失うものは何もない!?

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失うものは何もない!?

音楽を創るということに関して言えば、名声と栄光を求めてやっているのはどのアーティストか、あるいは…何というか、やむにやまれず必然でもって音楽をやっているのはどのアーティストか。…その2つを見分けるのは大して難しいことではない。

Foo Fightersのフロントマン、Dave Grohlが後者のカテゴリーに区分されることに疑いを抱いている人は、彼のFoo Fighters関連以外のスケジュールに注目してみるといい。そうすれば、きっと納得できるはずだ。

Black Eyed PeasのメンバーだったWillieと2人でよく話してるんだ、何かやろうぜって。うん、ひょっとするとやるかもしれないよ」とGrohl。

あとさ、ワシントンD.C.にWinoって名前のヤツがいるんだよね。ObsessedとかSaint Vitusっていうバンドにいたヤツなんだけど、今はSpirit Caravanってバンドをやってる。完璧ハードロックで、ヘヴィなんだぜ

そんな話題以外にも、このNirvanaの元ドラマーは本来の粘り腰を発揮して、Black Sabbathのギターの神様、Tony Iommiの新しいソロアルバムに曲を提供したり、ヴァージニアにある自身のスタジオにさらにまた何日でも座り込んでは、Probotと称するもうひとつのサイドプロジェクトのために時間を費やしたりしている。だから、むしろDave GrohlやFoo Fightersのメンバーたちが、Red Hot Chili Peppersのアリーナツアーで注目のオープニングアクトを務める時間など、いったいどこにあるのかと不思議なほどである。バンドに超一級のハクを付けることになるのは確かだけれど。

僕らにとって新しい経験だよね。お伴させてもらいたいバンドなんて、他にそうは思いつかないし」とGrohlは言う。

Chili Peppersとツアーするってことはさ、ある意味、名誉なことだよ。だって彼らはそもそもが評判のバンドなわけで。だろ? それに加えてニューアルバムにあんな強力な曲がそろってりゃあ、ただエネルギッシュなだけじゃなく、音楽的にもものすごいショウになること間違いなしだよ

Foo Fightersの3rdアルバム『There Is Nothing Left To Lose』だって、負けず劣らず音楽的に素晴らしい作品だ。それに、いろいろな意味でいちばん冒険的なアルバムでもある。

アルバムを作ってる間、以前はぜんぜん気づかなかったんだけど、このバンドには古い音楽の影響もけっこうあるんだなってことを発見したんだ

それに、スタジオに重圧的なプロデューサーがいないっていうのは、なんていいんだ!って思ったね。余計な口出しもなく、やりたいことをがやりたいようにできた。これまでの作品よりはるかに今作のほうが、僕らの個性が現れてると思うよ

もちろん、バンド名をそのままタイトルにしたFoo Fightersのデビュー作(米国'95年リリース)にも個性は表出していた。ただし、それは彼1人の個性。なぜならあのアルバムは、根本的にDave Grohlのソロ的な作品だったからだ。

ステージやスタジオで繰り広げられる音の戦争――つまり、ライヴやアルバムという戦争で真っ当に戦おうと思ったら、バンドという戦力が必要だということはDaveもわかっていた。しかし、ドラマーのTaylor Hawkins、ベーシストのNate Mendel、そしてギタリストのChris Shiflettという現在のメンバー構成で本腰を入れられるようになるまでの間、大勢のミュージシャン達がその戦列に加わっては離れていった。

これまでの5年間、ずっと同じ4人のメンバーでやり通せてたらって、どんなにか思ったよ。でも、なぜそうならなかったのかもわかっているし、さほど大した問題じゃないんだよね」とGrohlは言う。

たとえば、メンバーが替わっていくことで、絶えず面白いバンドでいられるって側面もあるんだ。つまりね、新しいメンバーが加わり、音もそれにつれて変わるとする。でもさ、にもかかわらず実際、人がそれに気づくかっていうと、案外とそうじゃないんだよね。もちろん、誰かが新しくメンバーに加われば、そのこと自体はフレッシュな気分を保ってくれるよ。なにより、まるっきり新しい展望が開けるわけだし、まるっきり新しいダイナミズムを生み出すわけだからね

僕は、Foo Fightersがやってきたことはそれほど奇抜なもんじゃないと思ってる。大抵のバンドが1stアルバムをリリースする前に経験することのひとつに過ぎない」と彼はさらに語る。

僕らは堂々と人前で成長しないといけなかった。だから、そう、バンドのサウンドは明らかに変わったよ。ひとりの人間によるデモテープから出発して、4人+プロデューサーによる音楽へ、さらには3人が地下のスタジオで作った音へ、ってね

Foo Fightersにおける変化は、ラインナップばかりではない。ソングライターとしてもヴォーカリストとしても、デビュー作の頃に比べると格段に進歩したことをGrohlも認めている。

今は少し気分良くできるようになったかな」と彼は打ち明ける。

…ていうかさ、『よぉ、俺は自分の声、大好きだし、自分の歌を聴くのも好きだぜ』って言えちゃうヤツって、そんなにたくさんいないと思うよ。僕も4年ぐらいかかってやっと馴れてきた。うん、単に馴れてきたってことだと思うんだよね。それに、ただ吐き散らすように叫ぶよりも、むしろちゃんと“歌って”あげるべき曲がいっぱいできたってこともあるし。4ヶ月も家の地下のスタジオにこもっていて、自分達の裁量でやりたいことをやる自由とか、世間から切り離された生活とかが、僕らに度胸を与えてくれたんだ――少なくとも僕はもらった。そんなわけで、始終わめきっぱなしみたいな楽チンなルートを行くんじゃなく、いっちょ胸を張って歌ってみるか!ってマジになったのさ

長年のファンの中には、彼らが大規模なアリーナツアーで輝かしい脚光を浴びたことで、これまでやってきた2,000~3,000人規模の会場を、今後は見向きもしないのではと不安に思う人もいるかもしれない。でも、そんな心配は無用。

アリーナロックを演るバンドになんか、絶対なりたくないよ」とGrohlも強調している。

いやもう、マジで。自分たちの手に負えないほどバカげた規模に状況が膨れ上がるのなんて、絶対ご免だね。もし、ちょっとでもそんなふうになりそうだったら、自分らですべてブチ壊しにしちゃうって。僕達ってそういうところがあるんだよね。なにしろさ、今んところは何もかも、ほんと居心地よく来てるんだから

これまで5年やってこれて、運が良かったなとは思うよ」と彼は続ける。

それすらできないバンドが多いんだから。まあ、よくはわからないけど、みんなはFoo Fightersをリアルで、嘘のないバンドって見てくれてるんだと思う。それだっていつかは、行くとこまで行って終わるんだろうけど、きっと。でも、そうだな、間違っても一発屋みたいには思われてないはずさ。1stアルバムを発表した頃は、できるだけたくさんツアーをして回って、できるだけ早く2枚目を出して…っていうのが大切だった。世間からサイドプロジェクトだと思われるのだけは避けたかったから。僕らはこれまでずーっと、自分たち自身を証明する努力を続けてきたし、今じゃなんとかその頑張りも認められて、実を結んだと思ってるんだ。そう願ってるよ

Stephen Peters

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