『Freddie Mercury Collection 1973-2000』限定発売!

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21世紀を目前に『Freddie Mercury Collection 1973-2000』が限定発売された(DVDを含む全12枚組 価格3万円也!)。
この20世紀最後のQueen関連オフィシャル音源を、日本最強のQueenコピーバンド『KWEEN』のヴォーカル、ふれでぃ・えとう氏と、そして制作を担当された東芝EMIの森 俊一郎氏にレビューしていただいた。

「最初から最後まで、彼はアヴァンギャルドでしたね」
ふれでぃ・えとう氏(KWEEN)

これが国内版仕様のBOX

ご開帳



▲KWEENのふれでぃ・えとう氏
◆CD(1~6)について
廃盤になっていた『Mr.Bad Guy』が復刻的に出てきたこと、『BARCELONA』が今回リマスターされているがいいですよね。他に、コレクターにとっては『THE SINGLES』に収録されているExtended Versionもいいのかもしれないけど、リアルタイムで知っている人にはもしかしたらそれほど目新しくないかもしれないですね。

あと、やっぱり'73年にLarry Lurex名義で出したものが収録されているのもポイント。これは確かQueenとの契約関係で、Freddie Mercuryとして出せなかったもので、当時はフレディーのだと明かされていなかったはずなので、買い逃がした人も多いんじゃないでしょうかね。

◆RARITIES(7~9)について
スタジオで楽曲を完成させていく様子がなまなましく出てると思います。ヴォーカルトラックだけで歌っている最中の息遣いや口をあけた瞬間の音が聞こえる場面も多々ある。これは完成体では聞けないものです。

また、このCDには「LOVE ME LIKE THERE'S NO TOMORROW」が、Early Version、2nd Version、3rd Versionと入っているんですが、これを聴きながら、歌詞やメロディがどう変わっていって、最終的な楽曲になったか、その遍歴を辿るのがおもしろいですね! またブックレットにフレディー直筆の歌詞のメモ(「Love Kills」とか)が載っていているので、それと見合わせるとさらにおもしろいですね。

この3枚はビートルズのアンソロジー感覚かな。マニア向けものですね。それとここでもやっぱり感じられるのが、フレディーのヴォーカル・パワー。素晴らしい。アカペラになると、特にそれが感じられますよね。

◆インタビュー(10)について
意外とフレディーが普通にしゃべっている映像/音源ってないですよね。ここで感じたのは彼の独特のアクセント。ペルシャ、ザンジバル、インドを転々としてきたための独特のものなんでしょうかね。しかし、この人は言いたいことが多いんでしょうね、焦って言葉がつっかかっている部分があって、彼らしいですよ。

◆DVD1(THE VIDEO COLLECTION)について
この人はマイクをクッっと動かす小さな動きでも、一瞬たりとも気を抜いてないですね。「BARCELONA」の映像でも、モンセラ・カバリエがメインで歌っている箇所なのに、常に自分自身を意識して、緊張感とテンションをキープしつづけている。疑いのない、完成形のイメージがあるんでしょうね。それをキープしつづけてるのはすごいですよ。

◆DVD2(The Untold Story)について
話の内容としては、フレディーの生涯をたどった本『Freddie Mercury華やかな孤独』(リック・スカイ・著、中村美夏・訳/シンコーミュージック刊)を読んだ人には目新しくはないかも。でも、やっぱり映像ですよね。フレディーが映っているステージもの以外の部分は貴重じゃないですかね。最後の恋人、ジム・ハットンや、一緒に住んでいたこともあるメアリー・オースティンが語る映像というのは、初めて観ました。あと、当時のスタッフが出てくるのがいいですよね。スタッフが当時の様子を語り、それに関連する実際の現場などの映像がインサートされているのが、分かりやすいですよ。

これは家族や身近な人が中心に出ていて、バンドとは離れた人間フレディーの一生についてフォーカスが当てられて語られていますよね。今までで公開されてきた映像はポール・マッカートニーやエルトン・ジョンが語るフレディーのエンターテインメントの部分だったり、ゲイでありエイズで死んでいったバンドスターとしての行動をセンセーショナルに語られてきたものばかりでしたよね。ゆえに、このDVDは淡々と流れてコマーシャリズムが排されているけれど、そこが、ずっとQueenやフレディーが好きな人には目新しいと思いますよ。

◆ブックレットについて
写真としての目新しさはないけど、大きいのがいい。きれいだし。こんなハードカバーで写真集としてもアリですよ。ここでもフレディーの美的センスを思い知らされますね(笑)。

◆総評
『Mr.Bad Guy』、『BARCELONA』の復刻盤、CDの盤面違いがいいのかな。個人的にはやっぱりDVD。これだけで売ってほしいくらい(笑)。あとの音源、インタビューものはマニア向けであるのだけど、いろいろと散らばっている作品がこのBOXに一気にまとめてあるということで、BOXとしては◎。All in oneですよね。“アンソロジー”“ベストヒット”“ビデオ”“パチもん”すべて収容されている。それがこの大袈裟な化粧箱からも出ていて○。そういえば、昔、売られていたQueenの楽譜も化粧箱に入っていて、大袈裟だったなぁ(笑)。これさえあればフレディをある意味、把握できると思いますよ。

最初から最後まで、彼はアバンギャルドでしたね。アート・カレッジにいたという彼のセンスがまざまざと…! もう彼のすごみが伝わりますよ。こうやってプライベートな部分を知ったうえで、彼のエンタテインメントを見ると、フレディーという人は、自分で自分をデカくみせてますね。根拠のない自信を持っている! 「ああ、こうやりたかったんだ~、にしてもめちゃくちゃやりおるな~!」の連続(笑)。ロックスターの「何をやっても許される」「華やかな人は華やかであるべき」を貫いていて、いい意味でのおバカさん(笑)。その加減が愛すべきところですよ。本当、“大袈裟”という言葉が似合う人です。

ブライアン・メイって、スーパーギタリストとして、もうカッコいいじゃないですか。ギターという楽器を操るということでギター小僧からも多大な評価を受けるし。でも、フレディーというヴォーカリストは、歌は確かにうまい…だけど、マジメにカッコつけてて笑われちゃうんですよね。そう思うとやっぱり、Queenは絶妙なバランスだったんですね。そう思うとQueenでもこういうBOX出してほしいですよ。フレディー1人とQueenでは、出てくる音が違いますからね。

試写後ご満悦のふれでぃ氏
KWEENとしてはツボをいっぱい作れますね。ソロものはカヴァーしてないんですけど、照明や衣装の部分では参考になりますよ。やっぱりもっと派手にやらないとダメですね! 甘い(笑)! 僕は自分に自信を持ちきれてないですね。




ふれでぃ・えとう氏率いるKWEENの
ロンドン公演のレポートはこちら!

「21世紀にフレディーの凄さと、楽しさを…」
森 俊一郎氏(東芝EMI)

▲東芝EMI 森 俊一郎氏
この12枚組は約3,600セット輸入国内盤として制作しました。プラス純粋な輸入盤としても入っているようですね。もうCD店で在庫となっているのは少数と聞いています。初回限定なので、もうこれが売り切れたら“幻の…”ということになります。すでに買っていただいた方のほとんどは、待ってました!という方ばかりで。30,000円でけっして安くないんですけどね。あらためてフレディーのすごさを感じました。

そもそもこのBOXがリリースされたのは、やはり2000年というキリからだと思います。来年がフレディー10回忌なので、来年…という日本的発想もあったのですが、Queenの3人の意向、そして20世紀を代表するバンドの顔であるフレディーのボックスを出すならば2000年、ということなんだと思います。この話は去年の春からイギリスのEMIから話を聞いてました。

制作には時間がかかってましたね。僕は今年(2000年)の9月にロンドンへ行ったんですけど、やっと音源のリマスターが終わる、というところでした。DVDにいたっては全然できていなかったですからね(笑)。

僕のお薦めは『Mr.Bad Guy』がそのまま復刻されているところですね。やっぱりフレディーをミュージシャンとして考えると、オリジナルは大切にすべきだと思うんです。アウトテイクももちろんいいんですが、この場合は、ある種、"記録"ですよね。"愛"ある"記録"です。

21世紀にフレディーの凄さと、楽しさをこれで伝えられると思います。彼を伝説の人、のように扱うだけじゃなくて、本当に音楽を楽しむ姿勢がこれで伝わるんじゃないですかね。僕はオフィシャルな形で何度かフレディーには会ったのですが、快活な印象を受けましたね。でもプライベートではもっと深い部分もあるんでしょうね。

今後ですか? 現時点では何も耳にはしていないです。やるとするならば、Queen+(クイーン・プラス)――Queenの3人とフレディーの意志と、そしてゲストアーティスト(今までならばジョージ・マイケルやエルトン・ジョンなど)が参加してのユニット――なんでしょうかね。ジョージ・マイケルやエルトン・ジョンなどはそれぞれの活動があるだろうから、レコーディングやツアーなど無理なのかなと思うんですが。もしかしたら、盲点をついてまったく新しい新人シンガーを連れて来たりとか、まったく別の新しい企画のものになるかもしれないですよ(笑)。

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