男=世良の歩む“音楽美学”

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あらゆる世代にMusician=世良公則の姿を!

音楽をクリエイトし、発表し、世に歌う。それがミュージシャンの基本型だが、自分にとってどんな音楽を訴え、そして続けるのか…という美学はさまざま。まさに十人十色である。

まるで不器用なまでに、自らの信じる音楽を踏みしめ歩み続ける世良公則の姿は、現在の音楽業界に於いて、我々の目には希有な存在に写る。

男=世良の歩む“音楽美学”とは、いかなるものか。

ミュージシャンとして、男の美学を貫く時…


『nobody knows』

SPICULE/tokiola TLSP-0226
¥2,500(tax in) 発売中!

1. nobody knows
2.ゼッタイ・フューチャー
3. news
4.風船
5.ボクを許さないで
6.君になれたら


世良公則より、ロンチメンバーへメッセージが届いています!


<nobody knows ライヴ!>

2000年 4月13日(金)
渋谷 ON AIR EAST
【問】キョードー東京 03-3498-9999

◆世良公則オフィシャルページ“SERA@official home page”はこちら

──プレゼント──

世良さんが、ロンチ・ユーザのためにサイン入りピックを提供してくれました! いえい!

ロンチ特製ピックに加え、リハーサルで使いまくってボロボロになった使用済みのピックです。

それぞれ全部に、丁寧なサインを入れてくれました! 感謝!

プレゼントの応募/詳細はこちら

~あと20年はRock Kidsでいられるだろ(笑)?

──ひらすら音楽に対して実直…まるで不器用なまでにまっすぐな姿勢を貫く世良公則を見て、何故、我々は“珍しい”と感じてしまうんでしょうか(笑)。

世良公則:
よくわかる(笑)!

──これ、ミュージシャンとして当たり前の姿なんですけどね。

世良:
それって、俺がずっと持ってるテーマ…問い続けていることでもあるよね。でも、そのように“実直に音楽に向かい合ってる”って思ってくれる人がいる事は幸せだと思うよ。逆に、そういう精神性をセールスに載せて伝えることと言うのは難しいことなのかもしれないからね。でも、俺は言葉にしちゃうとカッコいいんだけど(笑)、いつも思うよ、“俺自身は実直で居続けないと…、まっすぐであること…”って。

──世良公則の原点が見えてきそうですね。

世良:
10代の思春期にRock と巡り合った。海の向こうの音楽は自分にとっては自然だった。もちろん、日本の音楽、フォークソング、演歌や歌謡曲でも好きな曲はたくさんあったけどね。そんな中でビートルズローリング・ストーンズジミ・ヘンドリックスオーティス・レディングレッド・ツェッペリン…自分の中で和洋のボーダーラインが生理的に壊れていった世代の始まりだと思うんだよね。で、最近つくづく思うのは、その時に感じていた音楽のカッコよさとか素敵さとか、その時に自分に衝撃を与えてくれたアーティストは、自分よりも一周りも二周りも大人の連中だったわけ。「大人の音楽をやる連中はなんてカッコいいんだろ!」「あんな奴になりたい」…そう思ってたはずなんだよね。煙草の吸い方からバーボンの飲み方から、ファッションからしゃべることから…。このワクワクする音楽をずっとやっていたら、ああゆう風なことが言える奴に成れるかも知れない。あんな風にジーンズが似合う奴に成れるかも知れない…って。

──いわゆる初期衝動ですね。

世良:
俺にとって音楽をやってる大人達は、背伸びをしないと届かない奴らだった。10代の時、背伸びして、その分だけ上を向いて、あんな風に自分はやれるかなって。そんな気持ちのまま40代を自分流に憧れてた音楽を同じように追い求めて行けたら、俺は、あと20年はRock Kidsでいられるだろ(笑)?

──そこが一番難しいところじゃないですか。

世良:
いろいろ思うねぇ。もちろん自分勝手に好きにやるというのとは違うよ。好きにやってろって言うんだったらアマチュアでいいんだから。プロである以上、ビジネス上TOPにいる人達と同じフィールドでやって行かなくてはいけないというのが、俺の持論だから。今は自主レーベルでやってるけど、今の自分に一番正直にやってることなんだよね。

──それはやはり日本中を狂瀾の荒らしに陥れた最強バンド“TWIST”の経験から学んだことなのでしょうか。

世良:
海の向こうだとキャリアを積む事ということは非常に大事なことで、とても尊重されることでね、ビジネスという点とは別に、セールスを可能にしながらもひとつずつ積んだキャリアが説得力になったり、プレイにつながっていくよね。そういうものを受け入れる土壌を元に、我々が若い世代におべっか使うでもなく、かといってベテラン風を吹かせるわけでもなく、10代も50代も同じ場所にいて、「この唐揚げ旨いね」と同じレベルでアレがカッコいいとか何が素晴らしい…という話をしたいよね。そのためには、オレは俺の味を…おれの看板をちゃんと作っておかないと食べ比べすらできないだろ? もちろん、今は明らかに20代と違うところはあるだろうね。…俺も色々あったし、苦しんだ奴も見てきたしね(笑)。でも、無駄じゃないんだよね。自分のキャリアとして立ち戻れるんだよ。

──…。

世良:
精神性とか、別に仙人になるつもりもないしさ。俺達のやっていることは宗教でもなければ法律でもないから、矛盾があったり苦しかったりする。でもね、今やれる事は“自分しかない”んだよ。結局そういう意味ではアマチュアの時と同じだね。そのままの精神性を持ってすれば、音楽活動を続けるための選択肢はいろいろあるんだろうけど、…でもたまたまこれなんだよね。自分のやり方が自分のことが一番よく分かる方法論だから。

──唐突なんですけど、“いい歳のとりかた”ってなんなんでしょうか。

世良:
そうねえ…、それは自分が決めれる事ではないんだと思うね。人間ってその時その時小さいし、弱いし、迷う。けど、たまたま自分を奮い立たせたり、人からの助言で気付かされたりして、たまさか何かに向かって行っているときに、周りの人間がそれを見て感じることだろうね。いいねって感じてくれる人もいるけど、その反面失望してる人もいっぱいいると思う。

──真理かもしれません。

世良:
もし俺が、誰かにとって“いい年のとり方、いいキャリアの積み方ができている”としたらね、それは、その人にそういう目があるということであり、そこに理想が重なっていたりしているということでね、“自分はこうありたい。そんな風になりたい”という想いとシンクロしただけだと思うんだよね。だから俺の問題ではなく、その人の問題だよね。でも、音楽ってそういうもんだと思う。

──?

世良:
喫茶店で流れてきた曲でも、ひっかからなければただの騒音だけど、一発の音で「ん?」って惹かれることがあるわけでしょう? そこから興味を満足させていく。受ける人にとって、ゴミになるのか宝になるのか…だよね。そこは受け手側が全て握っていることだから。

──そうですね。音楽ってそういうものですね。

世良:
俺達は発信してるだけだけど、誰かが俺の音と出会ってね、その時に「この人ってどんな人? いいね!」って言われた時に、理屈無く“ありがとう”っていえるようにやっておきたい。

──話は簡単ですが、深いですね。

世良:
「Thank You! 気に入った? うん、ありがとう! Peace!」みたいなさ(笑)。 でね、その時の世良の笑顔を見て報われたよ、とか、俺、あいつ好きだよ、気に入ってよかったよってね。もちろん俺達もいつも同じではないから、今日、あいつ怒ってたよ…というのも含めてね、それも世良だろう…って。結局、俺という芯になるものって“沈殿していくもの”だと思う。それが気づかない自分の本質みたいなもの。

──非常に明快なお答えだと思います。

世良:
そういう本質って、きっと俺よりも他人の方が見抜いたりね。俺が何時間もかけて「オレは今までこう考えこうやって…」と語らなくてはならないことに対して、「だから何? どうでもいいよ。お前かっこいい…それだけで俺にとって充分だよ」って、今日世良を知ったという奴が本質を突いたりする。それでいいんだよね。受け止める側に、俺という存在の全てがある。だ・か・ら、俺は俺なりにやっていくしかないんだよ。

「かっこいいミュージシャンになりたい」…それだけ~

──バンド体質でありながら、ここ10年ストイックな裸一人のアコースティック活動を行なった経緯をお訊きしたいのですが。

世良:
あのね、最初30代になったときに、「おれは40歳までにどんな事をやっておかなきゃいけないのか」って思ったのね。その頃、映画やドラマに参加させてもらったり、それなりに評価も頂いたけれど、例えばドラマで試聴率10%とかあると、何百万人という人が見てるわけ。でもそれって、自分が音楽で何百万人に見せようと思ったらどうすりゃいいんだ!…という落差を凄く感じたよね。それで逆に、それに対抗するだけの自分の力、パワーとか諦めない気持ちとかを持たないといけないと思った。そんな時に、たまたまね、10代の頃なんて、自分の周りにはアコースティック・ギターしかなかったし、そういや、ストーンズだってツェッペリンだって泉谷しげるも岡林信彦もアコギ一本でやってたじゃんってふと思ったわけ。あの時って指も腕も痛かったけど、もう一回やろうかなって。その時ちょうど3日間のLiveがあったんだけど、最終日に俺一人でやっちゃったわけ(笑)。

──突然ですか?

世良:
それって、自分にとってものすごい怖いよね。ステージに上がったら止まれないし、休めないし。だけど、ものすごくいい疲れ方をしたのね。で、初めてアンコールでバンド・メンバーが出てきたんだけど、その時に“あーこいつらがいるから音が出てるんだ…俺のサウンドが出来ていたんだ!”ってホント肌身にしみたのね。同時に“かっこいい”って改めて感じた。だから、俺たったひとりできっちりとできるアーティストになれば、もっとバンドは素晴らしくなると思った。

──それで単身のアコースティック・ライヴを?

世良:
ギター一本でふらっとね。そしてそこで曲を認めてくれるかどうか。そこで“もっとロックやれよっ、エレキでやれよ!”ってブーイングされたら俺の負けでね。けど、1~2年やってるうちに、客のみんなもエネルギーを返してくれるようになった。それで、自分のレーベルを立ち上げて、バンド・サウンドと共に、たった一人の世良をも両立させて、どちらも自分の中でのRock Musicというベーシックができあがると…。それがやっと去年くらいかな。

──そもそもアコギ一本でやろう!という想いは発作的なものだったんですか? なにもそこまで自分を追いつめなくても…。

世良:
それはさ、そういう経緯だけを見てると“さなぎが殻を破った”とか“そこに光を見た!”とかさ(笑)、カッコよく映るかもしれないんだけど、そんなんじゃなくて、単純にかっこいいかなって。ニールヤングがさ、何万人という野外ライヴでマーティンD-28をぶら下げてフンガフンガ弾いたと思えば、次のツアーではレスポール抱えてファズ・サウンドを轟かせて、勝手に帰ってったとか(笑)、ジミヘンとかも一人で弾いて勝手に帰ったとか、そういう憧れはあったと思うね。昔からそういう姿って好きなのかもしれない。

──“サガ”ですね。

世良:
単純に音楽好きなやつが“このスタイル、カッコいいかもしれない!”ってやつだよね。もちろん、そこに精神性が付いてこないと、自分の音楽として人に提示することはできないけれども、その「カッコいいかもしれない」を「カッコいい!」にするために、毎日ギターは弾いたし、バンドでレコーディングしてきた曲を自分なりにギター一本で弾いてみて、歌詞が伝わるようにアレンジしていったりという自分一人での作業はあったよね。でもそういった一人での時間をスタッフに見せた時、“カッコいい”と言わせられれば“やれるぞっ”って思うでしょ? スタッフはファンでもいてくれるし、プロとしても手厳しいから。そんな彼らに対する挑戦でもあったし、迷いのトンネルから抜けた自分を見せたいってところも、あったかも知れない。

──当時、ストリートという活動スタイルが確立されてきた時代でもあると思いますが。

世良:
そうだね。路上ライブとかでやってる連中でカッコいいやついっぱいいたよね。ただ、アコースティック一本だけどロック!…という自分のイメージとは違うかなと思ったとき、じゃあ、俺ならどうするのかって問いかけるわけだ。人のことを批評することは誰にでもできるけど、人を大きく動かす彼らのエネルギーやパワーを、俺も同じように持っているのか?…という、ストリートをやっている連中への単純な対抗意識もあるよね。「俺だって、出来るよ!」みたいな(笑)。

──“かっこいい”って何なんでしょうね。

世良:
…というかね、例えば18歳の奴がみても、かっこいい!って思ってくれるのなら、俺はその為には音楽を広めなきゃいけないんだよね。その手がかりは、今出発したばっかりなんだよ。もちろんレーベルの人が売りたいと言ってくれたら「ばんばん売って!」って言うよ。それで俺が変わるわけじゃなし。でも、俺のやることはこれですよ。ってことだから。

──そうですね。

世良:
ツイストのキャリアから、“あの”世良っていう“あの”を取るのがずーとテーマだったからね。キャリアが浅かろうと何十年あろうと、どんな世代も同じ時代に同じ空気を吸って同じ景色を見て同じニュースを見て、周辺のグッズにしても若い世代と共通性のある中でね、“あの”を取って…つまりツイストを知らない世代にも、きちっと自分の音楽を届け、伝え、カッコいいと言われるか? それをやらなきゃいけないんだよ。

──それこそ、追い求めているもの。

世良:
今も昔も。答えはまだ持っていない。ただ、そういう姿勢…そこに向かっていっていなれば答えなんか見えないだろうし、あと20年…行き着く所は「かっこいいミュージシャンになりたい」…それしかないんだよね。単純だろ? 俺、かっこいいミュージシャンになりたいから、今頑張っています…ということだよね。一番自分を信じてやれることを今やることが最終的に、いろんな出会いを作るし、認めてもらえる場所を作るから。喜べる人間を一人でも多く増やしたい。1枚でも多く売りたい。理屈じゃなくて、コアな部分で伝わればいい。喫茶店で流れてたとか、ジャケット気に入ったとか、俺はこれを待ってたんだとか。なんでもいいんだ。もちろんまだ100%やれていないジレンマはあるけどね。だからもっと頑張りたい。

──生涯ミュージシャンですね。

世良:
最後の最期、楽器を手放す時に「うわーおもしろかった」って言えればいいかな。“おもしろい”というのもね、今の時代、いろんなものが上から降ってくるのをチョイスする時代だよね。若者はそれをチョイスする感覚はもの凄くある。例えば、i-mode。でもこれは、子どもたちが発明したんじゃなくて若い人に支持されるように設計された大人が作ったものだよね。そんな時代で、いつかね、逆に自分たちで楽しみやおもしろいものを作っていかなくてはいけなくなったとき、それはしんどいぜ…と思う。楽しいことをやり続けること、楽しかった!と最期を迎えるには、そうとうしんどいものなんだなと思う。でもそのしんどさより、「あー楽しかった」というほうが大きいんだよね。それがあればいい。

──ミュージシャンとして、極めて健全な人生ですねぇ。

世良:
失敗もあるけど、エンジンは止まっちゃいないからね(笑)。たまにスピンしちゃったりしても、またコースに復帰するし。例えエンストしたところで、もう一回エンジンをかければいいんだよ。エンジンをふかすだけの力があるかどうか、その辺は力が試されるだろうけれど。

──世良さんのエンジンは強靱ですから、大丈夫です(笑)。

世良:
坂道発進はうまくなったよ~(笑)。いろいろあるからね、いやー、坂道発進はかなりやったからね(笑)。だけど、クランクも待ってるしS字もある。そしてもちろん、1Kmくらいの直線でね、アクセルベタ踏みで「いってらっしゃーい!」という道もあるのさ(笑)。

取材・文●烏丸哲也

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