全ダンス・ミュージック・ファンが注目するレーベルBBE

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全ダンス・ミュージック・ファンが注目するレーベルBBE

アメリカではビルボードの上位を毎回独占するほど、ヒップホップの人気は高い。もちろん、日本でもようやくそのシーンは定着しつつある。それじゃぁ、イギリスのシーンは…。

ということで、今回はイギリスのレーベルBBEからリリースされる“Beat Generation”シリーズをご紹介しよう。

BBEとは?

Present !!

BBEとCISCOのコラボ!

UKレーベルBBEとレコード屋の老舗CISCOが強力なタッグを組んで作ったダブルネーム・Tシャツを2名様にプレゼント。
シンプルだが、とっても爽やかでかっこいい。ちなみにLサイズとちょっとビッグなので女の子はパジャマにもなっちゃいます…。

詳しくはこちら!
ロンドンのヴァイナル・ジャンキーらによって設立されたBBE MUSIC。

マスターズ・アット・ワーク~ケニー・ドープやDJスピナ、ケブ・ダージ、ディミトリ・フロム・パリス、ジョーイ・ネグロらが監修、ミックスするコンピレーションなどをリリースし、全ダンス・ミュージック・ファンが注目を注いでいたが、そんなBBEが新たに起こしたシリーズがこの“Beat Genaration”。

ストイックに音を追求した職人たちが贈る一大ビート絵巻として、これまた濃いダンス・ミュージック好きを唸らせている。

現時点ではヒップホップ系のトラックメイカーばかりをチョイスしており、最近リリースされたのが濃いファンを唸らせるクイーンズ伝説、マーリー・マール! 今後はジョー・クラウゼル、キング・ブリット、ジャジー・ジェフらの作品のリリースを予定しているとか。ジャケットも今まで見たことがないような磁石なども使った凝った仕上り。こちらは全部揃えるといいかも…。

ヒップホップ初心者の人でも素直に“かっこいい!”と思える作品ばかりです。

Marly Marl

ソロ・アルバム

『Re Entry』

BBE Records BBEBGCD-004
2001年08月30日発売
2,300(tax in)

1Intro
2Do U Remember
3Three's Company
4Spazz
5Just Funky
6Who's Sicker
7Lost Beat
8Easy Type Shit
9Live Ova Beats
10Foudation Symphony
11So Good
12Hummin'
13Big Faces
14What Ruling Means
15What U Hold Down
16NY,NY

ちょ~久々となったこのソロ名義アルバムは、全く衰えることの無いマーリーの“男気”を感じさせるに充分な内容だ。あのクラシックなアルバム『IN CONTROL』シリーズの2001年版とでも言おうか…。

ゲストには気心の知れたビッグ・ダディ・ケインを始め、ソロ(スクリューボール)にラリー・O(ex.リアル・ライヴ)、T・スラッグス、カポーンらが参加。ここからもわかるとおり、クイーンズの血生臭い雰囲気を滲ませた、全く変わらぬ武骨なスタイルを披露し、古くからのファンは思わず感涙ですわ。随所に定番のブレイク/オールドスクール・クラシック(自身の作も含む)のフレーズを散りばめたりと、リスナーのツボも解ってらっしゃる! そこら辺はベテランの余裕なのか…。

またロイ・エアーズやエドウィン・バードソングらを招いての、落ち着いた曲「Hummin'」は、ジャム・セッションというシリーズの題目どおりのラフなノリで、そこにもマーリーの懐の深さを感じずにはいられない。

しかし基本はハードボイルド。ストイックな男臭さを強く放っており、クイーンズ・アンダーグラウンドMCSによるM10「Foundation Symphoney」は、本作の柱とでも言えよう。

さらにこの睨みの中に余裕とも言える落ち着いた佇まいを見せるジャケットにこのタイトル『Re Entry』! “まだまだ若いモンにゃ負けてられねぇ”ってことでしょ!
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about Marly Marl

'64年9月30日生まれ。ニューヨーク、クイーンズ出身のヒップホップ・シーンを代表するプロデューサー。'70年代末期ディンプレスDの曲「Sucker Djs」への参加で、そのキャリアをスタートさせる。

ニア・レコードやポップ・アート・レコードなどで活動した後、自己名義で「Marley Marl Scratch」をリリース。そして同じクイーンズのMCシャンと組み、'86年に「The Bridge」をリリースし、その曲がきっかけでブロンクスを拠点とするKRSワン率いるB.D.P.一派とのブリッジ・バトルが幕を開ける。

バトルでシーンに名を広め、また自身が率いるジュース・クルーからビズ・マーキー、ビッグ・ダディ・ケイン、マスター・エース、クレイグ・Gらを輩出。そして自らもジュース・クルー総出のアルバム『In Control Vol. 1』を'88年にリリース。

更に'90年にはLLクールJ『Mama Said Knock You Out』をプロデュースするなど、一時代を築いた。

ローズ・オブ・アンダーグラウンドやリアル・ライヴら、'90年代に入っても勢力的に若手をフックアップし、今尚現役バリバリ! ピート・ロックとのコンビで贈る『Future Flavas』は、人気ラジオ・プログラムのひとつ。

will.i.am

ソロ・アルバム

『LOST CHANGE』

BBE Records BBEBGCD-003
2001年09月21日発売
2,405(tax in)

1Ev Rebahdee
2Lay Me Down
3Possesions
4Thai Arrive
5If You Didn't Know
6Money
7Lost Change
8i am
9Hooda Hella Yew
10Lost Change in E minor
11Yadda Yadda
12Em Ay Double Dee
13Control Tower
14Lost Change in D minor

ブラック・アイド・ピーズ(以下、B・E・P)の中心人物、ウィル・アイ・アムがなんとシリーズ第3弾。ソロ作が聴いてみたい、と思っていた人は多かったと思うが、まさかこんなに早く聴けるとは!

B・E・Pと基本的な路線殆ど変わらないが、どこかパーティ・スタイルな雰囲気のB・E・Pよりも、若干落ち着いた雰囲気を感じさせる。

モチロン生音をベースとしたトラック・メイクで、MCをフィーチャーした曲でもインストだけで充分聴かせられるだけの説得力あり。特にホーン、ハモンドの使用頻度が高めなのが印象的で、どこかアルバム全体にスタイリッシュな匂いが充満しているってとこも、B・E・Pとはちょいと違うかな。

これでまた一皮ムケたんじゃないだろうか。
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about will.i.am

ブラック・アイド・ピーズの中心メンバーであり、彼らのアルバムをほとんどプロデュースしているのがウィル氏。ハイスクール時代の友人であるApl.De.Apとともに、アトバン(ATBAN)・クランを結成(ATBANとはA Tribe Beyond A Nationの略)。地元L.A.のルースレス・レコードと契約するも、明らかに当時のレーベルのギャングスタ・イメージにそぐわぬ彼らは、アルバムをほぼ完成させたにも関わらず、プロモ・コピーのみで終わったシングル「Puddles Of H2O」(力作!)のリリースのみで解散する。

その後、新たにタブー(MC)を招き、ブラック・アイド・ピーズ名義で再始動。インタースコープと契約し、'98年にアルバム『Behind The Front』をリリース。「Fallin' Up」や「Joints & Jams」などのヒット曲を生み、さらに2000年には2ndアルバム『Bridging The Gap』をリリースし、来日も果たす。外部プロデュースの話はあまり聞かないが、現在のヒップホップ・シーンで最も注目を集めているトラック・メイカーのひとり。

Pete Rock

ソロ・アルバム

『PeteStrumentals』

BBE Records BBEBGCD-002
2001年04月27日発売
2,405(tax in)

1A Little Soul
2Play Dis Only At Night
3Something Funky
4For The People
5Hip Hopcrisy
6Smooth Sailing
7Pete's Jazz
8The Boss
9Get Involved
10Give It To Y'all
11Walk On By
12Cake
13What You Waiting
14Nothin' Lesser(Jamie's Mix)

マジで素晴らしかった『Soul Survivor』というソロ作をリリースしたピート・ロック。しかし実際のとこ、みんなが聴きたかったピート・ロックのソロ作って、こんな感じだったんじゃないだろうか?

今作はタイトルからも解るとおりインスト曲オンリーなアルバムであり、ピート・ロック&C.L.スムース時代から、インスト曲としても通用するようなトラックを手掛けてきていたピート氏なだけに、出るべくして出たという気がする。しかもここでのピート氏の仕事に新しいスタイルは皆無なので御安心を。あのグループとしてのクラシック『Mecca & Soul Brother』や『The Main Ingredient』期を彷彿させるような、ループの気持ち良さを最大限に感じさせた作りで、変わることのない“ピート・ロック・サウンド”を堪能できる。ネタ感を活かした、ジャズ・テイストな暖かくて柔らかい曲の連続に、思わず'90年代前半のヒップホップ黄金期へバック・イン・ザ・デイしちゃうはず…。これぞ普遍の美学ナリ。
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about Pete Rock

エデイ・Fの下で、従兄弟であるヘヴィ・Dのアルバムへ曲を提供したことでキャリアをスタートさせたDJ・ピート・ロック。師であるマーリー・マールの片腕として、WBLS-FMでラジオ・ショウ「In Control Show」に参加するなど順調なキャリアを積んだ後、ハイ・スクール時代の友人、C.L.スムースとユニットを結成。ピート・ロック&C.L.スムース名義で'91年にEP『All Souled Out』をドロップし、デビュー。「Straighten It Out」、「T.R.O.Y.」、「Lots Of Lovin'」などのクラシックを世に送り出し、“ピート・ロック・サウンド”なる言葉をも生むほどの人気に。待望の来日公演を果たした後、'95年に惜しまれつつも解散。ソロ転向後は自身のレーベル、ソウル・ブラザーズ・レコードの立ち上げが頓挫したものの、'98年無事にソロ・デビュー・アルバム『Soul Survivor』をリリースし、完全復活を遂げた。

トラック・メイカーとして外部提供曲も多く、パブリック・エネミー「Shut'Em Down(Remix)」ランDMC「Down With The King」コモン「Bitch In Yoo」などの名曲を手掛け、最近ではKRSワン「Get Yourself Up(Remix)」やメアリー・J・ブライジ「Family Affair(Remix)」などを手掛けている。

JAY DEE

ソロ・アルバム

『Welcome 2 Detroit』

BBE Records BBEBGCD-001
2001年02月23日発売
2,405(tax in)

1Welcome 2 Detroit
2Y'all Ain't Ready
3Think Twice
4The Clapper
5Come Get It
6Pause
7B.B.E. (Big Booty Express)
8Beej-N-Dem Pt.2
9Brazilian Groove(EWF)
10It's Like That
11Give It Up
12Rico Suave Bossa Nova
13Featuring Phat Kat
14Shake It Down
15African Rhythms
16One

ビート・ジェネレイション・シリーズの第一弾は、御存知スラム・ヴィレッジ(兼ジ・ウマー)のジェイ・ディー。地元デトロイトをリプレゼントしたタイトルが意味深だが、デトロイトと言えば最近じゃエミネムで盛り上がってるけど、それ以外じゃ“デトロイト・テクノ”の地としても、もちろん有名。そんなデトロイトの雰囲気を存分に感じさせるってことは、かなりヒップホップ度が低いのでは…と思っていたら、これまでスラム・ヴィレッジなどで聴かせてきたような機械的で無機質な音のジェイ・ディー・サウンドよりも、グッとロウ(raw)な感じを受けた、変化球を交えたヒップホップ・スタイル。あの洗練されたビート感をそのまま残し、よりソウルを感じさせる仕事ぶりは、ソロということで肩の力が抜け切ったせいなのか…。ヒップホップ・ファンにも馴染みの深い、ドナルド・バード「Think Twice」やアース、ウィンド・アンド・ファイヤー「Brazilian Groove」などの名曲リメイクもあり、遊び心を存分に感じさせてくれる。ジャケットのイメージどおり、リラックス・タイムに聴くに相応しい極上のヒップホップ・アルバム。
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about JAY DEE

デトロイト出身のプロデューサー、ジェイ・ディーが注目を集め始めたのは、'95年に手掛けたファーサイドの傑作アルバム『Labcabincalifornia』だ。既存のイースト・コースト・ヒップホップ・シーン、特にネイティヴ・タンの影響を強く感じさせつつも、どこか一皮ムケたトラック・センスにシーンは新たな時代の幕開けを感じたはず。さらにバスタ・ライムスデ・ラ・ソウルら大御所の作品を手掛けた後、トライブ・コールド・クエスト(以下、トライブ)のQティップ、アリらとともにプロデュース・チーム、ジ・ウマーを結成。'97年にリリースされたトライブのアルバム『Beats,Rhymes And Life』をジ・ウマーの一員としてプロデュースする。

また同郷のT-3、バーティンとのグループ、スラム・ヴィレッジとしても並行に活動しており、'97年にインディ・レーベルから「Fantastic」をリリースし、その後いくつかのアルバムもリリース。別名義のユニットJ-88としても作品を残している。最近では『Welcome 2 Detroit』にも参加しているMC、ファット・カットのシングルなどを手掛けており、近々スラム・ヴィレッジの新作もリリースされるとのウワサアリ。
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