Ninja Tune傘下のレーベル、BIG DADA誕生!

ツイート
~

Ninja Tune傘下のレーベル、BIG DADA誕生!
そこに見るクラブ・カルチャーとイギリス・ヒップホップの多様性。


革新性とルーツへの愛が最善の形で表現されている

BIG DADAコンピレーション

『SOUND01 A Big Dada Sampler』

Big Dada 発売中
BRSM-002 1,449(tax in)

1 Break The Lock/TY
2 Hero Theme/THE INFESTICONS
3 Arcade Terra/NEW FLESH
4 Leguman/TTC
5 Motion 5000/ROOTS MANUVA
6 Godly Food/GAMMA
7 apt.A(2)/cLOUDEAD
8 Communicate/NEW FLESH
9 Showtime (WalWorth Road Rockers Dub)/BIG DADA SOUND
10 Subway/TTC
11 Skiver's Guide/ROOTS MANUVA feat.BLACK TWANG & GAMMA
12 The Nonsense(Hey)/TY
13 Slang Teacher/GAMMA
14 Monkey Theme/THE INFESTICONS feat. SAUL WILLIAMS
15 Freestyle At XEN/JUICE ALEEM & MIKE LADD(Bonus Track)
16 Front Free/TY(Bonus Track)


Big Dada コンピレーション

『One Hope』

Big Dada 発売中
BRC-42 1,764(tax in)
1 Witness(one hope)
2 Feell Da Panic
3 Juggle Tings Proper_ (madness,microchips teck war mix)
4 Strange Behavior(stockrockwell remix)
5 Movements(live@BBC)
6 Ital
7 Witness(one hope)dub
8 Witness(new flesh mix)
9 Witness(one hope)vocal


Big Dada コンピレーション

『AWKWARD』

Big Dada 発売中
BRC-43 2,300(tax in)

1 rev.cloud speaks
2 mind made up
3 walk with your ego
4 trippin' over words
5 the tale
6 the nonsense
7 she's not feeling me at the moment(skit)
8 jealousy
9 hercules
10 zaibo
11 you're so
12 move
13 front free
14 break the lock
15 shake your tings(skit)
16 ghetto perspective
17 The Points
18 IADD
19 Trippin' Over(Live At Scratch)

アメリカの若さと退廃的な魅力に対するイギリスの憧れと嫉妬は、ジャズの時代から、この国のポップスの独自性を支えてきた。リズム&ブルースに対するマージー・ビート、ニューヨーク・ド-ルズに対するセックス・ピストルズ

そして、それはヒップホップでも同じことだ。

'80年代の幕開、パンクの熱の中でイギリスに迎えられたヒップホップは、それ以降の20年間、クラブ・カルチャーの歴史の中で、そのあるべき姿を模索していくことになる。それは、今や世界中(もちろん日本でも)に広がる、ヒップホップの多様性のスタートであった。

イギリスはまず、ヒップホップからの影響をレイヴ・カルチャ-に取り込んでいくことで、新しい音楽をつくり出した。ブレイクビーツ・ミュージックとして知られるそれは、マルコム・マクラ-レンが自身のサウンドをヒップホップで大胆に着飾った'83年のアルバム『D'YA LIKE SCRATCHIN'』から始まる。

▲Coldcut
Coldcutが生み出したレーベルNinja Tuneは未来の音を探り、良質な音源を排出し続けている。
ダブルD&ステインスキの"Lesson1,2"というヒップホップ・クラッシックから自分たちの音楽性を捜し出し、後にコールド・カットはレーベル、ニンジャ・チューンをつくることになる。レゲエ・サウンド・システムからの影響が濃い、ワイルド・バンチ(後のマッシヴ・アタック)から、トリッキーポーティス・ヘッドらトリップ・ホップと括られた連中、そしてドラムン・ベースと続く、ブリストルの歴史。先のニンジャ・チューンとモ・ワックスが先導したアブストラクト・ヒップホップ。ファット・ボーイ・スリムやプロペラ・ヘッズで大ヒットを飛ばしたビック・ビート。現在、レディオ・ヘッドビョークも巻き込んで、アンダーグラウンドなクラブ・ミュージック・シーンを席巻しているオウテカが中心となったエレクトロニカ。 それらのジャンルがイギリス流のヒップホップとして評価されてきた。

その一方、彼等のサウンドの影の中に押し込められていた歴史もある。それはロンドン・ポッセやキャッチ22やディーモン・ボーイズといった、極めてヒップホップのルーツに忠実であり、地味だが味わい深いオーソドックスなスタイルを持って、UKをレプリゼントして来たアーティスト達である。

▲Roots Manuva
UK屈指のリリシスト。Dub、Roots、Hip Hop、Technoあらゆるジャンルの要素を取り入れたトラックに独自のラップ・スタイルを繰り広げる。
しかし、その歴史はここに来て突然、日の当たる場所を歩いていたニンジャ・チューンから伸びた、いくつかの手に引き寄せられることによって、再生することになったのだ。クリエイタ-ズのブレイクなどとも連動するその動きは今、急速に活発化している。

ニンジャ・チューンのアーティスト、DJヴァディム主宰の<ジャズ・ファッジ>は、インスト・ヒップホップの可能性を投げ出して、ブレイドを始めとするUKのMCをサポートし出し、まずある方向性を示した。同レーベルのスタッフ、アル主宰の<サン>は、良い能はあってもバラバラに存在していたUKシーンに、確固たるあるまとまりを生んでいる。

そしてビッグ・ダダだ。

ニンジャ・チューンのサブ・レーベルとしてスタートしたこのレーベルは、2枚目のコンピレーション『SOUND01』でその哲学を改めて、ここに提示する。

▲TY(タイ)
独自のスタイル、スキルを追求しつづけた結果、生み出された『AWKWARD』がデビュー作。
2ndの発表を控えたニュー・フレッシュ・フォー・オールドと、クラッシックとなったデビュ-・アルバム『BRAND NEW SECOND HANDO』に続いて、今回ミニ・アルバム『ONE HOPE』、セカンド『RUN COME SAVE ME』を日本盤でリリースする、ルーツ・マヌ-ヴァというビッグ・ダダ。そんな今やUKを代表するアーティスト2組が、世界中の都市に浮ぶ普遍的な悲しさを描写する。ガンマや、アルバム『AWKWARD』も日本盤でリリースされるタイといったUKの中堅MC達が歴史をはっきりと伝承する。そして、フランスのテテセー、USからアンチコンのクラウデッド、マイクラッドのインフェスチコンズといった共感者たちは、今や世界中に存在する、ヒップホップのための戦地から、最新の闘争スタイルを報告する。

それはイギリスが生んだ素晴らしいグラフティ・アーティスト、シー・ワンの描いたこのレーベル、ビッグ・ダダのロゴの様に、別の場所からやって来たものが、別の方向を目指しながら、時にクラッシュし、それでも大きなうねりとなって進んでいくのだ。

このコンピレーション『SOUND01』に耳を傾けることは、このうねりに参加することであり、アメリカ・メジャー・グラウンド・ヒップホップとは別の視点からヒップホップという音楽を眺めることでもある。 そこから見ればこの世界には、細かく入り組んだ新しいネットワークがあることを知るだろうし、カウンターとしてスタートした者達が新しいモラルをつくり出し、今やそれがヒップホップの生命線となっている事実にも気付かされることだろう。

ここには実験性と独自性を第一としてきたイギリスのヒップホップの革新性と、その中で決して忘れられることはなかったルーツへの愛が、最善の形で表現されている。

文●磯部 涼

この記事をツイート

この記事の関連情報