【BARKS編集部レビュー】カスタムIEM随一の中低域、rhines stage 4Uの質実剛健なジャーマン魂

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今回紹介するのは、ドイツのカスタムIEMブランドrhines Custom Monitors(ラインズ・カスタム・モニターズ)のStage 4Uという3ウェイ4ドライバーのモデルだ。

◆rhines stage 4U画像

rhinesは、Compact MonitorsというドイツのブランドがVision Earsとrhinesの2つに分裂・独立して誕生したブランドだ。独立当時は両ブランドともStage 1~Stage 4というCompact Monitors時代のモデルがそのままラインナップされていたが、各々新モデルの開発がスタートし、rhinesとして初のオリジナルモデルとして発表されたのはStage 5という5ドライバーのフラッグシップモデルだった。

これで1ドライバーから5ドライバーまでのモデルが綺麗に並んだことになったが、実はそれ以前にStage 4 Flatと呼ばれる試作モデルが存在していた。これはStage 4の開発過程で生まれたモデルで、rhinesのエンジニア/デザイナーでありオーナーのフェリックスが設計したものだ。このStage 4 Flatのサウンドを聴いたJM-PLUSが高く評価したことで話は進展、新たにStage 4U Unicornという名が付けられ、現Stage 4に加えてJM-PLUSでのみ購入可能な特別モデルとして登場することとなった。ちなみにJM-PLUSとはrhinesの日本正規代理店で、アジア地区でClear Tune MonitorsやCustom ArtといったカスタムIEMも扱っている台湾の代理店である。

▲rhines Custom MonitorsのStage 4U Unicorn。3ウェイ4ドライバー・モデル。
▲写真右側のフェイスプレートのマークは、Stage 4Uのためにデザインされたユニコーンのマーク。
▲造形は完璧。しっかりした遮音性が確保され、どんな動きをしても遮音性が失われることはない。みっちり耳にハマるが長時間使用にも痛みは出ないという、実に絶妙な仕上がりとなっている。
▲ドライバーは深い位置にセットされ、カナル底部分から発音される。導管でカナル部分を引き回すような設計ではない。
▲今回サウンドを比較したモデル群。全て4ドライバーモデルだ。上列左がStage 4U、その右が最も強豪と思しきFitEar萌音。その下列左から順に、Unique MelodyのMAGE、LIVEZONER41のLZ4、カナルワークスCW-L05QD。更に下列が左からFitEar MH334、カナルワークスCW-L32、CW-L31。最下列が左からUltimate Ears 11 Pro、そしてカナルワークスCW-32V。
▲付属品は頑丈なハードケースにソフトケース、クリーニングツール、標準ジャック、乾燥剤、そして何故かピックが3枚。ピックは通常のプラスティック製に加えブラス製とスティール製というマニアックなもの。このあたりの付属品センスに、オーディオブランドではなくアーティストをサポートするモニター・ブランドである特性が見えるようだ。

このStage 4U、その名のとおりStage for youという意味をもっているが、同時にUnicornという名前が付けられている。4UのUに意味を持たせたものと思われるが、ユニコーンのように美しく気高くユニークであるからとしている。左フェイスプレートの円形のマークはStage 4Uを現すUnicornのアートオプションだ。

さて、肝心のサウンドだが、まずはポンポンと跳ねるように響く低域がとても心地よい。なかなか深いサウンドで、その上で躍動感があり、自然とテンションが上ってしまうような妙な魅力がある。パッと聞いた感じでは派手さはないので、第一印象で一目惚れ(ならぬ一耳惚れ?)するようなタイプではなさそうだし、抜け切らずシャキッとしないサウンドだと感じてしまう人もいることだろう。特に派手目のドンシャリサウンドや高域の抜けを徹底追求しているような多ドライバー・サウンドと聴き比べると、ナローバンドに感じてしまいがちだ。ただし、バランス的にはUE 11 Proからさらに低域を強化し、その分ハイのピークを下げた感じでもあるため、UE 11 Proが好きな人であれば、このサウンドはバリエーションの一環として楽しめるのではないだろうか。インパクトでノックアウトするのではなく、じわじわとブローのように効いてくるサウンドが癖になる。

ドバーと音が怒涛のように押し寄せる感じながら不快感がないのは、低位が非常にはっきりしているためだろう。ボトムがしっかりしており安定感が素晴らしい。でっかい音量でがんがん楽しむと、他のモデルでは味わえない骨太でパワフルな野太さが味わえる。小さな音だともっさりとしてシャキッとしないが、ある程度の音量を出すことでドライブ感が前面に出てくる、トルクフルで男性的なサウンドだ。この辺りの性格はFitEarの萌音とよく似ていて、チューニングダウンしたヘヴィなギターリフなどはこれまでに聞いたことのないような厚みと艶を聴かせてくれる。個人的な感覚で言えば、中低域の厚みをもったウルトラゲインのギターサウンドの再現性は世界随一だ。もう私の中ではダイムバック・ダレル・モデルと命名したいくらい。

中低域の張り出しが強烈で実在感のある力強いサウンドを出すが、ハイもローも十二分に出ているために、いなたいかまぼこサウンドには聞こえないだろう。ただし、おそらく400Hzあたりの濃密さに耳を奪われると、ヌケ切らない印象が拭えない。クリアさや爽やかさ・透明感を求めるのであればお呼びじゃないが、中低域の厚みを特徴として持つカスタムEIMは貴重な個性でもあり、是非注目して欲しいモデルでもある。

今回4ドライバーのモデルと聴き比べを敢行したが、もっとも競合となるのはFitEarの萌音であろう。高域の抜けが美しいUnique MelodyのMAGEやLIVEZONER41のLZ4、鋭い切れ味のカナルワークスCW-L05QDなどは完全に使い分け可能な性格違いとなる。トーンバランスが優れたFitEar MH334やカナルワークスCW-L32、CW-L31などとも直接競合しないだろう。オシの強さではUltimate Ears 11 ProやCW-32Vを脅かすパワーを持つけれど、11 Proの魅力がメリハリの効いた低域と高域にあり、CW-32Vの魅力がボーカル域の表現力にあることを考えると、Stage 4U Unicornの魅力は中低域の野太さにあり、いずれもサウンド的にかぶるところはない。

前身のCOMPACT MONITORS譲りの設計なのか、VISION EARSと同様にカナルの先端は大きく口を開けた造形となっている。ここには大きなこだわりがあるようで、ドラーバーから引き回される音導管でサウンドがスポイルしてしまう点を嫌い、導管チューブの長さは最小限にとどめるという設計を貫いている。そのため、カナル部分は外枠だけを残してハウジング部分まで大胆にくり貫き、すぐ近くにドライバーをセットする作りとなっている。導管チューブは最小限の短さで作られていることが分かる。

カナル部分はさほど長くはないが、耳へのフィットはほぼ完璧で、しっかりと遮音が確保され、あくびをしようと下を向こうと遮音が落ちる瞬間がない。この耳へのはまり具合ひとつでも、本国ドイツにてステージモニターとして多くのアーティストに供給をしてきた実績から、ノウハウと高いスキルを持ちあわしているであろうことが伺える。ケーブルの長さが140cmと若干長めなのも、一般オーディエンスの音楽鑑賞目的以前に、ステージモニターとしての最適サイズをデフォルトとしているためであろう。

キャッチーな飾り気はないけれど、質実剛健なジャーマン魂が結実した頼りになる一本だ。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●rhines Custom Monitors Stage 4U Unicorn
NT$ 56,000元 (JM-PLUS限定版)
3ウェイ4ドライバー

◆rhines Custom Monitorsオフィシャルサイト
◆JM-PLUSオフィシャルFACEBOOK
◆BARKSヘッドホン・チャンネル
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル


BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
●ROCK JAW ACERO(2014-09-21)
◆Westone ES60(2014-09-14)
■Astrotec Lyra(2014-09-08)
■NOBLE FR(WIZARD)(2014-08-26)

■Fidue A83(2014-08-19)
◇Musician's Ear Plugs(2014-08-10)
◆Noble Audio 5C R Configuration(2014-07-27)
◆FitEar萌音-MONET(2014-07-21)
■SHURE SE112(2014-07-13)

■Blue Ever Blue 878(2014-07-01)
■茶楽音人Donguri-楽(RAKU)(2014-06-24)
■オーディオテクニカATH-CKR10(2014-06-14)
◇estron Music、BaX(2014-06-03)
●OSTRY KC06(2014-05-18)

◆VISION EARS VE6 Xcontrol(2014-05-25)
■Fidue A81(2014-05-17)
◆カナルワークスCW-L32(2014-05-04)
■アルティメットイヤーズUE900s(2014-04-26)
■Astrotec AX60&AX35(2014-04-20)

◆CUSTOM ART Pro 330v2(2014-04-13)
●MPC Headphones(2014-04-06)
●Klipsch STATUS(2014-03-30)
●SMS Audio STREET by 50 DJ Pro Performance Headphones(2014-03-23)
◆AK240×カスタムIEM(2014-03-16)

■RHA MA750(2014-03-09)
■Meze 11 Deco(2014-03-02)
◇Astell&Kern AK240(2014-02-22)
◆1964 EARS V6-Stage(2014-02-17)
◆カナルワークスCW-L32V(2014-02-09)

◇EarPeace HD(2014-02-02)
◆Noble Audio Kaiser 10(2014-01-19)
◆Clear Tune Monitors CT-300Pro(2014-01-04)
◇KLIPSCH KMC1(2014-01-01)
■DUNU DN-1000(2013-12-30)

◆Ultimate Ears Reference Monitors(2013-12-16)
◆Ultimate Ears 11 Pro(2013-12-08)
◆earmo Tune5(2013-12-03)
●オーディオテクニカATH-OX7AMP(2013-11-23)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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