【インタビュー】YOSHI、多才で奔放な17歳のピュアすぎる生き方と信念

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世界の名だたるファッションデザイナーが新世代のポップ・アイコンとして注目し、一躍その名が知られるようになったYOSHI。国内では昨年公開された映画『タロウのバカ』でいきなり主演に抜擢されて俳優デビューし、最近はテレビ番組でのやんちゃな動向が話題になったりもしていた。音楽の面では、自ら楽曲制作にも携わり、アートワークも手掛けたアルバム『SEX IS LIFE』で昨年デビュー。最新作「VOICE」は、3月下旬からPanasonicの完全ワイヤレスイヤホンのCMとしてもオンエアされる。そんな多才で奔放な17歳、YOSHIってどんな人?ピュアすぎるその生き方や信念を聞いた。

■僕、常に僕自身を俯瞰で見ているんです
■人に憧れてしまってはダメだと思っています


――YOSHIさんはまだ17歳なのに、新旧問わずいろんな音楽を知っていますよね。

YOSHI:今となってはサブカルと言われるのかもしれないけど、いわゆるカルチャーそのものが好きなんですよ。僕、30代後半以上の人としか付き合いがないんです。上は78歳。地元の銭湯で知り合ったおっちゃんなんだけど(笑)。

――ある意味、交友関係は幅広そうですね(笑)。

YOSHI:人として、育ちきった人のほうが気が合うんですよね。誰が何歳であったとしても、自分より上でも下でも、みんな同じ人間だからなって思うんです。肌の色が違っても、住んでいる国が違ったとしても、同じ人間だし、同じ地球じゃないですか。街並みは違いますけどね。でも全部一緒だと思っていて。同じ人間同志、助け合おうぜって思っているんです。

――そういう考え方は、例えばだけどご両親の影響だったりするんですか?

YOSHI:両親じゃないんです。僕は、全部自分。

――「全部自分」?

YOSHI:じゃあ僕のルーツから話しますね。まず、僕は小学6年生の頃にミニ四駆をやってたんですよ。その頃から大人との付き合いがすごく多かったんです。で、たまたま知り合いが「リック・オウエンス(Rick Owens)」とか「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」の服を着ていて、瞬間的にファッションって自分を表せるものなんだと思ったし、すごくかっこいいなって思ったんです。それでファッションが好きになって。最初に行ったのは、池袋の「ライトオン(Right-on)」でした。誕生日に、お母さんに「アルファ(ALFA)」のMA-1を買ってもらったことも覚えています。

――それは自分で「欲しい」と言ったんですか?

YOSHI:そうです。3万円ぐらいだったんですが、お母さん、全然買ってくれなくて(笑)。だから僕、3時間に及ぶプレゼンテーションをして買ってもらいました。そんな感じでファッションに興味を持って、原宿にも行くようになるんですが、(オフ-ホワイト南青山店のグランドオープンに)「オフ-ホワイト」の腰に巻くベルトを首に着けて行ったらヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)がいて、「お前なんだそれ、ヤベェじゃん」ってことになって。その翌日ですよ。朝起きてインスタを見たら、僕のフォロワーが15,000人になっていた。


――オフ-ホワイトのデザイナー兼ルイ・ヴィトンのディレクターであるヴァージル・アブローさんが、YOSHIさんと一緒に撮った写真をインスタにアップされたんですよね。

YOSHI:あまりの出来事だったから、逆に「…ん?」って感じでしたけど(笑)。

――びっくりを通り越して(笑)。

YOSHI:そんな例外ってあり得ないから、たくさんの事務所から声が掛かりました。でもその時まだ13歳だったから、男としてというか、上司が部下に教える1から10の社会の決まり事とか、人に対してのリスペクトとか、そういうのがまだわかっていなかったんです。もちろん仕事にしてレベルアップしていくことは悪いことじゃないと思うけど、あのままで進んで行って、崩れるのは絶対にダメだと思ったんですよ。まずはしっかり1人で、1人の男として頑張らなきゃいけない。だって社会に出たら、年齢は関係ないじゃないですか。実力。上がっていく者は上がっていくし、実力のない人は下がっていく。それが社会。だから面白いんですけどね。そこから僕は、まずアンダーグラウンドの世界で全てを学ぼうと思いました。いろんなことを厳しく教えてもらいながら、毎日企画書を書いたり、先方とメールでやりとりしたりしながら自分の仕事は自分で取ってくる日々になりました。

――だから「全部自分」だったんですね。

YOSHI:僕、常に僕自身を俯瞰で見ているんですね。よく「憧れている人はいますか?」と聞かれるんですが、僕、いなくて。というのも、いくらセブン・セコンズ(Seven Seconds)とかシド(Sid Vicious)に憧れても、僕は絶対にその人にはなれない。だけど、シドも俺にはなれない。人間にはひとりひとりの良さがあるんだから、逆に僕は、憧れてしまってはダメだと思っているタイプなんです。これは、今でもそう。自分の信念として強くあります。

――説得力ありますね。

YOSHI:だから、ギャップがあるんですよ。テレビとかではすごくバカだけど、根っこはすごくマジメ。バカな自分は、暴走列車みたいに右も左も関係なく前に進んでいるけど、それを俯瞰で見ている、とんでもなく天才な自分がいるんです。人からもよく言われます。「お前めっちゃバカだけど、めっちゃ天才だね」って。あまり自分で言うことじゃないかもしれないけど、すごく極端なんです。メシも、ファストフードか五つ星のフレンチ。小学校でもそうだった。とことん嫌われるかめっちゃ好かれるか。だから今回の「VOICE」という曲も、歌い出しの「I hear you now」、その1フレーズであなたのハートに思いっきりグサッとくるのか来ないのか、それだけだと思っています。


――なるほど、潔い。

YOSHI:でもこの前、人生で初めて「憧れる」っていうことを経験したんです。それがさっきの78歳のおっちゃん。すごく心優しくて、78歳とは思えないくらい元気で、心が歳をとっていない人なんです。俺もこういう風に生きないとなって実感したんですよ。年齢って関係ないと思っていたけど、本当にそう思えた瞬間だったんです。テレビに出て、目上の人にはどうとかってよく言われますけど、僕はそんな表面的なことはクソ食らえと思っているタイプで。人間もそうだけど、カルチャーとか全てのものに対してしっかりリスペクトを持って接すれば、なんでもOKだと思うから。僕は2003年生まれなんですが、自分が2003年に生まれたかったかって言われたら、それって自分では決められませんよね。そう考えると、リアルな年齢って世の中に存在しないんじゃないかなって思うんです。

――リアルな年齢は、ただの数字に過ぎないと。

YOSHI:そう。仕事の経歴の差はもちろんありますよ。この人はお金があって、この人は権力があるとか。でもそういうのはどうでもいい。単純に人として見たときに、この人って生き方がすごく素敵だな、かっこいいなって思える人としか友情関係にはなれない。

――だから、肌の色も住んでいる国も関係ないというさっきの話になるんですね。

YOSHI:そうそう。みんな同じ人間だから助け合おうぜっていうこと。それを体現できるのって、日本では僕しかいないと思っています。というか、僕の周りにはそういう人しかいないし。みんなすごくいい人だし、みんなとすごく仲がいいし、家族みたいな存在。100%信用している。

――そこが軸にあるから、交友関係も広がるんですね。

YOSHI:そうなんですよ。素敵じゃないですか、それって。土臭くて、ちょっとやさぐれてるくらいがいいんですよ。僕はそこが好きです。さっきの、1から10の上司が部下に教えることの話に戻りますけど、あの時にひとりの男としてそういうことを学んでいなかったら、絶対にここには立っていなかったと思いますしね。

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