【BARKS編集部レビュー】SE112は、SHUREによる絶品レシピの基本形

ツイート

市場価格おおよそ5000円という、SHUREブランドとしては格安のニューモデルSE112が登場して約1ヶ月が経過した。多くの人が手にして心地よい満足感を得ていることだろう。

◆SHURE SE112画像

SE112はSHUREにとっては最安価のエントリーモデルのため、正直に言えばサウンドクオリティや遮音性など様々な面でSHUREブランドの持つ非常に高いレベルを持ち合わせているわけではない。SE535やSE846といったブランドを牽引する高価なハイエンドモデルと比べるとナローバンドで、どうしてもローもハイも物足りず、ミッドの艶やかさも十分とはいえない。解像度もごくごく標準的なものだ。

▲SHUREのエントリーモデルSE112。
▲筐体は丸みを帯び、可愛らしい形。耳へは違和感なくフィットする。軽量なので使い心地も良好。着脱こそ出来ないもののケーブル自体は他の上位モデルと同様にしっかりとした太さと柔らかさを持ったもので、簡単には断線しそうもない安心感がある。
▲ステム部分は細く、音の出る穴も細いため、自ずとイヤーチップ先端の穴も小さめ。
▲付属品は巾着袋と各サイズのイヤパッドだけという、必要最小限のもの。※写真左上のキャリングポーチは含みません。
…なのだけれど、SE112の魅力はその巧みなバランスの良さにある。ぱっと耳にして一聴したときに、気になるような妙なピークやディップを持たないため、すんなりと耳に馴染み、そのまま心地よいトーンで音楽をスムーズに再生してくれる。そして、その間これといった不満を感じさせない。SHUREラインナップ最安価なスペックとは裏腹に、「ナローバンドだなぁ」とは思わせない巧みなトーンバランスにこそ、高級イヤホン市場を牽引してきたSHUREならではの特筆すべきノウハウが隠されているのだろうなとも思う。

聞き比べれば上位機種との性能の差は明白なのだけれど、SE112だけ聞いていればこれでOKと思わせるポイントには、どうやら音楽を再生する上でのキーポイントをきっちりと押さえている設計の巧みさがあるようだ。120Hzあたりの充実でグルーブの牽引力を演出し、200Hz~800Hzのフラットな密度の濃さで全般の安定をはかり、2KHz~3KHzでシャープさを、隠し味に8KHzあたりを振りかけることでスパイス的に鮮やかさを演出する…といった調子なのだ。万人に美味しいと思われるSHURE製社外秘鉄板レシピを元に、絶妙なお点前でさくっと作り上げた感じだろうか。

いわゆる設計センスが素晴らしいわけだが、個性で訴求するタイプではないので、装着感/遮音性/万能なサウンドバランス/フィット感/堅牢性、そして価格という総合力での勝負となり、日常で使っている限りは、不満を感じることなく愛用し続けることができるだろう。

ちなみに、ケーブル断線や紛失、意外とやっちまいがちな「ポケットに入れたままのうっかりお洗濯」など、買い替えの発生時を想定すると、SE112愛用する日々の先には、いつのまにかSHUREマニアへの登竜門として理想的なスタートラインに立っていることにも気付かされる。SE112のサウンドがSHUREの最低ラインであり、そこからどのモデルを手にしても感激のグレードアップを味わえることが保証されているわけで、SE215をはじめとしたいずれの上位機種に目を向けても、確実なステップアップを楽しむことができる。

願わくばSE112には、既に廃盤となっているSE115のようなカラーバリエーションがあれば楽しいだろうとも思ったのだけど、ストイックにコストを削減し、コストパフォーマンスを極限まで上げることも最重要課題であったろうことを考えると、カラバリによって販売価格が上がるようでは本末転倒な気もする。SE112が上位モデルへの水先案内人という隠れミッションを有するとすれば、ここはグレー&ブラックで無骨くらい飾り気ないほうがいいのかもしれない。形は鶯ボールみたいな可愛い形をしていますが。

最後に特筆してきたいのがシリコンタイプのソフト・フレックス・イヤパッドで、これの出来の素晴らしさが、SE112の完成度をぐんと引き上げていると思う。見る限りはよくあるイヤーチップと別段変わったところがあるわけでもないのだけれど、形状と柔らかさが秀逸で、外耳道の入り口にフタをするようにスポっと収まり、あっけないほど簡単にしっかりとした遮音が実現する。簡単な使用感と確実な遮音性の両立には、このイヤーチップが果たすところが大きい。メーカー推奨は耳にケーブルをかけるSHURE掛けスタイルだが、ケーブルを下に垂らす通常の装着法でも問題なく使用できる点もポイントだ。ひとつ注意すべきは「耳穴に対する角度」で、イヤーチップが球形でスポッとはまるために、音の出るステムがきちんと耳穴奥方向へまっすぐに向いているかどうかを意識した方がいい。これによって高域の聴こえ方に違いが出るので注意が必要だ。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●SHURE SE112
スピーカータイプ:シングルダイナミック型MicroDriver
感度:105 dB SPL/mW
インピーダンス:16Ω
再生周波数帯域:25Hz~17KHz
ケーブルの長さ:127cm
色:グレー
付属品:キャリングポーチ、グレーソフト・フレックス・イヤパッド(S/M/L)

◆SHURE SE112オフィシャルサイト
◆BARKSヘッドホン・チャンネル
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル


BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
■Blue Ever Blue 878(2014-07-01)
■茶楽音人Donguri-楽(RAKU)(2014-06-24)
■オーディオテクニカATH-CKR10(2014-06-14)
◇estron Music、BaX(2014-06-03)
●OSTRY KC06(2014-05-18)

◆VISION EARS VE6 Xcontrol(2014-05-25)
■Fidue A81(2014-05-17)
◆カナルワークスCW-L32(2014-05-04)
■アルティメットイヤーズUE900s(2014-04-26)
■Astrotec AX60&AX35(2014-04-20)

◆CUSTOM ART Pro 330v2(2014-04-13)
●MPC Headphones(2014-04-06)
●Klipsch STATUS(2014-03-30)
●SMS Audio STREET by 50 DJ Pro Performance Headphones(2014-03-23)
◆AK240×カスタムIEM(2014-03-16)

■RHA MA750(2014-03-09)
■Meze 11 Deco(2014-03-02)
◇Astell&Kern AK240(2014-02-22)
◆1964 EARS V6-Stage(2014-02-17)
◆カナルワークスCW-L32V(2014-02-09)

◇EarPeace HD(2014-02-02)
◆Noble Audio Kaiser 10(2014-01-19)
◆Clear Tune Monitors CT-300Pro(2014-01-04)
◇KLIPSCH KMC1(2014-01-01)
■DUNU DN-1000(2013-12-30)

◆Ultimate Ears Reference Monitors(2013-12-16)
◆Ultimate Ears 11 Pro(2013-12-08)
◆earmo Tune5(2013-12-03)
●オーディオテクニカATH-OX7AMP(2013-11-23)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
この記事をツイート

この記事の関連情報