【BARKS編集部レビュー】インイヤー開放型イヤホンの決定版、UBIQUOの放つ極上サウンド

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【BARKS編集部レビュー】と銘打ち、かれこれ1年にわたってイヤホン/ヘッドホンに関するレビューコラムを連載してきているけれど、あくまで自分でいいと思ったものを取り上げ執筆してきたものなので、当然のようにその素晴らしさを讃える称賛記事になる。当然ネガティブ要素にも触れるものの、マイナスを踏まえてもなお魅力的と感じるからこそ、基調はその魅力や品質の高さに敬意を表したものだ。

◆UBIQUO画像

▲UBIQUOからリリースされた3種類のインイヤーイヤホン。左からUBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703。

ま、結果「こいつはいいぞ」とちょいテンション高めな紹介になってしまうわけだけど、今回のテンションのあがりっぷりは、もう抑えるのが大変。このUBIQUOには震えが来るほどの比類なき感銘を受けた。もうね、めっちゃくちゃ音がいいのよ。びっくりだわ。

「めっちゃくちゃ音がいい」だなんて、インテリジェンスもへったくれもない表現になってしまったが、もはやUBQ-ES703に至っては、比較すべきはハイエンドヘッドホンのサウンドクオリティの領域だと思う。ん?また盛り過ぎか?…いや、んなこたない。やっぱりこの音はまぎれもなく凄い。

もちろんイヤホンなのでヘッドホンとは基本的に聞こえ方が違うし比較するものではないのだけど、広大な帯域に表現力豊かなダイナミックレンジと、変なピークを持たない全帯域での豊かな描写力は、もはや理想的な完成度だ。弩級ヘッドホンが持つような超解像度を誇るわけではないけれど、音楽のディテールまできっちり楽しませてくれる高音質サウンドという点では、まぎれもなくハイエンド級の品質だと思う。サウンドの好みは十人十色だし価値観も様々なので、「この音は好きじゃない」という人もいることとは思うのだけど、間違いなく「音の良さは絶対的」だ。

そして、私のテンションが異常沸騰している理由のひとつは、それがビックリするほど安価なことにある。サウンドから売価を想定すると、店頭実勢価格はUBQ-ES503とUBQ-ES505は8000円、UBQ-ES703は12000円といったところがひいき目なしの適正価格だと思うのだけど、実際はどれも5000円以下という驚きの価格。マジかマジなのか? これ、買わないと損だ。

▲503。質感も高くデザインもカッコいい。503には、Black、TD(Titanum Dark)、RED、WT(White)の4種類が用意されている。

▲こちらは505。デザイン上は503と全く変わらず違いは色だけ。505に用意された色は、NB(Navy Blue)、PW(Purple Wine)の2色のみ。

さて、吐き出すだけ吐き出したところで、もう少し冷静にお伝えしよう。今回登場したのは、UBIQUO(ユビクォ)という新ブランドで、UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(以下、503、505、703)という3モデルが同時リリースとなる。全てインイヤータイプで、いわゆる開放型イヤホンのため遮音性は皆無、音漏れにも気を配る必要がある。503がフラットなサウンドを持つ完成形、それの低域強化型が505で、703はさらにそれらの技術をもとに1から再設計し新たに生み出した最新型モデルという位置付けだ。

ベーシックな立ち位置の503はパーフェクトなバランスだと思う。きっちりフラット。どこも出過ぎず、どこも引っ込まない。音楽をきちんと丁寧に再生するという当たり前なことを、とにかく丁寧にデリケートにこなすモデルで、まずは音を聞いて感銘を受けて欲しい。ちょっと表現が暴力的だけど、「Westonme4の周波数帯域を低域から高域までさらに拡張したようなサウンド」という例えが一番分かりやすい。

そこから重心を低域に寄せ、重さと迫力を追加したのが505の印象だ。503の方が本来の素直なバランスなのかもしれないが、開放感を存分に味わいながらこの重厚な低音を堪能するというのはなんとも贅沢な世界で、こんな音を聞かせてくれるイヤホンは他には見当たらない。クラブ系サウンドなどはキックのアタックが何とも心地よく、開放感があるだけに、音量を上げると本当に爆音のクラブにいるような酩酊感に襲われる。この気持ちよさは、ハイエンドの開放型ヘッドホンじゃないと味わえない領域だと思っていたが、その感覚がいとも簡単に堪能できる稀有なアイテムだ。

UBIQUOのモデルにはダブルドーム振動板という技術がつかわれているらしい。振動板を2枚搭載ときくとドブルベを思い起こすが、UBIQUOの場合、特定の帯域に強い個性を与えるための複数振動板ではなく、低~中域と高域の振動板を2つに分けることで従来のサイズと重量のまま音質の大幅な改善を可能にする構造なのだという。この素晴らしい周波数特性の確保は、マルチ・ダイアフラムの恩恵によるものなのだろう。重低音の充実ぶりと精密で伸びやかな高域の美しさも比類なきものだが、一番の魅力はその上でなおかつ伸びやかになる中域の新鮮さだと感じる。芳醇な瑞々しさを湛えたクリアで澱みなき中域の美しさは、ボーカルの息遣いや弦楽器の生々しさの多彩な表現力に直結しているところだ。

このダブルドーム振動板は、ドームの厚さを調節することで幅広い音質コントロールを容易に可能にするものらしく、UBQ-ES503とUBQ-ES505の低域の出方の違いは、まさにそのチューニングによるものなのだろう。

▲703のサウンドは極上。是非とも機会を見つけて試聴してみて欲しい。

さて、最後に703の紹介だが、こいつこそが至宝のサウンドである。音の方向性は503と全く同様できっちりフラットだが、音の瑞々しさが段違いだ。より濃密で艶やかで細部のきめ細かさがさらに向上しており、その上で超クリアでヌケも良い。温かさや生々しさは凄いのにぬるさや緩さは皆無だ。明らかに703は503の上位にあるサウンドで、703と503との関係性は、GRADOのGR10とGR8、ZERO AUDIOのZH-BX500とZH-BX300のような、明らかな上位下位の関係性と同様だ。

ちなみに、703の方が503や505よりもドライバー口径が小さく、スペック上の周波数特性値が劣っている点が面白い。503/505は16mm口径で10~40,000Hzであるが、703は14.8mm口径で15~35,000Hzとスペックダウンする。繰り返しになるが、703の方が間違いなく音は良い。

UBIQUOのこれら3モデルは一般的なインイヤータイプなので、遮音性は限りなくゼロとなり電車内や幹線道路沿いなどでは壊滅的に使えない。が、外音も拾える開放型のイヤホンというカテゴリーにおいては、頭一つ飛び抜けてES703のサウンドは極上だ。是非とも試聴してみて欲しい。

なお、メーカーによると、ダブルドーム振動板の問題点として「本来の性能(音質)を発揮するまで20時間から40時間程度の鳴らしこみ、エージング時間が必要」という。確かに、時間経過とともに、メリハリとクリアさはメキメキと向上し、どこまでいい音になっていくんだ?…と驚きのトーンを聞かせてくれたが、未エージングの状態でも音の良さは群を抜いている。

▲左から503、505、703のパッケージ。いずれもキャリングポーチとイヤーパッドが付属する。

なお、UBIQUO(ユビクォ)というブランド名には、“音楽におけるユビキタス”のような、音楽を聴くときに当たり前のように位置する存在でありたいという思いが込められているのだという。UBIQUOは、一流ヘッドホン/イヤホン開発経験を30年あまり重ねてきた世界指折りのエンジニアが、理想を求めて新たに立ち上げたブランドだが、そのサウンドは既に理想郷の領域に踏みこんだ至宝の完成度を見せつけてくれている。こういうブランドの登場を“エポックメイキング”というのだと思う。

text by BARKS編集長 烏丸

UBIQUO
●UBQ-ES503(オープンプライス/直販税込価格 3,500円)
●UBQ-ES505(オープンプライス/直販税込価格 3,500円)
●UBQ-ES703(オープンプライス/直販税込価格 4,600円)
2012年3月3日発売
※2月25日(土)より下記販売店にて試聴展示台数限定販売開催
・フジヤエービック(東京・中野)http://www.fujiya-avic.jp/
・e☆イヤホン(大阪日本橋本店/秋葉原店)http://www.e-earphone.jp/

●UBQ-ES503(4色)
・BK(Black)/TD(Titanum Dark)/RED/WT(White)
・オープンプライス(直販税込価格 3,500円)
・EANコード 8809229430054
・Type Open dynamic Stereo Earphone
・driver Φ 16.0 mm double-dome
・Sensitiverty 98 dB/mW
・Frequency Response 10-40,000 Hz
・Impedance 16 Ω
・Cable Length 1.2m (Y-type)
・Connector Φ 3.5 Gold Plug
http://zionote.com/ubiquo/ubq-es503.html

●UBQ-ES505(2色)
・NB(Navy Blue)/PW(Purple Wine)
・オープンプライス(直販税込価格 3,500円)
・EANコード 8809229430061
・Type Open dynamic Stereo Earphone
・driver Φ 16.0 mm double-dome
・Sensitiverty 98 dB/mW
・Frequency Response 10-40,000 Hz
・Impedance 16 Ω
・Cable Length 1.2m (Y-type)
・Connector Φ 3.5 Gold Plug
http://zionote.com/ubiquo/ubq-es505.html

●UBQ-ES703(4色)
・BK(Black)/NB(Navy Blue)/RED/(WT)White
・オープンプライス(直販税込価格 4,600円)
・EANコード 8809229430078
・Type Open dynamic Stereo Earphone
・driver Φ 14.8 mm double-dome
・Sensitiverty 100 dB/mW
・Frequency Response 15-35,000 Hz
・Impedance 16 Ω
・Cable Length 1.2m (Y-type)
・Connector Φ 3.5 Gold Plug
http://zionote.com/ubiquo/ubq-es703.html

◆UBIQUOオフィシャルサイト

BARKS編集長 烏丸レビュー
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