【BARKS編集部レビュー】Atomic FloydのSuperDarts+Remoteは、単にドンシャリにあらず

2011年8月末、Atomic FloydのSuperDarts+Remote(以下SuperDarts)が市場に投下され、ちらりほらりと評価が聞こえてきている。音は「正/誤」でも「良し/悪し」でもなく、あくまで「好き/嫌い」で価値が問われるものなので、十人十色・千差万別の評価があるだろう。

◆SuperDarts+Remote画像
Atomic Floydはそもそも好きなブランドのひとつなので、ちょっと評価も盛り気味かもしれないが、全モデルに共通して確固たる理念が付き通されており、ポリシーと突き進むべき方向にもブレがないところにAtomic Floydの凄さがある。それはデザインにもサウンドにも表れ、どのモデルもキレがありヌケも抜群、エッジが立ち現代的で明るくクリアなサウンドを直球で出してくれる。そして、その方向性のまま過去に例を見ない爆裂サウンドに到達したのがSuperDartsだ。



ピュアオーディオとまでは言わなくとも素晴らしいオーディオ機器で音楽を聴くと、気後れするほど低域や高域がリッチに量感たっぷりに表現されることはご存じだろう。SuperDartsは、空気感を含めあの絶対的なエネルギー感が、量産型カナル型ヘッドホンで初めて表現できた記念すべきモデルだ。オーディオとして当たり前の周波数特性をカナル型でしっかりと再現すると、これほどまでに刺激的な広帯域に感じてしまうという新世界を、真正面から提示してみせたエポックなモデルなんだと思う。




なお、今回はMiniDartsの筐体デザインである弾丸型が踏襲されたが、随分とサイズ自体は大きくなったので、MiniDartsのように全てが耳の中にすっぽりと収まってくれるようなフィット感は得られない。サウンド自体がMiniDartsの発展形ではなく、HiDefJax/HiDefDrum(HiDefJaxにリモコン機能が付いたモデル)の進化形であることも考え合わせれば、シンプルにHiDefJaxのようなどら焼き(UFO?)型筐体で遮音性追求モデルをリリースしてほしいとも思う。そうなると名前はSuperHiDef…なのかな。
その際には、新設計ネットワークもさらなるマルチ・ドライバー化も視野にあるだろう。ならば、現時点では低域と高域の表現はダイナミック型のほうが優れていると思えて仕方がないので、2つのダイナミックで低/高をそれぞれ担い、中域にこそ高品質のBAドライバーをヘッドルーム確保のためタンデムで搭載してほしい。その形こそ、カナル型ヘッドホンの理想的スペックのひとつに思えて仕方ないんだけどなぁ。そんなモデルでAtomic Floydトーンを叩き出してくれたら、ヘッドホンスパイラルからやっと卒業できる気がします。つか、卒業します。したい。させて。
なお、SuperDartsの登場で、逆にHiDefJax/HiDefDrum(HiDefJaxにリモコン機能が付いたモデル)のサウンドの極上さを改めて再確認できたのも、自分にとっては嬉しい出来事だった。音域特性の広さこそSuperDartsには敵わないけれど、基本のトーンはやはり同ブランド共通のもので、今更ながらHiDefJax/HiDefDrumって素晴らしい完成度をもったコストパフォーマンスに優れた名機だと実感した。冷静に聴き比べると、SuperDartsよりHiDefJax/HiDefDrumのほうが実はドンシャリ…だったりもしてね。
text by BARKS編集長 烏丸
●Atomic Floyd SuperDarts+Remote
・オープンプライス(フォーカルストア¥33,800税込)
・ドライバ:ハイブリッド式デュアルドライバ(低域:8mmネオジムドライバ/中高域:バランスドアーマチュア)
・最大入力:100mW
・感度:100db SPL/mW
・インピーダンス(1kHz):16Ω
・周波数特性:5Hz - 25,000Hz
・ケーブル:1.2m OFCケーブル(被覆ケブラー繊維)
・プラグ:3.5mmステレオミニプラグ
・リモコン:3ボタン搭載マイク付きリモコン
・付属品:SuperDarts + Remote本体、S/M/Lイヤーチップ、キャリングポーチ、フライトアダプタ、DJプラグ
◆Atomic Floyd SuperDarts+Remoteオフィシャルサイト
◆BARKS ヘッドホンチャンネル
BARKS編集長 烏丸レビュー
◆Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
◆Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)
◆ORB JADE to go(2011-08-22)
◆YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
◆NW-STUDIO(2011-08-09)
◆NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)
◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
◆Westone ES5(2011-07-21)
◆SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
◆クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)
◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
◆GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◆SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
◆フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
◆ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)
◆フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
◆アトミック フロイド(2011-05-26)
◆モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
◆SHURE SE215(2011-05-13)
◆ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)
◆ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
◆ローランドRH-PM5(2011-04-23)
◆フィリップスSHE9900(2011-04-15)
◆JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◆フォステクスHP-P1(2011-03-29)
◆Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
◆ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
◆Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
◆Westone4(2011-02-24)
◆Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)
◆KOTORI 101(2011-02-04)
◆ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
◆ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
◆SHURE SE535(2011-01-13)
◆ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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