【音踊人25】次世代イケメンバンド、絆と決意の日 RED DOG×QoN×アマリリスレコ発（坂井彩花）

暦の上では立秋を迎えたが、秋の気配など微塵も感じない。太陽はその日差しを突き刺し、アスファルトを焦がし続ける。そんな狂気的な太陽にも負けない熱いイベントが、8月10日横浜Bay Jungleで行われた。＜東から昇った太陽は西からも昇る＞と銘打たれたアマリリス、RED DOG、QoNによるトリプルレコ発である。盟友のレコ発を祝いに、アビルシティとteliottも駆けつけ豪華な顔ぶれが並んだ。男たちの熱い夜は激動と共に、刻一刻と過ぎていく。そして、主役の3バンドの登場となった。

赤い照明に照らされて登場したのは愛知のREDDOGだ。岡田（Vo）の「行くぞ！横浜！」という掛け声に共鳴し、会場は掲げられた手で溢れかえった。みんなで飛び跳ねるアップチューンな「Miss You Baby」から、フルパワーな演奏で魅せつける。「WINNER」では西川（B）が会場をあおり盛り上げ、「BRAVE」になってもその勢いは衰えるどころか加速し続けた。メンバー全員が満点の笑顔で、その楽しさがフロア全体に感染していたことは間違いない。その後もポップな曲調に優しい歌詞がのった「ハルカ」、青春感が漂うメロコア調の「スカイウェイブ」と続けていく。「DISTANCE」はクールなタム回しでスタート。思わず頭を振りたくなるような激しい曲で、会場の熱は最高潮だ。ポップソングが多い彼らにとって割と挑戦的な曲である印象だったが、難なくパフォーマンスをしてみせる。エモーショナルなイントロで始まったのは「アイリス」。ミディアムテンポなナンバーで、泣きメロなギターが冴えわたる。終曲後、会場中の瞳が潤んでいたのは言うまでもないだろう。こうしてREDDOGは、最高のかっこよさという爪痕を残したのだ。

この日だけの特別編成で舞台に舞い降りたのはアマリリス。ステージ上でいつもより多い6つの拳を突き合わせ、ショータイムの始まりだ。封を切ったのは、彼らの定番曲である「無重力トンネル」。妖艶なギターソロが魅惑的な曲で、それに乗る二本柳(Vo)の優しく透明な声がまた絶妙である。ニューアルバムに収録されている「ダ・カーポ」、怪しげなアルペジオにより導かれる「ヒュールレイ」と進んでいく。二本柳がピンボーカルで歌う「スパイス」では、美声を鳴らしボーカリストとしての本領を発揮した。ムーディーな曲調に乗る、がなりあげるような歌声に、思わずドキリとさせられる。続いて披露されたのは、新曲だという「ToyBox」だ。初披露ということで少し緊張した面持ちだったが、演奏が始まってしまえばそんな事実はどこかへ飛んで行ってしまっていた。締めの1曲となったのは、先日MVが公開された「Life is Beautiful」だ。アダルティな曲調に、二本柳の声がよく引き立つ。みんなでアイコンタクトを取り、満足そうに笑う姿がとても清々しかった。「楽しかった、ありがとう！」と告げ、次のバンドにバトンを渡した。

ラストを飾ったのは楽しさの伝道師であるQoNだ。大きな掛け声で気合いを入れたかと思うと、メロコアサウンドの「Glory Days」からぶっ飛ばす。髪を振り乱す一心不乱な演奏は、視覚的にも人々の心を刺激した。一方で「Prologue」では、歌詞を届けるように丁寧に歌い上げる。しっとりしたイントロとエモいメロとの対比を激しく「流星群」をパフォーマンスしたかと思えば、攻撃的なビートを「Prime」で鳴らす。ギャップがあったり、ちょっと強引だったりと女性ファンが多いのも大いに頷ける。締めの曲となったのは、爽やかな青春ロックの「Message」。「ラララ…」と歌う部分では、会場中で大合唱となった。幸せムードに会場は包まれ終演かと思われたが、観客の要望により彼らは再びステージに舞い戻される。アンコールに披露したのは「Sign」だ。大人っぽい空気感のある切なくも優しい曲で、一人一人の目をのぞき込むように届ける姿が、とても印象的だった。「歩いていこう、信じた仲間と共に」と紡がれた歌詞は、彼らの決意そのものと言っても過言ではないだろう。

5バンドが熱い絆と音をぶつけた夜は、大盛況のうちに幕をおろした。薄っぺらな“ツナガリ”が横行している現代だが、本物の“友情”が此処に存在していたことは間違いない。より大きなステージで彼らのライブが見られるのが楽しみだ。


10月14日（金）には、下北沢MOSAiCにて同イベントのファイナルが開催される。次世代のロックシーンに乗り遅れたくなかったら、見に行くほかないだろう。


　　　◆　　　◆　　　◆

■音踊人(Odoru-Beat)とは？

音踊人は、みなさんの「音楽体験」を募集しています。

ライブレポートやディスクレビュー、お気に入りアーティストの紹介や、お勧めライヴハウスの紹介など、音楽にまつわるモノならなんでも構いません。

あなたの「音楽体験」で新たな音踊人が増えるかもしれません。BARKSと一緒に音楽を盛り上げましょう。

　　　◆　　　◆　　　◆