ラップの言語は1つじゃない!

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ラップの言語は1つじゃない!

ラテンがクールなものとなるずっと以前から、Cypress Hillはラテンだった。

しかし、『Los Grandes Exitos En Espagnol』という名のスペイン語のアルバムのリリースをきかっけに、彼らは国境の南側の出身という自らのルーツを最大限に活かそうとしている。

彼らの曲の中でも最も愛されている曲を集めたこのアルバムは、ヒップホップのヒット曲の集大成を、彼らの生まれついた言葉で歌うものとなっている。これこそ、Cypress HillのメンバーのSen-Dogが長年目指してきたものなのだ。

新しいアルバムにはロック界から実に様々なゲストが参加しており、多彩な内容を持つ作品。しばらくはレコーディングとスペイン語のラップの勉強で忙しくしていた彼らだが、それ以外にも自らフェスティヴァルを主催し、ラジオ番組のホストを務め、それぞれのソロプロジェクトにまで手を伸ばしている。


LAUNCH:
これまで長い間Smokin' Grooves Tourのヘッドライナーを務めてきましたが、今回は手を広げて自らフェスティヴァルを主催することになりましたね。今、準備しているそのフェスティヴァルについて教えてください。

B-REAL:
俺達は長い間色々なツアーをやってきたし、フェスティヴァルツアーもかなりの数をこなしてきて、そこから色々なことを学んできたわけさ。やっていいことと、やってはいけないこととか、いかにしてアーティストとファンの両方に居心地いい思いをしてもらうか、とかね。そこで、俺達は他人のツアーに乗っかるよりも、自分達のツアーを作ろうじゃないかと考えたんだよ。その方が自分達の求めている環境に身を置くことが出来るし、自分達の手でコントロール出来る部分も増えるだろ。そこでアイディアをまとめたのさ。どういうバンドと一緒にプレイしたいか、とかね。その中にはこれまで一緒にやってきたバンドもいれば、今まで一度も共演したことのないバンドもいたし、俺達が尊敬するバンドも入っていた。最終的に出演者が固まった時、俺達はこの顔ぶれなら他のフェスティヴァルにも見劣りしないし、過去のフェスティヴァルにだって負けない、とわかったんだよ。

LAUNCH:
フェスティヴァルの場所にサンバーナディーノを選んだのはなぜですか? ちょっとはずれた場所ですよね。

B-REAL:
確かに、サンバーナディーノは、普段みんながフェスティヴァルを開くのに使うような、おきまりの場所ではなかった。普段はアーヴァインとかグリークとかユニヴァーサルとか(※訳注:すべて会場名)、ハリウッドボウルなんかを使うし。俺達としては他のみんなと同じ会場は使いたくなかったんだよ。自分達自身の場所を作り上げたかったんだ。そんな俺達の希望に、ナショナルオレンジショウは完璧に合う場所だった。はずれた場所だし、チャレンジだったからね。都会からわざわざサンバーナディーノまでみんながそのショウを見るためにやってきてくれたら、明らかに自分達には何かがある、ということになるし。それに、あの会場は他の場所よりもずっと一緒にやりやすかったんだよ。俺達はうまくチャンスを利用することが出来たってことだね。これからもあそこでフェスティヴァルを開き続けるつもりさ。

SEN-DOG:
なにしろ45,000人もの人が来てくれてね。本当に楽しい思いをさせてもらったよ。会場側がフェスティヴァル用に遊園地を全部開放してくれたんだ。カーニヴァル風の乗り物とか、お化け屋敷とか。だから、ただバンドを見るというだけじゃないんだよ。実際、子供連れも大勢見かけたし。大きさとか考えたら信じられないくらいだったけど、本当に楽しかった。凄かったよ。

LAUNCH:
自分達だけでフェスティヴァルを開催して、あれだけ素晴らしい反応を得た、というのはどういう気分ですか?

SEN-DOG:
あれは俺達が業界の中で成長し、自分達が海外等で出演してきたフェスティヴァルやコンサートからしっかり学んできた、ということを示していたと思う。自分達だけでどうやったらいいのか、俺達にはちゃんとわかっていたんだ。こういうタイプのことが自分達で出来るし、ツアーとして巡回することが出来る可能性もあるということがわかって凄くいい気分だよ。俺達はアーティストだけど、必要とあればコンサートのプロモーターにもなれるんだから。凄い達成感だ。

LAUNCH:
Cypress Hillにとってツアーはどの程度重要なのですか?

BOBO:
俺達はツアーを楽しんでいるし、ファンの前でプレイして、自分達の音楽を広めることを楽しんでいる。ツアーはバンドにとっては重要なものだ。特に、ラジオであまりかからなかったり、ビデオを頻繁に流してもらえないバンドにとってはね。そういうバンドは他の道を見つけるしかない。それがライヴなのさ。俺達は優れたライヴを見せることに誇りを持っているし、平凡なコンサートしか出来なくて評判の悪いヒップホップアーティストが大勢いるのもわかってる。たとえアルバムの出来はよくても、ショウは平凡だったりするんだ。俺達は、自分達のライヴは一段上を行くものにしたいんだよ。実際、凄い量のツアーをこなしているヒップホップバンドは少ないよね。俺達だろ、Rootsだろ、Beastie Boysだろ、そんなものかな。俺はツアーは重要だと考えている。Cypress Hillの場合、それをさらに上の段階へ持っていきたい。ライヴバンドという面から言えば、Kinksを越えようとしているんだ。サウンドを大きく変えるということはないけど、色々なサウンドを加えていこうと考えているしね。将来的には、もっとライヴの部分が増えるだろう。これまでやってきたことをすべてひっくり返してしまうことはないけどね。そこへライヴの部分を加えていく、という感じさ。将来、2000年以降は、ライヴの要素が増えていくと思うよ。

LAUNCH:
スペイン語のアルバム『Los Grandes Exitos En Espagnol』の制作には、しばらく時間がかかっていたようですが、仕上がり具合はどうですか? なぜ、今この時期にあのアルバムを出すことにしたのですか?

B-REAL:
やる時間があったからさ。『V』用に曲を書き過ぎちゃってね。25曲近く出来上がってしまったので、「少しペースを落とそう。さもないと、30~40曲から選ぶことになっちまうぞ。この時間でスペイン語のアルバムを仕上げようぜ」と決めたんだよ。あのアルバムは2ヶ月で作ったんだ。それが偶然、ラテンのマーケットが凄くデカくなっている時期にリリースがぶつかっちゃって。俺達は状況の変化をよくわかってるわけじゃないんだよ。いつも音楽に集中しているし、俺達がラテン系だってことはファンはみんな知ってたしね。でも、まあこのアルバムは実際ラテン系のファンのためのものさ。他の人達が買いたいというんなら、凄く嬉しいけど。スペイン語を話せない人達がこのアルバムを受け入れられるのなら、自分達はとてもいい仕事をしたんだって思えるし。俺達はただみんな楽しんでくれればいいと思ってるだけだよ。新しくて他とは違う作品だしね。この業界じゃ、なんでもタイミングなんだよ。今回はまさにどんぴしゃのタイミングでリリースしたってことだね。

BOBO:
面白いことに、このアルバムはずっと待っていたものだったんだよ。俺達にとっては特にそうだし、ファンにとってもそうさ。俺達は随分前からこのアルバムのことを計画していた。今、大ブームになっているラテンムーヴメントが起こる前からね。こういうことになったので、アルバムを仕上げるためにツアーをちょっとキャンセルしなくちゃならなかったんだ。これは、俺達としては随分珍しいことなんだよ。ここ5年くらい、毎年夏になるとツアーをしていたんだから。それくらい、このアルバムの作業をすることが俺達には重要だったんだ。今は確かに完璧なタイミングだよね。みんな(ラテンからの影響に対して)前よりも受け入れやすくなっているし、全く異質な感じじゃないわけだから。これが扉を開いたばかりならともかく、今や扉は開かれ、みんなの耳もこのラテンのムーヴメントに対して開きやすくなっている。こうやってうまいタイミングで乗っかってよかったと思うよ。

SEN-DOG:
去年、俺がバンドに戻った時から、俺の一番の課題はこれだったんだ。「…ったく、いつになったらスペイン語のアルバムを作るつもりなんだ?」ってね。俺にはキューバに親戚がいるし、'92年、'93年頃からこういう作品を作りたかったんだよ。ツアーとレコーディングでスケジュールが大変で、実現出来なかったんだけどね。でも、今回は「さあ時間をかけてやろうぜ」ということが出来た。素晴らしい作品になったよ。Mellow Man Aceも参加してくれたしね。彼らは俺の仲間でメキシコじゃ最高にかっこいいラップグループの1つなんだ。実際、この出来には感動したね。B-Realには感心させられたよ。俺達、おふくろと話す以外はスペイン語なんて全く話さないのに。

LAUNCH:
レコーディングはどんな様子だったのですか? スペイン語でのラップのやり方を練習しなければならなかったとか? 歌詞の訳はどのようにしたのでしょう。

B-REAL:
スペイン語でやるのは凄く奇妙な感じだった。違う言語だし、発音も違うし。ビートからはずれないようにしなくちゃならないしね。これまでやったことがなかったから。Sen-Dogは慣れたもんだったよ。でも、俺は今まで全くやったことがなかったんだ。一番不安だったのは、歌詞をうまく訳すことが出来るかどうかだった。幸いなことに、うまく出来たけどね。

LAUNCH:
一番大変だった曲はどれですか?

B-REAL:
翻訳するのが一番難しかったのは「Nothing To Lose」だったな。あと、「Checkmate」も。他の曲は結構単純だった。この2曲が難しかったのは、曲がアップテンポだったからだよ。1分間に110とか115とか、それくらいだったもの。後ノリじゃなくて、突っ込み気味だったし。ちょっと難しかったね。

LAUNCH:
スペイン語を話す国の若い人達にも“ピンと来る”と思いますか?

SEN-DOG:
アメリカの若者達が今、経験していることと、ラテンアメリカや南アメリカの子供達が今、経験していることは変わらないよ。ドラッグ、セックス、貧困、金持ちと貧しい人々の間の不公平。みんなが同じことを経験しているのさ。違うのはその度合いだけだ。

LAUNCH:
Bobo、あなたのラテン系としてのルーツを教えて下さい。父親はラテンミュージシャンだったんですよね?

BOBO:
俺の親父の名前はWillie Boboといって、ラテンジャズのパイオニアさ。彼は色々な人と一緒にプレイしてるよ。Tito Puenteをはじめとする偉大なジャズミュージシャン達とね。親父は、自分の名前でアルバムを14枚出しているし。俺のバックグラウンドはラテンジャズさ。5歳の時からプロとしてずっとプレイしているんだから。父親と一緒にね。こうしてラテンミュージックがまた復活しているのも、考えてみれば皮肉な話さ。ラテンミュージックはいつだって存在していたんだから。単に人々が受け入れようという気になる時が、時々やってくるというだけでね。こういうバックグラウンドを持つ俺は、ありとあらゆるタイプの音楽を素晴らしいと思えるようになったし、ラテンジャズとヒップホップとオルタナティヴの間に橋をかけることが出来た。俺のソロアルバムはまさにそういう感じの作品なんだ。

LAUNCH:
それでは新しいアルバム『Skull & Bones』について教えて下さい。

BOBO:
『Skull & Bones』にはFear Factoryのメンバーも数人参加しているし、Rage Against The MachineのBrad Wilkもプレイしているけど、出来る限りまとまったユニットとして制作したつもりだ。外部の人間を参加させるにしても、やり過ぎないようにしたしね。ただ、新しいものをやるに際しては、他の人達の助けを借りて埋めた部分もあるよ。全く以前のものから脱却してしまうのではなく、真の意味での進化なんだ。これまでも俺達にこういうことをやらないか、と言った人は大勢いたんだ。Pearl JamSonic Youthみたいなことをね。明らかにCypress Hillが長続きしていくことが出来る方向性を持った作品だよ。色々な要素が入っているから、とても面白いアルバムになったし。これこそCypress Hillの次なるステップだと思う。ヒップホップの部分では、俺達はもう自分達に出来ることを全部やり尽くしてしまったんだ。みんなはさらなるものを要求してくるし、自分達自身に挑戦するということは俺達にとっても重要なことだから、ライヴ演奏の要素を取り入れていくという今回の動きは、俺達にとって確実にプラスになると思うんだ。これから行なわれるコンサートでは、ライヴの要素をもっと目にすることになるはずだよ。

SEN-DOG:
Muggsは他のミュージシャンや、他の楽器であれこれと試してみたいと考えてたし。正直言って、このアルバムは俺達がこれまで作ってきた中で最高の作品だ。腰を落ち着けて、毎日9時から5時までアルバムに集中して作業をすることが出来た。このアルバムを俺は誇りに思ってるし、ダブルプラチナムやトリプルプラチナムの獲得だって夢じゃないかもしれない。

LAUNCH:
過去の作品とこの新しいアルバムとの違いは?

B-REAL:
俺達はこれまでのキャリアの中で、常に自分達の音楽の中で違うことをしようとしてきた。同じ方式やケミストリーを維持しながらも、音楽は違う世界へ行くようにトライし続けてきたんだ。そうすることで、行き詰まりを避けていたんだよ。俺達は常に新しい世界へと作品を押し進めてきたし、今回のアルバムでは演奏の面で他の人達の助けも借りている。なるべくサンプルは避け、ほとんど生の楽器を使うようにしたんだが、結果は素晴らしいものになった。俺達はみんなで自分達のゲームをさらなる高みに押し上げようとしたのさ。それは出来たと思うよ。俺1人で家にビートを持ち帰って曲を書くのではなく、今回はみんなで一緒に作業をしたからね。すべてのコンセプトをみんなで一緒に考えたんだ。

SEN-DOG:
普段は、B-Realは彼だけで曲を書き、俺は俺で曲を書き、スタジオに入ってからMuggsが作業をして、俺達が納得するまで彼が作業を続ける、というものだった。Muggsの方で、俺だけいてくれとか、B-Realだけいてくれ、ということもあった。今は、曲作りのやり方もずっと気楽なものになっている。前みたいにストレスになったりしないんだ。今は曲作りを楽しめるんだよ。それも俺達が成長して、このビジネスについて学び、いかにしてCypress Hillと気楽につき合うかがわかったからだと思う。俺達は曲を書き、頭を冷やし、葉っぱをきめる。もう1曲やるか、それとも家に帰るか?って感じさ。もうColumbiaの人間が30分おきに電話をかけてきて、俺達の首筋に息をはきかけながら「レコードが要るんだ、レコードが要るんだ」と言ってよこすこともないしね。

LAUNCH:
あなた達の音楽の進化について教えて下さい。おもしろさを保つために意識的にサウンドを大きく変化させていっているのですか? それともファンがCypress Hillの音楽だとわからなくならないよう、あまり大きくは変えないようにしているのですか?

BOBO:
そこが重要なんだよ。どうやって自分達がファンをつかまえたかを思えばね。ファンはまず最初のレコードを手にいれ、それを気に入るわけだから、そこから極端に変化してほしくない、と思うものなんだ。もちろん、時代や社会の変化に音楽面で対応していくことは大切だけど、それでもファンは自分達がよく知る、大好きなサウンドを聴きたいと思っているんだよ。そういう形で進化することを求めているわけだから。でも、自分達が興味を持ったものを取り入れながら、元々の味わいを失わないようにするってのは、なかなかのチャレンジさ。左、右、どちらにも揺れることなく、まっすぐに進みつつ、前以上に成長するように色々な要素を散りばめていってるんだ。ありとあらゆるタイプの音楽から学ぶことはとても重要だよ。俺達が普段乗り込んでいるツアーバスに積み込まれている音楽はとても幅広いんだ。クラシックロックからオルタナティヴ、ヒップホップ、ワールドビート、レゲエ、ラテン、ジャズまで。すべての音楽から得るものがあるんだよ。ヒップホップしか聴かなかったら、そこに閉じこめられてしまうだろ。そこから出られないと言ってるわけじゃないけど、違う種類のエネルギーが必要になってくるからね。様々な人々と一緒に仕事をすることは、自分が成長する手助けになるし。俺達にとってはありがたいことに、俺達はみんな異なるタイプの音楽が好きなんだ。それを自分達の音楽に加えていくことが出来るし、だからこそ様々な種類の音楽からの影響を耳にすることが出来るんだよ。ブルーズギターのサンプルにしてもそうだし、スペイン語のアルバムを制作出来ることにしてもそうだし、ヘヴィなオルタナティヴにしてもそうだしね。俺達は本当についてるよ。

LAUNCH:
Cypress Hillは民主主義的なバンドだと思いますか?

B-REAL:
もし、決断を下すのが1人の人間で、残りの人間は何も言う権利がなかったら、問題になるよ。俺達はお互いに対してオープンなタイプの人間達の集まりだから、自分達の好き嫌いははっきりと他のメンバーにも言うしね。アイディアもあれこれ話し合ってみて、投票する必要があればするし。でも、たいがいの場合はちゃんと意見が一致し合うんだ。すべての面において隠し立てするようなことがないから。右か左か決めかねることもあるけけど、結局その決断と共に生きて行かなくちゃならないんだからさ。Muggsなり俺なりSen-Dogなりが気に入らないと思うことがあっても、俺達はみんなそれを抱えていかなきゃならないんだよ。俺達は殆ほとんど意見が一致するね。それも、グループに対するヴィジョンが同じだからさ。だからこそ、決断を下す時も楽なんだ。口論になることはまずないよ。

BOBO:
Muggsは何よりもまずプロデューサーなんだ。ビートやコンセプトなどを思いつくのは彼だ。B-Realはメインで歌詞を書いている。Sen-Dogも歌詞を持ってくるし、ヴォーカル面を担当している。俺は色々な楽器を演奏出来るということで楽曲面の担当。そこからみんな一緒に作業をしていくんだよ。曲がミックスされる時は全員が立ち会うし、自分達の気に入る、気に入らないという部分で全員がアイディアを出し合うんだ。誰かがピンと来ないことをやればちゃんとそう言うしね。建設的な批判なんだよ。俺達はちゃんとした理由があってそういうことを言うんだ。俺達はみんなそのプロジェクトが最高のものになってほしいと思っているんだよ。だから、賞賛だけでなく批判に対しても耳をふさいだりはしないんだ。アイディアを交わし合って、うまくいくようにがんばるのさ。たとえ自分の出したアイディアが1つもうまくいかなくても、少なくともアイディアだけは出したんだから。沈黙してたんじゃなくね。俺達はみんなアイディアを提供するし、うまくやっているんだよ。

SEN-DOG:
そのとおりだよ。俺がこのバンドから離れる前は、ほとんどコミュニケーションがなかった。自分達が話す時はいつも弁護士だの、マネージメントだのが絡んでいて、凄くビジネスって感じだった。だから、他の誰かが首を突っ込む前に、まず自分達だけでしっかりコミュニケイトしようと決めたのさ。この業界の中で強固なユニットを維持するには、それがたった1つの方法なんだよ。

LAUNCH:
あなた達がホスト役を務めているラジオ番組について教えてください。あれはどのようにして実現したのですか?

B-REAL:
サンフランシスコのKMEL局で俺とBoboがラジオ番組を始めたんだ。単なる遊びとしてね。つまり、そのラジオ局の『Westside Radio』という番組に出てくれって頼まれたんだよ。アーティストをゲストに呼んで、その人達にホスト役を務めさせるっていう番組なんだけどさ。で、いつも出ているDJが休暇を取っていたんで俺達が出たんだけど、それが凄く評判よくてね。それで向こうからまた出演依頼があったんだ。そこで俺達は「こりゃ真剣に考えないと」と思ったんだよ。向こうは俺達にはラジオでやれるだけの力があると思ったんだね。俺達は他のヒップホップDJとは違って、ユーモアを交えてみんなと違うことをやったんだ。そうこうするうちに、今度は時間を決めて出てくれと言われるようになって、俺達もどんどん真剣になっていった。今までとは全く違う世界だって気がついたんだよ。ここで1番になれば何百万という人達に俺達のレコードを聴いてもらえる。それも、俺達がかけたい時にいつでもね。自分達のレコードやイベントを宣伝するチャンスでもある。『Cypress Hill Smokeout』みたいなね。それに、番組が成功すれば、他のラジオ局も中継したがるじゃないか。俺達が求めていたのはそういうところなんだ。自分達の番組でかければ、いつでも自分達の音楽を聴かせることが出来るんだから。Cypress Hillが成功を収めている地域で番組が放送されても、結果はいいものになると思うしね。そういう理由が1つ。もう1つは楽しいからさ。趣味なんだよ。ツアーすることで収入は得ているから、金のためにやってるんじゃない。ただやっていて楽しいというだけさ。

BOBO:
『Soul Assassin's Radio』は本当に面白い。もう2年くらいやってるんだけど、凄く楽しいよ。自分達だけで他の人達とコミュニケートして、聴いている人達に楽しんでもらう時間を提供し、ヒップホップを応援してもらったり出来るんだから。自分達だけでやれるっていうのも大きいよ。目に見えない何百万という人を相手に話すというのはちょっと怖い部分もあるけどね。興味を惹き続けなくちゃならないから。そういう意味ではチャレンジだけど、ものすごく楽しいことでもあるんだ。新しい人達にも聴いてもらって、その時間帯で1番の番組になるなんて恵まれてるよ。レコードやビデオの制作やツアーに加えて、自分達がラジオ番組をやるなんて、夢にも思わなかったのに。本当に恵まれてる。自分達が楽しんでいる間は続けていきたいね。

LAUNCH:
リスナーからの電話も受けるんですよね。とんでもない話もあったりします?

B-REAL:
結構とんでもない話があるよ。ある女の子の話でね。彼女は自分の彼氏が自分をだましていると思ったので、自分に声をかけてきた他の男とある夜デートしたんだ。その男は単なる遊び人だったんだけど、彼女は、今回だけ遊ぶわ、と思ったんだね。そこで彼女はその遊び人とセックスをして、何度か彼女の中にそいつの“ジュースをまき散らさせた”んだって。その後、彼女は家に戻ったんだけど、彼氏はその夜は彼女が何をしたか気が付かなかったらしい。そこで彼女も変な気分になったらしくて、「私に何かしたいなら今すぐして」と言ったんだ。でもね…彼女はシャワーを浴びてなかったんだよね。つまり、その彼氏は自分の彼女を通して他の男を味わうはめになったわけさ。結構とんでもない話だろ。でも、そういうのもお構いなし。笑えるのはね、その彼氏ったら彼女とよろしくやりながら、彼女のことをオイシイって言ったんだってさ(笑)。俺はどうするのかって? 俺はただ聞いてるだけだよ。

LUNCH;
Sen-Dog、あなたのソロレコードについて教えて下さい。

SEN-DOG:
タイトルは『SX-10』っていうんだ。本当にヘヴィな作品だよ。他のどれよりもストレートなロックンロールさ。でも、ラップもたっぷり繰り広げてる。だから、本当の意味でロック/ラップの感覚があるんだ。耳を使わずに心で音楽を聴けば、これがどういうたぐいの音楽かわかるはずさ。俺はロックンロールが好きだし、ラップをしたり歌ったりするのも好きだ。それだけじゃない。ファンクも取り入れてる。音楽の世界にファンクは非常に重要な影響を及ぼしたと俺は思うんだ。'70年代が他の時代から抜きんでているのは、驚異的なファンクバンドがいくつも登場したからさ。ファンクは今でもやっている人がいるけど、メタルやロックンロールとミックスしている人はあまりいないからね。最近の俺はそういうのをやってるんだよ。

LAUNCH:
なるほど、ロック/ラップをやっているんですね。比較対象してはどういう存在が?

SEN-DOG:
俺自身は、自分のやっていることがLimp BizkitKornRage Against The Machineと比較対象になるとは思わない。俺は他と違うものを作ろうと必死なんだから。そのために俺はKROQ(ロサンゼルスのロックラジオ局)は聴かないし、PowerやBeatも聴かない。それよりも今日の音楽の状況を可能にした人達の作品を常に聴くようにしている。数年さかのぼって音楽を聴いてるからこそ、俺は他とは違う存在として抜きんでたものになれると思うんだよ。俺はKROQにこういうものを出して欲しいと言われても聴く気はないからね。俺は流行を創り出そうとしているんだ。Cypress Hillがやったように。売れる音楽をやることだって出来るよ。だけど、ラジオ局がリスナーを増やすために望んでいるような曲を書く代わりに、自分の心に沿った曲を書くことの方がずっと大事だと俺は信じてるんだ。俺は今、実際にそういうことをやっている頑固な連中の1人なのさ。俺の才能のレベルやMCのレベルかわかるのはそういう人達だけだと俺は思ってる。まじでね。他の人をけなしてるわけじゃないけど、本当の話だから。

LAUNCH:
ネットサーフィンをしたりしますか?

B-REAL:
まあ、あちらこちら、とね。基本的には自分達のサイトを可能な限りチェックして、おかしなことにならないようにしてるんだ。自分達のサイトをよりよくするためのアイディアを求めて、他のサイトもチェックしてるよ。でも俺はBoboみたいなネットジャンキーじゃないからさ。彼は何時間もやってるからね。俺はちょこっとやって、すぐやめちゃうけど。誰かが俺のe-mailアドレスを雑誌に載せたので、俺がインターネットにつないでるとあっちこっちからメールが飛んでくるんだよ。だから、つないだりつながなかったりって感じなんだ。あれもファンにとっては一種の連絡方法だからね。しばらくつなぎながら作業なんかしてると、よくメールを受けるよ。でも、俺の数分が彼らにとっては一生続く時間に思えるかもしれないんだから。ファンは相手が本当の俺かどうかわからないけど、わからなかったとしても、充分クールなことじゃないか。

BOBO:
俺はインターネットジャンキーだからね。前はもっとひどかった。何かについて学んだり、様々なものを見つけたりするには本当に便利な道具だと思う。今ではとても重要な存在になっているし、今、成長過程にある子供達はこういう知識を身につけているんだ。彼らは4、5歳からコンピュータで遊んでいるんだからね。本当に大きなメディアだよ。残念ながら、よくないことに使われることもあるけど、俺自身は前向きなものだと思っているんだ。Boboとインターネットのとんでもないシナリオを話してやろうか。11時までスタジオにいて、それから家に戻ると、俺はチャットルームやネットサーフィンやメールの返事書きにすっかりはまりこむんだ。気がつけば朝の5時さ。寝不足で目の下にはくまが出来る。本当にきついよ。みんなが俺に連絡をつけようとしても、俺はインターネットをやってて電話に出なかったり。時々危険なことになるぜ!

by Billy Johnson Jr.

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