【超マニアック対談】大鷹俊一×髙嶋政宏がキング・クリムゾンを語りつくす

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「ロバート・フリップは最高の演出家(髙嶋政宏)」
「変人という感覚はない(大鷹俊一)」


すでにお伝えした通り、8月31日に発売されるキング・クリムゾン『ラディカル・アクション~ライヴ・イン・ ジャパン+モア』のリリースを記念するスペシャルイベントが8月13日(土)に開催された。そしてこのイベント終了後、音楽評論家の大鷹俊一と“スターレス髙嶋”こと俳優の髙嶋政宏の二人によるスペシャルな対談が行われた。イベントでも深い“クリムゾン愛”を見せた二人が、さらにディープに熱く語り合った対談の様子をお届けしよう。

◆大鷹俊一×髙嶋政宏~画像~

■クリムゾンって時期とか狙いによってまったく違う乗り物になるんですよね(大鷹俊一)
■ロバート・フリップは完全に演出家ですね。弾きながら全部見ている(髙嶋政宏)


髙嶋政宏(以下、髙嶋):今回は、大鷹さんと一緒のイベントというのがホントにうれしかったです。以前、初めて大鷹さんにインタビューしていただいたのが…。

大鷹俊一(以下、大鷹):もう10年くらい前ですかね。

髙嶋:中学のときからずっと聴いていたレコード、そのライナーを書いていた大鷹さんということで、そのときもすごくうれしかったです。

大鷹:僕もとにかく楽しかったのが印象に残っています。

髙嶋:『レッド』とか、ジョン・ウェットンとビル・ブルーフォードが在籍していたときの話ばかりしていた自分が恥ずかしいです。


▲『ラディカル・アクション~ライヴ・イン・ ジャパン+モア』

大鷹:いやいや、そんなことない(笑)。

髙嶋:最近はイアン・マクドナルド、ボズ・バレル、メル・コリンズ、そのへんの人たちがいる時期がいいと思うようになっているんですよ。

大鷹:おお!

髙嶋:ボズ・バレル在籍時のライヴなんかすごいですし、『アイランズ』とか、その前のゴードン・ハスケルがいた頃の『リザード』、『ポセイドンのめざめ』とか。以前はあまり聴いていなかったんですが、ちょうどポーキュパイン・ツリーが好きになったころに、スティーヴン・ウィルソンが“好きなアルバムは『アイランズ』なんだ”と言っていたんです。それで改めて『アイランズ』から聴いてみたら、これはいいなって思って。

大鷹:その前は全体的にさらっと押さえる感じで?

髙嶋:まんべんなく聴くクリムゾンファンではあったんですが、とくに『レッド』、『太陽と戦慄』、『暗黒の世界』、『USA』、『ディシプリン』といったあたりでした。

大鷹:クリムゾンってメンバーが色々変わったせいもあるんだけど、時期とか、そのときの狙いによってまったく違う乗り物のような印象なんですよ。

髙嶋:ホントそうですよね。

大鷹:エレガントなクラシックカーとか、獰猛なダンプカーみたいなときもあるし、ジェット機みたいなときもある。それでいうと今回の『ラディカル・アクション~ライヴ・イン・ ジャパン+モア』は豪華客船みたいなイメージを受けます。


▲髙嶋政宏

髙嶋:近年のクリムゾンの最高傑作じゃないかと思いますね。もともとのキング・クリムゾンを、まったく新しい形でよみがえらせたという。

大鷹:収録曲のタイトルだけ見ると、また以前の曲をやってるじゃないか、懐かしいところだけでやってるんじゃないか、と受け取る人もいるかもしれないけど、それはまったく違いますよね。

髙嶋:違いますね。一番印象が違うのが「レッド」。

大鷹:髙嶋さんは今日のイベントでも、そのことをずいぶんと(笑)。

髙嶋:あのリズムの作りがちょっと(笑)。どうしてあのプリミティブな方向に行ったのかな、と。

大鷹:でも古くからのファンは、髙嶋さんと同じような感覚で面白がってると思いますよ。3人のドラマーがいることによってこう来るのか、こういう手があるのかと、高嶋さんと同じようなスリルを味わうんじゃないかと思いますよ。

髙嶋:それにしても「イージー・マネー」の出来は素晴らしい!

大鷹:ほんとにすごいですよね。

髙嶋:クラブのプログレナイトとかだと、「イージー・マネー」はあまりかけられないんですよ。“余白”が多いじゃないですか。

大鷹:ああ、なるほど。

髙嶋:『暗黒の世界40thアニバーサリー・ボックス』のときの、5枚目のディスクに入ってる「イージー・マネー」。あれがすごくいいんですが、それでもフロアで流せる感じではない。でも、今回のは自信をもってかけられます。

大鷹:これを聴け!って感じですね。

髙嶋:あと僕、クリムゾンが何度目かの来日で人見記念講堂でやったときに、シークレットライヴに行って。そのときに、トレイ・ガンとパット・マステロットだけ新メンバーということでサインをもらわなかったんです。でも、今となってはパット・マステロットの“怪人具合”がもうクリムゾンになくてはならない存在になったなと。

大鷹:今回のセットはジェイミー・ミューアがなにか憑依したような感覚の部分もありましたよね。そして今回の作品が素晴らしいのは、映像があるという点です。何度でも見られるし、止めて見ることだってできるという(笑)。

髙嶋:映像を見ていると、ロバート・フリップは完全に演出家ですよね。弾きながら、ちょっと左を向いてるんです。全体がちゃんとできているか、全部見ているんですね。

大鷹:あと、フリップの手元までちゃんと見えるような映像というのも初めてですね。

髙嶋:よく見えるんですよね、クックックッて律儀に全部ミュートしてる!みたいな(笑)。

大鷹:そうそう(笑)。だから今回のCDと映像、というのは最高ですね。


▲大鷹俊一

髙嶋:ライトハンド奏法あり、最後のニンマリありで、見ているとたまらないです。始まる前の“クリムゾンを楽しむための3つ”から始まって、ビル・リーフリンが“ミスをするのは最高に楽しいんだ、どうしようもないひどい演奏をするほうが、いい演奏をするより楽しい”なんて冗談を言ったりするし。そういえば僕、一度だけロバート・フリップに会ったことがあるんですけど、そのとき彼は女の子をはべらせていて。

大鷹:それはプライベートで?

髙嶋:シークレットパーティーです。彼は俳優もやってるんですよって紹介されたら、“名声を楽しんでるかい?”と言われたんです。そのときの印象が、デイヴィッド・シングルトンが“変人のロバート・フリップと会ったことはない”と言っていましたけど、それと同じだなと。

大鷹:それは僕もよくわかりますよ。僕は今までインタビューを2回しましたけど、とにかくジェントルマン。変人という感覚はないですね。最初に会う前は、厳しい人なんだろうなと思っていましたけど、インタビューする側が勝手にそういうイメージを持ってしまうんでしょうね。2回目のときなんか、インタビューのあとで写真撮影をするとき、自らギターを持とうか、なんて言ってくれて。撮影用にギターを持ってきてくれているんですよ。一般的にはそんなイメージまったくないですよね(笑)。

髙嶋:気に入らないとインタビュー中断、なんて噂もありますけど。

大鷹:いや全然そんなこと考えられないです。ちゃんとこちらが聞きたいことには真剣に答えてくれますよ。ただ、煙に巻くやり方が上手いというのはあるかもしれませんが。あと彼はすごく色々なことを記憶している。ボックスセットにある資料みたいに、彼の中のデータベースはかなりすごいものなんじゃないでしょうか。

髙嶋:今回の作品が面白いのは、たとえばクリムゾン・プロジェクトがクラブチッタでやったときに、目を閉じると昔のクリムゾンのサウンド、でも目を開けるとなんだこれ?(笑)って感じでしたけど、今回はその逆だということだと思うんです。

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