【インタビュー】植田真梨恵、夏シングルに「“気持ち悪い！”っていう瞬間が気持ちいい」

■違和感と“それがいいんだよね”っていう気持ちよさ
■私が曲の中で一番大事にしたい部分がBメロです

──この「クリア」はシンプルな曲だと思いますが、植田さんの楽曲の場合、メロディやサウンドでも、どこかに何回転かヒネリが入ってくるように思うんですね。だから最初に言っていたみたいに、ほかの人が歌えないような感じにもなってしまうというか（笑）。

植田：あはははは。何回転かしてます？（笑）。

──ポローンと爪弾いて作ってるような曲じゃないように聞こえるんですね。作っている間に想像がどんどん広がってそうなるのか、もっとテクニカルなことで面白くしたいと思っているのか、どうなんでしょう？

植田：私自身が音楽に一番気持ちよさみたいなものを感じるのが、“うわあ、気持ち悪い！”っていう瞬間だったりするのかもしれない。その気持ち悪いっていうのは、パクチーみたいなもので（笑）。

──ちょっとクセになっていくタイプのものですね。

植田：そうです。違和感と“それがいいんだよね”っていう気持ちよさ。私はそれが好きだから、曲の中にパクチーを入れないことはあまりできないのかもしれない（笑）。でもちょっとですよ。だいたい私のパクチーが発揮されるのはBメロなんです（笑）。で、私が曲の中で一番大事にしたい部分がBメロです。

──なるほど。Aメロの入り口とは違ったものにしたい？

植田：知らないうちにクセになってくれたらすごく嬉しいんですけどね、私の大好きな感じを（笑）。

──それがこだわりというものですかね。

植田：なんかこういう話したことないから、恥ずかしいな（笑）。例えば「ミルキー」という曲があるんですけど、これは“ミルキーはママの味”っていうCM曲をマイナーキーにして、“ミルキーな生の足”と歌っているという。“生の足”って歌いたかっただけで作った歌なんです。でも、全部変な歌だったら絶対リリースさせてもらえないと思ったので、私の恋愛感情をしっかりと歌詞に書いて。まっすぐにサビが歌える曲じゃないと、“生の足”は歌えないぞと。

──どうしてもそれが歌いたいほど真剣だったと。

植田：はい。今もそういうところは全然変わってない（笑）。だから、つまんなかったり退屈だなと思ってる時に、“なんだこれ？”っていう歌が耳に届いた時のワクワク感ってあるじゃないですか。“何が起こってるんだ？”みたいなものに私は心動かされるので、ある程度、思いついたことは歌っておきたいなっていうのはありますね。そこを好きになってくれる人もいると思うし、そうなってくれたらフェチとしては嬉しいですね。“お、わかるな”と（笑）。

──3曲目にはシングルとしてはお馴染となった弾き語り曲が今回も収録されています。「夏の日」は10代の頃に作った曲だそうですが、3曲ともに夏をイメージしたシングルとなりましたね。

植田：そうですね。「夏の日」はこのカタチが完成形だったので、弾き語りで入れるべきだなと思って。私にとっては「わかんないのはいやだ」も夏ソングで、「クリア」も夏ソング。であれば、アートワークすべて含めて、夏のシングルとして手に取ってほしいなと思って、この曲を入れました。

──これまでライブでも披露してなかった曲なんですよね？

植田：忘れていたこともあるし、私にとって日記的過ぎる曲なんですよね。誰かに何かを伝えたくて書いたものではまったくない。でも、夏になるとふと思い出したりする曲だったんです。子どもの頃の楽しかった思い出とか、家族で夏に海に行ったなぁとか、そういう気持ちで書いている曲。私のなかですごくきれいな、いい思い出の1ページなんです。なので、夏っぽいシングルに入れたい1曲でした。

──ジャケットも夏テイストが全開ですね。

植田：これは、ベットを公園に持ち出して撮影したんですけど。コンセプトはカレーが食べたくなるようなアートワーク。ジャケットもそうですし、中面も全部カレーが食べたくなるように。

──なぜカレー？（笑）。

植田：夏と言えばカレーでしょ？　カレー食べると元気になるじゃないですか。今回のジャケットはテーマカラーにもイエローが含まれてるんです。黄色のリネンとかコットンがあって、夏の濃いグリーンがキラキラしてる。イエローとグリーンがキレイに合わさっている感じがメチャクチャ好きなんです。麻とかが風になびいてる様子とか、めちゃカレーと合うじゃないですか（笑）。

──それで額にインド的な装飾を付けてるんですか？

植田：それもあるんですけど。でも私、十代の頃から夏になるとわりとよくビンディを付けてたので。ベットはずっと使ってきたものを最期として使ったんですけど、小物はいろんなものを一生懸命自分で集めてきたんですよ。シーツはマライカ（エスニックショップ）で買ってきました。カレーっぽいでしょ（笑）。

──ちょうどこのシングルのリリース前にはアコギでのワンマン＜たったひとりのワンマンライブ vol.2＞もありますね。ギターを本気で練習しようという思いもあるようですが、こういった弾き語りライブの楽しさだったり、楽器としてのギターの面白さが出てきましたか。

植田：弾いてはいるんですけど、完全な自己流なので練習の仕方がよくわからないんです（笑）。ただ、家にいるときはできるだけギターを触るようにしています。

──植田さんのギター弾きとしての理想像っていうのはどこにあるんですか。

植田：それに関しては葛藤なんですよね。今日のところはシンガーって思ってるんですよ（笑）。

──今日のところはシンガー？

植田：最近なんとなく、ある程度の直感みたいなものを信じようと思っているんですけど、その勘でいうと今日のところでは、シンガーですね。いつか唯一無二の歌を歌いたいんです。でも、どんどんギターも好きになっているので、練習しようと思います。あくまでわたしは歌に目覚めたということにしか自分では自信を持って言えないので、今日のところはやっぱりシンガーです。

取材・文◎吉羽さおり







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