第四回 SII 中学・高校 洋楽翻訳選手権

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第四回 SII 中学・高校 洋楽翻訳選手権
最優秀賞はイギリス留学ポップス/ロックの名曲を翻訳して 私たちのステキな物語を作ろう
自分の感性と想像力をフルに活動。 輝く言葉で名曲を彩り豪華賞品をゲット!
4回目を迎えた洋楽翻訳選手権。課題曲の英詞を自分の感受性で日本語訳にし、その出来を競うのが趣旨で、回を重ねるごとに参加者、参加校が増加している全国大会だ。この大会が今年も開催される。応募要項をしっかり確認。じっくり作品を完成させてドンドン応募してほしい。
2007年の課題曲はこの2曲
VAN HALENJosh Groban
「JUMP」 1984年にリリースされたアルバム『1984』に収録されたスマッシュヒット・ナンバー。印象的なシンセのイントロ、テクニカルなギター、そしてブッ飛んだヴォーカルで聴かせる彼らの代表曲だ。「YOU ARE LOVED (DON'T GIVE UP) 」 爽やかに心を癒す歌声で人気のJosh Grobanの3rdアルバム『AWAKE』からの1stシングル曲。このアルバムで本格的にプロデュースや作曲に挑戦し、新たな境地を開拓してくれた。
VAN HALEN プロフィール
AlexとEdwardのVAN HALEN兄弟、超個性派シンガーDavid Lee RothとベーシストのMichael Anthonyで結成。大音量のサウンド、Rothの突飛な個性とヴォーカルスタイル、そしてEdwardの超技巧ギターで瞬く間にブレイク...→詳しく読む
Josh Groban プロフィール
1981年2月27日 ロサンゼルス生まれ。学校のヴォーカル・グループに加わり歌う楽しみに出会い、ロサンゼルス・カウンティー・アーツ・スクールで、演技や歌を本格的に学び始める。ジョシュの初作品は、2001年6月に...→詳しく読む
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過去の名作に学ぶ 翻訳のコツ
本来翻訳とは、言語間の情報の橋渡し作業なのだろうけれど、言葉上の意味だけを日本語にそっくり差し替えても、それが素晴らしい翻訳なのかどうかはきっと別の話。

洋楽のアルバムや楽曲の邦題には、素晴らしきセンスがはじけた名翻訳がたくさん存在している。アーティストの特性やサウンドの個性をギュッと凝縮させた言葉は、音楽ファンを一瞬で虜にしてしまうパワーを持っていた。

KISS70年代に世界中を席巻したKISSのアルバムタイトルに盛り込まれていた「地獄」もそのひとつ。
『KISS』⇒『地獄からの使者』
『Hotter Than Hell』⇒『地獄のさけび』
『Dressed To Kill』⇒『地獄への接吻』
『Alive!』⇒『地獄の狂獣』
『Destroyer』⇒『地獄の軍団』、
『Rock And Roll Over』⇒『地獄のロック・ファイアー』
ここまでくれば、もう世の中の「地獄」ワードをみると、いつでもどこでも真っ先にKISSが浮かんでしまう。「KISS」というキャラクターを「地獄」と“翻訳”してしまった、日本人スタッフの偉大なる功績のひとつといえるものだ。地獄ばんざい!


プログレッシブ・ロックの雄、ピンク・フロイド作品に見る、邦題の妙
70年代は、ロック・ミュージック自体が大きく発展・成長・変化した時代。今まで聴いたこともなかった音楽が生まれ、「先進的なロック」という意味合いで「プログレッシブ・ロック」と呼ばれたバンドも多く誕生した。彼らの作品の邦題を見ても、実に芸術的な邦題がついている。

『Atom Heart Mother』 ⇒ 『原子心母』
『Atom Heart Mother』
なんと洋題をそのまま漢字直訳。聞いたこともない存在しない日本語…。でも意味深でもあり、人に通う血の暖かさをも感じてしまうような不思議なタイトル。「ゲンシシンボ」という言葉の響きは、これまで聞いたこともなかったロック・サウンドの誕生をそのまま体現してくれた。

『A SAUCERFUL OF SECRETS』 ⇒ 『神秘』
『A SAUCERFUL OF SECRETS』
深みと重みのある単語をひとつ選び、ストレートに命名するような手法が流行ったのも70年代。シンプルなタイトルだけに、リスナーも深読みを楽しみ、音楽そのものと邦題が強い結びつきを持った。

『THE DARK SIDE OF THE MOON』 ⇒ 『狂気』
『THE DARK SIDE OF THE MOON』
1単語をあしらう手法による名邦題のひとつ。直訳「月の暗い部分」を「狂気」と言い切った。もちろんこのアルバムの持つ楽曲とアルバムコンセプトをも含め、この作品を一言で言い表してしまった、究極の翻訳例。月に宿る力や言い伝えをもすべて飲み込んで、この作品はまさしく「狂気」だった。

『A COLLECTION OF GREAT DANCE SONGS』 ⇒ 『時空の舞踏』
『A COLLECTION OF GREAT DANCE SONGS』
ベストアルバム。しかし、直訳『いかしたダンス曲のコレクション』というあまりにひどいタイトルを『時空の舞踏』と翻訳したことで、アルバムの芸術的価値が1ランクアップしたのではないか、とすら思えるものだ。
過去の名作に学ぶ 翻訳のコツ
英語、それもポップスの英語歌詞を日本語にするというのは、ただ単に言葉を置き換えるだけではなく、その周辺に漂う時代やアーティストの空気感を感じられる言葉を選ぶのがポイント。
それを最も学ばせてくれるのが、過去の名作の翻訳だ。第一印象では「なぜこの英語が、こういう日本語になるの?」と違和感を覚えても、じっくりと曲を吟味していくうちに「なるほど!」とひざを打ちたくなる翻訳がたくさんある。
そんな中から、秀逸な翻訳例をあげてみよう。目の付けどころの面白さにハッとするはず。
名人技 その1アーティストのサウンドを汲み入れる
Aerosmith 『Toys In The Attic』
タイトル 「Toys In The Attic」
直訳 「屋根裏のおもちゃ」
邦題 「闇夜のヘビィロック」
アメリカの悪ガキバンドAerosmithが1975年にリリースしたアルバム。直訳でも雰囲気があってかっこいいが、日本での人気がこれから上昇してくるタイミングでは、サウンドとワイルドさを一発でイメージさせる極端な日本語変換が良かった。
名人技 その2ドラマ性を付加させる
James Morrison 『UNDISCOVERED』
タイトル 「You Give Me Something」
直訳 「あなたは私に何かをくれる」
邦題 「君に逢えてよかった・・・。」
あなたが私に与えてくれたもの、それを表現するのではなく、そこから生まれたほとばしる感情、突き動かす気持ちをタイトルにすると人の心を動かすグッとくるタイトルに! しかも最後に「。」を添えるあたり、ちょっと文学的。
名人技 その3古語的な言い回しをあえて使ってみる
Louis Armstrong 『What a Wonderful World』
タイトル 「What a Wonderful World」
直訳 「世界はなんて素晴らしい」
邦題 「この素晴らしき世界」
ジャズ・トランペッターでもあるLouis Armstrongの代表曲。“素晴らしい=素晴らしき”“美しい=美しき”などとちょっと古めの言い回しを使って、気高さや崇高さといったものを表現した好例。
名人技 その4すべて雰囲気まかせで造語もOK!
シンディ・ローパー 『Girls Just Want To Have Fun』
タイトル 「Girls Just Want To Have Fun」
直訳 「女の子だって楽しみたい」
邦題 「ハイスクールはダンステリア」
シンディ・ローパーが1984年に放ち全米で2位を獲得した大ヒット曲で、歌詞のどこにもハイスクールやダンステリアは出てこないが、“10代の女の子=ハイスクール”、“遊び=ダンスパーティ”を連想させる雰囲気一発もの。
BARKSエグゼクティヴ・プロデューサー 今野多久郎が語る 音楽を通じての英語との出会い

Vol.2
今野多久郎英文を日本語に置き変える。ただ単語や構文を学び、繋げるだけでないことは言うまでもない。前回私は自分の若き頃の無知を書いたが、当然、翻訳は直訳だけでは歯が立たない。前後の文章から単語の意味を考え、また、裏にあるかも知れぬ作者の意図を読み取り、的確な文章にしていく。比喩もあるだろうし、間接表現もある。文化の違いも考慮しろとよく言われる。と、ここまでならみなさん理解されているだろう。

ところが、ここで求められるのは「歌詞」の翻訳である。サウンドがあり、リズムがあり、メロディがあり、歌い手の感情表現がある。その想いや感情の流れを感性の耳で聴かなくてはならない。迷ったら何度も曲を聴いてみてほしいと思うのだ。

そしてもうひとつ。審査されるのは日本語だ。日本語の表現に長けていなければ、翻訳しても作者の真意は伝わらないし、歌詞として面白くなくなってしまう。英語を学ぶと共に、是非日本語の表現の面白さもしっかり学ぶ機会にしてほしい。英語で書かれた作者の感性が音楽と共に心の中に入る。それを日本語に変えるそのとき、音楽と共に言葉に対しての豊かな感性が養われるのだ。このことが洋楽翻訳の大きな意味であると私は思っている。

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Vol.1
高校の頃、「FREE」というイギリスのロックバンドを好きになった。
ヴォーカリストは先だって「Queen」のヴォーカリストとしても来日したポール・ロジャーズ。バンドを組んでいた私は、擦り切れるほどLPを聴きこんで、友人たちと共に日々コピーに明け暮れていた。特にライブ盤は私の人生の中でも、もっとも聴きこんだ作品のひとつといえる。
そんな「Free」もやがて解散。そして私が大好きだったポール・ロジャーズが次に結成したバンドが「BAD COMPANY」。
「おうおう、悪仲間、か。いい感じの名じゃないか、ロックしてるぜ!」と当時の私たちは意味もなく、粋がったもんだ。バドカン(BAD COMPANY)はともかく、写真を見る限り、「FREE」のメンバーは、間違いなく数々の悪行をこなしてきた面構えに見えた。そのまんまだ、分かり易いぞ、バドカン。
ところがだ。しばらくしてある音楽雑誌を読むと、この「BAD COMPANY」を「いかしたヤツラ」と訳しているではないか。私は一瞬、まったく逆だぁ!と絶句した。無知というか、感性の欠如というか、世間知らずの真面目なお馬鹿というか、そもそも日本語の理解も足りない。何が、ロックしてるぜ!だ、まったく。直訳街道まっしぐらから、いろいろ考えて英詞を読むようになったのは、このころからじゃないかと思う。

「ちょっとヤバクない?」ってもうちゃんと英訳されてるんだろうか?

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