ロックって意味のないことなんだけど、バンドで演ることは楽しいからね。

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ロックって意味のないことなんだけど、
バンドで演ることは楽しいからね。


前アルバム『jinni』(2000年3月リリース)がロングランで評判を博し、2000年は全国津々浦々、数え切れないほどのライヴを行なったDMBQ。そんな彼らが3/17にアルバム『ANNULAR MUSIC』をリリースした。

とにかく、DMBQは、視覚を伴うライヴなどになると<きわもの+テクニック+α>をフルに発揮する。
そして、アルバム音源になると“画”がない分、さらに<α>が際立つ。が、その“α=ロック”というには安易で、異質な感じを覚えるわけで…。

とにかくこのヘヴィなアルバムと、彼らの“怒涛のごとき”(数はもちろん質の意味でも)ライヴについて問い質すべく、取材を敢行! いざ出発!

テンションを上げる…!? DMBQはハイテンション禁止ですよ!


『ANNULAR MUSIC』

QUATTRO/RICETONE QTCY-74002
2,520(tax in)


1. Clockwise
2. Magical Relation
3. Exchange Blues
4. Speed-Beat
5. Halation
6. Counterclockwise



<ライヴ情報>

■REVERB SYNDICATE
2001年4月15日(日)
新宿Liquid Room
出演:DMBQ
   ORIGINAL LOVE
   あぶらだこ
〔問〕music mine 03-5728-3381


■ANNULER TOUR
2001年5月24日(木)下北沢Shelter
2001年5月26日(土)福岡VIVRE HALL
2001年5月28日(月)心斎橋CLUB QUATTRO
2001年5月29日(火)名古屋CLUB QUATTRO
2001年6月1日(金)札幌ベッシーホール
2001年6月3日(日)仙台MA.CA.NA.
2001年6月7日(木)渋谷CLUB QUATTRO
〔問〕QUATTRO/RICETONE LABEL  03-3477-5831


DMBQ オフィシャルサイト:
http://www.dmbq.net/



DMBQよりロンチメンバーへ最新メッセージが届きました!

▲(左から)松居 徹(G)と増子真二(Vo & G)
インタビュー・ルームに入ると、なんと机の上にはお菓子がいっぱい。一通り挨拶を済ませたあと、椅子に座わろうとすると、机の下には“薄め液”が横転。拾って机の上に置くと、松居 徹(G)が「あ、僕のだ」。何に使うのか訊いてみたら、「バイクのタイヤのホイールの脇に塗るんです。性能のためじゃなくて、見た目のため(笑)」。それを置いた机の上は、お菓子のほかにペンキも並んでいた。


『jinni』

QUATTRO/RICETONE
QTCY-74001
2,940(tax in)

1. Equipment
2. Mama Song
3. Girl Cream
4. Boom-run Rock
5. Mt.Lyered
6. Tell me
7. I Gotta Groove
8. Rain Language

――前作『jinni』が評判がよかったですが……。

松居 徹(G):
え? そうなんですか?

――ええ、ですよね。なので、今回『ANNULAR MUSIC』を作るとき、プレッシャーや気合の入れ方の変化はありましたか?

松居:
いや、全然なかったですね! 『jinni』から何が変わったわけでもなく。

増子真二(Vo&G):
アレから運転手つきでベンツに乗ってる、なんてことないですからね(笑)。

――6曲収録されていますが、ライヴでやっていた曲もありますよね。

増子:
そうですね。えっと、これ、全曲ライヴでやってますね。僕ら、新曲ができたら、とにかくすぐ演ってみたいんですよ。6曲目の「Counterclockwise」は1曲目「Clockwise」の基本部分を譜面に起こして、逆から演奏してみたもので、そこにまた音を加えているんです。そういったアイデアも、次、いつになるか分からないレコーディングまで待って温めて……っていうよりは、4人ですぐ音を出したい、ライヴでやりたいって思うから。

――なるほど。そもそも、曲はどうやって作っていくのですか?

▲ネットはお手のものの増子氏。
「辞書代わりや買い物などに使ってますね。ネットって絶対売ってないな、ってものが出て来たりしますからね! それがおもしろいですよ」
増子:
リフができたりとか、なんらかしらの曲の原型が僕のなかで出てきたら、それをメンバーに聴かせて、みんなでアレンジして、一斉に音を出して作っていきますね。

松居:
うん。基本的にうちのバンドって、リズム主体のバンドだと思うんですけど、しっとりしてる……、シンジくんの作ってくる曲って、全体的に湿ってる、艶っぽいって思うんですよ。だから、「水っぽい」とか、よくそういうのを意識して、イメージ膨らませて演奏してますね。最後、シンジくんが本チャンの歌詞を付けるんだけど、僕がイメージしたものに近い歌詞が乗ると嬉しいですね。

――今までに「ええ~、こんな詞、乗せちゃうの!?」っていうことはありませんか?

松居:
それはないですね! でも、そうなっちゃったら……、「これ、違うんじゃない?」とは言わないまでも、次の日から目を合わせられないなぁ(笑)。シンジくんの持ってるニヒリズム……っていうのかな、そこから外れたことはないですからね。

増子:
バンドを始めたころから、歌詞で何かを伝えようとは全然思ってなかったし、それに対して素直に行動していくと、なるべく意味のない、イメージ的な歌詞にならざるを得ないですよね。

――意味のない詞としても、その言葉を綴るとっかかりがあると思うのですが、それは本や映画で影響されたものから?

増子:
いやいや。仮歌のときは本当、でたらめ英語みたいに適当に歌ってみるんです。そこでひとつピタッと曲と符合する単語が見つけられれば、言葉のリズムや音節をメインに、イメージだけで広げていくんです。ある意味、照れの裏返しでもあるけど、歌詞が演奏を凌駕するのは、僕は許せないんですよね。

松居:
うん。失恋の歌とか歌って……一体どうするんだろうね!?


▲面倒くさいという理由でネット接続をしていない松居氏。
「でも、今度ケーブルTVから繋げようと思ってるんです。ま、今んところ、ネットショッピングはシンジくんに代行してもらってますんで(笑)」
――浸っちゃうんじゃないですかねぇ。では、DMBQにとって意味を持つものは、4人で出すサウンドでしょうか?

増子:
いや。……意味なんてなんもないんですよ。それでいいと思うんです。

松居:
うん。そういった気合はどこにもないですね。ライヴやリハでは裏メロだったものに、いざレコーディングしてみたら、そこに歌が乗っちゃいました~、みたいな作り方もしてるしね。

――では、タイトルの『ANNULAR MUSIC』(環状音楽)はどういった意味合いから付けたのですか?

増子:
漠然とだけど、DMBQって前々から立体感の中である音楽だと思っていたんです。それをアルバムのタイトルをつけなきゃってときに、改めて言葉として確認して、これがいいなと。

松居:
このタイトル聞いて、「ああ、なるほど!」って感じでしたね。すごく抽象的なタイトルであるようだけど……。

増子:
実はすごく説明的なタイトル。音の縦横の凸凹があるとしたら、それに加えて、前後の凸凹がある音にしていく。さらに肉付けして立体感を出すと。そういった感じで、4人で奏でる音を“圧”として出していくんです。

松居:
その中にも人間の適当な部分が出つつ、円運動みたいなのが出てくるんだよね。

――なるほど。なんか、そこらへんにDMBQのキモがあるようですね。では、ライヴですが、去年は『jinni』リリース後、全国各地のイベントを含め数多くやっていたようですが、実際、何本しましたか?

松居:
全然、憶えてないですねぇ!

――とにかく膨大な量でしたよね。DMBQのライヴはとにかく派手というか過剰なアクションが印象的ですが、それ行なうためにはテンションを上げないといけないと思うのですが……。

松居:
DMBQはハイテンション禁止ですよ!

――え、そうなんですか!?

増子:
ハイテンションって、これが一番ダサいと思うんですよね。

松居:
どんなに動いていても余裕で演奏できる状態じゃないとね。その上で「今日は変な顔してみよう」とか「片足で動いてやろう」って思うから。

増子:
だから、いつも普通にステージに出て、SE流れる中でチューニングしてるときは「あれ? 1曲目って何だっけ~?」「あ、タオル忘れちゃったよ!」なんてしゃべってますから。楽勝で演奏してないとダメなんです。

――じゃあ今、ここでおもしろい顔して、オーバーアクションしてくださいって言ったらできますか?

増子・松居:
「(即答で)できますよ!」

――そ、そうなんですね(笑)。こうやってお話を伺っていると、意外と音楽に対してクールですよね。ロックを拠り所としてないというか。

増子:
僕らが音楽を聴き出したころって、ロックに対する幻想はもうない時代でしたからね。ロックで世界を平和にするとか、ロックで桃源郷を作ろうだとか、そういうのが無意味な時代に突入した直後のロックを聴いていたから。だから、ロックでどうこうしようってのはまったくない。

松居:
でも、音楽的には魅力的だったから、レッド・ツェッペリンディープ・パープルがプレイする姿ってのは単純にカッコいい~!って思ってましたよ。ビデオとか、もう爆笑して観てましたから。

――爆笑?

増子:
バカバカしいまでの、あののめり込み方がね!

松居:
彼らはね、のめり込めるなんて思ってないんですよ。あれはのめり込んだ感じにいくってところで頑張っているんですよね(笑)。

増子:
俺らも、そこをライヴで目指しちゃうんだよね(笑)。のめり込むっていう点で、メンタルな面とフィジカルな面が合致するっていうか。それを毎回、獲得しようとして頑張っているのかもしれない。

松居:
それ、気持ちいいしな! 最後まで獲得できるかも!って感じで張り切っちゃう(笑)。

増子:
ロックって意味のないことなんだけど、バンドで演ることは楽しいからね。

松尾:
僕ら、ただ演奏してるだけなら権力主義的な音になっちゃいますもん。そんなん、好きじゃないですよね。芸術寄り芸能、みたいなところが自分でも好きだし、カッコいいと思いますしね。

取材・文●星野まり子

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