【中野・高円寺編】音楽と住まい「音楽好きのための防音マンションのすゝめ」
音楽と住まい「音楽好きのための防音マンションのすゝめ」

第二回 中野・高円寺編

都内屈指の音楽マニアが集まる街

日本のフォークやロックの黎明期から、音楽と切っても切れないのが、JR中央線沿線タウンだ。多くの有名ライブハウスやコンサートホールを有する新宿は、音楽的な伝説の数々を生み出してきた大都市であり、日本有数の歓楽街であることは周知の事実だろう。その新宿まで、JR中央線を使えばわずか数分で到着してしまう街が中野と高円寺だ。

中野駅周辺 中野駅周辺
高円寺駅周辺 高円寺駅周辺

都内屈指の音楽マニアが集まる界隈であり、よりディープでコアなカルチャーを発信し続ける両タウンは、ミュージシャンの居住者が多いことでも知られている。“中央線沿線がバンドマンに愛され続ける理由は?”──バンドマンと中央線の深い関係性を紐解く、“中野・高円寺”の住まいと音楽事情をお届けしたい。

なお別ページでは、高円寺に20年間住み続けたことに加え、メンバー全員が同時期に高円寺界隈で生活していたこともあるという人間椅子より鈴木研一を迎えて、高円寺・中野エリアの魅力と変遷を語ってもらった。こちらも併せてご覧いただきたい。

中野・高円寺 街案内 Index
  1. 日本屈指のコンサートホール──中野サンプラザ
  2. “サブカルの聖地”──中野ブロードウェイ
  3. “BiSファンにお馴染み”──ライブハウス・中野heavy sick ZERO
  4. カフェやイベント利用も──楽器店GUITAR EXPO
  5. 多国籍な“食”が充実──ひしめく飲食店街
  6. アンダーグラウンドな伝説あり──高円寺周辺ライブハウス
  7. ミュージシャン=高円寺の原点──フォークのメッカ
  8. 聖地巡礼──フジファブリック「茜色の夕日」
  9. 純情商店街だけじゃない──新旧が同居する駅周辺の商店街
  10. ミュージシャン御用達──個性的な名店の数々
  11. 街ぐるみのお祭り──フェスやイベントが目白押し
  12. 中野・高円寺、おすすめ物件情報

中野・高円寺 案内マップ

中野 編

JR中央線、JR総武線、東京メトロ東西線が乗り入れている中野駅は、新宿まで1駅5分(JR中央線)、東京まで5駅18分(JR中央線)とアクセスも良く、地方への行き来にも便利な立地が人気だ。

中野駅周辺 中野駅周辺

日本屈指のコンサートホール──中野サンプラザ

中野駅北口から中野通りを挟んですぐ、中野のランドマークといえば、中野サンプラザ。コンサートだけでなく、宿泊、ウエディング、レストラン、教室、宴会、会議などの利用もできる複合施設だ。コンサートホールとしては、座席ありの2,000人規模の会場として、様々なロック、ポップス、ハロプロをはじめとするアイドルが節目となるコンサートを行ってきた。

中野サンプラザ 中野サンプラザ

1973年(昭和48年)6月1日開業の老舗とあって、著名な邦楽アーティストはもとより、海外アーティストの来日公演など、音楽史を語る上でも重要な拠点のひとつ。音響面での評価も高く、人一倍ライブでのサウンドにこだわりを持つ山下達郎が東京公演を行うことでも知られている。

建物の老朽化の問題もあり2024年前後に解体が予定されている。収容人数を最大7000人程度とする多目的ホールとして2028年度末の完成を目指すことがアナウンスされた。なお、中野サンプラザ裏手には、ディスクユニオン中野店も。ロックやJ-POPからクラブミュージックまでオールジャンルを取り扱っているので、コンサートの開始を待つ間、CD、レコードをディグってみてはいかがだろう。

“サブカルの聖地”──中野ブロードウェイ

中野といえば、エンタメやサブカル好きが真っ先に思い浮かべるのが“中野ブロードウェイ”だろう。第二次高度成長期の真っ只中の1966年(昭和41年)の開業以来、時代と共に変化を遂げながら、近年は“サブカルの聖地”として名を馳せている商業住宅複合ビルだ。

中野ブロードウェイ 中野ブロードウェイ

JR中野駅北口を出て、真っ直ぐ延びる224mのアーケード商店街“サンモール商店街”の突き当たりに位置する中野ブロードウェイには、コミックやフィギュアが豊富な“まんだらけ”のみならず、音楽ファン垂涎のショップが点在している。インディーズ系CD音源や映像などを取り扱う“タコシェ”、Kraftwerkや平沢進をはじめとするテクノ/ニューウェイブ関連はお任せなCD・レコードショップ“メカノ”は、アーティストも度々訪れる有名店だ。

メカノ メカノ

この世とあの世を結ぶ特殊画廊“墓場の画廊”には、中野や高円寺を代表するバンドマン・人間椅子の30周年記念読本『椅子の中から』が店頭に鎮座していた。これら、ダークでディープとは対照的なショップが“TRIO”だ。J-POPやJ-ROCK、アイドルグッズなど、メジャー感に溢れる品揃えが魅力だ。人と違うファッションをしたいなら、バンドTシャツ、ドクロ/スカル系ファッション雑貨等が充実している“alternative clothing”へ。

alternative clothing alternative clothing

もちろんサブカル要素だけでなく、中野ブロードウェイ内に買取センターを含め4店舗を展開しているオーディオビジュアル機材販売店“フジヤエービック”には、SHUREのマイク、ヘッドフォンなどの音響機器、ライブやMV撮影に必要な映像機器など、プロ使用から一般使用まで充実のラインナップが注目に値する。

フジヤエービック フジヤエービック

“BiSファンにお馴染み”──ライブハウス・中野heavy sick ZERO

中野駅北口を直進、中野ブロードウェイを抜けて早稲田通りを右折、3分ほど進んだビルの地下に位置するのが“中野heavy sick ZERO”だ。

アイドルグループ・BiSの聖地として知られる同ライブハウスでは、プー・ルイを中心とした第1期BiS (後年、ファーストサマーウイカ、テンテンコ、カミヤサキらも所属)が2011年に初ワンマンライブを開催。2014年に横浜アリーナで行われた解散公演以降は、2016年の再結成後となる第2期BiSをはじめ、第2期解散から1ヵ月後に始動した第3期BiSが2019年8月18日に初ワンマンライブ<THiS is BiS>を開催した。いずれも多くの研究員(BiS [新生アイドル研究会]ファンの総称)が詰めかけている。

中野heavy sick ZERO 中野heavy sick ZERO
中野heavy sick ZERO

また、2019年11月9日にはアイドルカレッジから派生した5人組ユニット・MELiSSAの1stワンマンライブが開催されたなど、ひと味違うアイドルのライブが行われている。平日はラウンジやバースタイルによるDJイベント、週末はデイタイム、ナイトタイム、オールナイト公演と幅広いニーズに応えるライブハウスでもある。

カフェやイベント利用も──楽器店GUITAR EXPO

中野heavy sick ZEROの道路を挟んだ反対側にあるギター・ショップGUITAR EXPOは中古やヴィンテージギター、ベースのセレクトショップだ。アンプ、エフェクターから、弦、シールド等アクセサリーの取り扱いもあるので、消耗品もゲットできる。なお、19時以降はアコースティックライブカフェ、オルタネィティブカフェとして、ライブやイベントがあるときのみ営業している。

ギター・ショップGUITAR EXPO ギター・ショップGUITAR EXPO

多国籍な“食”が充実──ひしめく飲食店街

中野駅北口には、「サンモール商店街」「昭和新道商店街」「中野ふれあいロード北商店会」等の商店街に、さまざまなジャンルの飲食店がひしめいており、平日から昼夜問わずに賑わっている。ラーメン、エスニック料理、肉寿司、居酒屋などなど、安くて美味しくて24時間営業のお店もあるから、中野界隈に住んでいたら食べる店には事欠かない、腹ペコにはたまらないグルメタウンなのだ。

昭和新道商店街 昭和新道商店街

中には、シャッターにオジー・オズボーン『トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ』のジャケットのイラストがドーンと描かれたお店や、その隣の店頭には『あしたのジョー』の主人公・矢吹ジョーの人形が。ランディとジョー、共に燃え尽きた男たちが見守るカオスなストリートを楽しみながら闊歩してみてはいかがだろう。

オジー・オズボーン『トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ』のジャケットのイラスト

高円寺 編

高円寺は、中央線や総武線が乗り入れるJR高円寺駅をはじめ、東京メトロ丸ノ内線の東高円寺駅と新高円寺駅があるなど、交通の便に優れている。JR高円寺駅は新宿まで2駅7分(JR中央線)。池袋から荻窪、中野坂上と方南町を結ぶ分岐線から構成される丸ノ内線は、銀座や後楽園にも直結。新宿からほど近く、都内拠点へのアクセスが充実しているうえ、なによりも住み心地がいい。高円寺にミュージシャンが溢れる理由はここにあるだろう。ライブハウスや練習スタジオがそれぞれの駅周辺に点在していることもバンドマンに愛される由縁だ。

高円寺駅 高円寺駅

アンダーグラウンドな伝説あり──高円寺周辺ライブハウス

フジファブリックや氣志團のメンバーがアルバイトしていたほか、自身が出演していたのが東高円寺駅すぐ近くにあるロサンゼルスクラブ東高円寺。1985年から続くライブハウスだ。老舗であるものの敷居の高さはなく、オケでのライブやアコースティック弾き語りのライブなど、柔軟な対応がうれしい。さらには3つのリハーサルスタジオもあるなど、ミュージシャンの音楽活動を応援してくれる。

ロサンゼルスクラブ東高円寺 ロサンゼルスクラブ東高円寺

ロサンゼルスクラブから徒歩数分のところに、東高円寺二万電圧がある。ちなみに、“高円寺20000V”といえば、ジャパニーズ・ハードコアの聖地。2009年に火災の影響により閉店した高円寺20000Vと、同ビルにあった高円寺GEARの意志を引き継いだライブハウスだ。この2つのライブハウスは高円寺の伝説とも言えるもので、高円寺20000Vは自主企画ライブ<消毒GIG>で知られるGAUZEや、原爆オナニーズ、eastern youthなど現在も活動を続けるバンドから、今は亡き遠藤ミチロウ率いるTHE STALINなどハードコアパンクの拠点だった。一方の高円寺GEARはGOING STEADY、椎名林檎、打首獄門同好会等を輩出した。東高円寺二万電圧には現在もパンク/・ハードコアアティチュードを持ったバンドがステージに立っている。

高円寺20000V 高円寺20000V

さらには、高円寺陸橋付近にある“アンダーグラウンド・ロックの総本山”U.F.O. CLUBは、サイケデリックやノイズといったアヴァンギャルドな音楽を発信し続けている。コンピレーションアルバムのジャケットや記念Tシャツのデザインをゆらゆら帝国の坂本慎太郎が務めていることから、そのテイストが伝わるはず。

U.F.O. CLUB U.F.O. CLUB

また、高円寺駅付近には高円寺Club ROOTS!や高円寺ShowBoatといったライブハウスが高円寺伝説を受け継いでいるほか、新高円寺駅付近で営業していた高円寺クラブライナーの跡地に、2019年10月10日、LOFT X koenjiがオープン。新宿LOFTの系列店だけに、これからどんなアーティストを輩出していくか注目される。

高円寺Club ROOTS! 高円寺Club ROOTS!
高円寺ShowBoat 高円寺ShowBoat

ミュージシャン=高円寺の原点──フォークのメッカ

1975年オープンのライブハウスLive Music JIROKICHIや1978年から続くライブバー稲生座などからは、かつて高円寺がどんな街だったのかを感じることができる。パンクやハードコアだけでなく、ロック、ブルース、ジャズを愛する音楽好きが集まる街の証明でもあるようだ。また、1970年代の高円寺は“フォークのメッカ”と呼ばれ、吉田拓郎や南こうせつがかつて住んでいたという。高円寺を歌った曲も数多く世に出ていることから、様々なジャンルの音楽と縁深い街であることがわかる。たとえば、吉田拓郎「高円寺」、筋肉少女帯「高円寺心中」、銀杏BOYZ 「童貞フォーク少年、高円寺にて爆死寸前」、竹原ピストル「高円寺」など、ミュージシャンの高円寺愛が伝わるような名曲は数多い。

Live Music JIROKICHI Live Music JIROKICHI

聖地巡礼──フジファブリック「茜色の夕日」

2019年にメジャーデビュー15周年を迎えたフジファブリック。名曲「茜色の夕日」のジャケットに登場しているのが、高円寺陸橋だ。JR高円寺駅のある中央線と丸ノ内線の東高円寺駅近くを結ぶように伸びている環状七号線が青梅街道と交差する陸橋で、近くの歩道橋からジャケットと同じ構図で写真が撮れる。聖地巡礼に訪れたファンがSNSやブログにアップしているのを見たことがある人もいるはず。

高円寺陸橋 高円寺陸橋
フジファブリック / 「茜色の夕日」ジャケット フジファブリック / 「茜色の夕日」ジャケット

バンドはメジャーデビュー15周年、結成時の中心メンバー志村正彦が逝去して10年。ビートルズの『アビーロード』さながらに横断歩道を歩いているメンバーの姿を思い浮かべつつ、歩道橋の上で「茜色の夕日」を聴きながら眺めてたら、“少し思い出すもの”があってグッときてしまう。

純情商店街だけじゃない──新旧が同居する駅周辺の商店街

高円寺の商店街といえば、直木賞を受賞したねじめ正一の小説『高円寺純情商店街』が最も有名だが、駅を中心として放射状にいくつもの商店街が賑わっている。古くから続く路地裏の店と、新たなチェーン店とが混在しているところが特徴的だ。飲食店があちこちにあるのはもちろん、スーパーマーケットもあるから、食料品の買い出しには困らない。

高円寺純情商店街 高円寺純情商店街

ミュージシャン御用達──個性的な名店の数々

高円寺駅南口から軒を連ねる焼き鳥屋の煙に気を取られつつ、線路沿いを右手に真っ直ぐ進むと見えてくるのはSTEAK HOUSE KYOYA。THE WILLARD、LAUGHIN'NOSEといった1980年代のインディーズバンドブームを牽引した2つのパンクバンドでドラマーを務めたKYOYAがオーナーを務めるステーキ店だ。ミュージシャン仲間も度々訪れているそうで、パンクスならずとも高円寺に住んだら絶対通いたい。

STEAK HOUSE KYOYA STEAK HOUSE KYOYA

STEAK HOUSE KYOYAでお腹いっぱいになったら、すぐ近くの円盤へ。足を踏み入れた店内には、全国各地から集まった自主制作盤CDやレコード、カセットテープが並んでいるほか、自作エフェクターも販売されている。量販CDショップや楽器店では絶対手に入らないここだけの宝物が見つかるはず。ライブイベントが行われることもあり、かつてはシンガーソングライターの大森靖子が<大森靖子の実験室>という企画ライブを開催していたことで知られている。

STEAK HOUSE KYOYA 円盤

また、純情商店街の中にさりげなく存在する楽器店もあり。中古楽器の販売買取、メンテナンス、リペアまで気軽に相談できそうだ。

街ぐるみのお祭り──フェスやイベントが目白押し

街ぐるみのイベントも、ここ高円寺では開催されている。1957年に町おこしとして始まった<東京高円寺阿波おどり>は、今では東京が誇る夏の風物詩となっている。また、毎年秋には、恒例の秋の大文化祭<高円寺フェス>が開催。音楽、アート、グルメ、ワークショップからゆるキャラ、プロレスまで、高円寺の各業種、店舗が一堂に会して様々な催しを行う一大イベントだ。

さらにはこの取材当日、高円寺を探索中にパンクスのゲリラライブに遭遇。トラックの荷台をステージにしたパンクスが、激しくアジテーションしながらゲリラ行進しているではないか。これは、地域開発の反対デモ。メッセージを発しながら駅前を通過していく彼らの演奏は熱く、スピリットに溢れたもの。街の風景が変わろうとも、高円寺のハードコア/パンク魂は失われていない。

STEAK HOUSE KYOYA
Special Interview

中野・高円寺 周辺物件情報

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築年/構造2016年3月築 / 鉄筋コンクリート / 6階建
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