【BARKS編集部レビュー】オーディオテクニカATH-CKR10は、新鮮・斬新・画期的

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いやいや、オーディオテクニカATH-CKR10のサウンドは久しぶりに感銘を受けるインパクトのあるものでした。こんな音って今までなかったでしょう?

◆ATH-CKR10、CKR9画像

▲ATH-CKR10。大ぶりの独特な形状をしているが、私の耳にはジャストフィットで遮音性も十分。装着も簡単で使い勝手がいい。意外にこの形ながらもケーブルを耳にかけるSHURE掛けもできるので、タッチノイズを更に軽減することができる。
▲左がATH-CKR9、右がATH-CKR10。基本設計は同じだが、素材とフィニッシュなど細かい点が異なることで、サウンドも大きく変わっている。
▲聴き比べたモデル。左からATH-CKS1000、ATH-CKM1000、そしてATH-CKR10。若々しく低域が派手なCKS1000、メリハリのある都会的な音がする高品質サウンドのCKM1000に対し、CKR10の音は熱量の高いエネルギッシュなサウンドを叩き出す。
▲左がATH-CKR9、右がATH-CKR10。ボックスや付属品は基本的に両者共通。付属のキャリングケースが使いやすい。
簡単にいえば、非常に濃いサウンドなんだけど俊敏性が高く、鈍重さを感じさせない濃密さが非常に新鮮…というか斬新。偶然か必然か、あるいは私の思い違いかも知れないが、時を同じくして登場しているJH AudioのTHE SIRENS SERIES RoxanneやNoble AudioのKAISER 10も、熱く重くそして速いサウンドを持っている。車で言えば四輪駆動のようなトルクの大きい牽引力を感じさせるものだ。好き嫌いがはっきり別れるタイプでもあるだろうが、ほんの1年前までは全く見かけなかった画期的なサウンドであることは間違いない。

ポイントは、やはりプッシュプルと説明する2つのドライバーの連携プレイによるものなのだろうが、同じ匂いのするRoxanneやK10のようなカスタムIEMはバランスドアーマチュアの単なるマルチドライバーなので、必ずしもその技術だけがこの個性を導き出しているわけでもないだろう。むしろこの個性的なサウンドは、開発者の感性や設計思想に基づくものと考えたほうが自然な気がする。

実際のところ、振動板を2枚有するradiusのドブルベや、ビクターHA-FXT90、音茶楽 flat4、DENON AH-C300といった、ダイナミックドライバーを複数搭載したモデルはこれまでも多数登場してきている。が、いずれも帯域ごとに役割を分担していたり、パラで駆動することで負荷を分散したりと、連携の巧みさと総合力でサウンドを構築するような設計思想に見える。

その点CKR10は、2つのドライバーは仕事を分担するようななまっちょろい設計ではなく、どっちもフルで働きまくり、そのまま全ての音情報を直列に足し合わせたかのような問答無用のパワフルさを叩き出しているイメージがある。まるで2人がブランコに向かい合わせに乗ってガンガン漕ぎまくっているような愉快さで、このパワフルさと破綻を防ぐデリケートさとの絶妙な設計が、最高にステキだと思うわけだ。

具体的にそのパワフルさとはどんなニュアンスのものか。他モデルとの比較として、例えば重低音重視のドンシャリATH-CKS1000と比べれば、CKR10の中域の充実度がよくわかる。CKR10では音楽の最重要エリアである中域にかなりの情報量を持ち、こと400Hzあたりの充実がずば抜けている。曲やソースによっては、このあたりのピークが目立つと、サウナの熱気のようなモワッとしたニュアンスを感じることになるが、このあたりの熱量を「こもりや曇った印象」と聴き違えることもありそうだ。その点においてのみ言えば、プレイヤー側の力量を高品位なものにしておくことが、CKS10を十分に堪能するための非常に重要なポイントになるかもしれない。環境を選ぶというか、要は優れたプレイヤーやアンプを使わないと、CKR10の良さを引き出し切れない難しさがある。

CKRシリーズがCKMシリーズの後継であることもあり、ATH-CKM1000とも比較をしてみたが、やはりCKR10の中低域の充実度はケタ違いで、どうしてもCKM1000のシャカシャカした高域が目立ってしまい、相対的にかつての最上位モデルを軽率なドンシャリに聴かせてしまう。CKR10よりもCKR9の方がCKM1000との使い分けには違和感が少ないような気もするが、CKR9には800Hzあたりにピークを感じるため、CKR9とCKM1000は全く違うキャラクターに聞こえる。低域の量感はCKM1000の方が上、高域のヌケもCKM1000の方が上位だが、ミッドの表現力はCKR9の方に分がある。ただし800Hzあたりの音色は鼻をつまんだような独特のトーンでもあるため、CKR10ほどの万能性はないかもしれない。

CKR10とCKR9を直接比較すると、CKR9にはハイミッドにも癖がある事がわかる。これがちょっとした鮮やかさを演出している重要なポイントなのだけれど、トータルバランスという意味ではCKR10のほうが明らかに上質だと私は思う。ただ、CKR9の音はエネルギーに溢れハツラツとした高校生の音、CKR10の音は年輪を重ね酸いも甘いも噛み分けた熟年の職人の音、という言い方もできる。確実に高品質な結果を出すのはCKR10なんだけど、CKR9にはやはり他に代えられない魅力があるとでも言うべきか。というか、つまるところ結局どちらも手にするべき、というのが最終的な落ち着きどころなんですが。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

ATH-CKR10
希望小売価格 \40,000(税抜)
・型式:ダイナミック型
・ドライバー:φ13mm×2
・出力音圧レベル:110dB/mW
・再生周波数帯域:5~40,000Hz
・最大入力:200mW
・インピーダンス:12Ω
・質量(コード除く):約16g
・プラグ:φ3.5mm金メッキステレオミニ(L型)
・コード:1.2m(Y型)
・付属品:ポーチ、イヤピース(XS,S,M,L)
・別売:交換イヤピース ER-CKM55

ATH-CKR9
希望小売価格 \30,000(税抜)
・型式:ダイナミック型
・ドライバー:φ13mm×2
・出力音圧レベル:109dB/mW
・再生周波数帯域:5~35,000Hz
・最大入力:200mW
・インピーダンス:12Ω
・質量(コード除く):約12g
・プラグ:φ3.5mm金メッキステレオミニ(L型)
・コード:1.2m(Y型)
・付属品:ポーチ、イヤピース(XS,S,M,L)
・別売:交換イヤピース ER-CKM55

◆ATH-CKR10オフィシャルサイト
◆ATH-CKR9オフィシャルサイト
◆BARKSヘッドホン・チャンネル
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◇estron Music、BaX(2014-06-03)
●OSTRY KC06(2014-05-18)

◆VISION EARS VE6 Xcontrol(2014-05-25)
■Fidue A81(2014-05-17)
◆カナルワークスCW-L32(2014-05-04)
■アルティメットイヤーズUE900s(2014-04-26)
■Astrotec AX60&AX35(2014-04-20)

◆CUSTOM ART Pro 330v2(2014-04-13)
●MPC Headphones(2014-04-06)
●Klipsch STATUS(2014-03-30)
●SMS Audio STREET by 50 DJ Pro Performance Headphones(2014-03-23)
◆AK240×カスタムIEM(2014-03-16)

■RHA MA750(2014-03-09)
■Meze 11 Deco(2014-03-02)
◇Astell&Kern AK240(2014-02-22)
◆1964 EARS V6-Stage(2014-02-17)
◆カナルワークスCW-L32V(2014-02-09)

◇EarPeace HD(2014-02-02)
◆Noble Audio Kaiser 10(2014-01-19)
◆Clear Tune Monitors CT-300Pro(2014-01-04)
◇KLIPSCH KMC1(2014-01-01)
■DUNU DN-1000(2013-12-30)

◆Ultimate Ears Reference Monitors(2013-12-16)
◆Ultimate Ears 11 Pro(2013-12-08)
◆earmo Tune5(2013-12-03)
●オーディオテクニカATH-OX7AMP(2013-11-23)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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