The DUST'N'BONEZ、2年ぶりの新作発表

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日本生まれの世界基準ロック・バンド、The DUST'N'BONEZのニュー・アルバムが12月3日に待望のリリースを迎える。題して『COCKSUCKER BLUES』。まだまだこのバンドの素性を知らずにいる読者も少なくないはずだが、とにかく最初に断言しておこう。あなたがロックンロール中毒症状を自覚しているような音楽ファンであるならば、このアルバムは絶対に必聴だ、と。

もはや包み隠すまでもない話だが、このバンドのメンバーたちは全員がすでに40代。若さと勢いと無謀さが売りものの連中と真っ向から衝突したなら、多少は足元がぐらつくかもしれない。が、このバンドが持ち合わせている音楽的な体力と知力は、彼らの下の世代にも、上の世代にも持ち得ないものではないかと、僕には感じられてならない。

70年代のロックを初期衝動としつつ、その“根”を掘り起こすようにしながら60年代のエッセンスを吸収し、80年代から90年代にかけての激動の時代をリアル・タイムで味わい尽くしながら駆け抜け、21世紀突入後も“本気でロックすること”を諦めずに突き進んできた。彼らはちょうど、そんな世代といえる。ちょっと海外に目を向ければ、それに該当するのはガンズ・アンド・ローゼズやメタリカ。後続世代から「俺たちのルーツはあなた方なんです」と崇められつつも、“歴史”のなかに過去完了形で書き記されるには、まだまだ早い世代。さらに世界的常識を踏まえて言うなら“本来はシーンのど真ん中にいて当然の世代”ということにもなるかもしれない。

この『COCKSUCKER BLUES』は、前作『ROCK'N'ROLL CIRCUS』以来、2年と少々を経て完成に至った、彼らの通算3作目のアルバムである。これほどの時間を要することになったのは、バンドの首謀者である戸城憲夫の言葉を借りれば、「オトナの事情というか、交通整理のため」ということになる。そこに、それなりの紆余曲折があったことは想像に難くないが、それはむしろ、どうでもいい。とにかく重要なのは、ここに詰め込まれたロックの濃密さであり、多面性であり、それ自体が成熟と衝動の双方を兼ね備えているという絶対的な事実だ。

戸城憲夫が曲を作り、森重樹一が歌う。彼らが当初から踏まえてきた音楽的基本公式は今もそのまま変わっていない。が、バンド然とした化学反応の幅は時間経過とともに拡大されつつあるし、実際、本作からは誰もが過去2作品以上に“音楽的な自由度の高さ”を感じることになるはずだ。具体的に明言することは避けておくが、楽曲によっては、かつてZIGGYが森重と戸城の2人だけで成立していた時代を想起させる部分もある。今様のメタルコア・バンドが尻尾を巻いて逃げ出しそうなリフも飛び出せば、スカの要素も、とんでもなくポップな側面も顔を出すし、常に攻撃性とウタゴコロが理想的な共存をしていることにも気付かされる。しかも彼らは、無闇にストライク・ゾーンが広い“都合のいいバンド”なんかじゃない。すべての球に“これぞ、ど真ん中”と感じさせてしまう説得力が備わっているのだ。

そういった事実を指摘したとき、メンバーたちが口を揃えて言うのは、「1枚目や2枚目では、これはできなかった」ということ。いや、もちろん技術的に不可能だったという意味じゃない。The DUST'N'BONEZとしての“核”を明確に打ち出すことを何よりも重んじていた彼らには、初期作品では、敢えて意識的に自分たちの多面性を封印していたところがあったのだ。逆に言えば、その“核”がしっかりと確立され、まったくブレない状態にあることが確信できているからこそ、本作はこうしたたたずまいの1枚になり得たということ。要するに、ついに彼らが手加減のない本気の攻撃を仕掛けてきた。そういうことになるだろう。

この世代ならではの饒舌さや、ロック的ボキャブラリーの豊富さ。さらには“永遠のロック少年”であることを自覚する4人ならではの、前傾姿勢の攻撃性。それらすべてを併せ持ったThe DUST'N'BONEZのロックは、彼ら以外には創造し得ないものであり、誰にも真似のできないもの。いや、もちろん「彼らは過去に、誰の真似もしたことがない」なんて綺麗ごとを言うつもりはないし、そんなことを言えば僕はとんでもない嘘つきになってしまう。が、仮に何かを外側から吸収しても、それを自分たちなりのレシピで、よりカッコいいものにできてしまう習性がこの男たちには、とっくに身についているのだ。

敢えて具体的に言ってしまうなら、僕はこの『COCKSUCKER BLUES』を、モトリー・クルーの『セインツ・オブ・ロスアンゼルス』よりもずっと愛している。ガンズ・アンド・ローゼズにもヴェルヴェット・リヴォルヴァーにもハノイ・ロックスにも、このアルバムを作ることはできない。そして最後にひとつだけ、言っておく。このバンドが世の中を変えるようなことは、おそらくない。が、あなた自身のロック観を変えてしまう可能性は、とても高いはずだ、と。

増田勇一

<The DUST'N'BONEZ TOUR 2008-2009 DOSAMAWARIシーズンII -COCKSUCKER BLUES->
12月3日(水)横浜CLUB LIZARD
12月5日(金)博多DRUM SON
12月7日(日)岡山ペパーランド
12月10日(水)千葉LOOK
12月12日(金)さいたま新都心HEAVEN'S ROCK
12月19日(金)京都KYOTO MUSE
12月21日(日)神戸VARIT
12月23日(火/祝)新潟RIVERST
1月12日(月/祝)仙台PARK SQUARE
1月14日(水)札幌ベッシーホール
1月16日(金)金沢AZ
1月18日(日)大阪シャングリラ
1月30日(金)名古屋クラブクアトロ
1月31日(土)広島ナミキジャンクション
2月5日(木)東京恵比寿リキッドルーム
◆ザ・ダストゥンボーンズ・オフィシャルサイト
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