【インタビュー】徳永ゆうき、10周年記念アルバム『徳永がくる』は「挑戦していくぞ!っていう決意表明」

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■まさかつんく♂さんとご一緒できるとは
■ポップスと演歌が融合したpop'n演歌です

──そしてアルバム『徳永がくる』がリリースされます。このアルバムにも演歌以外のカバー曲が入ってますね。10周年記念としてリリースされるわけですが、まずどんな作品にしようと思って制作しましたか?

徳永:『徳永がくる』に収録したカバー曲は、フォークソングが中心なんですけど、アレンジがギターだったりピアノだったり、どの曲もすごくシンプルで聴きやすいオケになっているんですね。そこに僕のコブシ混じりの歌声が際立って、良い感じに出来上がったし、そういうアルバムにしたいと思ってました。一方でそれらのカバーとは裏腹に、「渋谷節だよ青春は!」とか「夜明け前」とかのオリジナル曲では、テンポの良い盛り上がる曲が入っていたり、静かな風景が思い浮かぶ「車輪の夢」が入っていたり。感情の起伏がすごく激しいんですけど、結果として、徳永ゆうきが存分に楽しめる1枚になったんじゃないかなと思います。

──新曲「なんとかなるさ」は10周年記念ソングであり、明るい徳永さんの声が明日への活力を与えてくれる曲ですね。“人生 悪くない” “焦らず気楽にやろう” “また笑えれば”という歌詞が、落ちた気持ちをラクにしてくれます。徳永さん自身はどんな思いを込めて歌っていますか?

徳永:ここ数年は、コロナの影響もあったり、海外を見てみれば世界情勢が不安定だったり。世の中には明るい話題が少ないですけど、僕自身はこれまでどちらかというと、“まあなんとかなるやろ”という精神でここまできた部分があるんです。この曲を聴いて、辛いこととか沈みがちな気持ちが少しでも上向きになって、笑顔で過ごせる日々がみんなに戻ってきたらいいなっていう思いを込めて歌わせていただきました。


──特に“泥にまみれて 転がりながら それでも前を 向いてきました”というフレーズが印象的でした。ここには徳永さん自身の気持ちも反映されているのではないかと思ったのですが。

徳永:おっしゃるとおりですね。この曲の作詞作曲を手がけていただいたyouth caseさんが、「徳永さんを一番にイメージして作った」とおっしゃっていたので、まさに僕の気持ちを代弁してるような歌詞なんです。この曲を初めて聴いたときに、“ああ、なんかいいなって”って自然と笑顔になりましたし、レコーディングのときも自然と体でリズムとって歌うことができたり。歌詞も含めて僕にぴったりな曲なので、本当に良い作品をいただいたなと思って感謝しています。

──徳永さんは非常にポップで明るいキャラクターのイメージがありますけど、ここに至るまでは“泥にまみれて”みたいな時代もあったということでしょうか。

徳永:先ほどもお話したように、デビュー時は“歌1本でやりたい”と思いながら、当時からいろんなテレビ番組に出演させていただいたり。結果的に新しいファンの方が増えてくれればいいし、歌以外のことが歌にプラスになったらいいなという思いは常に持っていたので。だから迷いながらでもあったのかもしれませんが、本当にいろいろなことをやって、いろいろなところに転がりながら、ここまできたんだなという思いはあります。



──youth caseさんは「車輪の夢」の作詞作曲も手掛けてますが、この曲は“piano version”も収録されるなど2パターンをアルバムで聴くことができます。

徳永:そうなんです。“通常バージョン”と“piano version”があって、同じ歌なんですけど、ピアノだけのアレンジになると、全く違う歌に聴こえるといいますか。みなさんの好みもあると思うので、聴き比べながら楽しんでいただけたらなって思います。

──アルバムラストの「夜明け前」は収録曲の中でも特にノリがいいですけど、レコーディングはいかがでしたか?

徳永:オトナな雰囲気もありつつノリのいい曲は「夜明け前」が初めてだったので、レコーディングも結構苦戦したんです。「渋谷節だよ青春は!」もそうなんですけど、このあたりから“新たな徳永”といいますか、それまでとは全然雰囲気の違う楽曲に挑戦するようになって。そういう意味でこの曲は、演歌や歌謡曲とは違う徳永を皆さんにお届けし始めるきっかけになった曲だと思います。



──「渋谷節だよ青春は!」はつんく♂さんが作詞作曲とサウンドプロデュースを手掛けたナンバーですが、NHK『ニュース シブ5時』のテーマ曲であり、演歌とポップスを融合した楽曲としても話題となりました。

徳永:僕の周りの同期の演歌歌手の方々は、だいたい作曲家や作詞家の先生や師匠がいらっしゃって、その方のもとでレッスンしたり、その先生が手掛けた曲を歌ったりするというスタイルがあるんです。でも僕の場合は先生とか師匠がいないんですね。だから1つの型にはまらないというか。それこそデビュー曲もBEGINの比嘉栄昇さんに手掛けていただいたり、2ndシングルも元THE BOOMの宮沢和史さんに手がけていただいたり。4枚目とか5枚目からぐっと演歌になって、水森英夫先生に手がけていただいたりしたんです。いろんな方々に曲を手がけていただけることは、僕の強みなのかなと思いますね。

──裏を返すと、幅広い楽曲を歌いこなす徳永さんの歌唱力があってこそと言うことができますが。そして今回はつんく♂さん。

徳永:はい。まさかつんく♂さんとご一緒させていただけるとは全然思ってなかったです。それこそ僕の小さい頃、姉がモーニング娘。さんにハマっていて曲もよく聴いていたので、すごく不思議な感じでした。「渋谷節だよ青春は!」はNHKの報道番組『ニュース シブ5時』 のテーマソングやったんですけど、そもそも歌手オーディションがあって、そこに合格することができたんです。オーディションのとき、つんく♂さんとはテレビ画面を通してのやり取りだったんですけど、「最後にやり残したことはないですか?」って訊かれて、当時のマネージャーさんが横で「車掌さん!車掌さん!」と言ってて(笑)。つんく♂さんの前で、車掌のアナウンスの真似をしたんですよ。そうしたらつんく♂さんが大爆笑してくれて。それもあって受かったのかもしれませんね。そのアナウンスを活かした部分ががっつりと楽曲に入ってるんですよ。 つんく♂さんが「これを駅員さん風で」ってセリフをつけてくださって。つんく♂さん曰く、「これはポップスと演歌が融合した“pop'n演歌”」だと。新しいジャンルだなと思いますし、歌うと今でも会場が盛り上がるコンサートの人気の1曲ですね。



──なるほど。では、ここからはカバー曲についても伺いたいのですが、シンガーソングライター和ぬかさんのカバー「寄り酔い」は意外な選曲でした。この曲はどんなきっかけで歌うことになったんですか?

徳永:僕は最近の若い世代の流行には疎くて、 どういう曲が流行ってて、どういうファッションが流行してて、何が人気なのかっていうことが、もう全然わかんなくて。TikTokとかは一応チラチラとたまに見るんですけど、当時「寄り酔い」を使った動画をよく目にしたんですね。僕も着物姿でギターを弾き語りながらサビだけ歌ったものをTikTokに上げてみたら、すごい反響をいただいたんですよ。今回、最近の曲のカバーも入れてみようということになって、「寄り酔い」をフルで歌ってみることにしたんです。だから『徳永がくる』にはフォークソングっていう昔の世代の曲もありながら、若い世代の曲も入ってるという、すごく振り幅の広い作品になったと思います。

──歌詞の内容はなかなか艶っぽいですよね。

徳永:僕からは全然遠い世界の話なんですけど(笑)。この曲を歌ったときに「徳ちゃん、大人になったね」みたいな声もいただいて。今まであまり、こういう曲を歌ったことがなかったんですけど、所々でコブシも入れたりして徳永色にちゃんと染めつつ。新しい徳永になっています。「寄り酔い」を知らなかった人にも届くと嬉しいですね。




──そしてフォークソング/ニューミュージックのカバーでは昭和の名曲が並んでいます。選曲は徳永さんご自身ですか。

徳永:僕とレコード会社のスタッフの皆さんとで話し合いしながらですね。具体的には、候補曲を挙げてカラオケボックスに行って。とりあえずいろんな曲を何曲か歌ってみたりしましたね。その中からしっくりくるものを選んだり。あとはジャンルや世代、アルバムの方向性をみんなで考えているときに、「フォークソングって歌ったことある?」って訊かれたんですね。そんなに頻繁に歌っているジャンルじゃなかったんですけど、実際に歌ってみたら、「フォークソングに僕の声質とかコブシがコロコロっと入ると良い感じがする」って言われて。発見でしたね。それからフォークソングに絞っていろいろと歌っていって、チューリップさんの「青春の影」、バンバンさんの「いちご白書をもう一度 」、中島みゆきさんの「ホームにて」をカバーすることになりました。

──中島みゆきさんの楽曲だと「糸」をカバーされることが最近多いですけど、「ホームにて」を選んだポイントとは?

徳永:僕も話し合いのときに初めて知った曲なんです。だけど、やっぱり鉄道が好きやから「ホームにて」って言われると、「いや、これ歌わなあかんやろ」みたいな気持ちになりつつ(笑)。でも本当に、改めて聴いてみるとすごく良い歌やなって思いました。平成を経て令和となったこの時代では感じ取れない、昔ながらのホームの雰囲気だったり、駅長さんっていうワードだったり。聴いていてすごく落ち着く曲だなと思って、カバーさせていただきました。

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