ワールドカップ開催記念! サッカーと音楽の密接な繋がりを徹底解明

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ワールドカップ開催記念! サッカーと音楽の密接な繋がりを徹底解明

文●竹中吉人

サッカー文化が根づいているところには優れたサッカー・ソングが存在している

カジヒデキインタビュー
~ サッカーの魅力について~




---サッカー・ファンになったきっかけ。

カジヒデキ(以下カジ):
'80年後半にマンチェスターからでてきたストーン・ローゼズやプライマル・スクリーム、ハッピー・マンデイズなどのバンドがサッカーのユニフォームを着ているのを見て、かっこいいなと思ったのが最初ですね。あとはエル・レーベルから出ていたサッカー・ソングのコンピレーションやセント・エチエンヌとか。それを見たり聴いたりしているうちにUKロックとサッカーは結びついているんだ、と思いましたね。それから少し経ってブリッジというバンドでトラットリアのコンピに参加することになって、トラットリアのスタッフの人と話をすると、みんなサッカーファンだったので、それでまた影響を受けましたね。

---『ベンド・イット!』の「クライフ・フライング・ダッチマン」や「マイケル・オーエン」など、これまで数々のサッカー・ソングを手がけていますね。そして新曲も。

カジ:
今回の「フットボーリング・ウィークエンダーズ」はここ3~4年で自分の中で盛り上がっているサッカー熱がうまく形になったのではないかなと思います。ぼくはプレミア・リーグが好きなので、マイケル・オーエンのDVDを見たり、毎週時間があれば中継を見たりと、そのイメージで曲が出来上がりました。

---実際に現地試合に見られたことは?

カジ:
ロンドンでチェルシーFCの試合、リバプールでリバプールFCの試合を見ましたが、その興奮は今でも忘れられませんね。とにかくピッチと客席が近いのと、その臨場感に圧倒されて、これは誰もが好きになるだろうと思いましたね。試合後にはパブにも出かけていき、母国のサッカー文化を満喫することができました。実はその時のリバプールのアンフィールドで撮った写真が「フットボール~」のジャケットになっています。

---カジさんといえば、スウェーデン。今回のW杯で同じ組に入ったはイングランドとスウェーデンではどちらを応援するのですか?

カジ:
毎年のようにスウェーデンに行っているし、スウェーデンでサッカーを観戦して、ぼくはマルメというチームのサポーターでもあるので、スウェーデンを応援しています。アルゼンチン戦も見に行く予定です。でもイングランドと比べるとなるとは難しいですね。だから、「イングランド×スウェーデン」戦はどちらも応援せずに見ようかなと思っています

※トラットリレーベル、サッカー・コンピレーションCDはコチラ

ワールドカップとは…

ワールドカップ(以下W杯)の生みの親、フランス人のジュール・リメ、アンリー・ドロネーにより、記念すべき第1回W杯がウルグアイで開催されてから約70年。W杯は多くのスーパースターを輩出し、世界中の人々を熱狂させ、多くのドラマと感動を与えてきた。そしてその人気は、単なるサッカー大会、あるいはスポーツイベントに留まらないほどの影響力をもち、国際的、文化的、社会的の発展にも大きく貢献してきた。

そのW杯がいよいよ日本と韓国で開催される。日本がFIFAへW杯開催地として立候補してから13年、FIFAによる日韓共催の決定から6年。長い歳月をかけて準備してきた夢舞台がいよいよ目前に迫ってきたのだ。以前なら眠い目をこすりながら、真夜中にテレビ観戦せざるをえなかったものが、時差なしで、しかも間近で見られる感慨は言葉では表わせないほどの感動である。出場国が決まり、対戦相手が確定し、そして代表選手の発表され、と徐々に大会開催の緊張感が高まる中、いよいよ待ったなしの状況に突入した。

あとは5月31日韓国で行なわれる開会式とオープニング・ゲームとなる<フランス対セネガル>のホイッスルを待つばかりだ。過去16回開催された大会中、開催国が優勝したケースが6回ある。是非とも日本代表の健闘を祈りたいところだ。

サッカーと音楽の密接な繋がり

ジョン・レノンが'74年にリリースしたアルバム『心の壁 愛の橋』のジャケットに描かれていたサッカーをする少年たちの姿(ジョンが幼少時に描いた水彩画をそのまま使用)。ビートルズ後期の「ディグ・イット」という曲の中で登場したマンチェスター・ユナイテッドの名監督マット・バズビー。ビートルズから、UKロックに興味をもった者がUKロックとサッカーの密接な結びつきを知るのは、いわば自然の流れであったといえるだろう。その後もポール・マッカートニーが「カミング・アップ」のライヴヴァージョンでかつてのリバプールFCの名選手ケニー・ダルグリッシュの名前を叫んでいるなど、ビートルズを知れば知るほど、サッカーの存在が浮き彫りになってくるのだ。

さらには、'80年代後半から始まったマンチェスター・ムーヴメントにおけるマンチェスター・ユナイテッドの存在、'90年W杯の応援歌を手掛けたニュー・オーダー、ブリットポップ期のオアシスブラーにみるサッカーユニフォームの着こなしなど、'90年代に入るとさらに顕著に浮かび上がってきた。

そして、その象徴的な例として挙げられるのが、'96年の欧州選手権(以下「ユーロ96」)時にリリースされた応援歌「3ライオンズ」(ライトニング・シーズ)になる。「フットボールが母国に帰って来た」をテーマにした同曲は「ユーロ96」の開催を祝福するだけでなく、低迷するイングランド・フットボールに喝を入れるようなナンバーで、すぐさまイングランド国民の愛国心をわしづかみにしてしまった。もちろんチャート1位を獲得。その素晴らしい応援歌に応えるように代表チームは、「ユーロ96」でもベスト4入りを果たし、国際大会では久しぶりに好成績を残した。それを契機として、イングランドは再び表舞台に返り咲くことになったのだ。

昨今のプレミア・リーグ(イングランドのプロサッカーリーグ)人気は「ユーロ96」が大きなきっかけになっているのはいうまでもない。低迷するイングランド・サッカーを1曲の応援歌でもって活性化してしまった背景には、サッカーと音楽が密接な関係をもっているイングランドという土地柄が大きい。たとえばクラブチームには必ず名物サポーターズ・ソングがあり、スタジアムではその曲の大合唱が起こる。CDショップに行けば、フットボールのコーナーにそれをまとめたアルバムが容易に見つけることができる。相反すると思われる“体育”と“文化”が有機的な関係をもっているのだ。しかもそれらは作為なものではなく、自然に世に出たものがほとんどである。

イングランドを顕著な例としても、世界中いたるところで、サッカー文化が根づいているところには優れたサッカー・ソングが存在している。サポーターはサッカー・ソングと一体になってサッカー文化を支え、後押しをしている。プレイ自体のレベルアップは大切なことで、サポートチームが強くないと楽しくないのはもちろんだが、プレイ以外の楽しみ、それこそがサッカー文化の発展であり、サッカーの認知度拡大を推進するのだ。サッカー文化の定着しているところに優れたサッカー・ソングが存在しているというのなら、日本でも是非、サポーターが皆で楽しめるサッカーが生まれて欲しいものだ。

W杯関連作品~公式ソング~

ヴァンゲリス 「ANTHEM」 ~2002 FIFAワールドカップTM公式アンセム~

「炎のランナー」「ブレードランナー」といった名画のサウンドトラックで知られる作曲家ヴァンゲリスが手掛けたこのナンバーは、今回のW杯よりFIFAの公式アンセムとして、選手入場の際にスタジアムで流される。ということは、W杯以降も代表マッチやチャンピオンズ・リーグ(ヨーロッパのクラブチャンピオンを決定する大会)などのビッグゲームでも使用されることになる、重要なナンバーである。自然と気分を昂揚させるメロディとテクノを通過したアレンジが絶妙で、その神聖な響きに聴く側にも緊張感を与えてくれる。日本盤シングルは石野卓球のリミックス。

2002年03月27日発売 SICP-102 525(tax in)

アナスタシア 「BOOM」 ~2002 FIFAワールドカップTM[インターナショナル]公式テーマソング~

W杯公式ソングの名誉を受けたのはヨーロッパを中心に人気急上昇中のアナスタシア。2000年にリリースされたデビューアルバムが、全世界で600万枚を超えるセールスを記録。将来を嘱望された彼女にとって、このナンバーは大きなターニングポイントとなるだろう。名プロデューサー、グレン・バラードとのコラボレートで生み出された「BOOM」は、W杯特有の国際性やサッカーのもつ躍動感を体現しており、スタジアムの興奮を加速させるに申し分のないナンバーになっている。

2002年03月20日発売 EICP-62 525(tax in)

V.A  『FEVER PITCH』 ~2002 FIFAワールドカップTM[インターナショナル]公式アルバム~

2002 FIFAワールドカップのインターナショナル版オフィシャル・アルバム。ヴァンゲリスによる「公式アンセム」やアナスタシアの歌う公式テーマソング「BOOM」に加えて、アメリカ、イングランド、イタリアなど本大会出場各国のアーティストが多数参加している。そして何といっても目玉は、ジダン、フィーゴ、トッティ、アンリなど、世界のスーパースターが大挙参加している「リブ・フォー・ラブ・ユナイテッド」になるだろう。いわば、「ウィ・アー・ザ・ワールド」のサッカー選手版で、パートごとに慣れないヴォーカルを披露している。参加45選手の大半がフランス人なのは、フランス主導で企画されたからなのだろうか。フランス偏重にもかかわらず、豪華なのは現在のサッカー分布図を表わしているのかもしれない。
2002年05月02日発売 EICP-88 2,520(tax in)
Voices of KOREA 「Let's Get Together Now」
■■■■■■■■~2002 FIFA ワールドカップTM[コリア・ジャパン]公式テーマ・ソング~

W杯の話題のひとつが史上初の2ヵ国共催であり、アジアの日本と韓国で行なわれるということが何よりも注目を集めている。そしてW杯を機に2国の文化交流が始まるのではないか、と大きな期待がもたれている。日本と韓国のトップ・アーティストが共演したこのシングルは、そのスタートに相応しいプロジェクト。曲自体はサッカー応援歌風ではないが、日韓共催という意味ではとても意味のあるシングルといえる。
2002年03月13日発売 DFCL-1065 1,020(tax in)
V.A  『SONGS OF KOREA/JAPAN』
■■ ~2002 FIFA ワールドカップTM[コリア・ジャパン]公式アルバム~

2002 FIFAワールドカップTM (コリア・ジャパン)公式アルバム。韓国、日本をはじめ、アジア各国・地域で発売が予定されている。日本からはB'zDragon Ash倉木 麻衣 Mr. Childrenとレーベルの枠を越えたビッグアーティストが参加。
2002年5月29日発売 XICP-1~2 3 ,000
W杯関連作品~応援ソング他~

カジヒデキ 「FOOTBALLING WEEKENDERS」 ※試聴ができます

サッカーに造詣の深いトラットリアというだけで、サッカー・ソングとしてのクオリティーの高さが保証されているようなもの。これまで、ヨハン・クライフ、マイケル・オーエンの出色サポーター・ソングを手掛けてきたカジヒデキのニューシングルは、カジヒデキがスカパーの人気サッカー番組『FOOT』のエンディングテーマ用に書き下ろした、軽快で威勢のいいサッカー・ナンバー。サッカーのスピード感を上手に表わした臨場感がとても良い。フレーズの選び方や、ラスト付近の分厚いコーラスまでまさにサッカー・ソングのお手本のような作品。ジャケット写真からパッケージまで、サッカーへの愛情がそこかしこにうかがえる。

2002年3月6日発売  PSCR-6033 1,050 (Tax in)

MONGOL 『BRASIL BRASIL』

サッカーと関係はあるのか??? と言われてしまいそうだが、この青い地球とBRASIL BRASIL”の文字が入ったジャケを見れば… 紹介せずにはいられない。
Nitro Microphone Undergroundのメンバー、SUIKEN+MACKA-CHIN=MONGOLのクレジッ トで話題となったシングル曲「BRASIL BRASIL」。試合に勝ったときのパーティ・ チューン間違いナシの盛り上がり曲だ。

2002年04月24日発売 AICT-1377 1,223(tax in)
WINO 「NOT ALONE」

“No Music, No Football”とテーマを掲げるほどのフットボール狂WINOによるサポーターズ・ソング。オアシスばりの力強いギターサウンドに、分かりやすいメロディと覚えやすい歌詞、そして総勢80名による大合唱が乗り、サッカースタジアムのような臨場感を生み出している。タイトル「ノット・アローン」にも表われているようにまさにイングランド風の味つけがなされたサポートソング。合唱には、サッカー解説者、著名サポーター、そして現役Jリーガーが参加している。

2002年5月22日発売 VICL-35396 ¥1,050 (Tax in)
グロリア・ゲイナー/大阪市音楽団 「ラの歌」

もともとは'79年のディスコヒットにすぎなかったグロリア・ケイナーの「アイ・ウィル・サヴァイヴ」が、ひょんなこと('98年フランスW杯の際に作られたドキュメント番組内で、フランス代表が試合後に歌っていた)から注目を集め、一躍サッカー・ファンの間で広く認知されることに。その後、トルシエ監督がその曲を日本五輪代表にも取り入れて、日本にも定着。
サッカー・ファンの間では「ラの歌」として知られている。その曲がW杯誘致の坂本龍一作曲の「日本サッカーの歌」とカップリングされフレイヴァー・レコードからリリース。

2002年05月02日発売 PUCA-1015 ¥1,300(tax in)
V.A 「WORLD FOOTIE SONGS」

英国チェリー・レッドと日本フレイヴァー・レコードの共同企画によるサッカー・コンピレーション。ヨーロッパから南米まで世界各国の様々かつ貴重なサッカー・アンセムが収録された、まさにW杯向きな一枚。ヨーロッパの定番はもちろんだが、あまり接する機会の少ない南米ものを多く収録しており、そこにもサッカーの幅広さを感じることができる。

2002年04月24日発売 FVCK-80156 2,415(tax in)
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