華やかで、観る者をけっして飽きさせない、これぞエンターテインメント

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華やかで、観る者をけっして飽きさせない、これぞエンターテインメント

MISIAの心がそうさせたウソ偽りない心のシャウト


<THE TOUR OF MISIA 2002>
2002/1/11 @さいたまスーパーアリーナ

1.I miss you~時を越えて~
2.sweetness
3.UNFORGETTABLE DAYS
4.SUNNY DAY
5.Nocturne
6.BELIEVE DANCE & DJ TIME
7.la la la
8.あの夏のままで
9.雨の日曜日
10. Everything
11. 時をとめて
12. 果てなく続くストーリー

<ENCORE>
1.Rhythm Reflection
2.Change for good
3.INTO THE LIGHT

<W-ENCORE>
4.THE GLORY DAY

 最新シングル

「果てなく続くストーリー」

2002年01月30日発売
RXCM-21001 1,260(tax in)

1. 果てなく続くストーリー Original Mix
2. 果てなく続くストーリー Disco 2002 Mix
3. 果てなく続くストーリー Smooth Latin Mix
4. 果てなく続くストーリー Hex Hector Remix


 ■最新アルバム

『MISIA GREATEST HITS』

2002年3月3日発売
BVCSー21025 3059(TAX IN)

1 つつみ込むように…  
2 陽のあたる場所  
3 キスして抱きしめて  
4 INTO THE LIGHT  
5 THE GLORY DAY  
6 BELIEVE  
7 忘れない日々  
8 sweetness  
9 It's just love  
10 Escape  
11 Everything

華やかで、観る者をけっして飽きさせないショー。これぞエンターテインメントとも言えるサービス精神旺盛さ。MISIAのライヴは、相変わらず、“あっという間”のステージだった。

会場全体がまだ明るく照らされている開演前、ステージには“携帯坊や”なる人物が登場。携帯電話の着ぐるみを纏った人物が、あれこれ開演前のご注意を促し出す。無機質で、お約束になりがちなこんな時間も、すでに観客を巻き込んで、MISIAライヴが既に始まっていることを匂わせる。

その後、すぐに“MISIA、登場か!”とばかりに盛り上がる会場……が、なんと舞台上の巨大風船が膨らみ、半円状の白いドームができたかと思ったら、その頂上にDIVA、現わる! そして歌うは「I miss you~時を越えて~」。

前回のツアーでは本編ラストで披露した曲を、ド頭に据えて、スタートダッシュ。それを盛り上げるステージセットはゴールドをテーマに豪華に作られ、ドラァグクイーン2人がツタンカーメンよろしく両サイドで舞っている。続く「sweetness」ではオリエンタルムードに一新。ドラァグクイーン2人が更に加わり、今度は欧米服飾デザイナーが、おもいっきり日本を歪曲して捉えて意匠しました的な、お姿たち。ビョークの『ホモジェニック』のジャケットみたいなルックスでこれまた踊ってる。おーなんか「前回のツアーが“四季”だったのに対して、今回は“世界一周”?」と思ったら「SUNNY DAY」では、アフリカンになっちゃって、ライオンキング顔負けな空間に……! とまあ、いきなり豪華に畳み掛けられ、目を奪われつづけていく。それでいてヒット曲。“スゴすぎ…!”の一言だ。そんななか、MISIAはDIVA然と、ゴールドと黒のサイバーチックな衣装を身に纏い、ステージから高い位置で歌いつづけている(うん、後ろの人までよく見えてグー)。

その後「Nocturne」「BELIEVE」へとミドルなペースへ移行。個人的にこの2曲の流れが気に入った筆者。速すぎず、遅すぎないテンポが、心地よくって、「Nocturne」なんてとても難しい曲なんだけど、MISIAがすんなりと歌ってくれると、幻想的。そして「BELIEVE」の前向きな内容が爽やかで軽やか。

その後、DANCE & DJ TIMEを経て、ステージは後半に突入。巨大な透明のソファ(一人がけ)に座り、電話の受話器をマイクがわりに歌う「la la la」、「あの夏のままで」。そして「ご存知、いつものコーナーで~す!」と始まったのは、ハガキコーナー。ラジオ番組のように、観客からのハガキを紹介するコーナーだ。歌声とはまったく違う、むしろかわいらしいと言ってもいいMISIAの普段の声で、コンサートとは別の空間を作り出す。そして、そのままのゆったりムードを引きずって、観客を座らせたまま「雨の日曜日」~新曲「果てなく続くストーリー」までをロマンチックに転化させ、本編終了。

もちろん、これで終わるはずがない!と思っていた矢先、ドラァグクイーンのホッシーとマーガレットが登場。「
まだまだMISIAを呼び出すわよぅ」ってなオネエ口調で、観客をいじる、いじる。その集中砲火を受けていたカップルは、うれしハズカシ(?)。そのドラァグクイーン直伝の会場全体からのコールに応えて現われたMISIAは、堂々と「Rhythm Reflection」を歌い、「INTO THE LIGHT」で高みへ……! <イントゥ・ザ・ラ~~~ィ>の<ラ~~~ィ>に合わせて、MISIAの後ろに設置された照明がすべて下から上へと首をふるのだけど、これに合わせて、観客が腕を振り上げる! 視覚、聴覚、動きで刺激された観客が盛り上がらないわけがない。そんな興奮を引きずって、2回目のアンコールでは「THE GLORY DAY」。栄光の日……まさにMISIAのためにある歌のようだ。

常に完璧に歌いこなす彼女だが、この日のライヴでは多少だけれどもブレやズレを見せた。でも、筆者が感じるに「ライヴならではだわ…! ステキ!」なんて思ってしまうのです。ここだけのブレ、ここだけのズレ。スキルの未熟さではけしてなく、心が作用してでる変化。人間ってステキ……とまで思ってしまう私は大げさだろうか? 「果てなく続くストーリー」での<小さな星を廻し続けてる>の<廻し>でガナったシャウトは、まさにMISIAの心がそうさせたウソ偽りない心のシャウトだ、そう思ったから。きれいなでクリアな歌声しか聴かせてこなかった彼女だったが、この空間では、シャウトせずにはいられない……っていう。個人的には、これをMISIAに求めていたのかもしれない。こういう面が見れたからこそ、この日のライヴは素直に生々しいものとして楽しめたから。今後ももっとMISIAらしいリアルな部分を見せてほしいのだ。

最後の最後に、彼女は「
MISIAと呼んでください~!」と観客に乞う。そしてそれに応える観客。……そんなプチ恥ずかしい場面も、彼女のリアルな部分なのかな、なんて今回、素直に思えたりした。

●星野まり子

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