【インタビュー】谷山浩子、可愛いけど怖い、美しいけど奇妙、ファンタジーだけどリアルな谷山ワールドへようこそ

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こんな谷山浩子を待っていた! ファン待望、6年ぶりのオリジナル・アルバムがリリース。タイトルは『月に聞いた11の物語』。他アーティストへの提供曲のセルフ・カバー4曲、ライブで披露済みの2曲、そしてまっさらの新曲が5曲と、新曲率の高さもうれしいが、なんてったってうれしいのは、1曲ごとの完成度の高さ。可愛いけど怖い、美しいけど奇妙、ファンタジーだけどゾクッとするほどリアル。谷山浩子らしさを存分に詰め込んだ楽曲を、初顔合わせを含む4人のアレンジャーが見事に料理。デビュー45周年を飾るにふさわしい、新たなる名作が、たった今この世に生まれ落ちた。

◆谷山浩子~画像~

■ファンの方から毎年「オリジナル・アルバムはまだですか?」と聞かれて
■つらい思いをしていました(笑)。それがやっと今回リリースすることができました


――6年ぶりになるんですね。その間にもいろいろ出してらっしゃったから、そんなに空きましたっけ、という感じですけれど。

谷山浩子(以下、谷山):そうなんです。ROLLYさん(THE 卍)とやったアルバムが2枚と、栗コーダーカルテットさんとのアルバムと。それぞれ新曲がちょっと入ってましたけど、昔の曲が多かったので、オリジナル・アルバムではなく企画ものという位置づけで。

――でも、作る側としては、大きな区別はしてないですよね。

谷山:そうですね。ただ、ファンの方は区別をしていて、毎年「オリジナル・アルバムはまだですか?」と聞かれて、つらい思いをしていました(笑)。それがやっと今回、ですね。

――今回は、本当に素晴らしいです。特に、谷山さんの暗黒面(笑)が好きな人は、狂喜すると思いますよ。そういう曲がいっぱい入っている。

谷山:そうなんですよね。やっぱり、好きに作るとそうなっちゃうのかもしれない。うれしいですか?


――もちろん! 1曲目から「うわ、来た!」みたいな(笑)。そういう意味で、前作『夢みる力』は、可愛らしい曲が多めだったとは思います。

谷山:白っぽい感じでしたね。

――今回は黒っぽいです。アルバム全体のカラーというのは、最初から見えていたんですか。

谷山:やっぱり私は、物語性の強い歌が好きなんですよ。だから、好きなものを選んでいると、どうしてもそっちに寄ってしまう。6年ぶりだから余計に、自分の好きなことをやってもいいかなと。

――『月に聞いた11の物語』というタイトルは、どんなイメージで?

谷山:アンデルセンの『絵のない絵本』を思い浮かべたんです。アルバムに収録する曲のデモを聴いている時に、ああいう、一編ごとがとても短い話がたくさん入っているアルバムになったらいいなと思って。『絵のない絵本』は、語り手が月なので、それをちょっと意識しました。

――実際、月という言葉もたくさん出てきますし。

谷山:あ、出てきますか。じゃあ良かった。

――ええっ(笑)。だから、このタイトルにしたのかと思っていました。意識してないですか。

谷山:していないです。どこに出てきたかな?っていうぐらい。

――けっこう出てきますよ。「パズル」「城あとの乙女」「秘密の花園」、「螺旋人形」は一行目が“月ねじれて夜ねじれ”ですし。

谷山:あ、ほんとだ。

――偶然だったのか(笑)。そして、今回のアルバムの最大のポイントは、なんといっても豪華なアレンジャーのみなさんでしょう。初顔合わせの蓜島邦明さん、寺嶋民哉さん、おなじみ石井AQさん、ROLLYさんのからくり人形楽団、そして新居昭乃さんとのデュエット曲のアレンジは保刈久明さん。みなさん、谷山さんのご指名と聞きました。

谷山:はい。前から一緒にやってみたいなとは思ってたんですけど、AQと一緒に作るパターンが定着していたので、つまり同じシンセ使いの方たちなので、なかなかお願いする機会もなく。でも今回は、「アレンジをいろんな人に頼んでも大丈夫ですよ」と言われたので、お願いすることになりました。蓜島さんは、『世にも奇妙な物語』のテーマ曲が有名ですけど、『クーロンズゲート』という、私が未だに一番好きなゲームの音楽を作られていて、あのゲームの独特の吸引力は、音楽の力だなというふうに思っていたので。『クーロンズゲート』の音楽は、本当にいいんですよ。打ち合わせの時からずっとその話をしていたので、「螺旋人形」とか、すごく『クーロンズゲート』っぽい音を入れてくださっているんです。

――わかります。民族楽器なのか電子音なのか、不思議な音があちこちでふわふわしている。

谷山:そう、断片がふわふわしている感じがいいんですよね。ちなみに蓜島さんは、すっごいよくしゃべる、お茶目な方なんです。私の中では、加藤一二三さんと同じタイプという(笑)。

――ひふみんと同じタイプ!(笑) それは楽しそう。

谷山:そして寺嶋さんは、『ゲド戦記』の時に、映画の音楽と同時に、手嶌葵さんの「テルーの唄」の、シングル・バージョンのアレンジをしてくださってます。映画の中ではアカペラですけど、予告編ではシングル・バージョンが使われていて、途中でシンセ・ストリングスが出てくるんです。その音がウワーッと広がった時に、夜空には満点の星、というシーンがあって、それがものすごく良くて、広がり方がハンパじゃなかった。予告編を何度も見たんですけど、見るたびに涙が出てくる。なので今回は、寺嶋さんの広がるシンセ・オーケストラを、存分に味わうことができるようになっています。

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