ジェイミー・カラム、ラブソング・アルバムの決定盤

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自宅のキッチンにピアノがあって、ええっと、eBayで50ポンドで買った小さなアップライト・ピアノだよ。キッチンにはレコード・プレーヤーとスピーカー、iPod、それにたくさんのアルバムが置いてある。そこで音楽聴きながら食事したり飲んだりした後、何時間かピアノを弾くんだ。そうやって曲が形作られた。それからスタジオに入って、いろいろ試しながらデモを作った。数ヵ月も経つとたくさんのデモが出来て、どんなサウンドにしたいかっていうアイディアもはっきり見えてきた。この時点で、プロデューサーを探し始めたんだ。5年くらい前にLAでグレッグ・ウェルスっていうプロデューサーに会った。ルーファス・ウェインライトやフィオナ・アップル、MIKAなんかを手がけた人だ。彼はもともとジャズ・ミージシャンで、その後ポップ・ミュージックを作るようになったんだ。僕と同じようにジャズの知識がありながら、ポップ・ミュージックも好きなんだよ。だから、一緒に素晴らしいアルバムが作れるんじゃないかって思った。それに、ほかの国でアルバムを作るのもいいアイディアだなって思ったんだ。これまで4枚のアルバムをロンドンで作ってきたわけだけど、いつも同じ場所で作ってたら、なんかあったとき同じ反応しかできない。英国を離れて、知らない人たちとアルバムを作るのもいいなって思ったよ。何か別のことをしようって自分を追い込むってことだからね。で、LAへ行ってグレッグのスタジオへ入ったんだ。マイケル・ジャクソンのアルバムにも参加したジェリー・ヘイとそのグループにホーンをプレイしてもらった。それにアレンジは、マイルス・デイヴィスやデヴィッド・ボウイなんかと仕事したことがあるポール・バックマスターにやってもらっている。

――カヴァー・ソングは?

ジェイミー:僕にとってカヴァー・ソングをやるってことは…、ジャズ・ミュージシャンのDNAには、ポピュラー・ソングを取り上げてそれで何か新しいものを作るっていうのがあるんだ。そしてこのアルバムでは、僕がカヴァー・ソングを選んだんじゃない、曲が僕を選んだんだって確信したよ。ピアノを弾いてるときに突然浮かんできたんだ。例えば「If I Ruled The World」。ラララっていう3コードを繰り返し弾いてて、その上に新しい曲を書いてみようって思ったとき、突然「If I Ruled The World」のメロディーが浮かんできた。リアーナのカバー「Please Don't Stop The Music」も同じだよ。Fメジャー7からAマイナー7のコードを繰り返し繰り返し弾いてて、この上に新しいものを書こうかなって思ってたとき突然、あの曲のメロディが浮かんできた。こういうときに最高のカヴァーが誕生するんだ。ノートブックにアイディアを書き込みながらこれは面白いと思ったとしても、それはいいものにはならない。ピアノを弾いてて偶然出てきたものが、いいアイディアなんだ。

――「Love Ain't Gonna Let You Down」は初めて冗談ぬきで書いたストレートなラブ・ソングだと言っていますが、何があなたにこれを書かせたのでしょう?

ジェイミー:多分、僕が初めて真剣に恋をしたからだと思う。自分の本当の感情に向き合った。そんなこと、これまでやったことなかったんだ。僕のこれまでのラブ・ソングって、“I Love You”ってなるけど、ちょっとふざけてた。でもこの曲では、正直になることが怖くなかったんだんだ。

――アルバム・カヴァーではピアノが爆発していますが、そこに込められた意味は?

ジェイミー:みんなが予想してるものを裏切ろうとしたんだ。もし、スーツを着た僕がグランド・ピアノから歩み去る写真だったとしたら、どんな音楽なのか簡単に想像できるよね。イージー・リスニングで、サパー・クラブでかかるような穏やかなジャズだって思うんじゃないかな。でも、爆破することで、その予想は間違ってたって思うはずだ。僕にとって、ピアノを爆破するのは、何かを壊すっていうより何か新しいものを作ったってことを意味するんだ。

――クリント・イーストウッドとのコラボ「Gran Torino」でゴールデン・グローブ賞にノミネートされましたね。

ジェイミー:クリントとは彼の息子カイル・イーストウッドを通じで知り合ったんだ。
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