多彩な顔ぶれで盛り上がったレゲエ・フェスティバル

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多彩な顔ぶれで盛り上がったレゲエ・フェスティバル

オーガナイザーが“地球上で最高のレゲエショウ”と呼ぶ、年に一度のジャマイカ音楽の祭典Reggae Sumfestが開催された。レゲエのベストメンバーによる演奏に加え、ラップとR&Bの世界からも強力なパフォーマーが彩りを添え、今年も観客は大きな満足を得たようである。

モンテゴベイの野外アリーナCatherine Hallで行なわれた通算8回目のフェスティバルは、一週間ずっと雨の降らない好天とゴージャスな月明りに恵まれていた。

▲Bounty Killer
だが、エンジンが本当に高速ギアに入ったのは、8月3日の木曜日に行なわれた“Dancehall Night”からであった。Bounty KillerCapletonLexxus、Mr. Vegasといった人気のダンスホール系パフォーマーがショウのトリを務めたほか、Baby Cham、Harry Toddler、Elephant Manなど新進アーティストも出演した。

この日の夜に起こった最初の印象的な場面は、“貧困から抜け出すためならあらゆる手段を使え”という過激なメッセージで“War Lord”の異名を取るアーティストBounty Killerによる「Look Into My Eyes」である。

黒のスーツと頭巾でシャレ者の殺し屋のように扮したBountyは長時間にわたって楽しめるセットを展開したが、ハイライトは「Show Me Dem」「Bullz Of Chicago」といった自身のヒット曲であった。

最後に論争を呼んでいるCapletonが旗振りのラスタたちにエスコートされてステージに登場、Dancehall Nightの早すぎるエンディングを飾った。

歌詞を吐き出すときに「もっと炎を」と叫ぶことで知られるCapletonは目的を充分に達したようだった。オーディエンスの一部がライターやエアゾール缶を振り回し、衣類やボール紙(野外コンサートの常連客がオールナイトショウの間に眠るために使うのでジャマイカでは“レゲエベッド”と呼ばれている)の破片など何でも手近にある物に火をつけたのである。

ステージに繋がっているケーブルの一本にも火がついたことは明らかで、ショウが午前5時30分ごろに突然終了したことと何か関係があったのかもしれない。信じられないだろうが、こんな終了時間はReggae Sumfestにとって早すぎるのである。

▲Wyclef Jean
8月4日の金曜日は“International Night”であった。Grammy受賞のラッパーWyclef Jeanは、40分間にわたるセットで観客を熱狂させた。いつものように彼は宙返りをしたり、自分のヒット曲や他人のレパートリーに合わせてラップをするときに観客席に飛び込んで見せたりした。

だが、Wyclefと音楽ファンの両方がFugees時代に元ガールフレンドのLauryn Hillと一緒に演奏している彼の姿を懐しがっていることを感じざるを得なかった。DJがHillのヴォーカルをフィーチャーしたFugeesのレコードを回して、それに合わせてWyclefがラップしているのを聴くのはちょっと不思議な気分であった。

その奇妙な感覚に拍車をかけるように、彼はニューアルバム『Ecleftic』から「Fugee This, Fugee That」という新曲を続けて披露した。この曲の中で彼はLaurynと元Fugee Prasの面面に、再結成したいときにはいつでも呼んでくれと訴えているのだ。

▲Beenie man
その夜はBeenie Manも出演、ショウのテーマソングとも言える「Badder Than The Rest」でセットをスタートさせた。

彼はパフォーマンスの途中で何度か、過去に自分の悪口を言ったことのあるCapletonをなじりたおした。Capletonのことを預言者と信じるラスタ教徒の多くは、行く先々でCapletonをこきおろし続けるBeenie Manに対して「やりすぎだぞ」と叫んでいた。

Beenieは「Memories」「Fire Burn」といった他の人気曲も数多く披露したほか、映画Dancehall QueenのスターCarlene Davisをステージに上げて、俺の彼女と紹介し甘いキスを贈るなどロマンティックな一面も見せてくれた。Beenieの最新の音楽面でのパートナーである人気R&BシンガーMyaは、彼のニューアルバム『Art AndLife』にフィーチャーされている「Girls Dem Sugar」でデュエットに加わった。Myaは本物のジャマイカ人のように見事にこの曲を歌い上げ、飛び入り出演を締めくくる前に披露した「Ghetto Superstar」のアカペラヴァージョンでは、彼女がどれほど素晴らしいヴォーカリストであるのかを証明してみせた。MyaはJanet Jacksonとはまったく違うのだ。

▲Jay-Z
Reggae Sumfestはレゲエ音楽が中心だが、最終日8月6日の日曜日にはJay-Zがフェスティバル期間中でも最高のパフォーマンスのひとつを見せてくれた。Jay-ZはMemphisBleekを含むクルーにサポートされてヒット曲を連発したほか、ステージ上を踊り回るときにはDJにDMXの曲を回させることによって、ニューヨークの最新型音楽をジャマイカの観客に聴かせてくれたのである。

そして「Big Pimpin'」のノリの良いヴァージョンでショウを締めくくる前に、Jay-Zは照明を落とすように指示し、観客に対してライターをかざして殺されたラッパーTupac ShakurとBiggie Smalls(後者はジャマイカ人である)へのリスペクトを示すように求めたのだった。

Sumfestの最終夜には現在「Deport Them」がアメリカのラジオ局で盛んにオンエアされているダンスホール系アーティストのSean Paulも出演した。Paulは優れたショウを見せたにもかかわらず観客の反応が何故だか静かだったのは、おそらく彼の声がダンスホール音楽で最もリスペクトされているパフォーマーのひとりSupercatに奇妙なほど似ていたことも一因であったのだろう。

いずれにせよ、Mr.Vegasが「Hot Gyal Today」に参加(Vegasが今年のSumfestに登場したのはこれで2度目)するころには、オーディエンスもPaulのことを受け入れていた。そして観客が最も熱狂的に歓迎したのは、ダンスホール系で最も有名なパフォーマーShaggyであった。

クロスオーヴァーヒットした「Boombastic」で国際的なスターとなった彼は、「Boombastic」や「Oh Carolina」の強力な演奏のほか、ニューシングルの「Dance And Shout」を披露してフェスティバル全体の大トリを飾ったのである。

観客の中にはしばらくヒットのないShaggyがSumfestのエンディングに選ばれたのを疑問視する向きもあったし、彼自身は大トリの大役を望んでいたわけではなかったという噂も流れていた。だが、優れたショウを見せることに対する彼の熱心さと一貫した能力を考えれば、イヴェントのオーガナイザーが彼を締めくくりに持ってきたのは極めて論理的な決定であったと言えるだろう。

Sumfestに参加した何千人もの人々が生の音楽に接していない時間には、食料から衣類、本から日用品にいたるまで、ありとあらゆるものを売っている80ケ所近い売店をチェックして回ることもできたようだ。こうした売店は、少なくとも今年に関する限り“地球上で最高のレゲエショウ”となった可能性は充分にあるフェスティバルに、鮮やかな彩りを添えていた。

by Anna Maria Gibson

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