メガヒットをめぐる狂騒の中で着実に成長を遂げた彼らの快進撃インタビュー!【後編】

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「1stの成功は運命のいたずらさ…」

メガヒットをめぐる狂騒の中で着実に成長を遂げた彼らの快進撃インタビュー!【後編】

 

 

前編からの続き】

――成功したことで何かメンバー間に変化はありましたか?

ROB:最初にツアーに出た頃、メンバーの中の数人はホームレス状態だった。結局、3年間ずっとロード生活を送って、その後しばらくオフはあったんだけどすごく短かったし、お互い同じ場所にいる必要はなかった。レコーディングやリハーサルで集まる場合は全員にとって同じぐらい不便な町、たとえばアトランタとかを選ぶんだ。そのほうが目的意識があっていいんだよ。地元とかニューヨークとかだと、ちっとも落ち着かない。だから、どこか場所を選んでそこに行く必要があるんだ。でも、おかげでバンドの仲はすごくいいし、お互いの生活空間を邪魔しないようにしながらも、お互いを気にかけてる。メンバーもクルーも含めて全員が同等だよ。全員が自分なりの任務を持っていて、ひとりでも欠けると何も成り立たないからね。

KYLE:場合によってはかなりビジネス的なところもあるよ。BrianとPaul、Robは最初から一緒だったから強い絆はあるのかもしれない。でも、それが必ずしもいいこととは限らないよ。実際みんなが友人関係にあるわけだけど、ツアー中は、バンの中でもバスの中でもどこでも一緒で、どんなにいい人間関係があっても、やっぱりオフの時ぐらいは離れていたいよね。L.A.とニューヨークとオーランドとマイアミに別れてさ。


――Rob、あなたはSantanaとのコラボレーションで賞を総なめにしましたよね。おかげで、Matchbox Twentyの2ndアルバムは成功するに決まってるという感じじゃありませんでしたか?

ROB:Santanaとの仕事はとってもスペシャルで、心底やりたいと思えたことが本当にラッキーだった。でも終わってみたら、そのスペシャルさが10倍になっていた。ひとつの作品にあれだけ大勢の人間が関われることの美しさ、あれだけ多くの人々を感動させることができた喜び、音楽の万国共通性、そのすべてが、僕がこれまで関わったもののどれよりも素晴らしかった。まさにCarlosのための1年だったね。彼のためのパレードさ。僕もWyclef(Jean)も山車を与えられ、Carlosが先頭に立ってパレードを進めた。何よりもうれしいのは、このプロジェクトのおかげで、これからもずっとSantanaと共に語られることになる。Santanaが僕のことを知ってると思っただけでめちゃくちゃ興奮するよ。


――他のメンバーは“スーパースター”Robについてどう思ってるんですか?

KYLE:ただイジメるだけだよ!(笑)この前もビルボードに「まさかあのアリスタも、アトランティックからリリースされるアルバムのためにここまで前宣伝に荷担するとは思ってもみなかっただろう」と書かれていた。確かにRobに対してはすごい誇りを持ってるし、このアルバムにとっては大きなプラス材料だ。彼の露出のされ方はすごいからね。プラスでないはずがない。だから僕らもその事実を受け入れ、同時にジョークの種にする。結局はそういうことだよ。



――Santanaにとっても、新しいファンを獲得するという点でプラスだったと思いますが。

ROB:確かにそうだけど、彼とDave Matthewsとのコラボレーションを除けば、僕らなんかほんの飾りでしかなかったんだよ。メインの肉はSantanaと彼のバンド。僕らは、いうなれば玄関のようなもの。なるべく入りやすいような環境を整えて、家の中まで入ってきてくれた人たちに「ワォ! なんてステキな部屋でしょう!」と言ってもらうためのお膳立てをするのが僕らの役割だったのさ。


――でも正直言って、不思議な気持ちはしませんでしたか? 1stアルバムを作った直後に伝説のアーティストから声がかかる。バンド全体としては脅威じゃなかったんですか? あなたがCarlosの元へ走ってしまうんじゃないかって。

ROB:確かに通常の路線から外れたことをすると、最初は怖いしナーヴァスになるよね。特に依頼があった頃はまだMatchbox Twentyを組み立ててる最中だったから、思えば微妙な時期にあったんだよ。でも、プロジェクトそのものがとても趣のあるものだったし、要するに、僕がもうひとり別のミュージシャンと一緒に音楽を作った、というだけのことだったんだよ。そうあるべきだと思う。


――Matchbox Twentyについて記事を書いた人の中で、この人はわかってると思えた人はいますか?

ROB:まだまだ発展途上なバンドに関して、たった1枚アルバムを聴いただけで「こいつらのことは把握した」と思うのはフライングだと思うよ。僕らはこれからも進化していくだろうし、その中でどんどん上手くなっていくはずだからね。たとえば、映画のほんの一部を見ただけですべての流れを把握したと思うのと同じ。それじゃダメなんだ。

僕らの場合、楽しくなくなって友達同士じゃなくなったら、その時はやめようと思ってる。でも、このニューアルバムが完成した時はとても誇りに思えたから、もっと長く続けたいと思うようになった。自分たちが成長していることを実感できるし、今は本当の意味でバンドになれて、真のアルバムを作れたと思う。そして2枚作ったことで比較する対象ができて、もっと僕らのことがわかりやすくなるだろう。3枚目か4枚目あたりになったら初めて、僕ら本来のあり方を語ってもらってもいい。それだけの素材を提供するし、いろんな意見を言ってもらうことは良いことだからね。4枚目ぐらいならそれも可能かな。


KYLE:この手の質問は受け付けないようにしてるんだ。伏せろ!(笑) 評論家は、まあ好意的なこともあるけど、あまり好かれているとは思わない。でもそれって売れてるポップバンドの宿命じゃない? いわゆる“キャッチー”な音楽で成功を導き出したバンドは、斬新なことをやってるバンドほど評価されない。逆に非難される。その根拠についてはいまいちよくわからない。というか、ムカつくこともあるよ。僕らが最初に出てきた頃はCounting CrowsやGin Blossomsあたりと比較されることが多かった。新人の場合、レコード会社はそういった相手を捜すもんなんだよ。他人に説明するためのひとつのとっかかりとしてね。しょせんマスコミとか評論家とかはそういうベースで考えるから、僕らも例外じゃなかった。この先はどんなこと言われるんだろうね……。ええっと、質問何だったっけ?(笑)


――ボーイズ・バンドやティーン・アイドルなど、今のミュージック・シーンについてどう思いますか?

ROB:ポップ・ミュージックの原点は限界がないところにある。オルタナティヴやメタルの場合は、かならずどこかにルールみたいなものがあるけど、ポップはCeline DionからKornまでなんでもアリ。僕は、ラジオからBritney Spearsの“Oh, baby, baby……”って歌が流れてきたら、思わずボリュームを上げてしまう。だってほんと良い曲だから。Joni Mitchellと同じぐらい大事な曲だよ。そしてBackstreet Boysは本当にいい青年たちで、一生懸命仕事をしてる姿がいいし、とにかく声がいい。彼らのショウはブロードウェイみたいで、ライティングは豪華だし、宙を飛ぶし、きれいな衣装を着たり、まるで移動劇場さ。そして見に来ている人たちも一緒に踊ったりして本当にうれしそうな顔をしてる。たった2時間だけでも心配事をすべて忘れられるのは、彼らが歌ったり踊ったりしてくれるからで、いいことじゃない? 

中には音楽をシリアスに考えすぎる人もいるけど、そもそも音楽とは生きていくうえでのシリアスな部分を取り除く働きがあるんじゃないの? 友達に「自分で曲を書けないヤツは聴く価値がない」というのがいるけど、それじゃFrank Sinatraはどうなるわけ? 彼ほどかっこいい人はいないのに。それだったらElvisは? Elton JohnだってBernie Taupinと一緒に書いてるわけで、だからってどっちが偉いってことじゃないよね。それより、2人の天才が会うとああいう素晴らしいものが生まれるんだよ。ポップ・ミュージックにはKornもLimp BizkitもBackstreet Boysも'N SyncThird Eye BlindVertical HorizonもCeline DionもMariah Careyも同時に存在してるからいいんだ。聴き手に選択肢があるうちは、ポップ・ミュージックは健在だと思う。


KYLE:最近は買ってまで聴きたいと思うものはないなあ。普段は音楽に深く入りすぎてるから、時どき消費者の立場に戻って考えてみるんだけど、確かにラジオから聞こえてくるものの中にはおもしろいのもあるよ。でも聴くのと買うのとは別。個人的には、今のシーンにはあまり満足していないんだ。やっぱりBeatlesだね。彼らは芸術としての音楽の集大成であり、そこには壁もルールもない。でも、場合によっては、コマーシャルな音楽にはある程度のルールは必要だと思う。フォークミュージックの時代から、そこにはかならず一定のフォーミュラがあって、人々はそれに従ううちに、同じような音楽を繰り返し何度も作ってきた。僕はボーイズ・バンドに対してそういう部分を強く感じてる。「とてもキャッチーだけど、どこかで聴いたことある」ってね。


――バンド名をMatchbox 20からMatchbox Twentyに変えたのは?

ROB:「これからはTwentyというふうにちゃんと書いてね」とレコード会社に宣言したんだ。そのほうが見た目がいいような気がしてさ。あと、数字が入ってるバンド名はもう嫌だったんで、ちゃんと言葉で書いてみたらけっこういいかなって。まさかこれでMatchbox 20とMatchbox Twentyと2つあると思う人はいないだろ? それにしても、みんなに訊かれるんだよなあ、どうして名前変えたのって。


――1stシングルはどのようにして決めたんですか?

ROB:1stシングルは“Bent”なんだけど、まあ、どれかに決めなくちゃならなかったわけで、それだけが理由だよ。たった1曲でアルバムの運命を左右してもらいたくないし、とりあえずみんなが“Bent”で満足だったし、ロックバンドっぽいからいいと思う。等身大のところから始めたかったんだよね。その点、これはいい選択だ。最初に聴くと、人を小バカにしたような内容だと思うかもしれないけど、これはラヴソングなんだ。軽い音楽にヘヴィなトーンをのせるんじゃなくて、ヘヴィな音楽に軽いトーンをのせてみた。怒りを見せたかったのかもしれない。

僕は、アルバム用に曲を書くってことがないんだ。とにかく書いてみて袋に詰めて、その袋を開いたら、中から好きなもの、楽しそうなものを選んでみるだけ。ニューアルバムは前作よりハッピーな内容になってると信じてたのに、聴き直してみたら十分アングリーだった。書いてる時もレコーディングの時も何も怒ってなかったのにねえ。偶然、こういうアングリーな作品ができちゃったんだ!



――有名人になったことで嫌なことはありますか?

ROB:これからヨーロッパに取材を受けに行くんだけど、バンドと一緒じゃないのは嫌だね。だって、そもそも、みんなで演奏したいからバンドやってるわけでしょ。その他の活動はすべてステージに上がるための必要悪。ある程度のエゴがなければやってらんないよ。絶対に誰かが聴きたがってると思わないと。そしてエゴを満たすために毎晩ステージに上がる。そうすれば、人々に「かっこいい!」って誉められるからね。スタジオじゃ誉め言葉はないよ。ドラマーのポールはスタジオワークが大好きで、そのためなら何でもすると言ってるけど、僕は演奏するのが好き。ここ最近うちの奥さんがツアーに同行するようになって、「まだ帰れない」コールをしないですむようになったことは本当に大きいね。すごく気持ちが安定するようになった。


――このバンドについて、どうしても人々に理解されない部分はあると思いますか?

KYLE:深みかな。

ROB:僕らがナイス・ガイだってこと。あまり知らないで、成功したというだけでわがまま集団みたいに思う人もいるだろう。どうせ頭でっかちだろうってね。そうすると僕たちもいつの間にか「どうせ俺たちゃバカだよ」とか思うようになっちゃって、あっちでもこっちでも頭を下げてなきゃならなくなる。でもね、音楽あっての僕らなんだよ。実際に会ってみればすぐわかる。ビデオとかラジオの印象だけなら、僕自身だって「嫌なヤツ」って思うかもしれないけどね!(笑)

 

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