【インタビュー】G-FREAK FACTORY、“暁の始まり”を歌う新曲に願い「幸せになってもらいたい。その一心で」

G-FREAK FACTORYが9月6日、シングル「RED EYE BLUES」をリリースする。前シングル「Dandy Lion」から約1年ぶりとなるスタジオレコーディング作品には、全3曲を収録した。ロックもレゲエもダブも飲み込んだサウンドが鳴らす最狂のレベルミュージックが映し出したのは、現代のリアル。虚無感や怒りが思想にまで昇華されたメッセージが心をかき乱す。そしてその先に描く未来への創造が心躍らせる仕上がりだ。
◆G-FREAK FACTORY 画像 / 動画
サウンドはソリッドで重厚で鋭い。G-FREAK FACTORYならではのエクストリームにしてトラディショナルな質感はそのままに、これまでサポートドラマーだったLeoの正式加入が、アンプリファイアーの役割を果たすがごとくバンドにパワーを与えた。結果、作り出された「RED EYE BLUES」は混沌も破壊も飲み込んで、強く優しい。
なお、DVD付きの初回限定盤には<山人音楽祭 2022>のライブ映像も収録。同シングルリリースの約2週間後には自身主宰<山人音楽祭 2023>が群馬・日本トーターグリーンドーム前橋で開催されるほか、その約1週間後には全国ツアー<“RED EYE BLUES” TOUR 2023-2024>がスタートする。転がる石には苔が生えぬという言葉のごとく、G-FREAK FACTORYが、“もっともっと” “まだまだ”と日本全国を駆け回る。シングル「RED EYE BLUES」についてじっくりと話を訊いた茂木洋晃(Vo)ロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■俺たちは押し込まれて追い込まれて
■それでもやっていくって経験ができる唯一の世代
──G-FREAK FACTORYはツアーやイベントで忙しくしていますが、音源を作る時間もあったんですね。
茂木:バリバリにありましたよ(笑)。でも、お尻が決まんないと始まらないんで、“この日までに仕上げるぞ”ってならないとダラダラと1曲をこねくり回し続けるんです。時間を作って、なんとかこの3曲が仕上がりました。
──茂木さんはコロナ禍のなかで弾き語りライブを始めたり、音楽やバンドを見つめ直したりなど、いろいろやってたことを前回インタビューでお話いただきました。その期間に溜めた想いも、今回のシングル「RED EYE BLUES」に反映されていますか?
茂木:もちろんです。ただ楽曲に関しては、1曲もまだ反映されてない(笑)。全部、欠片なんですけど、その欠片たちをもう一回聴き直して、今後、合わせられるものは曲にしていけたらと思ってるんですけどね。結果、コロナ禍があったから良かったな、と思えるようにしていきたい。
──シングル「RED EYE BLUES」に収録した3曲は、いつぐらいにアイデアや欠片をまとめていったんですか?
茂木:「レコーディングに入ろうか」と言ったときで……今年の正月だったか、いや、まとめたのは3月とか4月だから、着手したのは2月。欠片だけは200〜300はあるんですけどね。お尻が決まれば、ちゃんとやれるんです(笑)。
──でも、“お尻が決まったから急いで作った”感じには全く思えないんですよ、曲を聴くと。というのも、とにかく言いたいこと、世の中に伝えたいことがいっぱいあって、それがようやく外側に向かって放出されていく感じで、中身が濃いんです。
茂木:まさにその一歩目だと思っています。

──1曲目「RED EYE BLUES」は、今の日本の状況、それに翻弄されている我々の気持ちそのもので。それを怒りながら叫ぶんじゃなく、冷静に見つめながら俯瞰もしながら、克明に想いを綴っている感触です。
茂木:そうですね。こういうロックが効いてくれたらいいですね。耳で“聴く”ほうじゃなくて、効果があるほうの“効く”。最近ボロボロと世の中に、いろんなことが露骨に出てきたうえに、疫病や戦争とか記録的な不景気や円安などが続いていて。そういったものが我々、民間人を圧迫しているんですけど、それでも俺たちは怒らないじゃないですか。そういったものにだんだん慣れていくんですよね…。
──なるほど。
茂木:何かがバーンと値上がりしたりしたとき、「大変だよ、まいったよ」みたいな話はするんですけど、結局、消費税の10%にも慣れてしまったし、コロナにも慣れてきちゃっている。慣れていくことの素晴らしさと寂しさ…選択肢の一番最後に、“慣れたらいいんじゃない?”ってのがずっとある。こんだけメチャクチャな感じなのに。南米とかだったらデモとかテロとか起こってますよ(笑)。海外の人は、自分に正直な人たちだから。
──フランスだったら大変なことになってますよ(2023年6月末よりフランス各地で3週間にわたり暴動が続いた)。
茂木:もう車とか燃やされますよね。ところが俺たち日本人は、“勤勉”という美学に落とし込んでしまって、我慢しちゃう。慣れることは強味でもあるんだろうけど、ロックはフラストレーションとかの発露であって。そういうところの可能性を信じていたいです。自分が生きているうちに完成されなくても、次のヤツの布石にちょっとでもなったらいいなって思います。

──「RED EYE BLUES」の歌詞の後半に想いが綴られているように、諦めちゃダメだってことですよね。詞についてディープに語ってもらうと、政治的な発言も絡んでしまうだろうし、切り取って理解/誤解されてしまう可能性もあるから、なかなか語りづらいでしょうけどね。
茂木:いや、そうなんです。ロックと政治が相まみえた瞬間、人はロックから離れたりするんですよね。でも、そろそろ直結してくるんで、いろんなことが。コロナ禍でそれがよく分かりました。せめて自分たちとか、自分の周りのヤツらには幸せになってもらいたいなって。それが芽生えて、その一心で今はやってます。
──「RED EYE BLUES」は自分に向けても歌っているわけですか?
茂木:もちろん。いろんなことに骨抜きにされているってことは、誰かに言ってるだけじゃなくて、自分にも言ってるんで。小っちゃくでも気持ちが変わったらいいなと思ってます、音楽で。自分も含めて。
──実際に曲や歌詞の持つパワーってありますからね。コロナ禍で閉塞感の中に何年もいたけど、一発の言葉で一気に解放されていく瞬間を、ここ最近のフェスなどで何度も体験してます。
茂木:マジック、魔法ですよね、ある意味。バンドや音楽の現場もずっとストレスがあって、すでにやめちゃった人もいたし、コロナ禍が明けたのにやめた人もいますからね、僕らの周りには。無責任に「やろうぜ」とは言えない歳にもなったんで、「やめる」と聞かされたときは「そうか…」と言いましたけど。俺たちは、健康な現場から一回メチャクチャなところに押し込まれ、自分がやってきたことが正解なのかどうかも分からない状況まで追い込まれて、それでもやっていくってことが経験できる唯一の世代だと思うんです。だから、ちゃんとやり遂げたいなって気持ちは強くありますね。
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