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オハイオ州デイトン市の中学教師だったRobert Pollard率いるGuided By Voicesは、レコーディングに着手して以来この10年間で、耳が融けるくらい大量の音楽を産み出してきた。「ローファイ」というレッテルを貼られたおかげで、彼らの音楽が売上を伸ばしたことは間違いないが、彼らがほとんどの作品を安い機材で録音してきたのは、趣味の問題であると同時に予算の制約があったからだ。メジャー・レーベルと協力関係にあるインディー・レーベルから作品を発表するようになってからも、彼らは一貫してこの「ローファイ」というコンセプトにこだわっている。彼らのようなアンダーグラウンドのはぐれ者にとって、メインストリームでの成功は価値がないようだ。Pollardはつねに、現実のロックスターであるより、彼の空想のなかでロックスターであることを選んできたのである。

『Box』というそっけないタイトルの5枚組ボックスCDは、彼らの初期の作品を収録している。しかし、そのほとんどの曲は、つかみどころがなく焦点が定まっていない。『King Shit And The Golden Boys』と題された付録CDは未発表作品を集めたものだが、このカルトバンドの未発表曲を聴きたいと待ち焦がれていたファンがそれほど大勢いたのだろうか。なんらかの意味でPollardがポップの高みに達したのは、'92年の『Propeller』からである。このアルバムの数曲は、暗闇の前方に'60年代のハーモニーとパワーポップへの圧倒的な愛情が垣間見える。彼らは(と言っても、正式メンバー以外につねに何人かの酔っ払いが群がっているようだが)『Vampire On Titus』をリリースすべく、引き続きScat Recordsと契約した。しかし、そのように少し認知されただけで、Pollardは動揺したようだ。彼は再び、AMラジオの夢の国というお得意のコンセプトで曲を作り出した。

それ以後Guided By Voicesがリリースした数枚のアルバムは、'60年代ポップ世界の再構築に関心がある者にとって貴重なものである。全米ツアーでの、Pollardと仲間たちは、歌の合間にビールを飲んでいた。ライヴが2時間に及ぶ頃には、彼らはたいてい出来あがっていて、最後にPollardが観客からリクエスト曲を募ったり、その場で曲を作ったりしていた。'96年には、Pollardと(元)メンバーのTobin Sproutがそれぞれソロアルバムを発表。'97年、Pollardは、クリーヴランド出身のロッカーCobra Verdeを新メンバーに迎え、『Mag Earwhig!』をリリースした。