U2のBonoがハーバード大学で演説

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6月6日(水)、U2のヴォーカリストBonoは、Vネックシャツにグリーンのスーツを身につけ、カモフラージュの帽子を後ろ向きにかぶって、ハーバードの卒業生とその家族6000人の観衆に向かって20分間の演説を行なった。彼は“無関心との闘い vs. 救済だ”と述べ、悲鳴を上げている開発国の負債免除とアフリカのエイズの蔓延について訴えた。大学中退のBonoはMother Teresa、劇作家のArthur Miller、Ralph Naderらと並び、Harvard Class Day(ハーバード大学卒業祝賀会)の堂々たるリストの中で最も新しい顔となった。

シンガーの彼は、ボストンでの2時間におよんだ前夜のコンサートの影響からか、少しかすれた声で次のように語った。
「Bonoと申します。ロックスターです」「これは、自慢ではなく、告白という形で捉えてほしいのですが、なぜなら僕にとってロックスターより悪いのは良識を持ったロックスターで、主張のある有名人だからです。さらに悪いのは、道義心のあるシンガー――Lexusに乗り、スイミングプールのようなヘアースタイルでプラカードをなびかせている紋切り型の活動家です」

Bonoは続ける。
「ロックというのは反逆の音楽です。けれど、何に反抗するのでしょうか?」「正直に言えば、僕は自分自身の無関心さに反抗しているのです。世の中こんなもんだ、俺にできることなんてあるわけない、そういった考えに反抗しているのです。だから、できることをしようとしているのです」

Bonoは友人となった経済学教授のJeffrey Sachsにより、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるキャンパスに招かれた。彼は、第三世界の国々は何世代にもわたる昔の負債によって発展を阻まれているというSachsの研究結果をみた。Bonoは負債帳消しを行なうために結成した団体、Jubilee 2000の代表としてSachsにアプローチし、彼をキャンペーンに呼び入れた。

「Sachsと僕、そして友人のBobby Shriverはロードに出て、現実では考えられないようなクロスオーバーショウを行ないました」「ロックスター、ケネディのような政治家、有名経済学者らが精神ドラッグを服用したPartridge Familyみたいに世界を飛び回っています。ローマ教皇にもエージェントのような役割をしてもらっていますし、各地のラビや福音伝道師、労働組合、PTAからも協力を得ています。これは僕にとって新しい形の反抗だけど、すごくいいことなんです」

Bonoはこの活動により、クリントン大統領と(後にバチカンによって破棄された)写真撮影でFlyのサングラスをかけたローマ教皇という聴衆を得た。しかし、彼は有名人代表というより、成功した活動家だ。Bonoは、4億3500万ドルの負債救済政策案が通過した米議会が開催される前、そう証言した。彼はまた、負債救済活動のために元米財務長官でハーバード大学学長を後継したLawrence Summersをはじめとする重要人物を集めた。このような努力が実を結び、ウガンダとモザンビークでは教育と医療が大きく改善された。

しかし、Bonoは「包囲され」「マーケッティングの道具となった」理想観が文化となっている時代に、人々に参加を呼びかけるのは難しいと言う。彼は、2500万人のHIV感染者を抱えるアフリカ大陸を「毎日がホロコースト」と表現し、諸問題に対する無関心さについて底に潜む危険性を警告している。
「自慢話をしにここに来たわけではありません。信用を得たり、共有したり、また、感謝の意を述べるために来たわけでもありません。あなた方に助けを求めに来たのです。なぜなら、これは大きな問題だからです。この問題に取り組んでくれる明晰な頭脳を持った人たちが必要なのです」

Bonoは言う。
「この運動をみんなに広めるのは難しいことです。“ポップ”にするのは大変なんです。しかし、それが僕の仕事だと思うのです」「悲しいことに人気は政治にとって酸素みたいなものになっています。JohnやRobert Kennedyはハーバードに来ませんでしたか? 平等というのは誰もが得られるとんでもなくゲスな概念じゃないですか? 「汝の隣人を愛せよ」というのは地球村ではとても大切なものではないですか? 神は人間にこの短い言葉を書き残したのです。その言葉を歌い、チャートのトップまで持っていかなければなりません。けれど、それはラジオでかかるようなものではないのです」

Tristram Lozaw, Cambridge, Massachusetts LAUNCH.com
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