【インタビュー】浜端ヨウヘイ、シングルに「自分を励ませない言葉で一体誰を励ませるのか」

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■あまりにポンポンと曲が出てくるときがあるから
■他の曲に似てないだろうかと心配になって確かめるのがクセに(笑)

──そもそも、「無責任」は何をきっかけに生まれたのですか?

浜端:松山かどこかのツアー中だったと思います。メロディを思いついて会場入りして、リハーサル前にピアノを弾いたら、もう頭から最後までできて。その日のうちにライブで歌いました。それくらいすぐにできちゃった曲でした。でも、「最後の曲、すごく良かったです」という声をもらいまして。自分としても不思議と手応えを感じていたんですよ。いつもライブするとその音源を録って、車の中とかで聴き返すんですけど、この時のライブはすごくいいものだったので、しばらく聴き続けてましたね。

──歌も非常に感情豊かに歌われていますが、レコーディング前に細かくシミュレーションするほうですか?

浜端:レコーディング自体は昨年のクリスマスイブと当日に行なったんでけど、この曲はむしろ抑えて歌うことを心がけました。ライブの定番曲で、しかも終盤に歌うことが多いから、マイクに噛み付かんばかりの勢いで感情を乗せて歌うんです。録る時は引き算しながら歌いました。

──歌詞も“数えきれないほどの嘘” “山ほどの回り道”とか、重い言葉も少なくないですね。重すぎないように気を配ったりも?

浜端:それは結構しましたね。感情的な部分も大事ですが、パッケージとなると何度も聴いてもらうための歌が求められますから。感情的な歌はライブで聴いてもらいたいですし、CDを作ったことでいろんな人がこの歌を知ってくれて、「大丈夫さ」という励ましの言葉を必要としている人に、人づてに歌ってもらえたらなってすごく思っています。かつて、僕がいろんな人から言ってもらったみたいに。

──コンダクターは島健さんが務めたそうですが、ストリングスアレンジの際にはどんな話をされたのですか?

浜端:「いい歌だね」って言っていただきました。僕が弾き語ったものを録って、それを島健さんに送ったら、次の日にあの素晴らしいストリングスアレンジが返ってきました。

──ストリングスも鳴っていますが、ピアノで弾き語る歌と音が中心軸ですよね?

浜端:はじめはピアノ一本でもいいかなとも思っていたんです。それもあって、ミュージックビデオでは弾き語りバージョンで撮ってます。

──その撮影はいかがでしたか?

浜端:1月に撮ったんですが、海辺を歩くシーンを撮った時は運良く晴れてあまり寒くなかったので助かりました。最後にカメラが引いた画になって終わるんですけど、その瞬間にカモメがひゅっと横切るんです。それ、全くの偶然で撮れたんですよ。

──CGではないのですか?!

浜端:そうなんです。僕自身、監督が後からCGで足したと思ったんですけど、実際に飛んできたものだと教えてもらってびっくりしました。1カメで撮った部屋での弾き語りシーンは3回くらい歌ってOKになりました。僕が歌っている背景の窓に、いろんな景色が次々と映し出されるんですね。あれは歌と同時進行で白い布に監督が映像を次々と投影させていって、“せーの”でいっせいに撮ってるんですよ。

──窓の景色も、てっきり後から合成だとばかり。

浜端:違うんです。何よりもタイミングが大事だから、僕の撮影よりリハーサルを入念にしてましたね。しかも、あの撮影ではちゃんとマイクも生かしていたので、そこで音もライブ録音したんです。

──1カメで撮るとなると、失敗ができないから緊張したのでは?

浜端:全然それはなかったです(笑)。監督からは「1回目のテイクで大丈夫だと思うけど、念のためにもう1回撮りましょう」って言われたんですが、「すみませんが、もう1テイクお願いします」って申し出て、3回目を撮ってもらいました(笑)。

──俳優の才能もありそうですね(笑)。カップリング曲「Drivin' on the K」はクラシックなロックンロールで、ヨウヘイさんのルーツが垣間見えます。

浜端:これは北陸をキャンペーンで回っていた時に作りました。富山かどこかでその日のキャンペーンが終わって、夜だったので“疲れたしもう寝たいな”って思ってたんですが、夜のうちに次の街まで車で移動するってことになったんですよ。その間、多分2時間くらいかな。眠たいけど、助手席で寝たら悪いし、だったらこの状況を歌にしてしまおうと(笑)。ブルースのコード進行を使った楽曲がいいなと思って作り進めて、15分くらいでほぼ形は出来上がりましたね(笑)。

──先ほどの「無責任」もそうですが、歌を作るスピードが半端なく速いですね?

浜端:あまりにポンポンと出てくるときがあるから、他の曲に似てないだろうかと心配になって確かめるのがクセになってます(笑)。ただ、ブルースのコード進行は基本的にどの曲も似たようなものになりますから、この曲はあまり気にせずに作れましたね。それと、僕も大きいですが僕のチーフマネジャーも180センチ以上ある大柄で。そんな男2人がちっさい車に乗ってるなんて端から見たらおかしいじゃないですか(笑)。僕の実家の京都には、以前愛用してた軽のバンがまだあるので、その思い出も重ねて歌詞を書きました。

──レコーディングは楽しかったでしょう?

浜端:ですね。これはボーカルも含めて一発録りでした。ちょうど大阪や名古屋で、バンド編成でライブをしていた時だったので、大雪が降った名古屋からスタジオにみんなで入って、“せーの”で録りました。バンドでライブしてたこともあって音もできていたし、ライブの熱もそのまま封じ込められたという。これも2回か3回くらいでOKでしたね。歌詞をじっくり聴いてもらうタイプの曲ではないので、そういう曲はサウンドの温度が大事。体が動く演奏を心がけました。

──言葉の乗せ方は気を配ったのでは?

浜端:テンポが良くないと曲が壊れてしまうので。しゃべるような感じ。普段しゃべっている時だってリズムやテンポ感ってあると思うので、それは大事にしました。僕は何を言ってるか分からないような譜割にはしたくないんですよ。言葉をたくさん詰め込んで、それが格好よく聞こえる曲もありますが、それって歌詞もサウンドの一部になってる気がするんです。僕は、歌詞は歌詞としてちゃんと聴こえてほしいなと思って書きました。

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