【BARKS編集部レビュー】フル・シリコンの魅力を振りまくCUSTOM ART Pro 330v2

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今回紹介するカスタムIEMは、CUSTOM ARTというポーランドのメーカーの最上位に当たるモデルPro 330v2だ。2012年時点ではイヤホンの交換ケーブルやカスタムイヤーチップなどを開発/販売していたが、2013年にカスタムIEMのラインナップを発表、ヨーロッパでもじわじわと知名度を上げているブランドのひとつである。

◆CUSTOM ART Pro 330v2画像

▲CUSTOM ARTのPro 330v2。フルシリコンのシェルだが、ケーブルは一般的な2ピン仕様だ。ケーブル自体もオリジナルで細めで軽く、使用感が非常に良い。

▲シェルカラーはスモーク。ちょうどグミのようなぷにぷにの触感で、耳にハマるとぴたっとフィットし、余計な遊びが生まれない。

▲2ウェイ3ドライバーで2ボア仕様。2つのチューブの太さが違っているのはチューニングのためと思われる。音響ダンパーは使われていない。

▲全てシリコン製カスタムIEM。左からACS T1 Live!、Sensaphonics 2XS、CUSTOM ART Pro 330v2。いずれも若干高域よりのフラットと言えるトーン・バランスを持っている。

▲付属品はペリカンケースに乾燥剤、クリーニングブラシ、キャリングケース。

写真からはよくわからないかもしれないが、CUSTOM ARTの最大のポイントは、フル・シリコン製である点にある。一般的に普及しているカスタムIEMはアクリル製だが、CUSTOM ARTのラインナップにアクリル製は用意されていない。

ここのところ、個人的に再注目&再評価をしているのがシリコン製のカスタムIEMなので、このPro 330v2も可愛くて仕方がない。Pro 330v2はプロ用機器ではなくオーディオファンがポータブルオーディオで楽しむために開発されたとされるモデルだが、フル・シリコンの最大の特徴はやはり極上のフィット感と、圧倒的な遮音性にある。元来完全な遮音を得るのであれば外耳道の第二カーブの先でコルクの栓をするようにきっちり密着させる必要があるのだけれど、私のPro 330v2は、思いのほかカナル部分は短く仕上がっている。

フルシリコンのACSやセンサフォニクスと比較しても、Pro 330v2の造形は通常のアクリル製カスタムIEMの一般的な姿形と変わらず、ケーブル仕様も一般的な2ピンのものがそのまま使用されている。全体の形状が特殊ではないので使い勝手にも違和感なく、カナル部も長くないのでシリコン製の割には装着に手間取ることがない。センサフォニックスなどは、ステージ上でのモニタリングシステムとして使用されるストイックなプロ用機器のため、完璧な装着と完全な遮音が実現されるが、その分耳からの着脱は意外と大変だ。装着にも一手間かかり、外そうとすると今度は簡単には外れない密着度がある。

そういう意味では、Pro 330v2は、シリコン製でありながらカジュアルな使用感で気軽に使える敷居の低さがあり、それでいてアクリル製のカスタムIEMをさらっと凌駕する高い遮音性を実現する。そのバランスがとてもいい。実のところ、遮音性の高さというのは「サウンドに対して有利に働いてくれる秘密のスパイス」で、非常に小さな音で微細な聞き分けを可能にしてくれるため、特性的には同じスペックだとしても聞き心地の点では、非常に優位に立つことになる。解像度にしても、立ち上がりのスピード感にしても、キレの良さやサウンドステージに関しても、より詳細にイメージが構築される傾向にあり、静寂の中に安定のサウンドキャンパスが現れる。

サウンド自体も奇をてらったものではなく、とても素直な出音なのが功を奏していると思う。取り立てて熱弁を振るうべきハイエンドサウンドではないが、これといった短所が目につくわけでもなく、誰に対しても特別な不満を与えることはないと思われる。同じ3ドライバーのカスタムIEMの中でも、UERMのような瑞々しく鮮やかな高域特性を持っているわけでもなく、しっかりした低域を叩き出すClear Tune Monitors CT-300Proのような迫力もないけれど、自然なバランスなので、無音の中で音楽を再生すれば、5分も立たないうちに脳内補正がきっちり働き、必要十分な理想の出音バランスに聴こえてくる。各帯域の不足もなければ出過ぎも感じず、“音質”ではなく“音楽そのもの”に没頭させてくれる優しさがある。

開発中・発売前のモデルを除けば、CUSTOM ARTには1~3ドライバーでいくつかのバリエーションがあり、現在189~500ユーロで発売されている。また150ユーロからリモールドも用意されており、フルシリコンのカスタムIEMを気軽に楽しむには、非常にいい選択肢となるだろう。これでシリコンの魅力を知ってしまったら、結局はセンサフォニクス2XS購入への道をまっしぐら…だったりするんだけどね。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●CUSTOM ART Pro 330v2
・Three Balanced Armature per earpiece
・2-way configuration in Single Phase driver configuration
・114dB @1kHz @0.1V
・21Ohm @1kHz
・10Hz-17900Hz (+-20dB into IEC711 coupler)
・Damper-free design
・Silicone body
Bass
●●●○○○
Midrange
●●●●○○
Highs
●●●●●●
Headroom
●●●●●○
Imaging
●●●●●○
Depth
●●●●●○
Cold/Warm
●●●○○○

◆CUSTOM ARTオフィシャルサイト
◆CUSTOM ARTオフィシャルFacebook
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル
◆BARKSヘッドホン・チャンネル


BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
●MPC Headphones(2014-04-06)
●Klipsch STATUS(2014-03-30)
●SMS Audio STREET by 50 DJ Pro Performance Headphones(2014-03-23)
◆AK240×カスタムIEM(2014-03-16)

■RHA MA750(2014-03-09)
■Meze 11 Deco(2014-03-02)
◇Astell&Kern AK240(2014-02-22)
◆1964 EARS V6-Stage(2014-02-17)
◆カナルワークスCW-L32V(2014-02-09)

◇EarPeace HD(2014-02-02)
◆Noble Audio Kaiser 10(2014-01-19)
◆Clear Tune Monitors CT-300Pro(2014-01-04)
◇KLIPSCH KMC1(2014-01-01)
■DUNU DN-1000(2013-12-30)

◆Ultimate Ears Reference Monitors(2013-12-16)
◆Ultimate Ears 11 Pro(2013-12-08)
◆earmo Tune5(2013-12-03)
●オーディオテクニカATH-OX7AMP(2013-11-23)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
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◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
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◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
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◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
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●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
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◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)

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