【連載】Vol.095「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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卓越したピアノ・プレイで僕らを素晴らしき世界へ誘うYANCY。リリース直後の新作『YANCY at PIANO 1』についてじっくり語って貰った!!!


▲Pic.by Tsuneo Koga


▲CD『YANCY at PIANO 1』

ニューオリンズ・ミュージック~ブルージー&ジャジー、そしてポップ味わいさえも感じさせる素晴らしきYANCYピアノ!ブルース・フリークは勿論、音楽に精通するファン、そしてミュージシャンや音楽業界人からもその敏腕ぶりは絶賛されている。彼を僕に紹介してくれたのは古くからのミュージック・パル近藤房之助だ。房乃助&YANCYのステージはこのコラムVol.56で紹介した。
https://www.barks.jp/news/?id=1000160661


▲左からYANCY 近藤房之助 黒田卓也 提供:Blue Note TOKYO

そしてこれまたマイ仲良しのKOTEZとYANCYは機会ある毎にLIVEを敢行し二人名義のアルバムも発表していることは周知の通り。彼らのステージはVol.82をチェック・イット・アウト。
https://www.barks.jp/news/?id=1000176169


▲KOTEZ&YANCY

そんなYANCYが先ごろアルバム『YANCY at PIANO 1』を発表した。セルフライナーノート・タッチに新作についてじっくり語ってもらった。


▲CD『YANCY at PIANO 1』バック・カバー

Mike:ニュー・アルバム『YANCY at PIANO 1』がリリースされたネ。まずはそのリリース意図、経緯から教えてくれる?
YANCY:まずコロナ禍で3月からKOTEZ&YANCYのツアーをはじめ殆どのライヴがキャセルになった。それで時間が出来たのでレコーディング。実は昨年からピアノ・ソロでの新作は考えていて、自宅のピアノを調整、整音したばかりだった。そこで僕のウエスト・バンガロー・スタジオにて3日で録音しミックスも自分で行ったけれどこれも3~4日で終了したんだ。
M:タイトルに“1”と記されているのは…。
Y:ピアノ・ソロのアルバムは今回だけでなく次作も考えているので、その気持ちを“1”に込めた。レコーディングしたい楽曲はまだまだ沢山あるんだ。大好きなドクター・ジョンにもインスパイアされているんでね。



M:まずはジミー・リードの名作、ブルースのスタンダード、僕にとってローリング・ストーンズで馴染み深い(笑)「Honest I Do」。
Y:これはリラックスして演奏出来た、そんなこともあって1曲目にもってきた。本格的に演奏するのはこのアルバムが初めて。僕はギンギンのカントリー・ブルースよりアーバン・タッチなサウンドが好み。ジョー・サンプル&デイヴィッド・T.ウォーカーの『Swing Street Cafe』からのヴァージョンを基本にしている。


▲『Swing Street Cafe』

M:2曲目はニューオリンズを代表するブルース・ピアニスト、プロフェッサー・ロングヘアの代表作「Mardi Gras In New Orleans」。
Y:僕はアラン・トゥーサン、ドクター・ジョン、プロフェッサー・ロングヘア、タッツ・ワシントンが大好き。そんなニューオリンズ音楽に憧れ、同地を2回訪れた。ここには南の街ということもあってラテン・タッチなサウンドが脈々と息づいている。このナンバーではそんなラテン・テイストを味わってもらえると思う。
M:「St.Louis Blues」はW.C.ハンディ1914年作曲のジャズ・スタンダード。ベッシー・スミス&ルイ・アームストロング、ベニー・グッドマン…、多くのアーティストが取り上げている。そう言えば八代亜紀もレコーディングしていたネ。



Y:この曲はKOTEZ&YANCYのアルバム『Organic Music』で取り上げた。メロディーだけが「St.Louis Blues」でそれを一度崩して新たな作品にしたんだけど、今回は自分なりに進化させたんだ。
M:続いては「People Get Ready」。ジ・イムプレッションズ65年のR&B ヒット。僕はリアル・タイムでこの曲を楽しみ、その後ジェフ・ベック/ロッド・スチュワートのカバーも好きだったけど、YANCYの選曲理由は?
Y:僕はアレサ・フランクリンのアルバム『Lady Soul』をずっと後になってから聴いて、この曲がとても気に入った。アレサは素晴らしい歌手、ゴスペル・タッチのその歌声には何か救いがあるような音楽なんだよね。アレサとかニーナ・シモンはレコード聴いているだけで涙が溢れてくる。


▲『Lady Soul』<

M:5曲目は何とデイヴィッド・ボウイの83年のヒット「Let's Dance」が登場して吃驚!きっとこの頃、洋楽にのめり込んでいった、そうでしょう。中学生の頃かな?!これでYANCYの年齢がわかる!(笑)
Y:その通り、YMOから入って80年代になると洋樂にハマりMTVばかり観てる子供だった。ボウイをはじめカジャ・グー・グー、デキシー・ミッドナイト・ランナーズ、デュラン・デュラン、スパンダー・バレエ…、好きだった。20~30代はブルースやジャズにシビレ、そればかりを演奏していたけど、今になってどんな楽曲でも自分なりに弾けるようになった。そう何の抵抗もなく取り組める。このナンバーがまさにその結果だ。



M:今度は「On The Sunny Side Of The Street」。1930年に作られたブロードウェイ・ミュージカル楽曲。その後ジャズ・スタンダードとして親しまれ多くのアーティストで知られる。サッチモ、デイブ・ブルーベック、ライオネル・ハンプトン、ヴォーカルものもフランキー・レイン、ナット・キングコール、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド…。
Y:実は僕の一番好きなのがこの曲なんだ!何度もレコーディングしている!!KOTEZ&YANCYのアルバム『Road Movie』『Organic Music』でも聴ける。僕はオムニバス『Louisiana Piano Rhythms』収録のアラン・トゥーサンのヴァージョンにインスパイアされた。シンプルなメロディー&間で弾くアランのピアノは素晴らしい。ニューオリンズで味わった彼のステージを思い出す…。


▲『Louisiana Piano Rhythms』

M:今度はオリジナル「Muscle Boogie」、アップ・テンポのまさにブギ・ゥギ・ナンバー。
Y:去年、武田真治のラジオ番組“ガキパラ”に出演した際にセッション用作品として書いた。それを少し進化させ今回初めてレコーディングした。
M:8曲目は「上を向いて歩こう」、坂本九さんの代表作。61年のヒットで63年にはUS/Billboard誌HOT100で日本人初の1位に輝いた。81年にテイスト・オブ・ハ二ーでリバイバル、その頃彼女たちが来日し記者会見にゲストとして招かれ演壇に登場したとても嬉しそうな九さんの笑顔が今でも忘れられない。その後95年には4PMでも話題を呼び彼らのアルバム・ライナーを僕は書かせて貰った。映画「上を向いて歩こう」のエンディングでの九さんはじめ吉永小百合、渡辺トモコ、浜田光夫、高橋英樹ら出演者の歌うフィルム・ヴァージョンもとても素敵。YANCY、この曲の選曲理由は…?



Y:僕もこの曲は昔から大好きでした。実は九さんの娘さん、大島花子さんのステージで何度もバックを務めさせて貰った。彼女はいつもお父さんの楽曲を沢山歌っていたしネ。今回レコーディングしたことはそんな影響もあるかもしれない。そして、今こそこの曲を皆で歌う時期になったんじゃないかな!と思っている。これはまさにメッセージ・ソング!多くのファンからもこの作品を取り上げてくれてありがとうという声を頂いている。
M:「Hallelujah I Love Her So」、レイ・チャールズ56年の大ヒット、ゴスペル・タッチの素晴らしい楽曲。ティミ・ユーロやブレンダ・リーが“I Love Him So”として歌っている。
Y:ワクワクするような昔のR&B大好きなんだ。とにかくカッコイイ!エキサイトしてくる!!この楽曲も『Swing Street Cafe』収録ヴァージョンをもとにしている。
M:10曲目は再びプロフェッサー・ロングヘア「Tipitina」、53年作品。まさにニューオリンズ、バーボン・ストリート、ロイヤル・ストリートの香りを感じさせるYANCYの演奏!!!
Y:昔からずっと弾いている作品。ニューオリンズで誰もが演奏するオリジナル・テイストを残しながらも新しいアレンジを加えた。プロフェッサー・ロングヘアの楽曲では「Hey Now Baby」とこのナンバーが特に好き。
M:そして最後は「Blueberry Hill」。1940年に発表されたこの楽曲はその時代に多くのアーティストでヒット。グレン・ミラーが有名で、サッチモでも40年代末に注目される。でも僕らR&B/R&Rフリークにとっては何といってもファッツ・ドミノ!!56年の大ヒット。70年代には来日し僕はじっくり彼にインタビューしたんだ♬。
Y:来日公演でもピアノを押してましたか?!(笑)僕もファッツ・ドミノ・ヴァージョンを何度も楽しんでいる。KOTEZ&YANCYのアルバム『Here Comes The Band』でも取り上げたんだ。


▲『Here Comes The Band』

M:では後半はYANCYバイオをDJして貰おう!
Y:OK!Here we go..
*沖縄生まれ
父が公務員だったので沖縄で生まれその後、岐阜。兵庫など全国を転々、高校&大学は東京。
*音楽との出会い
6歳年上の兄貴がいて、小学校高学年時その兄は高校生でレコードを沢山持っていた。いつも兄からレコードを弄るな、聴くなと言われてたけど、兄が不在になるとそっと聴いていた。ビージーズ、アバ、カーペンターズ、アース・ウィンド&ファイア。初めて買った洋楽LPはTOTOの『聖なる剣』だった。邦楽はもう少し前でジュリー。
*ピアノとの出会い
妹がピアノを習っていて、先生が自宅訪問して教えてくれていた。レッスン中に僕が悪戯ばかりするので小2の頃から2年間、強制的にピアノを習得する羽目に、でも全くやる気なく楽譜も読めなかった。



*中学時代
この時代にバンドの真似ごとを始め、家のピアノでビリー・ジョエルの曲を片っ端から弾いていた。楽譜ではなくアルバムを聴いて耳で覚えプレイしていた。そうしている内に耳が鍛えられ、コピーするのは得意となる。音楽を楽譜でなく“音”で聴いている。
*高校時代
都立青山高校入学、軽音楽部でロックを演奏していた。音楽の時間に自作を宅録した4トラックテープを先生に提出して褒められていた。レコーダーなどの試験を受けなくてもOKで、曲作りに励んでいた。とっても良い先生だった。
*「ブルース・ブラザース」との出会い
高3の時だった、テレビで「ブルース・ブラザース」が放映された。その映画を見た瞬間“これしかない”と閃いた。レイ・チャールズやマーフィ・ダンの演奏シーンを観てブルース・ピアノに驚愕させられる。次の日、持っていたシンセを売り払い渋谷タワーレコードに直行しお店のスタッフが推薦のオムニバス・アルバム『Atlantic Blues : Piano』をゲット。家に戻って聴きながらピアノで演奏してみるとブルース・ピアノは難しくてどうしても真似が出来ない。その中で何とか形になったのは1曲目収録のジミー・ヤンシーの「Yancey Special」だった。これをずっと練習し続け、ようやく完璧に弾けるようになる。


▲アルバム『Atlantic Blues : Piano』を手にするYANCY@自宅レコード室

*YANCY誕生
法政大学入学式当日、僕は式の会場に行く前にR&B Societyの部室のドアを叩いた。入部願いを申し出る、どんなアーティストが好きかと聞かれたので、Jimmy Yanceyと答えると「シブイ」「ヘンな奴が来た!」、以来先輩たちにYANCY、YANCYと呼ばれるようになった。僕はサークル内のいろんなバンドで演奏。そこは実にコアな集団で、ジェリー・リー・ルイスの曲を演奏しようものなら白い目で見られた。つまり白人音楽は一切禁止。週2の割合で先輩に中古レコード・ショップに連れて行かれ、いろいろ勉強した。


▲Jimmy Yanceyの『Blues And Boogie』

*プロ志望
3~4年生の頃からピアノで食べていきたいと思うようになる。1年間大学を休学して、アメリカ西海岸に滞在。ブルース・クラブを見つけると演奏させて貰っていた、まさに武者修行。その時期、オークランドのレコード・ショップに足蹴く通い1ドル99セントで貴重なLPの原盤を見つけたりしていた。現在3000枚くらいLPコレクションしているけどその時代に購入したものが多い。
*バーで弾き始める
大学卒業後、自由が丘の“Mardi Gras”で演奏するようになる。そのほか吉祥寺のピアノ・バーにも出演していた。
*KOTEZ&YANCY
或る日“Mardi Gras”で演奏してたら客席からハーモニカを吹きながらステージへジョインしてきた男が、それがKOTEZだった。もう25年も前のこと、以来彼とはデュオを組みライヴやアルバム・レコーディングに勤しんでいる。
*活動の幅を広げる
2回目のニューオリンズから戻って来たあと、2000年代初頭頃から活動の幅が広がった。ホフディランのワタナベイビーのツアーでキーボードを弾いたのが最初だった。以来、多くのアーティストをサポート、そしてサウンド・プロデュースした。ソロとしてもアルバムを発表している。
*音楽はボーダレス
大学時代は前述したアーティストやジェイムズ・ブッカーらのニューオリンズ・ブルース・ピアノのほかジャズよりのジョー・サンプルも楽しんでいた。日本ではブルース・ファンはブルースに固執するけど、僕は若い頃からいろいろ聴いてきた。ブルースも好きだけどマイケル・フランクスも好き。無人島レコードにはニック・デカロも入る。日本人では細野晴臣さんも敬愛している。その為KOTEZ&YANCYは、デビュー当時から幅広くサウンド・クリエイトしている。先輩たちに、キミらはブルースを演りたいのか、それともジャズorポップス? 何てよく怒られた。KOTEZ&YANCYは一貫してボーダレスの感覚で音楽と取り組んでいる。
*最後に僕の大好きアーティストにについて一言。
☆福原美穂


▲福原美穂LIVE@Blue Note TOKYO 2018年12月 Pic.by Tsuneo Koga

素晴らしい歌手。本人が意識しているかどうか分らないけど、歌っていると時折フェイクする、そこにゾクゾクっとさせられる。日本人歌手にはないアドリブ力が凄い。同じ曲でも1回1回違うし、変えてくる。彼女は小さい頃からR&Bを聴いている。今度インタビューしてあげてください!

*八代亜紀
彼女のアルバム『Voice』でサウンド・プロデュースとアレンジを手掛けた。演歌の八代亜紀がフォーキーナ曲にチャレンジしている。その少し前にリリースした僕の『Songs From Sunny Sky』を聴いたディレクターさんからの依頼だった。


▲『Voice』


▲『Songs From Sunny Sky』

*ドクター・ジョン
渋谷クワトロでKOTEZ&YANCYはサポーティング・アクトを務めた。前座なのにアンコールが来て調子に乗って演奏時間を大きくオーバーし主催者に叱られた。終演後に御大に謝りに行ったんだけど、サインを強請ったり一緒に写真撮ったりとファンしてしまった。



*ニッキー・ホプキンス
大々好きキーボディスト。ブギ、ストーンズ,ロックと何を演奏してもLOVEがある。あの人のピアノは切ない、そこが良いのだ。

*ジョージィ・フェイム(Mike註:その昔の表記はジョージ・フェイム)
彼の演奏ぶりはとても粋だ。YEH YEH!US/R&Bを一寸お洒落に弾いているところが好き。これは僕がいろんな音楽を好きだということとも共通している。


▲ジョージ・フェイム日本盤シングル「イェ・イェ」


▲YANCYと筆者


▲for Mike's Collection

*協力:Billboard Live YOKOHAMA
   Blue Note TOKYO
*無表記のインタビュー&ライヴ・ショット:Pic.by K.SATO

☆☆☆☆☆
【大推薦CD】
『キャスト・ア・ロング・シャドウ/リトル・リチャード』


▲『キャスト・ア・ロング・シャドウ/リトル・リチャード』提供:BSMF RECORDS

2020年5月9日、87年の人生に終止符を打ったキング・オブ・ロックンロール、リトル・リチャードの追悼盤、『キャスト・ア・ロング・シャドウ』(BSMF RECORDS/BSMF7610)、つい先ごろリリースされた。チャック・ベリー、ボ・ディドリー、ファッツ・ドミノらとともにロックンロール誕生期における黒人アーティスト四天王と称されたリトル・リチャードは、1960年代以降も精力的に活動を続けた。1970年代前半我が国で公開された映画「ロックンロール・エクスプロージョン/Let The Good Times Rolls」でシャウトする姿は脳裏に深く刻み込まれている。当時、コロムビア映画から「ワッツタックス スタックス・コンサート」と「ロックンロール・エクスプロージョン」のプロモーと&監修を依頼され故・桜井ユタカ氏&故・八木誠氏の先輩方に協力を仰ぎ、この2作品のブックレット制作、試写イベント、そして当時僕が出演していたCXTV“リブヤング!”でも大特集した(余談ながら同番組で(「ロックンロール・エクスプロージョン」をフィーチャーしてのR&R特集を僕が企画しなかったらキャロルのデビューはもう少し先になっていただろう・・・、そんなエピソードを近々大仲良しR&R先輩、ミッキー・カーチスさんと対談してみようとも思っている)。


▲「ブックレット/ワッツタックス スタックス・コンサート&ロックンロール・エクスプロージョン」 from Mike's Library

リトル・リチャードのこのCD『キャスト・ア・ロング・シャドウ』は彼がオーケー・レーベル所属していた60年代の『The Explosive Little Richard』と『Little Richard's Greatest Hits Recorded Live』2アルバムをまとめた大変意義深い作品集である。彼の代表作は勿論のこと、生前交流のあったサム・クックからプレゼントされたマニアックな作品なども収録、全22曲!バックにジョ二―・ギター・ワトソンやビリー・プレストンがクレジットされている。


▲提供:BSMF RECORDS

ロックンロール・フリークは勿論のこと、ビートルズ&ストーンズの若い後追いファンへもお薦めする。

☆☆☆☆☆

映画「37 Seconds」



最後にちょこっとシネマ・トーク。映画は子供の頃から大好きだった。親戚付き合いしていた生まれ故郷・阿佐ヶ谷のお菓子屋には近くの映画館の公開作品ポスターが貼られていた。その謝礼に映画館はインヴィをお菓子屋に何枚か置いていく。僕はそれを頂き東映チャンバラから日活青春映画など幼い頃からかなり見ていた(観て、ではない、笑)マセガキだった。その後ロックンロールに目覚めると今度はエルヴィス・プレスリー作品を楽しむようになる、そう「ブルー・ハワイ」からリアル・タイムだ。「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ」(最近はこの邦題じゃなくなったらしい、ヒデー話しだ)さすが試写ではなかったけど公開1週間後に“勉強”に行った。何とこうした経験から? 70年代初期“キネマ旬報”に1年間レギュラー執筆したこともある。寅さんやハマちゃんも大好き。クリント・イーストウッド、ロバート・デ二ーロ、ロバート・レッドフォードらの作品は要チェックしている。でもやっぱり音楽関係作品が中心で、一応「The Bank Job」もストーンズ・ファンとしてしっかり映像作品を購入してしまうのだ。余談だが50年の付き合いの元TBSアナウンサー、宮内鎮雄さんは試写だけど年600本も観る生活を続けているらしい…。
つい先頃、半年近く前に公開されていた「37 Seconds」を埼玉県・深谷シネマで観て来た。この作品は今この時代“若者”の間でしっかりと“話題”になって欲しい問題作だ。先月、小曽根真LIVEを楽しんだのだが、それがきっかけでこの映画を観たくなった。小曽根のステージをプロデュースした彼の奥方である神野三鈴は女優としても知られる。神野・出演作品がこの「サーティセブンセカンズ」だ。以前いろいろお話しさせていただいこともある渡辺真紀子も出演している。ヒロインの貴田ユマを演じるのは本作がデビューとなった佳山明(かやま めい)。障害を持っているけど恋をする、楽しく遊びまくる、飲み会で盛り上がる、ごくフツーの20代女子としてごくフツーに人生を送りたいという“生き様”が見事に描かれている。佳山も脳性麻痺を抱えながらも社会福祉士として頑張って来た、そして彼女はこの映画で体当たりといえる熱演ぶりで観客を唸らせたのだ。ユマの母親役・神野、ユマの恋の先達役・渡辺、彼女たちの素晴らしい演技にも大拍手だ。僕の大好きな鬼平犯科帳・兎、この役でお馴染みの尾美としのりもいつもながらのムードでストーリーを和らげている。監督はLAを拠点に活動するHIKARI、長編デビュー作である。
今後どういった形で上映、放映、映像化されるか…。機会を見つけぜひともしっかり鑑賞して欲しい作品である。
http://37seconds.jp/

◆「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」まとめページ
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