【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.6「シルバーウィーク」

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なぜかしっくりこない「シルバーウィーク」。平成生まれの人にはすんなり入っていると思うのだけれども、昭和生まれの私には、この名前も日程も馴染んでこないし、馴染めない。今宵は長年放置していたそのシルバーウィークが馴染んでこない理由を探ってみよう。

まず、名前がいけてない。なぜ「シルバー」なのか?という問いの答えは「春のゴールデンウィークを受けて、秋はシルバー」ということのようだがあまりに安直だろう。そもそも「ゴールデンウィーク」と呼ばれる由来は、ラジオで最も視聴率の良い時間帯の「ゴールデンタイム」に習って「黄金週間」と言われていたのだが、それではパンチに欠けるという理由から「ゴールデンウィーク」になったという説がある。この和製英語には日本ぽさを強く感じるので好意的ではあるけれど、「ゴールドにはやっぱシルバーっしょ」みたいな安易なネーミングはいただけない。それに、外国人にゴールデンウィークと言ったところで、相手がよほど日本に精通していない限りは「なんだソレ?」の顔をされるはずだ。ゴールデンウィーク、シルバーウィークは共に和製英語で、これらの休暇は日本にしか存在しないということを認識して異文化交流をしよう。

次に、日にち(期間)がよくわからない。日本の祝日が変動するようになったのはハッピーマンデー制度が導入された平成12年からのこと。「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(平成10年法律第141号)」が実施され、成人の日、体育の日が第2月曜日に移動したのを皮切りに、翌13年には海の日、敬老の日が第3月曜日に移動となった。しかし、秋の連休のわかりにくさはこれだけではない。注目すべきは「秋分の日」だった!

秋分の日が水曜日のとき、月曜日である敬老の日と秋分の日に挟まれた火曜日は国民の休日となるため今年のような大型連休になるのだが、1回目の2009年以降、今回が2回目で、次はなんと17年後になる。これだけ時間が空いたら馴染まないどころか覚えていられないのにも頷けてしまう。施行されて10年以上経過しても、いまだに賛否両論あるハッピーマンデー制度。祝日の本来定められた意味がなくなってしまうと懸念し、制度廃止を求める動きもあるようだ。

音楽ギョーカイで、特に現場で働く人は国民の休日をはじめとして年末年始、土日は出勤であることが多い。コンサートやイベントなどは多くの人が休みである日に開催して、より多くの人にお越しいただけるように設定するし、レコーディングなどに至っては曜日も時間も関係ない。シルバーウィークがしっくりこないのは全業界の休日返上で働く人に多いのか、それとも国民の多くがしっくりきていないのかが気になるところだが、名前はさておき、もう少し長めの大型連休があってもいいとさえ思うので現行の連休策には賛成だ。この連休は、前半は母と友の誕生日を祝うために帰省していて、昨日は息子と再従姉妹、叔母、母と幼少期によく連れて行ってもらった三毳山へピクニックに行ってきた。後半は都内で舞台鑑賞とライブをそれぞれ1本ずつ見に行く予定だ。



このシルバーウィーク中、様々な場所で開催されているライブへ足をお運びの方も多いことだろう。ミュージシャンの放つ音に酔いしれ、怪我、事故のない、楽しい休暇を過ごしていただきたい。また、長丁場のイベントなどで飽きてしまったときには、会場に訪れた音楽を愛する人たちがより幸せな時間を過ごせるようにと懸命に働く裏方が大勢動き回っているので、彼らの動きや役割を観察してみると何かしらのドラマがそこに見えたりしてなかなか面白いはずだ。

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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