MUSIC LIFE+ Vol.10 THE WHO特集「コラム『トミー(オーケストラ)』」

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iPhone、iPad用の無料アプリとして好評配信中の「MUSIC LIFE+(ミュージック・ライフ・プラス)」。洋楽ロック雑誌の草分けである「ミュージック・ライフ(1951-1998)」のデジタル版として貴重な写真・記事の宝庫であるとともに新たなコンテンツもプラスした音楽ファン必見の内容だ。そのVol.08はTHE WHOの徹底特集。ロック・オペラとして名だたる名盤『トミー』について、そのオーケストラ版を紐解いた記事を紹介しよう。

イギリス的コスモポリタン ロンドン交響楽団+ロック・スターによるハイブリッド『トミー』。『トミー』は、初のロック・オペラ・アルバムであると同時に、マルチメディア展開された初のロック作品でもある。

ザ・フーによるオリジナル・アルバムとライブ版、そして、アダプテーションされたオーケストラ版、映画、演劇、ミュージカルまで、その展開は幅広い。ここでは1972年に発表のロック界のオールスターとロンドン交響楽団の取り合わせのオーケストラ版『トミー』を紹介しよう。

ロックとクラシックの融合という意味では、1969年にディープ・パープルがロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラと共演、1971年にはELPがクラシックをロック化した『展覧会の絵』もあり、時代的に伝統とモダンの混淆がトレンドだった感がある。

ロック・オペラと交響曲団との共演は一見親和性がありそうである。しかし本作では、多彩なロック・ボーカルが入ることにより、違和感を感じる曲があるのは否めない。ロッド・スチュアートが歌う「ピンボールの魔術師」も、原曲のドライブ感が損なわれていて、いまいち存在感がない。映画のサウンドトラックのエルトン・ジョン版は、原曲のロジャーと双璧の出来なだけに残念だ。もうひとつの目玉アンクル・アーニー役のリンゴ・スターが歌う「フィドル・アバウト」も、キーが苦しそうでよい出来ではない。

逆にそのほかの曲はトミーの新解釈と魅力がある。特にピートが歌う「アメイジング・ジャーニー」「サリー・シンプソン」は秀逸。本作で一番の聴きどころは、映画ではエリック・クラプトンが歌う、シカゴブルースのソニー・ボーイ・ウィリアムソン原曲の「アイサイト・トゥ・ザ・ブラインド」。ここではウッドストックにも出演した黒人フォークボーカリスト、リッチー・へブンスのソウルフルなボーカルとオーケストラとの共演だ。

アルバム全体はいま聴くと、大仰しさを感じるが、ロック史におけるある時代の一例としては興味深い。

この他にもTHE WHOにまつわる記事が満載の「MUSIC LIFE+ Vol.08」。以下サイトよりアプリを無料ダウンロードの上、各コンテンツをぜひチェック

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