Avidの楽譜作成ソフト「Sibelius 7.5」登場、大規模な楽譜を把握しやすいライムライン・ウィンドウや人間らしいノリで演奏できるエスプレシーボ2.0機能を搭載

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フロンティアファクトリーは、米Avid Technology社の楽譜作成ソフトウェア「Sibelius(シベリウス)7.5」を、3月27日より発売する。

「Sibelius 7.5」は、世界で最も売れている楽譜作成ソフトウェアの最新世代。一流の作曲家、編曲家、出版社の要望に応える洗練された機能を搭載しながら、初心者や学生にも使いやすいソフトウェアとなっている。

新しいタスク指向のユーザーインターフェースにより、作業がスピードアップ。独自のプロフェッショナル・クオリティのサウンドライブラリーにより、すばらしいサウンドで楽譜を再生、試聴することができる。また、MusicXMLへの完全対応とその他の共有オプションにより、コラボレーションがより簡単になったのも見逃せない。また、64ビットにネイティブ対応しているので、より多くのバーチャルインストゥルメンツやエフェクトを使用しても機敏に動作するのも大きな特徴だ。

新機能の目玉はナビゲーション機能の強化だ。楽譜全体を一目で見渡せるタイムライン・ウィンドウを新たに追加。タイムラインコード・ルーラーまたはアイコンをクリックするだけで該当箇所へジャンプが可能。大規模、複雑な楽譜であってもカンタンに編集、再生が可能となっている。


▲新たに追加されたタイムライン・ウィンドウ(画面下側)により、大規模楽譜の把握が容易に。

再生面では、エスプレッシーボ2.0機能により楽譜の各部分のリズム感のカスタマイズを完全にコントロール可能に。楽譜の解釈能力も向上し、さらに表現豊かでリアルな雰囲気が出せるようになっている。

楽譜解釈の能力向上も大きなポイント。テンポ記号、メトリックモジュレーション、装飾音符、モルデント、ブレイク、ブレスマークなど記譜特徴の解釈が高められ、再生機能が大幅に向上している。高価なオーケストラがなくても、楽譜の微妙なニュアンスをリアルなサウンドで再生することができるというわけだ。

コラボレーションや共有もカンタンになっている。楽譜共有機能、ソーシャルメディア機能の追加で、作曲作品の共有や配信が可能になった。ScoreExchange.com上にアップロード、出版することが可能。ビデオやオーディオファイルをYouTube、Facebook、SoundCloud上で共有することもできる。

iPadユーザーにうれしいのが、Scorchアプリの完全統合。SibeliusスコアをiPadのAvid Scorchへ直接エクスポートすることができるのだ(Avid ScorchはApp Storeで200円で購入可能)。再生、練習、パフォーマンス、出版機能が統合されたことにより、Sibeliusが自動で楽譜を最適化し、ページ方向、五線の段数、余白の大きさなどをiPadに合わせて表示する。

■直感的にスピーディに入力、新機能でワークフローを改善


▲発表会ではSibelius 7.5の使いやすさと新機能をアピール。フロンティアファクトリーが販売するパッケージはスリーブなども入れておけるサイズ(写真右後列)。

3月17日に行われた新製品発表会では、シンガーソングライターの辻敦尊さんがSibelius 7.5を操作しながらその使いやすさや数々の新機能を紹介した。

最初に操作の基本として示されたのは、パソコンのキーボードによる入力方法。音価の選択に用意されたテンキーパネルは、テンキーと連動。さらにC、D、Eとアルファベットを入力するだけで音符がおけるほか、ピリオドで付点音符が入力可能。コマンドキーやコントロールキーとの併用が不要なシングルキーショートカットで、たとえばリピートは「R」、スラーなら「S」キーで簡単に入力できることを実演。これらはすぐに演奏情報に反映されることも示された。もちろん、強弱記号も即座に演奏情報に反映される。「直感的にスピーディに入力でき、演奏で確かめられるというスマートなインターフェイス」とその使いやすさをアピールした。


▲パソコンのキーボードで軽快に入力(写真左)。強弱記号もマウスで選択、好きな位置に配置できる(写真右)。

MIDIキーボードでのリアルタイム入力ももちろん可能。テンポの早い曲の場合は意図しないところに音符が入ってしまうこともあるが、演奏情報は壊さずに表記だけは見やすくするといったことも可能。「パフォーマンスの再配置」という機能により、見た目だけをグリッドに沿わせる=クオンタイズすることができ、再表記後の再編集はほぼ不要であるとした。

注目機能として紹介されたのは、先に挙げたタイムライン・ウィンドウ。スコア全体のタイムや大規模な楽譜の把握に大きな効果があるとし、例として曲の途中で拍子が変わる位置に即座にジャンプ可能、試聴もすぐに行えることが示された。タイムライン・ウィンドウは拡大・縮小の操作にも追従、好きな大きさで表示できるだけでなく、全体像が自動的に縮尺を合わせて表示されるので使いやすい。これによりDAW的な使い方も可能になったとも。「ワークフローの改善、プロジェクトの時間短縮に飛躍的な効果をもたらす」機能であるとした。


▲人間らしい演奏のノリを出せるエスプレッシーボ2.0の例はバイオリンのフレーズで実演。
作成した楽譜をどこまで高く理解して再生できるかが楽譜作成ソフトの課題の1つ。それをかなえるために進化したのがエスプレッシーボ2.0。「よりヒューマンフィーリングに近い演奏表現が可能になった」と続け、「より人間のノリに近い感じで気を利かせて演奏してくれる」ことが実演された。また、リズミックフィールのライブラリも数が増加、スウィング感の調整などもより自由に、よりイメージに近いものが選べるようになり、「これも喜んでもらえると思う」と語られた。


▲iPadで作成した楽譜の閲覧、再生ができるAvid Scorchとの連携は快適そのもの。
出力オプションではフルHDでの出力も可能な動画での出力、iPad版のAvid Scroch用の出力について紹介。特にScorch用の出力は、余白が必要となる印刷用とは異なる、iPad版のScorch用により最適化した状態で書き出せることを強調。Dropboxでのやり取りができるほか、PDFでは不可能な演奏の再生もできるなど、便利に使えることが示された。

このほかAvidのスタッフからは、Sibelius 7.5から日本語版パッケージに日本オリジナルの「Sibelius簡単入力ガイド」が同梱されることが紹介された。これにより「Sibeliusに初めて触る人、楽譜作成ソフト自体が初めてという人もすぐに楽譜を書くことができるようになる」とアピール。また、「ブログやウェブサイト、メールマガジンなどでチュートリアルやFAQ、サポート情報、技術情報を提供していくので、安心して使用してほしい」とも。

パッケージは通常版のほか、アカデミック版、お得な乗換版を用意。さらにスキャニング・ソフトウェアPhotoScore、オーディオ認識ソフトウェアAudioScoreを同梱したSuiteも新たに用意。こちらもアカデミック版とともにラインナップ。合計5種類をこれまで以上に「挑戦的な価格」で用意する。これらの製品について、フロンティアファクトリーが販売するパッケージは、ユーザーが所有する喜びを感じてもらえるよう独自に作成、小物入れとしても使えるよう、ちょっと高価なパッケージとしたとも紹介。また、教育機関向けライセンスについても今後注力するとした。

◆Sibelius 7.5
価格:56,000円(税別)
◆Sibelius 7.5 アカデミック版
価格:29,000円(税別)
◆Sibelius 7.5 乗換版
価格:19,800円(税別)
◆Sibelius 7.5 Suite
価格:86,000円(税別)
◆Sibelius 7.5 Suite アカデミック版
価格:69,000円(税別)
発売日:2014年3月27日


◆Sibelius 公式サイト
◆フロンティアファクトリー
◆BARKS 楽器チャンネル
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