デス・ロウ改め、ザ・ロウの今後……

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デス・ロウ改め、ザ・ロウの今後……

ドクター・ドレ、スヌープ・ドギー・ドッグ、2パック……が在籍し、'90年代を代表するヒップホップの歴史を作ったレーベル The Death Row Recordings(過去の特集はこちら)。
近年急上昇中のヒップホップ人気と共に、デス・ロウから出されたクラシックが見直され、次々に再発盤が出されている。

そのレーベルの今は……というと、名前をTHE ROWと改め、所属アーティスト、今後の作品リリースなど更なる注目が集まっているのだ。

シュグ・ナイトを中心に動き出したザ・ロウ

The Death Row Recordingsコンピレーション

『CHRONIC 2000~STILL SMOKIN’』

Victor Entertainment
VICP-61774~5 3,465(tax in)

●シュグ・ナイト の真骨頂。ドクター・ドレもタイトル変更を余儀なくされた2000年最大の問題作、初日本盤化! 今後のザ・ロウの展開が気になるだけあって、さけては通れないコンピレーション。

2パックやドッグ・パウンドらの蔵出し音源+現デス・ロウ所属の無名アーティストのお披露目的な構成で、2枚組全28曲のヴォリュームは圧巻。流石2パックやスーパフライ、ダズらの絡む曲は別格の存在感を放っている。レイジ似のVKが共演のトレッチを吹き飛ばす破壊力でラップする1-M1にソロ・カット1-M5&2-M11、心地よいレイドバック系を各々聴かせるザ・リアリスト1-10、トップ・ドッグ1-M11など新参組も負けちゃいない。2パックとDJクイックの合体2-M3なんてのもアリ。



クラプト移籍の真相……
デス・ロウからの離脱組であるドレ、スヌープらはシーンで確固たる地位を形成。ネイト・ドッグは客演王として東西南を問わぬ全国区の人気を獲得し、大メジャーであるエレクトラと契約。かつての相方ダズは逆に超アンダーグラウンドな完全自主制作でバッチリとマイクマネー……と各々成功を手にしている。しかし、「クラプト、あんたは?」というと、どうにも立ち位置は中途半端。確かにコンスタントにアルバムをリリースし良い作品を作ってはいるが、大ブレイクしているわけでもないし、悪く言えばドレやスヌープの取り巻き的なイメージであるってのも拭えない。そんな地位も名声も、金銭的にも中途半端な状況をクラプト自身が打開したかったのではないだろうか? しかもクラプトはもともと東海岸のフィラデルフィア出身。この辺のメンツと知り合った頃には既にスヌープとネイト、ウォーレンGは伝説のグループ213を結成していたというから、生粋の西海岸出の人たちと比べると結束感が薄かったとも思える。

そしてレーベル側からすると、シュグも出所して名前もザ・ロウとリニューアル。本格的な活動再開が始まったのだが、その第一弾がクルックト・アイってのは少しインパクトが弱くないか……? 確かに西海岸では知れたラッパーではあるが、全国区ではナイ。そこで挙がったのがクラプトの名。ピート・ロックと共演したり、DMXとビーフがあったり、オマケにフォクシー・ブラウンと付き合ったりと東海岸でも名の知れた存在であるし……ということで、ここで両者の思惑がガッチリハマったのだろう。あくまで推測だが……。さすがのダズも今回の移籍騒動には困惑しており、「D.P.G.解散」的な発言をしているらしい……。

'01年夏、遂にデス・ロウ(現ザ・ロウ)・レコードのCEOであるシュグ・ナイトが、約5年のお勤めを完了して出所した。

彼がまずとった行動、それは己の影響力が全く衰えていないとシーンに誇示することだった。マイアミで行なわれたヒップホップの祭典<SOURCE AWARDS>(※注1)をはじめ、全米各地に出没して健在振りをアピールする。

▲Snoop Doggy Dogg
それに抵抗したのが、かつてのデス・ロウ離脱組だ。特にダズ・ディリンジャーは自身のD.P.G.レコードからザ・ロウのロゴでもある電気椅子に座る死刑囚が犬(ドッグ)に食いちぎられているジャケットの『Tha Row Killa EP』なるものの制作を発表(こんなの店頭に並べられるのか……?!)。 スヌープ・ドッグ、クラプト、バッド・アズらが参加しているらしい本盤で、シュグ危うしか!? と思う向きもあったが、今年初頭になんとクラプトが電撃的なザ・ロウ復帰を遂げる! 

クラプト復帰でシーンに衝撃を与えたザ・ロウだが、さらにそれ以上の衝撃が。なんとあのTLCのレフト・アイとも契約したのだ(ザ・ロウでの名義はN.I.N.A.[New Identy Non-Appliccable]の略らしい。移籍のニュースはこちら)! TLC時代から素行に問題の多かった彼女だが、これには驚かされた人も多いだろう。確かにクラプトのガールフレンドであるナティナ・リード嬢は、レフト・アイがフック・アップしたグループ、ブラック(BLAQUE)のメンバーなので、簡単に繋がってしまうのだが……。ブラックもコロンビアから契約を切られたらしいので、もしやザ・ロウ入りするのでは……なんて憶測も頭をよぎる。

▲TLC
更に2月、カリフォルニアで行なわれた<Hiphop Summitt>にシュグが登場し、大演説を行なった。しかし、驚くべきはそこに付き添って現われた面子だ。クラプトはモチロン、スタジオ・ギャングスタ(※ギャングスタ・ライフを送っているわけでもないのに、ギャングスタ・ラッパーを気取ること)として、シュグをはじめとするリアル・ギャングな面々からこき下ろされていた人気ラッパー、マック・10、今や東海岸一の人気ラッパーであるジャ・ルールのパートナーであり、マーダーINCのCEOでもあるアーブ・ゴッティらの姿があったのだ。

ってことは、マック・10と彼の奥方であるTLCのT・ボズ(さらにTLCまで!)、そしてジャ・ルールをはじめ、アシャンティにキャデラック・ター、ヴィタといった個性的なマーダーINCの面々もザ・ロウへ移籍、もしくはかつてのデス・ロウ隆盛期に噂があったデス・ロウ・イーストWPを遂に設立するのでは……と噂は尽きることがない。

最近では、ヴァージンから契約を切られ彷徨い、Jレコードとの契約が囁かれているマライヤ・キャリーまでもがザ・ロウに入るのでは!? なんて無責任な噂が飛び交っているのだから。

▲Dr.Dre
さらにさらにさらに驚くことに、シュグが、ダズをはじめスヌープ、そしてドクター・ドレまでもザ・ロウに呼び戻し、かつての黄金時代を再び築き上げようと暗躍してるなんて情報もあり! だけど、シュグならやりかねねーな。

まるでプロレス団体的な裏切り、離脱、復縁劇の目白押しな展開に、誰が言ったか知らないが『西海岸ヒップホップ・シーンのアントニオ猪木(もしくはヴィンス・マクマフォンWWF会長)』とも呼ばれるシュグ・ナイト。かつての東西ヒップホップの冷戦時のような血生ぐさい話さえなければ、外野としては面白い限りなのだが……。

The Saga Continues......

文●升本 徹


またまた出ました! デス・ロウ再発盤

V.A.『TOO GANGSTA FOR RADIO』

親分不在時にリリースされたコンピ。ジャケからして如何わしいギャングスタ・ノリだが、内容もその通りで好きモンなら食指が伸びるはず。2パック、アバヴ・ザ・ロウら西人脈のみならずスカーフェイスにジャ・ルール、トレッチ、ラフ・ライダースら多方面から大物が参加しているのもシュグ・ナイトの威光か。2パックの蔵出名曲M10「Thug Nature」があまりにも有名だが、クルックト・アイ版「Gangsta Rap」のM2やファニーなK-9(ポッセ?)M13、変なベテラン風を吹かせたドレスタM14などなど聴きどころアリ。

V.A.『MURDER WAS THE CASE』

スヌープ主演の短編映画のサントラ。衝撃のドクター・ドレとアイス・キューブの合体M2にアルバム・リリース前のドッグ・パウンドが放った早すぎるクラシックM3、現イーストサイダズの原型とも言えるレイドバック・チューンM4、ネイト・ドッグの初ソロ作M5、少し意外だったDJクイック参戦M12、とGファンクの歴史を考える上で、重要な曲を多数収録。シングル・ヒットしたドレ作のM9での、サム・スニードのチンピラっぽいラップも捨てがたい。

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