すべてはファンのために……2時間26曲の魅惑的なステージ

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すべてはファンのために……2時間26曲の魅惑的なステージ
 

過去15年間のヒット曲と最新アルバムからの曲をたっぷりと、手際よく聴かせる

最新アルバム

ALL FOR YOU
Virgin VJCP-68288
2001年4月16日発売  ¥2,548(tax in)

1 イントロ
2 ユー・エイント・ライト
3 オール・フォー・ユー
4 2ウェイフォーユー(インタールード)
5 カム・オン・ゲット・アップ
6 ホエン・ウィ・ウー
7 チャイナ・ラヴ
8 ラヴ・シーン(オー・ベイビー)
9 ウッド・ユー・マインド
10 レイム(インタールード)
11 トラスト・ア・トライ
12 クラウズ(インタールード)
13 サン・オブ・ア・ガン(アイ・ベッチャ・シンク・ディス・ソング・イズ・アバウト・ユー)ウィズ・カーリー・サイモン
14 トゥルース
15 セオリー(インタールード)
16 サムワン・トゥ・コール・マイ・ラヴァー
17 フィールス・ソー・ライト
18 ダズント・リアリー・マター
19 ベター・デイズ
20 アウトロ
21 フー(ボーナス・トラック)


このところのMadonnaはヒット曲よりもコンセプト重視の傾向が見られるが、さすがJanet Jacksonが開始したコンサートツアーのタイトルは「All For You」。もちろん「You」とは観客であるファンのこと。デトロイト郊外のPalace Of Auburn Hillsで行なわれた2回のショウの初日は、1万5000席がソールドアウトとなった。

2時間で26曲を歌ったコンサートは、チラチラ見えるJacksonのおヘソ周り同様、ぴちぴちして無駄がない。ダンサー8人、ミュージシャン5人、バックヴォーカリスト2人を従えたJacksonは、レコード売上げ数百万枚、ヒットシングルもビデオも無数という経歴に相応しい魅惑的なステージを繰り広げた。何といってもMTV初のアイコンであり、世界で最も有名なエンターテイナー一家の末娘ともなれば、その名声に応える使命があるのだ。

当の彼女は極めて自信にあふれ、コンサートを通してユーモアを利かせた楽しいショウを軽やかに演じて見せた。まず、ステージ空中にしつらえた台に乗って登場。ステージに降り立つや、過去15年間のヒット曲と、売上げ200万枚の最新アルバム『All For You』からの曲をたっぷりと、手際よく組み合わせて聴かせる。

きらびやかなセットやパイロテクの使用は相変わらずだが、今年のコンサートは、これまで陥りがちだった仰々しさや過剰なイメージからは免れている。とはいえ問題がないわけではない。Jacksonのヴォーカルは、いつもステージではパワフルさに欠け、あの軽快なダンスに比べればどうしても見劣りするものだが、今回はことに細く、意図的にアンプを弱めにしてあるのかと思えるほどだ。ややもするとバッキング・シンガーや、一緒に歌いたがる観客にかき消されてしまう。また、ショウの流れを壊す曲もあった。しかし、そういった不自然な流れも“Trust A Try”でのアヴァンギャルドで華麗なコスチュームや、寝物語の歌“Would You Mind”で、Jacksonが観客の中から「その場で選んだ」という設定の男性をかっさらってステージに上げ、テーブルに縛りつけて歌うという凝った演出が、うまくその場をつくろっていた。

だがショウのハイライトは、驚異的なダンス・アンサンブルをフィーチャーしたミニ組曲やメドレーだ。オープニングセットの“Come On Get Up”“You Ain't Right”“All For You”“Love Would Never Do (Without You)”は、Jacksonとカラフルなコスチュームのダンサーが風船の小道具の間を踊りまわり、エネルギッシュで楽しさ満載。また“Runaway”から “Miss You Much”“When I Think Of You”“Escapade”への流れもスムースだ。

そして、素晴らしい盛り上がりを見せた“That's The Way Love Goes”のあとは、“What Have You Done For Me Lately”“Control”“Nasty”などの'80年代のスマッシュヒット。ここでまたコスチュームを変えて、スウィング時代を再現した'90年のヒット曲“Alright”へ。ちなみにコスチュームチェンジは全部で9回あった。

アンコールも同様に、イージー・グルーヴの“Doesn't Really Matter”から現在ヒット中の“Someone To Call My Lover”と続け、さらにフィナーレは花火で飾った“Together Again”でしめた。'97年にチャートNo.1となったこの曲はJacksonの自作で、他界した友人との再会を願う賛歌だが、今夜ばかりはJacksonとの再会を熱望して踊る観客の願いとなった。

By Gary Graff/LAUNCH.com

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