のアルバムの後半のほうの曲、8曲目、9曲目以降の曲とか、ワンフレーズごとに全部、歌い方も違うし声色も違うし、いったい何種類の声を使い分けているんだろうと。

京:あれでもだいぶ抑えているんですよ。

──あれで抑えているんですか!

京:Petit Brabanconではだいぶ抑えていますね。声色をコロコロ変えるバンドのイメージではないので。DIR EN GREYが(その意味では)もうMAXなんで。これでも抑えたほうなんですよ。


▲『Fetish』通常盤

──そうなんですか。歌詩が先に来るんですか? それとも歌い方のほうが先ですか?

京:ほぼ同時くらい、さらっと歌って70%くらいは、ここはこういう歌い方っていうのをなんとなく作って。で、本チャンの時に歌詩書きながら録っていくので。その時に両方作っていく感じです。

──歌いながら歌詩も並行して書いていくと。

京:歌詩だけ先に書いてバーって一気に歌うみたいなのは、やったことないかなぁ…。ないことはないけど、ほぼないですね。

──なぜそういう作り方をしているんです?

京:気分じゃないかな(笑)。あんまり深く考えないですけど。ただやりやすいようにやってたらこう、そういう風になっていた。

──例えば「I kill myself」という曲だと、語りみたいな部分と、スクリーム部分の劇的な対比があるわけですけど。

京:なんだろう。曲によってはミヤ君から「もうちょっとこういう感じで」とかリクエストもあったりするので。そういうのも反映するところはして、っていう感じですね。

──「I kill myself」は、ミヤさんのメロディ指定はあったんですか?

京:もうね、覚えてないんですよ(笑)。自分が作ったメロディとミヤ君が作ったメロディがもうごっちゃごちゃになっているんで、はっきり覚えてない。ここはラップっぽい感じのほうがいいなぁとか、サビはもうちょっと伸ばし系に挑戦してもらえませんか?とか。それをやってみて、やっぱりこっちのほうがいいなぁとか。俺が作ったメロディのほうがいいなぁとか。箇所箇所によってけっこう違ったりするので。Petit Brabanconからなんですよね、その、他のメンバーとかが考えたメロディを歌うって。DIR EN GREYも初期はあったんですけど。だから、感性のままにとはいかないですけど、たぶんこういうことなんだろうなぁとか考えながら指定されたメロディを歌ってみて、自分の中でかみ砕いてやっていく感じですね。ミヤ君はイメージが、たぶん明確に出来ているんでしょうね。曲を作っているときにメロディも一緒に浮かんでくるタイプだと思うんですよ。僕もそれをプラスにして新鮮にできたらいいなって、いろいろ取り入れたり。

──でも曲を作る人が違っても、京さんが歌うと完全に京さんの世界になるのがすごいと思います。

京:そうですかね。まぁなんか、アクが強めのヴォーカリストだったら、誰が何を歌ってもその人になるんじゃないですか(笑)。

──antzさんの曲はいかがですか?

京:わかりやすいっていうか。他のメンバーの曲もわかりやすいんですけど、自分の中ではよりわかりやすい。かみ砕きやすかったというか。僕が作ったメロディにantzさんが「そうそう!」ってなってるのか、「ちょっと違うなぁ」って思ってるのかはわからないですけど、僕は個人的にはわかりやすかったですね。

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