【連載】Vol.105「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

ツイート

「蜜」と表わされた激震の年だった2020 願いはただ一つ 「早くフツーに来日アーティスト公演を楽しみたいナァ…」


▲1973年ローリング・ストーンズ公演特別予約チラシ from Mike’s Collection

2020年はコロナ禍で明け暮れた。引き続き来年も現状のままで頑張らなくてはならない…。
そこで今年のマイ・ライヴ、思い出してみると1月10日@東京国際フォーラム/ホールAでの沢田研二【正月LIVE・2020・名福東阪阪東・寡黙なROCKER】からスタート・ミー・アップ。https://www.barks.jp/news/?id=1000177582


▲セットリスト 提供:ココロ

13日にはBillboard Live TOKYOでジェイソン・イズベルを楽しむ。彼はファースト&セカンドのブレイク・タイムに僕のインタビューにも答えてくれた。https://www.barks.jp/news/?id=1000178281


▲ジェイソンと筆者

17日にはちょっとプライベートチックなステージだったけど仙川フィックスホールでのスターを夢見る長田珠澄を中心とした若きLADIES“Natanya”ファースト・ライヴも拝見。そのフレッシュなステージに感激した。



月末にはBlue Note TOKYOで「Take The A Train」(ローリング・ストーンズ・ファンならこの楽曲がどこに登場するかご存じだよネッ!?)でお馴染みデューク・エリントン・オーケストラのステージをラヴリーな雰囲気で楽しませて貰った。この時に週一ペース、年間50は下らないだろう(と、その時は予想した)。
2月にワディ・ワクテル率いるRONINの来日公演@Billboard Live TOKYO!素晴らしかった!!勿論朋友ワディはじめダン・ダグモア、スタンリー・シェルドン、リック・マロッタ、メンバー4人にじっくりインタビュー。この夜のBLTでのステージが先頃アルバム『LIVE IN JAPAN』(VIVID SOUND CORPORATION/VSCD3990)としてリリースされた、是非ともご堪能あれ!
https://www.barks.jp/news/?id=1000179503
https://www.barks.jp/news/?id=1000179531


▲Pic. by Kaz Sakamoto


▲提供:VIVID SOUND CORPORATION


▲RONINをインタビューする筆者

RONIN LIVEの翌日12日はクロコダイルでの大野良治プロデュース“Smooth Jazz Vol.2”MCを務める。この日のゲストは1980年代から我が国のジャズ・シーで活躍するマリーンだ。「Loving You」(ミニー・リパートン)「It’s Magic」を熱唱する彼女のダイナミックでエモーショナルなヴォーカルをステージ横でじっくり味わい最高の気分に…。


▲マリーン&McMike Pic. by K.SATO

2月後半になると新型コロナウィルスに関するニュースが次々発表され、春のマイMCが殆どキャンセルになっていく。月末Blue Note TOKYOでの塩谷哲スペシャル・トリオを観る。ギターの小沼ようすけのプレイを久々に体現…。丁度その頃Mike’s Boogie Station のVol.85アップ。【来日直前インタビュー ブッカー・T.ジョーンズ「日本のファンの皆さんが長きに亘り忠実に支えてくださっていることへ深く感謝します!」】。
https://www.barks.jp/news/?id=1000179199
しかし3月17日に予定されていたブッカー・T.のBlue Note TOKYOでの3年ぶりステージは延期が発表された。


▲ブッカー・Tと筆者

3月は殆どの来日アーティスト公演が“公演延期”または“中止”となる。ここから長きSTAY HOMEが続いた。もし世の中がいつもの平時だったら、オリンピックも今号トップのチラシのグループLIVEも2020年にTOKYOで楽しめたのかもしれない…。ストーンズ初来日中止、1973年1月に涙したことが脳裏を掠めたのは丁度そんな時だった…。

4か月、LIVEとは縁遠い日々が続いた。ようやく日本人アーティストのステージが再開され始めたのは6月後半になってからだ。僕が久しぶりにLIVEを味わったのは同月21日、Blue Note TOKYOでの小曽根真。その素晴らしいステージに感激した。
https://www.barks.jp/news/?id=1000184870


▲提供:Blue Note TOKYO

そんな余韻に浸りながら8月4日にはBNTで再び小曽根真のピアノにシビレまくる(内緒だけど今月は彼のLIVEを求めてK県方面に…)。
お盆時には半年ぶりに六本木Billboard Live TOKYOに足を運んだ。MISIAのステージだ。デビュー時にBMGファンハウスのスタッフに連れて行って貰って以来20年ぶり。オープニング「CASSA LATTE」をマスク姿で熱唱&マーヴィン・ゲイ・カヴァーが特に印象に残った。

10月11日には“Smooth Jazz Vol.3”のMCを務める。3回目のゲストは日本を代表する敏腕ベーシスト、ナルチョこと鳴瀬善博。僕の大々ミュージック・パルであるナルチョのプレイはCASIOPEA 3rdは勿論のこと、ウン十年前からいろいろなプロジェクトで楽しませて貰っている。この日の「Get Down On It」(クール&ザ・ギャング)「Minneapolis,1987」(ブライアン・ブロンバーグ)の演奏ぶりは圧巻&スゴスギ!!だった。
https://www.barks.jp/news/?id=1000166066


▲Pic. by K.SATO


▲Pic. by K.SATO

海外アーティスト公演は毎年30組以上は味わうけど2020年はたった3本だった(涙)。振り返ると1965年から来日公演が僕の楽しみ。同年でさえベンチャーズ、アストロノウツ、ピーターとゴードン、リトル・ペギー・マーチ、ハ二ーカムズ、サファリーズ(実際のステージはエレキグループというよりR&B色を全面に出していた)etcで55年後を上回っていたんだ。


▲ベンチャーズの創始者ドン・ウィルソンと筆者(僕が初めてベンチャーズを観てから半世紀後ショット。)

秋から冬にかけてもなかなかLIVEへ足を運べなかった。そんな中で僕のお気に入りアーティストを2度ほど同じスポットで堪能した。KOTEZ&YANCY、9月29日&12月4日@浅草HUBでのゴキゲンなステージだ。



KOTEZのハーモニカ&ヴォーカル、YANCYのピアノ&ヴォーカル。彼らのサウンドはブルース、R&B、ソウル・ミュージック、ファンク、ジャズ、ゴスペル、そしてニューオリンズとブラック・ミュージックの全てを取り込み独自に進化を遂げたファンキーでメロウなスタイル。シック&アバンギャルド、相反するセンスを同時に匂わせるサウンドをクリエイトする。KOTEZ&YANCY の音楽は非常に個性的であるけど、ブラック・ミュージックを奇を衒うことなく新たな解釈をしていく。その感性と緩急自在のライヴ・パフォーマンスは多くの熱狂的ファンに支持されている。特に12月のHUB LIVEでのYANCYの何かに取りつかれているかのような衝撃的ともいえるダイナミック&パワフルなピアノには度肝を抜かれた。それに引っ張られるようにKOTEZのハーモニカ、僕の大好きな彼のソウル・シンガーの魅力がいつも以上にエクスプロージョンしていた。


▲Pic. by Kiyome

KOTEZ&YANCYファースト・セット、まずはKOTEZのファルセットをフィーチャーしてのバラード、ジミー・クリフ作品、UB40ヒットとしても馴染み深い名作「Many Rivers To Cross」。YANCYのピアノ・ワークも早くもドラマティックに奏でられる。KOTEZ&YANCYの2007年のアルバム『221』収録。



「Bring It On Home To Me」は56年前の12月に射殺されこの世を去ったレジェンド、サム・クックの代表作中の代表作(1962年)。KOTEZのヴォーカル、そして彼の見事としか言いようのない素晴らしいハーモニカが早くもフィーチャーされる。


▲Pic. by Kiyome

会場が手拍子、コール・アンド・レスポンスであっという間にヒート・アップ。二人の2016年アルバム『Here Comes The Band』収録。



そして3曲目はブルース・スタンダード、ジミー・リードの代表作、ストーンズ・フリークなら誰でもすぐにそのタイトルが浮かぶ「Honest I Do」。ここではインスト・ヴァージョン。


▲Pic. by Kiyome

自由奔放、まさに鍵盤を自由に操るYANCYの世界に驚愕させられる。今年リリースの彼のアルバム『YANCY at PIANO 1』に収録。彼はアルバム・リリース時の僕のインタビューで「ジョー・サンプル&デイヴィッド・T.ウォーカーの『Swinging Street Cafe』からのヴァージョンを基本にしている」と語っていた。



YANCYがそのままステージを引っ張るように「Mardi Gras In New Orleans」。お馴染みニューオリンズの祭典マルディグラのテーマ・ソング、プロフェッサー・ロングヘアーの代表作だ。ここでのKOTEZのブルージーなハーモニカもとても迫力がある。勿論手拍子で盛り上がるお祭りソング。久しく行ってないニューオリンズを思い浮かべて、いつになったらバーボン・ストリートで音楽三味出来るのかナァ~…。『YANCY at PIANO 1』収録。
そして「Muscle Boogie」も『YANCY at PIANO 1』からでこれはYANCYのオリジナルである。そこにKOTEZが見事に飛び着いてCDとは一味違うシーンを生み出す。


▲Pic. by Kiyome

そしてアップテンポの手拍子ソング、エルモア・ジェイムズ「Talk To Me Baby」と続く。♪talk to me baby♪パートは勿論(心の中で)大シャウトなのだ。YANCYのローリング・ピアノが実に軽快。アルバム『221』収録。
続いては“Stormy Monday”としてお馴染みT-ボーン・ウォーカーの1948年のヒット「Call It Stormy Monday(But Tuesday Is Just As Bad)」。KOTEZのヴォーカル♪somebody have mercy on me♪。二人の2001年リリースのファースト・アルバム『Road Movie』に“Stormy Monday Blues”という表記で収録。



そしてファーストのラスト・チューンはアップテンポのブギー・ナンバー「Root Beer Rag」。ビリー・ジョエルのピアノ・ヴァージョンとして有名。YANCY得意のプレイぶりがストレートに伝わり、そこにKOTEZが激しく絡みつく。もうたまらなくエキサイティングでワイルド!場内も大手拍子大会、爺は思わずツレとジルバしたくなってしまったのだ!そう言えばビリーのニューオリンズ・ライヴでこの曲を演奏する画像を観たことを思い出した…。『221』収録。

休憩時間にたっぷり赤ワインを補給、サァKOTEZ&YANCYセカンド・セットだ。KOTEZ大好きなサム・クックの「You Send Me」でスタート。1957年にサムが最初に大ヒットさせた楽曲でBillboard誌R&Bチャート1位。哀愁を帯びたメロディーラインをYANCYとKOTEZはしっとりと聴かせる。KOTEZのヴォーカルに被さるようにして僕も(心の中で)ハミングしてしまう…。アルバム『Here Comes The Band』収録。


▲Pic. by Kiyome

2曲目はレイ・チャールズ56年ヒット、ゴスペル・タッチのお馴染みな「Hallelujah I Love Her So」。二人はインスト・ヴァージョンで披露。シンプルな構成の中にもファンキーな魅力をエキセントリックに醸し出している。KOTEZのハーモニカの小刻みな味、そしてYANCYのアーバン・ブルース・タッチのピアノが印象深い。『YANCY at PIANO 1』収録。
そのYANCYのピアノで始まる次のナンバーは「I Shall Be Released」。彼がリード・ヴォーカルをとりKOTEZがコーラス担当。ボブ・ディラン作詞作曲、そしてザ・バンドが1968年リリースのファースト・アルバム『Music From Big Pink』に収録。1990年代に入ってディラン・ヴァージョンが公式化、多くのアーティストが取り上げている。YANCYのヴォーカルに心打たれる。西から東へ光が輝いている、any day now。♪I shall be released♪(勿論ここでもそっとシャウトさせて頂く)。KOTEZのハイトーン・ハーモニカもまさにライド・オン!そしてYANCYのピアノがいつも以上にエモーショナルだということをより強く感じる。感動作品である。


▲Pic. by Kiyome

ネクスト雰囲気はニューオリンズ、YANCYの大好きなドクター・ジョンのナンバーとして有名な「Such A Night」。そう、KOTEZ&YANCYはかつてドクター・ジョンの前座を務めたことがある。


▲提供:YANCY

YANCYのヴォーカルはアーシーでダウン・トゥ・アース、しっとりと味わう。KOTEZのハーモニカ(ビフラート・パートが素晴らしい)&コーラスがUSルーツ・ミュージックの根幹をしっかりと前面に出していく。2005年に僕はハリケーン・エイド・ジャパンを手伝った。その記者発表(@Blue Note TOKYO)でMCを務めたが、そこに来日中のドクター・ジョンが列席しステージ上で挨拶したことを想い出した…。
今度はKOTEZのヴォーカル&ハーモニカをフィーチャーしてのアップテンポに変身させたブルース「Don’t Go No Further」。シカゴ・ブルース界の巨人、ストーンズが師と仰いだマディ・ウォーターズの1956年のヒット作。これでもかこれでもかとどんどん攻撃してくるKOTEZハーモニカに会場は大喝采!♪Love Somebody♪!そこにYANCYのピアノが反撃が始まる、そのバトルが場内を大いにヒート・アップさせる。『221』収録。


▲Pic. By Kiyome

チェンジ・オブ・ムード、YANCYのピアノでムーディーに入っていく。1960年代の名作、坂本九の「上を向いて歩こう」。アルバム『YANCY at PIANO 1』に収録。LIVE終了後YANCYから聞いたんだけど、この楽曲をこの日のセットリストに加えることは全く考えていなかったそうで、まさにハプニング、リハなしの即興だったとか。さすが職人KOTEZ兄、アドリブで難なく対応していた。



そして再びアップテンポのブギー・ナンバー「Boogie Woogie 88」。YANCYピアノ&KOTEZハーモニカのダイナミック&エキサイティングなステージに大々手拍子が場内を包み込む。たった二人だけの演奏会とは思えないほど熱くホットで重厚なサウンドが僕らを圧倒する。『221』収録のYANCYオリジナル「Mr. Stompin’88」が改作されて現在は“Boogie Woogie 88”になったという。


▲Pic. by Kiyome

ラスト・チューンは「Members Only」。僕の大好きな1950年代後半から活躍していたボビー・ブルー・ブランドの1985年のヒット曲(1998年の来日公演@Blue Note TOKYOでは偶然にもブランド夫人と一緒に観ていたのだが勿論この曲を熱唱してくれた)。KOTEZのヴォーカルがこれでもか、これでもかとたっぷりと堪能できる素晴らしい出来栄え。♪Members Only Tonight♪、そして♪Lara×4…♪では場内(心の中で)大合唱!!!YANCYも大胆&豪快にピアノを弾きまくる。アルバム『Road Movie』収録。


▲Pic. by Kiyome<

そしてアンコール、サッチモことルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」。1968年作品で1988年に映画「Good Morning, Vietnam」(台詞にミック・ジャガーが登場するのでこのVHS&DVDはしっかりストーンズ関連映像コーナーにならんでいる 笑)挿入歌として人気を呼んだ。KOTEZは日本語詞「なんて素敵な世界なんだろう」(西岡恭蔵)で歌う。エンディングはYANCYピアノ♪Jingle Bells♪。メリー・クリスマス!!!

KOTEZ&YANCYのネクストHUB LIVEが2021年3月2日に決定した。しっかりリザーヴして帰路に…。

*YANCYインタビュー
https://www.barks.jp/news/?id=1000186465
*KOTEZ インタビュー
https://www.barks.jp/news/?id=1000187748

*YANCY新作
『DREAMIN’ PARADAISE』(West Bungalow Studio/WSB002)



*KOTEZ新作
『Mooney meets KOTEZ』(Airplane/AP1089)



☆☆☆

今年はSTAY HOMEでいつも以上にいろんな書籍を読み漁った。作家で武道家・今野敏の新旧作も数冊。そう言えばEテレで春に放送された“SWITCHインタビュー 達人達”では彼と元厚生労働省事務次官・村木厚子(彼女は大の敏フリーク!)が語りあった、素晴らしい内容、ファンを魅了した筈だ。今野は元東芝EMIのディレクターで小室哲哉が在籍していたSPEEDWAYを担当していたと本人から聞いた。僕は今野とは30年以上の仲良しで、彼がテレビ神奈川でMCしていた情報番組に音楽担当でレギュラー出演していたこともある。最近は電話ばかりだけど、来年は久しぶり会ってここに登場して貰おう…。


▲早く“9”が読みたい! from Mike’s Library

【書籍紹介】
◆「占領下のエンタテイナー/寺島優」(草思社)


▲from Mike’s Library

いきなりプロローグで1960年代よくレコードを聴いていた“ピーター・ポール&マリー”、お世話になった“ビートルズを日本に呼んだ男・永島達司”が登場。僕の心を擽った。
ここにご紹介する「占領下のエンタテイナー」はカナダ生まれの日系2世、バンクーバー朝日軍のホーム・ラン・キング、昭和の戦中戦後から1970年代にかけて歌手・俳優として活躍したサリー・ナカムラこと中村哲(さとし)の波瀾万丈の人生が描かれている。著者の寺島優は中村哲の長男・中村修。彼が25年間かけ父親の足跡を纏め、そして多くの関係者にインタビューして完成させた力作である。1960年代からサリーは永島が創設した現在のキョードー東京招聘の海外アーティストのMCとしても活躍した。彼は中々出来ない自分の仕事に関するパンフレット/チラシ/台本/写真/記録/メモ等をきちんと残していた。ここではそれらが随所に鏤められ歴史書としてもよりグレードアップした内容になっている。260頁には1962年12月の新聞記事“司会者やーい”が掲載、僕は其の写真に吃驚させられる、中村と湯川れい子先生!が…。
彼は戦後、進駐軍キャンプのクラブで歌手として人気を博した。その時代に永島と知り合ったという。ナット・キング・コール、ライオネル・ハンプトン、クリフ・リチャードetc数多くのコンサートや記者会見のMCを務める。実は久しぶりに2枚組CD『PETER, PAUL AND MARY/Live In Japan, 1967』楽しんでいる。これはタイトル通り、1967年のPPM来日公演の模様を収録、そして7年前にCD化されている。その時MCを務めたのがサリーで、PPMの依頼で彼は日本語による楽曲紹介や通訳もこなしていて、この模様がしっかりと記録されているのだ(宇田和弘のライナーも素晴らしい)。


▲from Mike’s Collection

僕もブレンダ・リーやレターメンの日本公演でのサリーの司会ぶりを記憶している。彼はまた映画やCMでも活躍し三船敏郎とも共演している。フランク・シナトラをサポートしたこともあるという。1970年代から彼の住まいが僕の隣町だったということを本書で知った、お会いしたかった。中村哲の体験した音楽史、映画史、カナダ移民史、戦中戦後日本史などが自身の人生を主軸にしてしっかりと著されている。特に音楽ファンにお薦めしたい一冊である。
(文中敬称略)


▲サリーこの写真もかっこいいので本書バック・カバーも! from Mike’s Libaray

☆☆☆☆  

【ストーンズ・カバー】

相も変わらずストーンズのカバー・ヴァージョンを探して楽しんでいるい(笑)。12月に入ってから古い付き合いの独逸ベルリン在住の世界的ストーンズ研究家&コレクターのニコ・ゼントグラフからEメール、1996年に「As Tears Go By」カバーしている香港のグループ、去香港看看のことを教えられる。いろいろ探ったんだけどCDが入手できないでいる(涙)。

やはりニコから数か月前にロリー・ギャラガー(1948~1995)の新CD『THE BEST OF RORY GALLAHER』に「(I Can’t Get No)Satisfaction」収録のインフォを貰った。


▲from Mike’s Collection

1970年代に何度も来日公演を楽しんだロリー、勿論すぐにこの2枚組CDゲットした。テイスト時代から1990年までの作品が未発表ヴァージョンを含めて30曲網羅されている。CD2の11曲目が今回初めて公式化された「Satisfaction」。1973年のジェリー・リー・ルイスの“LONDON SESSION”はよく知られているが、そこにロリー・ギャラガーはジョインしていた。その時レコーディングされたのが「Satisfaction」。このCDには14頁の豪華ブックレットが付いている。それによるとジェリー・リー・ロンドン・セッションにミック・ジャガーがジョインする予定でこの楽曲が用意されていた。ミックの来る前にリハを兼ねてレコーディングされたアウトテイクが今回のCDで登場したのだ。


▲from Mike’s Collection

パーソネルは・・・
●Jerry Lee Lewis:Vocals Keyboards
●Rory Gallagher: Guitar Vocals
●Kenny Jones : Drums
●Mike Kellie : Drums
●Albert Lee : Guitars
●Peter Frampton : Guitars
●Chas Hodges : Bass
●Andy Brown : Organ
ブルージー・サティスファクションが堪らないのだ!

そしてこのCDを堪能しながらこれまた素晴らしい内容の「ロリー・ギャラガー アイリッシュ・ロックの原像」(シンコーニュージック・エンタテイメント)改めてしっかり楽しんだ。吉成伸幸君のロリー来日時インタビュー、前むつみさんへのインタビューなどゴキゲンな内容だ。


▲提供:シンコーニュージック・エンタテイメント

その流れから『Notes From San Francisco』のデラックス・パッケージを引っ張り出して聴いている。実は1973年に僕は彼の某LPライナー書いた(汗)。

ストーンズ・カバー関連で松田優作のことを想い出した。というのも、12月上旬にCS/日本映画専門チャンネルで優作死後1年が経った1990年11月の池袋サンシャイン劇場での“松田優作・メモリアル・ライヴ”が放送されたからだ。彼がストーンズ・カバーを歌っているアルバム『HARDEST NIGHT LIVE』を久しぶりに聴いて涙してしまった。


▲from Mike’s Collection

ここには彼の1981年のツアーから名古屋&東京LIVEナンバー10曲が収録されている。バックはCREATION。何度かMCしたことのある仲良しの竹田和夫、故アイ高野(亡くなる半年前くらいに電話があり1時間くらいいろんな話しをしたのを想い出す)がクレジットされている。そしてゲストは(最近は一緒に飲んでないナァ~)エディ藩だ。勿論エディ作曲の「YOKOHAMA HONKY TONK BLUES」が登場する、僕の大好きなナンバー。そして“HONKY TONK”繋がりじゃないけどストーンズの「ホンキー・トンク・ウーマン」を優作は見事にシャウトする。“Women”ではなく“ウーマン”にして日本語歌詞で歌われる、優作自身が詞をつけているのだ。『HARDEST NIGHT LIVE』にディレクターとしてクレジットされているビクター音楽産業の高垣健(サザンオールスターズの担当だったことでも有名)にお願いして僕はこの1981年ツアーを確か大宮で観た。「ホンキー・トンク・ウーマン」を熱唱する優作、素晴らしかった!

☆☆☆
【2020後半 R.I.P.】
●弘田三枝子 7月21日没 享年73


From Mike’s Collection

僕が洋楽に親しむ直前の1961年頃に坂本九と共に好きになった女性歌手が弘田三枝子だ。中学生でもう進駐軍キャンプで歌い始めていたという。「子供ぢゃないの」で多くのファンを魅了した、僕もその一人。ヘレン・シャピロのカバーだということは数年後に知った。その頃、白人ながら黒っぽい唱法の女性シンガー、ヘレン・シャピロ、ブレンダ・リー、ティミ・ユーロ、ルル…らの虜になっていたけどそのきっかけを作ってくれたのはダイナマイト娘、ミコだった。


Music Life”1963年3月号(表紙はザ・ピーナッツ)の口絵 from Mike’s Library


▲“Music Life”1963年11月号(表紙はブレンダ・リー)ML人気投票 中間成績発表 from Mike’s Library

1969年に大ヒットした「人形の家」も大好きだけど、その少し前にサンケイホールでのライヴ・アルバム『ミコR&Bを歌う』の出来栄えに驚嘆したものだ。ここでのアレサ節で歌い上げる「レスペクト」はライド・オン!


▲from Mike’s Collection

50曲入りの2枚組CD『弘田三枝子・しんぐるこれくしょん』を楽しむ今日この頃である。


▲from Mike’s Collection

●ピーター・グリーン 7月25日 享年73
1960年代後半から大好きだったピーター・グリーン。彼はジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ、フリードウッド・マックのメンバーとして活躍。1971年にはファースト・ソロ『The End Of The Game』をリリースしている。


▲CD『The End Of The Game』 from Mike’s Collection

そのLPで僕はライナーノーツを担当したがその後のCD化の際にもそれは掲載された(汗)。ライナーといえばサンタナで大ヒットした「ブラック・マジック・ウーマン」の日本盤シングルも僕が書いている。“オリジナルはフリートウッド。マックが『イングリッシュ・ローズ』の中で取り上げていたもので、つい最近フリートウッド・マックを脱退したピーター・グリーンの作品”(1970年12月に執筆)。1999年春に赤坂BLITZで初めてピーターのライヴを味わったがその時に「ブラック・マジック・ウーマン」をセットリストに加えていたのを想い出す…。


▲from Mike’s Collection

●ジェリー・ジェフ・ウォーカー 10月23日 享年78


▲from Mike’s Collectio

「Mr. Bojangles」といえば二ッティー・グリッティー・ダート・バンドの代表作として知られる。僕がMCを務めた1990年の“Country Gold”でも彼らはこのナンバーを演奏した。この楽曲はジェリー・ジェフ・ウォーカーの作詞作曲、ロックでアウトローなカントリー・アーティストのジェリー・ジェフは1968年のアルバムのタイトル・ソングとした。「Mr. Bojangles」は多くのアーティストにカバーされていることはよく知られる。僕はエスター・フィリップスやニーナ・シモンのヴァージョンが気に入っている。1997年にシカゴのHOUSE OF BLUESで楽しんだジェリー・ジェフのライヴでも勿論「Mr. Bojangles」を披露してくれた、素晴らしかった!

2020年後半、多くの素晴らしきミュージシャンが鬼籍に入る(いる)。ご無沙汰ばかりしていたゴールデン・カップスのマモル・マヌー、ルイズルイス加部。近田春夫やミッキー吉野と電話で思い出話しをした。


▲僕の横のエディ藩は元気です…

そしてトリニ・ロペス、ヘレン・レディ、ジョニー・ナッシュ、スペンサー・デイヴィス。1960年代から1970年にかけて親しんだアーティスト。冥福をお祈りする。


▲from Mike’s Collection

◆「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」まとめページ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス