【BARKS編集部レビュー】UE TF10のリケーブル、Fiioとオヤイデ、どちらがいい?

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Ultimate EarsのTriple Fi 10をはじめとしたUE、M-AUDIO一連のケーブル脱着式のモデルに対応した、交換ケーブルが2種類登場する。11月25日発売のFiiO RC-UE1と12月15日発売のオヤイデ電気HPC-UEだ。

◆FiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE画像

▲左上の白いケーブルがオヤイデ電気HPC-UE、その右がFiiO RC-UE1。その下の2本が純正ケーブル。左がノーマルケーブル、右がコントローラー付きもの。中央下に写っているのは、Triple Fi 10をリモールドしたROOTHのカスタムIEM。

ことTriple Fi 10の場合、ケーブルを純正から高品質ケーブルに交換すると飛躍的に音質が向上するのは、イヤホン好きには知られた情報。…とはいえ、サードパーティとして販売されている交換用の高品質ケーブルは本体価格に肉薄するほど高額なものもあり、気軽に手を出せるものでもなかった。誰もが器用にケーブルを自作できるわけもなく、いつかはケーブルを交換してみたいな…と思い描くだけで、指をくわえていた人もたくさんいたことだろう。

そんな折、今回登場となった2モデルは、FiiO RC-UE1が定価5250円、オヤイデ電気HPC-UEが7875円~8190円と、かなりリーズナブルな価格での登場となっており、にわかに大きな注目を集めているところだ。奇しくもほぼ同時期に登場する両ケーブルだが、はたしてどちらを買うべきか…参考となる情報が全く見当たらないまま、遂にFiiO RC-UE1の発売日を迎えてしまった。

▲R側に刺さっているのがオヤイデ電気HPC-UE。その下がFiiO RC-UE1と純正ケーブル。左に写っているのはリモールドされたUE TF10とカスタム用ケーブル。

もはや我慢できず、両ケーブルを入手、とっかえひっかえ使い倒し、果たしてどのようなサウンドかを確かめてみた。

Fiio RC-UE1(以下Fiio)とオヤイデ電気HPC-UE(以下オヤイデ)、そのどちらもオリジナルのケーブルから比較すると、サウンドを覆っていたどんよりとしたような曇りがはれて、爽快なサウンドになるのは、ご想像の通り。その変化具合は、双方ほぼ同一で、ここには特筆すべき差異が見当たらなかった。いきなり面白みのない結果で申し訳ないが、両者の実力はほぼほぼ同等だと思う。

もう少し細かい差異を確かめるべく、純正ケーブルと、マイク&コントローラー付純正ケーブル(Triple.fi 10vi用)、そしてFiioとオヤイデ、さらにTriple Fi 10をそのままリモールドしたROOTH製カスタムIEM用のケーブルという計5種類をとっかえひっかえ試してみた。

▲左から銀ロジウムメッキプラグのオヤイデ、24K金メッキのFiio、純正、カスタム用の各プラグ。

結果、気付いたことは、オヤイデは中域と低域の出方に若干の厚みが出るようで、心もち音が太く感じる。中域にはちょっとだけ張り出した癖があるので、ここは好みが分かれるところかもしれない。一方で残念なところは、手元のケーブルの中で最もタッチノイズが大きい点だ。しっかり耳に這わせることで、そのノイズはほとんど軽減させることもできるが、耳掛け用金属ワイヤーが入っていないことで、そのまま下に垂らすような使い方も可能とされている。この場合は、あごの下まで分岐ケーブルを締め上げるような工夫をした方がよさそうだ。

しかし何よりオヤイデは、銀白色に輝くこのデザインと質感がたまらなくカッコいい。そして1.0m/7,875円(税込)と1.3m/8,190円(税込)という長さにバリエーションが用意されているところも、大きなアドバンテージだ。使い勝手という意味ではこの30cmの差は実はでかい。ここは重要視すべき着目ポイントのひとつだ。

▲上からオヤイデ、Fiio、純正、カスタム用の各プラグ部

一方でFiioはとてもタイトな音がする。全帯域がリニアに明瞭感を増してくれる印象だ。非常に素直な音で耳に付く特異な点がないので、誰にでも安心してお薦めできる音だと思う。ケーブルのタッチノイズも少なめで、普段使いに最適。オヤイデ電気オンラインショップでも4,200円で販売されており、コストパフォーマンスは極めて高い。オシャレ感は悲しいほど感じられないけれど、長ささえ130cmでちょうど良いと思えるのであれば、ここはFiioが俄然お薦めである。

オヤイデにしろFiioにしろ、一度その音質に触れると二度とオリジナルのケーブルには戻れなくなるだろう。それだけに、Triple.fi 10vi(リモコン付)ユーザーの場合、リモコン付の高品質交換ケーブルが存在しないのは、非常に残念なところ。対応商品が発売されるような話は聞かないので、ブルートゥース機器でリモコン機能をまかなって、ケーブルは素直に高品質化するという使い方がベストかもしれない。

▲カスタムとTriple.fi 10のソケット部。ほとんど同じにみえるが、カスタムの方が太い。

なお、どちらもケーブルは太く固さもそれなりのため、純正よりもとりまわしは重い。一方で純正のようなクセは付きにくいので、使いやすいと思う向きもあるだろう。使用感は純正とは随分と違うのでご注意を。また、ケーブルの抜き差しを執拗に繰り返すと、どうしても穴が広がり緩くなってしまう症状が起こる。簡単にピンが抜けてしまうようになると、うっかり本体を落とし運悪く蹴り上げ、通りがかった車がくにゅっと踏みつぶし去っていくというマンガのような悲劇も起こりえる。無用な脱着は避け、デリケートな扱いを心がけよう。

蛇足ながらカスタム用の端子は若干ではあるもののそもそもサイズが違うようだ。微妙に無理が通るところが厄介だが、基本的には当ケーブル類とカスタム類は互換性はないものと理解いただきたい。

今回、私の場足はFiioを選択することにした。「しゃれっ気は皆無だけど安くて音がいい」…そこに尽きるということで。

text by BARKS編集長 烏丸

▲FiiO RC-UE1

対応モデル:Ultimate EarsのTriple Fi 10、Super.Fi5 Pro、Super.Fi 3 Studio、M-AUDIO IE-40、IE-30、IE-20 XB、IE-10

●Fiio RC-UE1
2011年11月25日発売
5,250円(税込)
長さ:1.3m
・ケーブル:HPC-23T(ブラック)
・導体:PCOCC-A
・シールド:PCOCC-A
・絶縁体:PFA(テフロン)
・外装:PbフリーPVC
・外径:2.5mm×2

●オヤイデ電気 HPC-UE
2011年12月15日発売
1.0m/7,875円(税込)
1.3m/8,190円(税込)
▲オヤイデ電気 HPC-UE

・ケーブル:1芯シールド(外径2.4mm)、2本平行ケーブル
・中心導体:PCOCC-A(3/20/0.08 AWG23)
・絶縁体:テフロン(PFA)
・シールド:銀メッキOFC編組シールド(16/4/0.08)
・外装:難燃 鉛フリーPVC 透明艶消し
・ヘッドホンアンプ側コンタクト部:3.5mm mini plug P-3.5SR 真鍮製 厚肉銀メッキ(1.5μ)+ロジ・ウムメッキ(0.3μ)仕上
・ヘッドホン側コンタクト部:金メッキ電極 Pb(鉛)フリーPVCモールドプラグ
・オリジナルハンダSS-47使用

◆Fiio RC-UE1オフィシャルサイト
◆オヤイデ電気 HPC-UEオフィシャルサイト

BARKS編集長 烏丸レビュー
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